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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果|第1節 省庁別の検査結果|第15 防衛省|平成23年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(3) T-7初等練習機の委託整備費用の執行について


平成23年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

防衛省は、平成12年の総合評価落札方式による一般競争入札により、富士重工業株式会社(以下「富士重工」という。)が提案したT—7初等練習機(以下「T—7」という。)を調達することを決定し、その後、富士重工の子会社である富士航空整備株式会社に基地内におけるT—7の整備を委託(以下「委託整備」といい、これに係る費用を「委託整備費用」という。)している。しかし、委託整備費用の実績額が富士重工の提案経費に比べて多額に上っているのに、防衛省において、委託整備費用の執行状況を適切に把握しておらず、富士重工の提案内容と整備作業の実態を的確に把握し分析するなどしてその結果を委託整備に係る契約に適切に反映させるための取組を十分に行っていない事態が見受けられた。

したがって、防衛省において、委託整備に係る全体の経費の執行について適切に把握するとともに、委託整備に係る富士重工の提案経費に比べて実績額が多額に上っている要因について詳細に分析するなどして、その結果を今後の委託整備に係る契約に適切に反映させるための取組を行うよう、防衛大臣に対して24年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、防衛省内部部局、航空幕僚監部等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

  • ア 提案経費に係る実績額等を記録している管理台帳の書式を25年6月に改定して、24年度以降の委託整備に係る全体の経費の執行について把握することとした。
  • イ 委託整備に係る提案経費と実績額の差異について、24年10月から官民による検討会等を開催して意見交換を行うなどして分析し、これを受けて、契約書等の見直しについて検討した。そして、委託整備費用をより経済的及び効率的に執行するための方策として、維持整備に係る成果の達成に応じて対価を支払う方法による契約の導入等を検討することとし、この検討のために、T—7用部品の一部の調達等を対象として25年度からこの契約を導入するなどの取組を行った。