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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 外務省|
  • 平成24年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

政府開発援助の実施について


(平成24年度決算検査報告2か所参照 1h24-0125  2h24-0707
(平成25年度決算検査報告2か所参照 1h25-0156  2h25-0841

1 本院が表示した意見

外務省及び独立行政法人国際協力機構(以下「機構」という。)は、国際社会の平和と発展に貢献することなどを目的として政府開発援助を実施している。しかし、無償資金協力において調達された機材等が使用されていなかったり、技術協力において設置された機材が自発的かつ継続的に維持管理されていなかったり、草の根・人間の安全保障無償資金協力(以下「草の根無償」という。)において調達された機材が全く使用されていなかったりなどしている事態が見受けられた。

したがって、無償資金協力については、外務省及び機構において、相手国等に対して、機材等の使用に関して事業効果の早期発現に向けた働きかけを行うとともに、機構において、今後、相手国の公的機関で導入実績のない機材を調達する場合は、当該機材が適切に活用されるよう相手国等に対して機材設置後から適切な働きかけを行ったり、他の設備と接続して使用することにより効果を発現する機材の調達において、接続する設備の更新の必要性についても相手国等と十分に検討を行い、相手国等の実施する事業の内容等に変更の必要が生ずる場合は、相手国等と変更内容を十分確認した上でその内容の明確化を図ったりする要がある。また、技術協力については、機構において、今後、自立型の料金徴収システムを確立し、住民自らが機材を維持管理することを含む技術協力を実施する場合は、事業の効果が持続的に発現しているかを十分に把握するとともに、問題が発生している場合は相手国等への働きかけを適切に行う要がある。さらに、草の根無償については、外務省において、事業実施機関の対応等を注視しながら引き続き現地政府等に働きかけるなどして、贈与資金で調達された医療機材の状況や贈与資金の使用状況について把握して、その結果に応じて必要な措置を講じたり、今後、事業実施機関が不誠実な対応を執っていることなどにより事業の進捗に問題が生じている場合は、早期に現地調査を実施するなどするとともに、問題が解決し事後の検証を行うまでの期間は関係書類を保存するなどして事態の改善に十分に活用したりする要がある。ついては、援助の効果が十分に発現するよう、外務大臣及び独立行政法人国際協力機構理事長に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、外務本省及び機構本部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
 検査の結果、外務省及び機構は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 無償資金協力について、外務省及び機構が機材等の使用に関して事業効果の早期発現に向けた働きかけを行った結果、相手国等は機材等を稼働させるなどしていた。また、機構は、25年12月に通知を発して、相手国等において導入実績のない機材が適切に活用されるよう、据付けや初期操作指導等の実施状況及び機材設置後の活用状況を把握することや、問題が確認された場合は相手国に申入れを行うことなどについて機構内部に周知した。さらに、機構は、26年1月に「無償資金協力に係る報告書等作成のためのガイドライン」を改訂して、他の設備と接続して使用することにより効果を発現する機材を調達する場合は、その接続する設備の更新の必要性等について相手国等と十分検討を行うことを徹底するとともに、同年2月に通知を発して、事前に合意した相手国等の実施する事業の内容等に変更の必要が生ずる場合は、改めて相手国等と変更内容について十分確認し書面等で明確化を図るよう機構内部に周知した。

イ 技術協力について、機構は、25年11月に通知を発して、事業終了後においても自立型の料金徴収システムや住民による維持管理体制が継続されているかなどの状況について把握することや、問題が発生している場合は相手国に対して対策を講ずるよう適時申入れなどを行うことについて機構内部に周知した。

ウ 草の根無償について、外務省は、現地政府等に働きかけるなどして、贈与資金で調達された医療機材の状況を把握して、26年12月に、低所得者層の住民に対して安価な医療サービスを提供するために、事業実施機関等と協議を行い一時的に保管していた当該医療機材を現地政府に引き渡すとともに、贈与資金の使用状況について把握して、27年6月に、その残金について事業実施機関の清算の処理が開始され次第返還を求める旨、現地政府に対して書簡を発した。また、外務省は、26年6月に通知を発して、事業実施機関が不誠実な対応を執っていることなどにより事業の進捗に問題が生じている場合は、早期に現地調査を実施するなどの対応を執るとともに問題が解決し事後の検証を行うまでの期間は関係書類を保存して事態の改善に十分活用するよう在外公館に周知した。