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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第14 防衛省 |
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

(6)艦艇に搭載している計測器等の校正検定について、艦艇部隊が年間計画表を確実に作成して、これに基づいて造修補給所が遺漏なく実施することなどにより、有効期間内に適切に実施されるよう改善させたもの


会計名
一般会計
部局等
海上自衛隊補給本部、5造修補給所、44護衛艦部隊
物品の分類
(分類)防衛本省 (細分類)防衛用品 (品目)防衛用電気通信機器 等
艦艇に搭載している計測器等の概要
海上自衛隊の艦艇に装備している機器の動作の確認、故障の診断等を行うための計測器及び試験器
検査の対象とした計測器等の数量及び物品管理簿価格
1,361台 10億9828万余円(平成26年3月末現在)
上記のうち校正検定が有効期間内に実施されていなかった数量及び物品管理簿価格
799台 6億7559万円

1 艦艇搭載の計測器等の校正検定等の概要

(1)艦艇搭載の計測器等の概要

海上自衛隊は、任務の遂行に資するために、艦艇に、陸上基地との通信、艦艇の防御、攻撃目標の捕捉等を行う無線通信設備、防空システム、水上レーダー等の機器を装備している(以下、艦艇に装備しているこれらの機器を「装備機器」という。)。

そして、海上自衛隊は、装備機器を常に良好な状態に維持し、効果的に運用するために、乗員が艦艇においてこれらの動作の確認、故障の診断等を行えるよう、周波数計、レーダー試験器等の多数の計測器及び試験器(以下、これらを合わせて「計測器等」という。)を艦艇に搭載している。このため、計測器等については、常に所定の精度が確保されている必要がある。

(2)艦艇搭載の計測器等の校正検定の概要

艦艇搭載の計測器等の整備については、艦船造修整備規則(平成14年海上自衛隊達第54号)等(以下「整備規則」という。)に基づき、艦艇部隊及び地方総監部の所在地に設置されている造修補給所が実施することとなっており、海上自衛隊補給本部(以下「補給本部」という。)が艦艇部隊及び造修補給所に対して計測器等の整備に係る指導を行うこととなっている。

整備規則によれば、艦艇搭載の計測器等は、校正検定(注1)に合格し、かつ、定められた有効期間内にあることを確認したものでなければ装備機器の整備作業に使用してはならないとされ、計測器等の校正検定の有効期間は、ほとんどが1年とされている。そして、艦艇部隊は、校正検定の有効期間等を考慮して、搭載している計測器等に係る校正検定の年間計画表を毎年度作成し、これを造修補給所に提出して造修補給所に校正検定の実施の請求を行うこととされ、造修補給所はこれらに基づき校正検定を実施することとされている。

また、艦艇部隊及び造修補給所は、年間計画表に基づく校正検定が有効期間内に実施できないなどの不具合が生じた場合、補給本部に報告することとされている。そして、補給本部は、これに対する必要な処置を艦艇部隊及び造修補給所に指示することになっている。

そして、校正検定は、艦艇自体の定期検査(注2)、年次検査(注3)等の際に、計測器等を陸揚げして実施されている。

(注1)
校正検定  計測器等を基準となる器具と比較して、精度上の誤差を確かめ、必要に応じて調整した後、計測器等が精度要求条件に合致しているか否かを判定等すること
(注2)
定期検査  3年から5年に1回の間隔で行う艦艇の検査
(注3)
年次検査  定期検査を行う年度を除いて毎年度行う艦艇の検査

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

海上自衛隊においては、任務の遂行に資するために、装備機器の整備に必要な多数の計測器等を今後も継続的に艦艇に搭載して使用することが見込まれる。

そこで、本院は、合規性、有効性等の観点から、艦艇搭載の計測器等の校正検定が整備規則に定められた有効期間内に適切に実施されているかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、海上幕僚監部、補給本部及び5地方総監部(注4)において、平成26年3月31日現在で就役している護衛艦、潜水艦、掃海艦等の艦艇139隻のうち、就役後1年を経過している護衛艦45隻に搭載している有効期間が1年の計測器等計1,361台(物品管理簿価格計10億9828万余円)を対象として、計測器等の整備状況等を記録した来歴簿等により21年度から25年度までの校正検定の実施状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注4)
5地方総監部  横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大湊各地方総監部

(検査の結果)

検査したところ、いずれの護衛艦部隊においても、搭載している計測器等に係る校正検定の年間計画表が作成されていなかった。

そして、校正検定の実施状況についてみたところ、護衛艦44隻に搭載している計測器等計799台(物品管理簿価格計6億7559万余円)については、21年度から25年度までの5か年間において全く実施されていなかったり、不定期に実施されていてその間隔が2年以上となっていたりなどしていて、校正検定が整備規則に定められた有効期間内に適切に実施されていなかった。

上記の事態について事例を示すと次のとおりである。

<事例>

護衛艦Aは、37台の計測器等を搭載している。このうち、平成21年度から25年度までの5か年間に、計測器B等2台については、校正検定が全く実施されていなかった。また、試験器C等3台については21年度の定期検査時に、計測器Dについては25年度の年次検査時に校正検定が実施されたのみとなっており、計測器E等28台については21年度の定期検査時と25年度の年次検査時に実施されているなどしていて、いずれも2年以上の間隔を空けた不定期の実施となっていた。

また、いずれの護衛艦部隊及び造修補給所からも、校正検定の実施において有効期間内に実施できないなどの不具合が生じた場合の補給本部に対する報告は、行われていなかった。

このように、護衛艦搭載の計測器等の校正検定が整備規則に定められた有効期間内に適切に実施されていない事態は、計測器等の精度が確保されているか十分確認しないまま装備機器の動作の確認等が行われ、装備機器に影響が生ずるおそれがあることから適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。

  • ア 護衛艦部隊において、計測器等の校正検定を有効期間内に計画的に実施するとしている整備規則の趣旨についての理解が十分でなく、また、その遵守の重要性についての認識が欠けていたため、校正検定の年間計画表を作成しておらず、校正検定の対象とすべき計測器等を適切に選定していなかったこと
  • イ 造修補給所において、護衛艦部隊から年間計画表が提出されていないのに、護衛艦部隊からの請求のみに基づいて校正検定を実施していたこと
  • ウ 補給本部において、整備規則の趣旨及びその遵守の重要性について、護衛艦部隊及び造修補給所に対する指導が十分でなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、補給本部は、艦艇搭載の計測器等の校正検定が有効期間内に適切に実施されるよう、26年8月に艦艇部隊及び造修補給所に対して通知を発して、整備規則の趣旨を改めて明確にするとともに、次の事項について周知徹底する処置を講じた。

  • ア 校正検定の年間計画表について、26年度分を作成していない艦艇部隊は速やかにこれを作成して造修補給所に提出するとともに、以降も整備規則に基づき確実に年間計画表を作成して造修補給所に提出すること
  • イ 造修補給所は艦艇部隊から年間計画表の提出を受け、これにより校正検定を遺漏なく実施すること
  • ウ 年間計画表に基づく校正検定が有効期間内に実施できないなどの不具合が生じた場合には、艦艇部隊及び造修補給所は補給本部に報告すること