ページトップ
  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第13 国土交通省 |
  • 平成23年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5) 道路防災事業におけるポケット式落石防護網の設計について


1 本院が求めた是正改善の処置

国土交通省は、道路防災事業の一環として、国が行う直轄事業又は地方公共団体が行う国庫補助事業等により落石防護工を実施している。しかし、事業主体において、ポケット式落石防護網の設計に当たり、可能吸収エネルギーの算定方法が区々となっていて、その算定結果が設計に大きな影響を与えるほど相違しているにもかかわらず、平成21年6月に改訂された、「道路土工のり面工・斜面安定工指針」(以下「安定工指針」という。)の取扱いについて社団法人日本道路協会に確認等を行っておらず、また、道路事業者にその取扱いを周知していない事態が見受けられた。

したがって、国土交通省において、可能吸収エネルギーの算定方法の取扱いを明確に定めて、その取扱いについて道路事業者に周知徹底を図るとともに、21年6月以降に設計されたポケット式落石防護網について、安定工指針と落石対策便覧(以下「便覧」という。)における可能吸収エネルギーの算定方法との適合性を検証するように事業主体に対して指導又は助言を行うよう、国土交通大臣に対して24年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。

2 当局の処置状況

本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、25年1月に地方整備局等に対して事務連絡を発するなどして、ポケット式落石防護網の設計に当たっての可能吸収エネルギーの算定方法については、便覧に示されている仕様の範囲のものに限り便覧に示す計算式によることとして、それ以外のものは安定工指針によることとする取扱いを道路事業者に周知する処置を講じていた。

そして、国土交通省は、21年6月以降に設計されたポケット式落石防護網について、事業主体が安定工指針と便覧における可能吸収エネルギーの算定方法との適合性を検証できるようにするため、25年3月に社団法人日本道路協会に設置されたワーキンググループにおいて現行便覧の適用範囲等のより詳細な検討を進めており、その結果を踏まえて事業主体に対する指導又は助言を行う処置を講ずることとしている。