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  • 平成25年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 補助金

(7) 学校施設環境改善交付金が過大に交付されていたもの[4県](44)-(48)


5件 不当と認める国庫補助金 52,524,000円

学校施設環境改善交付金(平成22年度以前は安全・安心な学校づくり交付金。以下「交付金」という。)は、「義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律」(昭和33年法律第81号)等に基づき、地方公共団体が作成する公立の義務教育諸学校等の施設の整備に関する施設整備計画によって実施される施設整備事業に要する経費に充てるために、国が地方公共団体に対して交付するものである。

交付金の交付額は、学校施設環境改善交付金交付要綱(平成23年文部科学大臣裁定)等によれば、当該地方公共団体の施設整備計画に記載された事業のうち、算定の対象となる事業(以下「交付対象事業」という。)ごとに、文部科学大臣が定める方法により算出した配分基礎額に交付対象事業の種別に応じて同大臣が定める割合(以下「算定割合」という。)を乗じて得た額(以下「算定後配分基礎額」という。)の合計額と、交付対象事業に要する経費の額(以下「交付対象工事費」という。)に算定割合を乗じて得た額(以下「算定後交付対象工事費」という。)の合計額のうち、いずれか少ない額を基礎として算定することとされている。このうち、配分基礎額については、配分基礎額を算定する際の基礎となる面積(以下「配分基礎面積」という。)を算定して、これに交付対象事業の種別に応じて定められた単価を乗ずるなどの方法により算定することとされている。

同要綱等によれば、交付対象事業のうち耐震補強事業については、耐震性能を既に確保している校舎等は交付金の交付対象とならないとされており、また、一部の交付対象事業については、施設整備計画に交付金の交付対象として計上することができる工事費に上限額が設けられており、これが交付申請時の交付対象工事費の上限額とされている。

本院が、18県及び199市町村計217地方公共団体において会計実地検査を行ったところ、4県の5市町において、配分基礎額の算定に当たり配分基礎面積の算定を誤っていたり、交付申請時に上限額を上回る交付対象工事費を用いていたりなどしていたため、交付金が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、5市町において交付金の交付額の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、4県の教育委員会において5市町から提出された交付申請書、実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

千葉市は、平成22年度に花園小学校耐震補強事業等24事業を、23年度に若松小学校耐震補強事業等47事業をそれぞれ実施し、両年度とも、これに係る算定後配分基礎額の合計額が算定後交付対象工事費の合計額を下回っているとして、算定後配分基礎額の合計額を基礎として算定された交付金22年度668,763,000円、23年度1,041,029,000円、計1,709,792,000円の交付を受けていた。

しかし、同市は、配分基礎額の算定に当たり、22年度に実施した5耐震補強事業及び23年度に実施した7耐震補強事業において補強工事を実施しない校舎の面積を配分基礎面積に含めていたり、耐震性能が既に確保されていて耐震補強事業の対象とならない校舎の面積を配分基礎面積に含めていたりするなど配分基礎面積の算定を誤っていた。そして、この結果、両年度とも算定後配分基礎額が過大に算定されていた。

したがって、適正な配分基礎面積に基づく算定後配分基礎額の合計額により交付金の交付額を算定すると、22年度665,000,000円、23年度1,033,797,000円、計1,698,797,000円となり、22年度3,763,000円、23年度7,232,000円、計10,995,000円が過大に交付されていた。

<事例2>

佐賀県神埼市は、平成20年度に神埼中学校屋外教育環境施設整備事業等2事業を実施し、これに係る算定後交付対象工事費の合計額が算定後配分基礎額の合計額を下回っているとして、算定後交付対象工事費の合計額を基礎として算定された交付金52,532,000円の交付を受けていた。

しかし、同市が神埼中学校屋外教育環境施設整備事業に係る交付申請時の交付対象工事費としていた102,812,000円は、屋外教育環境施設整備事業に係る交付対象工事費の上限額60,000,000円を上回っていた。

したがって、上記の事業に係る交付対象工事費に上限額60,000,000円を用いた交付申請時の算定後交付対象工事費の合計額に基づき適正な交付金の交付額を算定すると44,150,000円となり、8,382,000円が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

部局等 補助事業者(事業主体) 年度 交付金の交付額 不当と認める交付金の交付額 摘要
千円 千円
(44) 千葉県 千葉市 22、23 1,709,792 10,995 配分基礎面積の算定を誤っていたもの
(45) 習志野市 23 246,717 22,560 交付対象工事費の算定を誤っていたもの
(46) 富山県 下新川郡
入善町
20 69,628 2,296 交付対象工事費の上限額を上回っていたもの
(47) 長野県 飯田市 22 303,355 8,291 配分基礎面積の算定を誤っていたもの
(48) 佐賀県 神埼市 20 52,532 8,382 交付対象工事費の上限額を上回っていたもの
(44)-(48)の計 2,382,024 52,524