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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第11 経済産業省 |
  • 不当事項 |
  • 役務

中小企業支援調査(安全知識循環型社会構築事業)の委託契約において、全く使用されなかった装置の購入費用等を委託業務の実施に必要な経費に含めていたため、委託費の支払額が過大となっていたもの[経済産業本省](300)


会計名及び科目
一般会計 (組織)経済産業本省 (項)ものづくり産業振興費
部局等
経済産業本省
契約名
中小企業支援調査(安全知識循環型社会構築事業)
契約の概要
子供の不慮の事故をなくしていくことを目指して、事故事例の分析、事故情報の収集、発信等を行うもの
契約の相手方
独立行政法人産業技術総合研究所
契約
平成20年4月、21年4月 随意契約
支払
平成21年4月、22年4月
支払額
193,714,877円(平成20、21両年度)
過大となっていた支払額
13,072,500円(平成20、21両年度)

1 委託事業の概要

経済産業本省(以下「本省」という。)は、平成20、21両年度に、中小企業支援調査(安全知識循環型社会構築事業)を独立行政法人産業技術総合研究所(以下「研究所」という。)に委託して実施し、委託費20年度115,247,833円、21年度78,467,044円、計193,714,877円を支払っている。

同調査は、子供の不慮の事故をなくしていくことを目指して、事故情報のデータベースの構築を行うとともに、専門家、研究者及び企業による統計的な分析と現場調査や子供の行動分析による事故原因の究明等を行い、これらの情報を保護者等を含めた社会全体へ発信していくことにより、参加型の安全知識の循環を推進したものである。

委託契約書によれば、本省は、委託業務が完了して研究所から実績報告書の提出を受けたときは、その内容を審査し、必要に応じて現地調査を行い、委託業務の実施に要した経費(以下「委託対象経費」という。)の証ひょう、帳簿等の調査により支払うべき金額を確定して、精算払により支払うことなどとされている。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、委託対象経費は適切に計上されているかなどに着眼して、本件委託契約を対象として、本省及び研究所において、実績報告書等の関係書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

すなわち、研究所は、転倒転落事故のメカニズムの解明に必要な子供の行動データを収集するために、身体機能計測装置(注)(以下「装置」という。)を購入していた。そして、20年度に装置の購入費用11,970,000円及び倉庫保管料304,500円を、21年度に倉庫保管料798,000円を同調査に要したとして、計13,072,500円を委託対象経費に計上していた。

(注)
身体機能計測装置  すべり台、雲うんてい、棒すべりなどを組み合わせた遊具に子供の行動を計測するためのセンサを取り付けた装置(幅5.5m、奥行き8.0m、高さ3.4m)

しかし、この装置は、全体の寸法が大きく、子供が集まるイベント会場等に搬入して設置することが困難であったことなどの理由により、購入後、同調査に全く使用されていなかった。そして、装置が納品された20年9月から同調査が終了する22年2月まで倉庫に保管されたままとなっていた。

したがって、装置の購入費用等は本件委託業務に要した経費とは認められず、委託費計13,072,500円が過大に支払われていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、研究所において装置の搬入及び設置についての検討が十分でなかったこと、本省において実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。