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  • 平成24年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第2節 団体別の検査結果 |
  • 第48 独立行政法人製品評価技術基盤機構、第49 独立行政法人国民生活センター、(第24 独立行政法人国際交流基金)、第50 独立行政法人科学技術振興機構、(第25 独立行政法人日本学術振興会)、(第26 独立行政法人理化学研究所)、第51 独立行政法人自動車事故対策機構、(第36 独立行政法人労働者健康福祉機構)、第52 独立行政法人原子力安全基盤機構 |
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(1)-(9) 業務の財源に充てることを想定していない預金等について国庫に納付することとなるよう改善させたもの


部局等
(1) 独立行政法人製品評価技術基盤機構本部
(2) 独立行政法人国民生活センター本部
(3) 独立行政法人国際交流基金本部
(4) 独立行政法人科学技術振興機構本部
(5) 独立行政法人日本学術振興会本部
(6) 独立行政法人理化学研究所本所
(7) 独立行政法人自動車事故対策機構本部
(8) 独立行政法人労働者健康福祉機構本部
(9) 独立行政法人原子力安全基盤機構本部
不要財産の概要
独立行政法人が保有する財産のうち、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる財産
科目
現金及び預金、投資有価証券
不要財産として国庫に納付すべき額
(1) 現金及び預金    3493万円
(2) 現金及び預金 2億5494万円
  投資有価証券    1000万円
  計      2億6494万円
(3) 現金及び預金    4556万円
(4) 現金及び預金 4億6201万円
(5) 現金及び預金 2億3240万円
(6) 現金及び預金 8億4491万円
(7) 現金及び預金    1715万円
(8) 現金及び預金 1億9731万円
(9) 現金及び預金 3億5132万円

1 独立行政法人の保有資産の概要

(1) 独立行政法人の保有資産

独立行政法人の運営の基本その他制度の基本となる共通の事項については、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)において定められており、各独立行政法人の目的及び業務の範囲については、各法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)等において定められている。

そして、政府は、独立行政法人の業務を確実に実施させるために必要があると認めるときは、個別法で定めるところにより、各独立行政法人に出資することができることとされている。

独立行政法人は、業務を確実に実施するために必要な資産として、設立時等に国、特殊法人等から承継した現金預金、有価証券(投資有価証券を含む。)、貸付金等を保有している。

また、政府は、通則法第46条の規定により、独立行政法人に対して、業務運営の財源に充てる資金として、運営費交付金を交付することができることとされている。

(2) 各年度における積立金の算定と中期目標期間の終了に伴う積立金の国庫納付

独立行政法人の利益の処分及び損失の処理については、通則法第44条第1項の規定により、毎事業年度(以下、事業年度を「年度」という。)、損益計算において利益を生じたときは、前年度から繰り越した損失を埋めて、なお残余があるときは、その残余の額を、積立金として整理しなければならないこととされている。そして、同条第2項の規定により、毎年度、損益計算において損失を生じたときは、同条第1項の規定による積立金を減額して整理して、なお不足があるときは、その不足額を、繰越欠損金として整理しなければならないこととされている。

また、積立金の処分については、個別法により、中期目標期間の最終年度において上記積立金の整理を行った後、当該積立金の額から次の中期目標期間の業務の財源に充てるために主務大臣の承認を受けた額を繰り越すことができるとともに、繰り越す額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならないこととされている。

(3) 保有資産の見直しと不要財産の国庫納付

独立行政法人は、平成22年の通則法の改正により、中期目標期間の途中であっても、通則法第8条第3項の規定により、その保有する重要な財産であって主務省令で定めるものが将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がなくなったと認められる場合には、当該財産(以下「不要財産」という。)を処分しなければならないこととされ、通則法第46条の2の規定により、不要財産であって政府からの出資又は支出(金銭の出資に該当するものを除く。)に係るものについては、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付することとされている。

そして、政府は、「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」(平成22年12月閣議決定。以下「基本方針」という。)において、各独立行政法人が、幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行い、保有する必要性があるかなどについて厳しく検証して、不要と認められるものについては速やかに国庫に納付することなどを掲げている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

独立行政法人は、前記のとおり、保有する幅広い資産を対象に、自主的な見直しを不断に行い、保有する必要性があるかなどについて厳しく検証することなどが求められている。

そこで、本院は、有効性等の観点から、各独立行政法人が保有する資産のうち、不要財産となっている資産がないかなどに着眼して、9独立行政法人(注)の本部等において、保有する資産を対象として、財務書類等の関係書類、不要財産の認定等の状況について提出を求めた調書等を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注)
9独立行政法人  製品評価技術基盤機構、国民生活センター、国際交流基金、科学技術振興機構、日本学術振興会、理化学研究所、自動車事故対策機構、労働者健康福祉機構、原子力安全基盤機構の各独立行政法人

(以下、各独立行政法人の名称中、「独立行政法人」については、記載を省略した。)

(検査の結果)

検査したところ、9独立行政法人は、表1のとおり、業務の財源に充てることを想定していない預金等を保有していた。

表1 業務の財源に充てることを想定していない預金等

独立行政法人名 預金等の金額
製品評価技術基盤機構 3493万余円
国民生活センター 2億6494万余円
国際交流基金 4556万余円
科学技術振興会 4億6201万余円
日本学術振興会 2億3240万余円
理化学研究所 8億4491万余円
自動車事故対策機構 1715万余円
労働者健康福祉機構 1億9731万余円
原子力安全基盤機構 3億5132万余円

これらの事態を態様別にみると次のとおりである。

(1) 政府からの出資に見合う資産として承継した預金等

独立行政法人が設立された際に、政府からの出資に見合う資産として承継した預金等のうち、承継後も預金等として保有しているが、業務運営に必要な資金の大部分を運営費交付金で賄っていることなどから資産として継続して保有する特段の事情が見受けられないなど、業務の財源に充てることが想定されていない預金等が、表2のとおり、3独立行政法人において見受けられた。

表2 業務の財源に充てることが想定されていない預金等

独立行政法人名 預金等の金額
国民生活センター 2億6494万余円
日本学術振興会 2億2046万余円
理化学研究所 9045万余円

(2) 政府からの出資又は支出に見合う資産として承継した敷金等の返戻金等

独立行政法人が事務所等を借り上げた際に、政府からの出資、運営費交付金等で差し入れていた敷金及び保証金(以下「敷金等」という。)の返戻金等のうち、受け取った返戻金等を預金等として留保しているが、中期目標期間に係る中期計画において今後の使用計画が定められていないなど、業務の財源に充てることが想定されていない預金等が、表3のとおり、6独立行政法人において見受けられた。

表3 業務の財源に充てることが想定されていない敷金等の返戻金等に係る預金等

独立行政法人名 預金等の金額
国際交流基金 4556万余円
日本学術振興会 287万余円
理化学研究所 2755万余円
自動車事故対策機構 1715万余円
労働者健康福祉機構 1億9731万余円
原子力安全基盤機構 2億1785万余円

(3) 政府からの出資に見合う資産の譲渡収入

政府からの出資に見合う実験器具、機械装置等の資産を譲渡して得た収入のうち、預金等として留保しているが、中期目標期間に係る中期計画において今後の使用計画が定められていないなど、業務の財源に充てることが想定されていない預金等が、表4のとおり、3独立行政法人において見受けられた。

表4 業務の財源に充てることが想定されていない譲渡収入に係る預金等

独立行政法人名 預金等の金額
製品評価技術基盤機構 21万余円
科学技術振興機構 3億2235万余円
理化学研究所 1519万余円

(4) 政府からの出資に見合う資産として承継した未収金等

独立行政法人が設立された際に、政府からの出資に見合う資産として承継した消費税の還付金の未収金等のうち、消費税の還付を受けて得た資金等を預金等として留保しているが、中期目標期間に係る中期計画において今後の使用計画が定められていないなど、業務の財源に充てることが想定されていない預金等が、表5のとおり、2独立行政法人において見受けられた。

表5 業務の財源に充てることが想定されていない消費税の還付を受けて得た資金等に係る預金等

独立行政法人名 預金等の金額
科学技術振興機構 1億3966万余円
理化学研究所 1億3256万余円

(5) 政府からの出資に見合う資産として承継するなどした固定資産の売却損等

独立行政法人が固定資産を処分するなどした際に、売却損等の損失が生じた場合には、損益計算書に固定資産売却損等が計上される。この固定資産売却損等は、キャッシュ・フローを伴わない費用として計上されるため、損益計算において、これと同額で現金の裏付けのある収益が相殺されて、この収益に相当する額は利益処分において積立金として整理されないこととなる。その結果、積立金として整理されなかった資金は、中期目標期間終了後に国庫に納付されないことになる。

政府からの出資に見合う固定資産を処分するなどした際に固定資産売却損等が生じた独立行政法人のうち、積立金として整理されなかった資金を預金等として留保しているが、中期目標期間に係る中期計画において今後の使用計画が定められていないなど、業務の財源に充てることが想定されていない預金等が、表6のとおり、4独立行政法人において見受けられた。

表6 業務の財源に充てることが想定されていない積立金として整理されなかった資金に係る預金等

独立行政法人名 預金等の金額
製品評価技術基盤機構 3471万余円
日本学術振興会 906万余円
理化学研究所 5億7914万余円
原子力安全基盤機構 1億3347万余円

このように、9独立行政法人において業務の財源に充てることを想定していない預金等を保有していることは、将来にわたり各独立行政法人の業務を確実に実施するために必要とは認められない財産を保有しているものと認められ、通則法の改正の趣旨及び基本方針にのっとっていない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、9独立行政法人において、通則法の改正の趣旨及び基本方針にのっとって資産の見直しを行い、将来にわたり業務を確実に実施する上で必要がないと認められる財産を不要財産と認定することについての理解が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、9独立行政法人は、表7のとおり、24年12月から25年10月までに、それぞれの主務大臣に対して前記の預金等を不要財産と認定して国庫納付に係る認可申請書をそれぞれ提出して、国庫に納付することとなるよう処置を講じた。

表7 国庫納付に係る認可申請年月及び申請先の主務大臣

独立行政法人名 認可申請年月 主務大臣
製品評価技術基盤機構 平成25年 5月 経済産業大臣
国民生活センター 25年 8月 内閣総理大臣
国際交流基金 24年 12月 外務大臣
科学技術振興機構 25年 7月 文部科学大臣
日本学術振興会 25年 7月 文部科学大臣
理化学研究所 25年 8月 文部科学大臣
自動車事故対策機構 25年 7月 国土交通大臣
労働者健康福祉機構 25年 10月 厚生労働大臣
原子力安全基盤機構 25年 6月 原子力規制委員会