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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第11 農林水産省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金 |
  • 補助事業 の実施及び経理が不当と認められるもの |
  • (4) 補助金で造成した基金の使用が適切でなかったもの

森林整備加速化・林業再生基金事業の実施に当たり、基金事業の対象事業費を過大に精算していたり、基金事業の目的外の用途に使用していたりしていたもの[林野庁](357)-(361)


5件 不当と認める国庫補助金 42,114,219円

森林整備加速化・林業再生基金事業費補助金は、間伐等の森林整備の加速化と間伐材等の森林資源を活用した林業・木材産業等の地域産業の再生を図るなどのため、「森林整備加速化・林業再生事業費補助金交付要綱」(平成21年21林整計第82号農林水産事務次官依命通知)等に基づき、林野庁が都道府県に基金を造成させるために交付するものである。そして、基金を造成した都道府県は、間伐、地域材利用開発等の事業(以下「基金事業」という。)を実施する事業主体に対して、この基金を取り崩して補助金(以下「基金補助金」という。)を交付している。

本院が、17道府県において会計実地検査を行ったところ、5府県の5事業主体が実施した基金事業において、基金事業の対象となる事業費(以下「基金事業対象事業費」という。)を過大に精算していたり、整備した施設を目的外の用途に使用していたりするなどしていたため、交付された基金補助金計42,114,219円に係る国庫補助金相当額42,114,219円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、各事業主体において基金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、5府県において実績報告書の審査及び確認並びに各事業主体に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。

これを事業主体別に示すと次のとおりである。

部局等 補助事業者等 間接補助
事業者等
補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
千円 千円 千円 千円
(357) 林野庁 青森県 WIN—WIN研究会
(事業主体
森林整備加速化・林業再生 21、22 24,363 24,351 10,674 10,662

有限会社増田屋袋店(以下「会社」という。)等5会員で組織するWIN—WIN研究会(弘前市所在)は、平成21、22両年度に、ビニールハウスの骨組に地域材を使用した農業用木骨ハウス2棟を地域材の実証展示施設として整備し、トマト等の農作物の生育状況等を調査することなどを目的とする地域材利用開発事業を事業費計24,363,928円(基金事業対象事業費同額)で実施したとして青森県に対して実績報告書を提出し、基金補助金計24,351,880円(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、整備した当初から2棟のうち1棟では農作物は栽培されておらず、ハウス内のほぼ全てにわたり会社の代表取締役社長個人が所有する盆栽約200鉢が展示されるなどしていた。

したがって、この1棟(基金事業対象事業費等計10,674,951円、国庫補助金相当額10,662,903円)は基金事業の目的外の用途に使用されていた。

(358) 林野庁 千葉県 千葉県森林組合
(事業主体)
森林整備加速化・林業再生 21〜23 290,734 279,108 13,992 13,992

千葉県森林組合(千葉市所在)は、平成21年度から23年度までの間に、間伐、林内路網整備等の事業を事業費計290,734,447円で実施したとして、千葉県に対して基金事業対象事業費を計279,108,386円とする実績報告書を提出し、同額の基金補助金(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、同組合の安房支所は、上記の基金事業対象事業費に、本件間伐等の事業では使用していないバックホウ等の重機類等の損料、レンタル料及び燃料費を含めるなどしていた。

このため、基金事業対象事業費計13,992,565円(国庫補助金相当額同額)が過大に精算されていた。

(359) 林野庁 岐阜県 揖斐郡森林組合
(事業主体)
森林整備加速化・林業再生 23 33,879 33,879 10,858 10,858

揖斐郡森林組合(揖斐郡揖斐川町所在)は、平成23年度に、間伐等の事業を事業費計33,879,638円(基金事業対象事業費同額)で実施したとして岐阜県に対して実績報告書を提出し、同額の基金補助金(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、同組合の職員が本件基金事業に従事したとしている日のうち、実際には本件基金事業に関係のないゴルフ場の除草作業に従事するなどしていたものが計557.5人日見受けられた。

このため、基金事業対象事業費計13,992,565円(国庫補助金相当額同額)が過大に精算されていた。

(360) 林野庁 京都府 丹後地区森林組合
(事業主体)
森林整備加速化・林業再生 22、23 65,572 65,050 5,202 4,870

丹後地区森林組合(京丹後市所在)は、平成22、23両年度に、間伐事業を事業費計65,572,434円で実施したとして、京都府に対して基金事業対象事業費を65,050,000円とする実績報告書を提出し、同額の基金補助金(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。

しかし、同組合の職員が本件基金事業に従事した実績に係る根拠資料を確認したところ、同組合は、職員の作業日報の一部を実績報告書の内容に沿うように新たに作成しており、また、これに係る当初の作業日報については既に廃棄したとしていた。このため、134.5人日については、当該従事実績を確認できない状況となっていた。また、同組合は、作業員が他の国庫補助事業に従事した206.0人日分を労務費として補助の対象に含めるなどしていた。

このため、基金事業対象事業費計5,202,441円(国庫補助金相当額4,870,716円)が過大に精算されていた。

(361) 林野庁 大阪府 大阪府森林組合豊能支店
(事業主体)
森林整備加速化・林業再生 23 38,836 35,000 1,730 1,730

大阪府森林組合豊能支店(豊能郡能勢町所在)は、平成23年度に、89施業地において施業面積計140.00haの間伐事業を事業費計38,836,736円で実施したとして、大阪府に対して基金事業における間伐の補助の上限額である1ha当たり単価250,000円に当該施業面積を乗じた35,000,000円を基金事業対象事業費とする実績報告書を提出し、同額の基金補助金(国庫補助金相当額同額)の交付を受けていた。しかし、上記の施業地のうち9施業地における施業面積計26.02haには、樹木の生えていない崖地、崩壊地、道路等、明らかに施業対象とならない土地の面積計6.92haが含まれていた。

このため、適正な施業面積は計133.08haとなり、基金事業対象事業費1,730,000円(国庫補助金相当額同額)が過大に精算されていた。

(357)—(361)の計 453,387 437,389 42,457 42,114