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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第11 農林水産省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金 |
  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの |
  • (2) 補助対象事業費を過大に精算するなどしていたもの

「緑の雇用」現場技能者育成対策事業等の事業費を過大に精算していたもの[林野庁](345)


(1件 不当と認める国庫補助金 7,522,125円)

部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(345) 林野庁 全国森林組合連合会 有限会社森林スマイル企画
(事業主体)
「緑の雇用」現場技能者育成対策事業等 21〜23 31,086 31,086 7,522 7,522

この補助事業は、全国森林組合連合会(以下「全森連」という。)が、平成21、22両年度に緑の雇用担い手対策事業及びトライアル雇用事業、23年度に「緑の雇用」現場技能者育成対策事業として、それぞれ林業就業に意欲のある若者等を林業の担い手として定着させるなどのために必要な研修等を実施する森林組合等の林業事業体に対して助成金を交付したものである。

林業担い手育成確保対策事業の実施について(平成10年林野組第70号林野庁長官通知)等によると、緑の雇用担い手対策事業及び「緑の雇用」現場技能者育成対策事業(以下、これらを合わせて「緑の雇用事業」という。)では、林業事業体が雇用した新規就業者等に対して林業に関する専門知識等を習得させるための研修を実施した場合には、技術習得推進費として、研修を受けた新規就業者等(以下「研修生」という。)1人当たり月額90,000円の助成金(支給した賃金等月額が90,000円を下回る場合は、その実支給額)を当該林業事業体に対して交付することとされている。また、トライアル雇用事業では、雇用者研修費として、林業事業体が雇用した研修生1人当たり日額8,000円の助成金を当該林業事業体に対して交付することとされている。そして、いずれの事業の場合も、全森連が交付した助成金と同額の国庫補助金が林野庁から全森連に対して交付されている。

林業事業体である有限会社森林スマイル企画(埼玉県秩父郡小鹿野町所在)は、21年度から23年度までの間に、緑の雇用事業について、雇用した研修生が研修を受けた延べ141か月を対象として研修生1名当たり90,000円以上の賃金を支払っていたなどとして、当該研修に係る技術習得推進費等を助成の対象として、全森連に対して助成対象額を計22,734,646円とする実績報告書を提出し、同額の助成金の交付を受けていた。また、21、22両年度に、トライアル雇用事業について、雇用した研修生が延べ739日の研修を受けていたなどとして、当該研修に係る雇用者研修費等を助成の対象として、全森連に対して助成対象額を計8,351,938円とする実績報告書を提出し、同額の助成金の交付を受けていた(助成金の計31,086,584円)。

しかし、同会社は、緑の雇用事業では、上記141か月のうち33か月について、実際には研修生に対して賃金を支払っていなかったり、支払っている場合でも1人当たりの賃金が90,000円を下回っていたりするなどしていた。また、トライアル雇用事業では、上記739日のうち482.5日について、実際には同会社で雇用していない研修生に係る日数を助成対象とするなどしていた。

したがって、上記の事態に係る経費を除くなどして適正な助成対象額を算定すると、緑の雇用事業は計20,506,121円、トライアル雇用事業は計3,058,338円、合計23,564,459円となり、前記助成金の計31,086,584円との差額7,522,125円が過大に精算されていて、これに係る国庫補助金相当額7,522,125円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同会社において事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、全森連において同会社に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。