ページトップ
  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第15 防衛省 |
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(3) 火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品について、保管契約を変更するなどして管理体制を整備することなどにより、物品管理法等に基づいた管理を適切に行うよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの


会計名
一般会計
部局等
陸上幕僚監部
物品の分類
(分類)防衛用品 (区分)消耗品
防衛火工品の概要
爆破、発射等の目的で、火薬又は爆薬を所要の形状及び寸法に成形して、管、筒等に充填するなどしたもの
火薬庫保有会社に保管されていた防衛火工品の購入価額
88億8517万余円(平成24年11月現在)
上記のうち物品管理法等に基づく管理が行われていない防衛火工品の購入価額
88億8517万円
【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】 火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品の管理について

(平成25年10月18日付け 防衛省陸上幕僚長宛て)

標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。

1 防衛火工品の管理の概要

(1) 貴自衛隊における防衛火工品の保管

貴自衛隊は、装備施設本部に対して、火薬類取締法(昭和25年法律第149号)及び武器等製造法(昭和28年法律第145号)に基づき許可を受けた会社と、爆破薬、砲弾等の防衛火工品についての製造請負契約を行うことについて調達要求を行い、装備施設本部は、この調達要求に基づき、毎年度、これらの会社と、防衛火工品についての製造請負契約を多数締結している(以下、上記の契約における契約相手方を「請負会社」という。)。

そして、貴自衛隊は、上記の契約に基づき納入させる防衛火工品の納地を補給処等の部隊としているほか、保管場所が十分に確保できないなどとして、請負会社が火薬庫を保有している会社(以下「火薬庫保有会社」という。)である場合には、火薬庫保有会社を納地としている。また、請負会社が火薬庫を保有していない会社(以下「他の請負会社」という。)である場合には、別途、火薬庫保有会社を納地としている。このように、火薬庫保有会社を納地としている場合には、契約に基づき調達されて国の物品となった防衛火工品が、実際には火薬庫保有会社の火薬庫に納入され、保管されることとなる。

(2) 防衛火工品の概要

防衛省は、「防衛省規格」を定めており、これによると、防衛火工品は、昭和46年7月に制定した弾薬用語において、①爆破、発射等の目的で、火薬又は爆薬を所要の形状及び寸法に成形し、管、筒等に充して、プラスチック、繊維等で被覆し、又は紙、糸等に塗布したもの、及び②火薬類取締法による火工品と規定されている。

(3) 物品管理法等に基づく物品の管理

物品管理法(昭和31年法律第113号)等において、物品は、国の施設において、良好な状態で常に供用又は処分をすることができるように保管しなければならないとされている。また、物品管理官は、物品管理簿等の帳簿を備えて物品の異動を記録するとともに、毎年度、物品及び帳簿について検査を受けることとされている。ただし、物品管理官が国の施設において保管することを物品の供用又は処分の上から不適当であると認める場合その他特別の理由がある場合は、国以外の者の施設に保管することを妨げないとされている。そして、物品管理官は、物品を国以外の者の施設に保管しようとする場合には、保管を必要とする物品の品目及び数量、保管の期間並びに物品の管理上保管について付すべき条件を明らかにして、契約等担当職員に対して、その保管のため必要な措置を請求しなければならないとされている。また、契約等担当職員は、上記の請求に基づいて保管契約の締結等の必要な措置をしたときは、速やかに、当該措置について請求を行った物品管理官に通知しなければならないなどとされている。

(4) 火薬類取締法に基づく防衛火工品の管理

火薬類取締法は、火薬類による災害を防止し、公共の安全を確保することを目的としており、火薬類を火薬、爆薬及び火工品と定義している。そして、貴自衛隊が調達している爆破薬、砲弾等の防衛火工品は、火薬類取締法上の爆薬又は火工品に該当することから、火薬類取締法の規制の対象となっている。

火薬類取締法等によると、火薬類の貯蔵は、火薬庫においてしなければならないとされており、火薬庫の所有者は、帳簿を備えて、火薬庫ごとの出納した火薬類の種類及び数量並びに出納の年月日並びに相手方の住所及び氏名を記載しなければならないとされている。

(5) 武器等製造法に基づく防衛火工品の管理

武器等製造法は、武器及び猟銃等の製造、販売その他の取扱いを規制することによって、公共の安全を確保することを目的としており、貴自衛隊が調達している爆破薬、砲弾等の防衛火工品は、武器等製造法上の武器に該当することから、武器等製造法の規制の対象となっている。

武器等製造法等によると、武器製造事業者は、当該武器の保管について、亡失又は盗難の防止を目的として保管規程を定めなければならないとされている。また、帳簿を備えて、武器を製造し、引き渡し、又は引渡しを受けた武器等の数、その製造等の年月日、引き渡すなどした相手方の氏名又は名称、住所等を記載しなければならないとされている。

2 本院の検査結果

(検査の観点及び着眼点)

前記のとおり、貴自衛隊は、火薬類取締法及び武器等製造法に基づき許可を受けた会社と製造請負契約を行い、これにより調達されて国の物品となった防衛火工品の一部を火薬庫保有会社に保管させている。

そこで、本院は、合規性等の観点から、貴自衛隊は、火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品について、物品管理法等に基づいて適切に管理等を行わせているか、火薬庫保有会社は、防衛火工品の保管等について、火薬類取締法及び武器等製造法に基づき会社が定めた保管規程により適切に行っているかなどに着眼して検査した。

(検査の対象及び方法)

検査に当たっては、防衛省内部部局、装備施設本部、貴自衛隊、2火薬庫保有会社等において、貴自衛隊が調達要求を行い、これに基づき装備施設本部が調達して、納入後、火薬庫保有会社の火薬庫に保管されている防衛火工品を対象として、物品管理簿、会社の帳簿等の関係書類を調査するとともに、保管されている防衛火工品を現地において確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、火薬庫保有会社であるA株式会社(平成24年11月の会計実地検査時点において会社の火薬庫に保管されていた防衛火工品の購入価額計88億8517万余円。以下、この会社を「A会社」という。)における防衛火工品の管理状況について、次のような事態が見受けられた。

(1) 貴自衛隊における防衛火工品の管理について

前記のとおり、物品管理官は、物品を国以外の者の施設に保管しようとする場合には、保管を必要とする物品の品目及び数量とともに、保管について付すべき条件を明らかにして、契約等担当職員に対して、保管のために必要な措置を請求しなければならないとされている。そして、契約等担当職員は、保管のために必要な措置として、当該物品を保管する国以外の者との間で保管に関する契約(以下「保管契約」という。)の締結等を行うことになっている。

そこで、貴自衛隊とA会社との間における防衛火工品の保管契約の締結状況について検査したところ、A会社が請負会社となっていた防衛火工品(以下「自社火工品」という。)については、無償での保管契約が締結されていたが、他の請負会社からA会社の火薬庫に納入された防衛火工品(以下「第三者火工品」という。)については、貴自衛隊と他の請負会社との間における保管契約が締結されていたものの、貴自衛隊とA会社との間における保管契約は締結されておらず、また、当該他の請負会社とA会社との間における保管契約は大半が締結されていなかった。また、貴自衛隊における保管契約の内容は、契約相手方に対して出納簿を備えた上で善良なる管理者の注意をもって管理することを求めているものの、第三者火工品については、A会社に対して同様の内容を求めていなかった。

そして、貴自衛隊は、物品管理簿に基づいて当該防衛火工品を点検(以下「現況調査」という。)して、現品の数量等に異常がないことを確認しているとしているが、任意の立入調査等の必要性がないとして、A会社の物品管理の実態を把握することを全く行っていなかった。

したがって、貴自衛隊は、国以外の者の施設に保管するに当たって付すべき条件を保管契約において適切に定めておらず、A会社が行う必要がある管理の方法や負うこととなる保管責任の範囲等が明確にされていなかった。

(2) A会社における防衛火工品の実際の管理について

A会社は、火薬類取締法及び武器等製造法に基づく保管規程により、保管中の防衛火工品を含めた武器には棚札を貼付し、種類、数量及び受払の状況を明示するとともに、火薬庫ごとに帳簿を設けて、武器の搬入及び搬出に当たっては、数量、年月日、受払先等を漏れなく記入し、常に保管状況を明確にすることとしている。また、保管責任者等は、帳簿及び現品についての定期的点検等を行うこととしており、数量及び保管状況について異常の有無を確認することとしている。さらに、A会社は、社内の経理システムにより、火薬庫内の保管品の保管状況に関する経理帳簿を作成している。

しかし、会計実地検査において、A会社の火薬庫における防衛火工品の保管状況を検査したところ、保管規程に基づき備え付けている棚札や帳簿に記入された数量が保管中の防衛火工品の実際の数量と一致していなかったり、帳簿に記載されている引渡し等の数量、日付等が誤っていたり、帳簿に記載されていない現品が見受けられたりなどしていた。また、保管責任者は、定期点検が十分でなかったため、帳簿上の数量が現品の数量と異なっていることなどについて把握しておらず、経理帳簿と在庫現品との突合も行っていなかった。

また、A会社は、自社火工品については前記のとおり保管契約で出納簿を作成することとされているにもかかわらず、これを作成していなかったり、自社火工品及び第三者火工品のいずれについても、保管品目ごとの入出庫の数量を記録していなかったりしていた。

したがって、A会社が保管している防衛火工品については、保管の実務を担うA会社が、保管契約や自らの保管規程等に基づく管理を適切に行っていない状況となっていた。

(1)及び(2)のとおり、A会社に保管させている貴自衛隊の防衛火工品(購入価額88億8517万余円)については、貴自衛隊及び請負会社において、物品管理法や保管契約等による管理が行われておらず、管理が適切でないと認められる。

(是正及び是正改善を必要とする事態)

火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品について、国以外の者の施設における保管のために必要な条件を保管契約に適切に定めず、管理の実態を把握しないまま防衛火工品を保管させていたり、火薬庫保有会社において保管規程等に基づく現品の管理が適切に行われていなかったりしている事態は適切でなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、火薬庫保有会社において、法令遵守の重要性に対する認識が欠けていることにもよるが、貴自衛隊において、火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品について、国以外の者の施設における保管に係る物品管理法等に基づく取扱いの重要性についての理解が十分でないことなどによると認められる。

3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置

貴自衛隊は、今後も防衛火工品の調達を多数行うこととしている。そして、納入された防衛火工品の一部については、引き続き火薬庫保有会社に保管させることが見込まれる。

ついては、貴自衛隊において、火薬庫保有会社に保管させている防衛火工品の管理を適切に行うよう、アのとおり是正の処置を要求し及びイのとおり是正改善の処置を求める。

  • ア 火薬庫保有会社の適切な管理を促すよう、保管させている防衛火工品と物品管理簿等との照合を確実に行うとともに、防衛火工品の火薬庫保有会社における保管の実態を確実に把握するよう、これに必要な条件を付した保管契約に変更するなどして、適切な管理体制を整備すること
  • イ 現況調査等の際に、火薬庫保有会社に法令遵守の重要性について周知徹底を図るとともに、新たな保管契約に基づき法令遵守の状況について確認を行うなどして、火薬庫保有会社による保管の適正化を確保すること