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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第2 総務省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(1) 地域活性化・経済危機対策臨時交付金が交付の対象とならない事業に交付されていたなどのもの[総務本省、2県] (3)-(5)


3件 不当と認める国庫補助金 93,470,668円

地域活性化・経済危機対策臨時交付金は、地域活性化・経済危機対策臨時交付金制度要綱(平成21年府地活第11号、総行政第185号等。以下「制度要綱」という。)等に基づき、地域活性化等の速やかかつ着実な実施を図ることを目的として、地球温暖化対策、少子高齢化社会への対応、安全・安心の実現、その他将来に向けた地域の実情に応じた地域活性化等に資する事業として経済危機対策等を行うために、地方公共団体が作成した地域活性化・経済危機対策実施計画(以下「実施計画」という。)に基づき実施する事業に要する費用のうち、地方公共団体が負担する経費に対して、国が交付するものである。

制度要綱によれば、同交付金の交付対象事業は、実施計画を作成する地方公共団体が地域活性化等に資する事業の実施に要する費用を負担する国庫補助事業又は地方単独事業とされていて、このうち国庫補助事業については、制度要綱の別表に定められた補助事業が交付対象となるものであり、当該補助事業に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に交付金を充当することができるとされている。

本院が19都府県及び301市区町村において会計実地検査を行ったところ、1県及び2市の3事業主体において、交付の対象とならない事業を交付対象事業に含めていたり、返還された交付金相当額が事業主体に滞留していたりしたため、交付金が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において本件交付金事業の適正な実施についての理解が十分でなかったこと、総務本省及び2県において本件交付金事業の審査及び事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。 これを事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 交付金事業者
(事業主体)
交付金事業 年度 交付対象事業費 左に対する交付金交付額 不当と認める交付対象事業費 不当と認める交付金相当額 摘要
千円 千円 千円 千円
(3) 総務本省 山口県 地域活性化・経済危機対策臨時交付金 21、22 8,192 8,192 8,192 8,192 補助の対象外

この交付金事業は、山口県が、新型インフルエンザ患者に対応する入院医療機関及び外来医療機関での院内感染防止対策を進めるために、医療機関等に対して診療環境の整備に係る経費を助成したものである。

そして、同県は、実績報告書等において、本件交付金の交付対象事業は地方単独事業であるとしていた。

しかし、本件交付金事業は、実際には地方単独事業ではなく、国庫補助事業として実施したものであり、当該国庫補助事業は、交付対象として制度要綱の別表に定められた補助事業ではなかった。

したがって、本件交付金事業は、交付金の交付対象とは認められず、これに係る交付金8,192,000円が不当と認められる。

(4) 山口県 宇部市 地域活性化・経済危機対策臨時交付金 21、22 37,919 37,878 15,789 15,749 補助の対象外

この交付金事業は、宇部市が、地震等による倒壊の危険性等を抑止するために、老朽化した高齢者福祉施設の解体撤去を行ったものである。

そして、同市は、実施計画に基づき同施設の解体撤去を37,919,150円で実施したとする実績報告書を山口県に提出して額の確定を受けていた。

しかし、実際には、同市は、高齢者福祉施設の解体撤去工事のほか、実施計画に含まれていない解体撤去後の敷地の整地工事を実施して、これに係る工事費を実績報告の額に含めていた。

したがって、整地工事は実施計画に基づき実施されたものではないことから、交付金の交付対象とは認められず、これに係る交付金相当額15,749,400円が不当と認められる。

(5) 愛媛県 松山市 地域活性化・経済危機対策臨時交付金 21 99,328 99,328 69,529 69,529 過大交付

この交付金事業は、松山市が、同市の条例に定める企業立地促進奨励金事業として、企業の立地促進を図るために、立地用資産を取得し事業所の操業を開始するなどした企業に対して奨励金の交付を行ったものである。

そして、同市は、生産設備を整備し、平成20年4月に同市内に工場の操業を開始した会社に対して、企業立地促進奨励金事業として21年度から23年度までの間に計239,304,000円の奨励金を交付し、このうち21年度の奨励金99,328,000円全額について交付金を充当していた。

しかし、上記の会社の工場の操業停止に伴い、同市は、交付した奨励金のうち167,512,000円について、26年6月に上記の会社から返還を受けており、返還された奨励金に係る交付金相当額が、同市に滞留していた。

したがって、企業立地促進奨励金事業に要した費用は、奨励金の総額239,304,000円から返還を受けた167,512,000円を差し引いた71,792,000円となり、これに係る交付金相当額は29,798,732円となることから、交付金交付額99,328,000円との差額69,529,268円が過大に交付されていて、不当と認められる。

(3)―(5)の計 145,439 145,398 93,511 93,470