ページトップ
  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(6)子育て支援対策臨時特例交付金により造成した基金を活用して実施した事業(保育士等処遇改善臨時特例事業に係る分)において基金が過大に使用されていたもの[厚生労働本省](182)


1件 不当と認める国庫補助金 1,768,998円

子育て支援対策臨時特例交付金により都道府県に造成された基金(以下「安心こども基金」という。)(「子育て支援対策臨時特例交付金により造成した基金を活用して実施した事業(賃貸物件による保育所整備事業に係る分)において基金が過大に使用されていたもの」参照)を活用して行われる特別対策事業のうちの保育士等処遇改善臨時特例事業(以下「処遇改善事業」という。)は、「平成20年度子育て支援対策臨時特例交付金(安心こども基金)の運営について」(平成21年雇児発第0305005号。以下「管理運営要領」という。)等により、保育士の確保を推進するために、保育士の処遇の改善に取り組む民間保育所へ資金の交付を行う市町村に対して助成金を交付するなどするものである。

そして、管理運営要領等によれば、助成の対象となるのは、民間保育所に勤務する職員(非常勤職員を含む。)の賃金の改善(前年度の賃金に対する改善をいう。以下同じ。)に充てられた経費であり、経営に携わる法人の役員である職員(以下「法人役員」という。)は含まれないこととされている。また、資金の交付を受けた民間保育所において、実際に職員の賃金の改善に充てられた経費の額(以下「賃金改善額」という。)が交付された資金の額を下回る場合には、市町村が民間保育所に対してその差額の返還を命ずることとされている。

処遇改善事業に係る助成金の交付額は、管理運営要領等に基づき、対象経費の実支出額と、総事業費から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定し、選定された額と基準額とを比較していずれか少ない方の額に補助率(10分の10)を乗じて得た額の範囲内の額とすることとなっている。

本院が、24都道府県の183市区町において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者 間接補助事業者等 補助事業等 年度 基金使用額 左に対する交付金相当額 不当と認める基金使用額 不当と認める交付金相当額
            千円 千円 千円 千円
(182) 厚生労働本省 北海道 深川市
(事業主体)
安心こども基金 25 7,638 7,638 1,768 1,768

深川市は、同市が処遇改善事業を実施した6民間保育所から報告された事業実績等を基にするなどして、計7,638,000円を処遇改善事業に係る助成金の交付額とする実績報告書を北海道に提出していた。

しかし、同市は、処遇改善事業を実施した民間保育所における賃金改善額等を確認しておらず、実際の賃金改善額が報告された賃金改善額を下回っていたり、また、実際の賃金改善額を確認したところ、処遇改善事業の対象とはならない法人役員に対して支給した一時金の額を賃金改善額に含めていたり、一時金により賃金の改善を行ったとしていたが前年度に支給された一時金の水準を下回っていて賃金の改善とはなっていなかったりしていて、職員の賃金改善額が交付された資金の額を下回っていたにもかかわらず、管理運営要領等に規定された差額の返還を命じていなかった。

したがって、返還すべき金額を算定すると1,768,998円となることから、適正な資金の額は5,604,002円となり、助成金交付額7,638,000円(交付金相当額同額)との差額1,768,998円(交付金相当額同額)が過大に使用されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において管理運営要領等の理解が十分でなかったこと、処遇改善事業に係る補助対象経費の計上の際の調査及び確認が十分でなかったこと、北海道において同市から提出された実績報告書等の審査及び確認並びに同市に対する指導が十分でなかったこと、厚生労働省において北海道に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。