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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1)労働保険の未手続事業に係る認定決定及び保険料の徴収について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省は、労働者災害補償保険及び雇用保険(以下、両保険を総称して「労働保険」という。)を管掌しており、業務若しくは通勤による労働者の負傷等又は労働者の失業(以下、これらを合わせて「保険事故」という。)が発生した場合に、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)及び雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づき、療養補償給付、失業等給付等を行っている。そして、都道府県労働局(以下「労働局」という。)は、労働保険の適用対象となる事業であるにもかかわらず、事業主が保険関係成立届を提出しない事業(以下「未手続事業」という。)において保険事故が発生した場合等には、職権により保険関係成立届を作成し、時効にかからない保険年度の保険料を対象に職権により保険料の額を決定して(以下、この決定をすることを「認定決定」という。)、保険料を徴収することになっている。しかし、認定決定すべき保険年度の保険料について認定決定を行っていなかったり、労働者災害補償保険分又は雇用保険分の一方について保険料を算定することなく認定決定を行っていたりしていて、保険料の徴収額が不足している事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、徴収額が不足している保険料について、既に消滅時効が成立しているものなどを除き速やかに徴収するように認定決定を行うとともに、未手続事業において保険事故が発生した場合等における認定決定及び保険料の徴収について、既に労働局に対して発出した認定決定等に係る通知の内容に、認定決定に際して保険料を徴収する権利が時効により消滅することのないよう適時適切に時効の中断措置を執ることを盛り込んだ内部規程を整備するなどして労働局に対して統一的な取扱いを周知し、その徹底を図ることにより、法令等に基づき適正に認定決定を行い、これに基づいて保険料の徴収が行われるよう、厚生労働大臣に対して平成26年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、徴収額が不足している保険料について、既に消滅時効が成立しているものなどを除き27年3月までに認定決定を行うとともに、労働局に対して統一的な取扱いを周知し、その徹底を図るために、同年1月に通達及び事務連絡を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 未手続事業において保険事故が発生した場合等における認定決定及び保険料の徴収について、既に労働局に対して発出した認定決定等に係る通知の周知徹底を図ること、認定決定に際して保険料を徴収する権利が時効により消滅することのないよう事業主から債務承認書を徴するなどして適時適切に時効の中断措置を執ることなどを指示した。

イ アの指示の内容を盛り込んだチェックリストを整備したり、上記の通達及び事務連絡の内容について労働局の担当職員を参加させた会議において説明したりするなどした。