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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (5)補助事業により取得した財産を無断で処分していたもの

補助事業により整備した施設等を無断で譲渡したり、貸し付けたりしていたもの[関東農政局](330)(331)


(2件 不当と認める国庫補助金 20,048,719円)

補助事業者等は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第22条の規定等に基づき、処分制限期間内に補助事業等により取得した財産を補助金等の交付の目的に反して譲渡したり、貸し付けたりなどするときは、当該補助事業等を所掌する各省各庁の長の承認を受けなければならないことなどとなっている。そして、「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(平成20年20経第385号農林水産省大臣官房経理課長通知)に基づき、農林水産大臣は、補助事業等により取得した財産を、処分制限期間内に、有償で譲渡する場合においては、残存簿価等に国庫補助率を乗じた金額を、また、有償により遊休期間内の一時貸付けを行う場合においては、貸付けにより生ずる収益に国庫補助率を乗じた金額(以下「貸付料に係る交付金相当額」という。)を国庫に納付することなどを条件として付した上で承認を行うこととなっている。

しかし、農業・食品産業強化対策整備交付金事業の2事業主体は、処分制限期間内であるにもかかわらず、上記の承認を受けずに無断で当該事業により取得した財産を譲渡したり、貸し付けたりしていた。

このような事態が生じていたのは、2事業主体において補助事業により取得した財産の適正な処分についての理解が十分でなかったこと、2県において、2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

これを事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
          有償貸付けした年度 有償貸付けにより収納した貸付料 左のうち国庫補助金等交付相当額 不当と認める貸付料 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(330) 関東農政局 栃木県 上都賀農業協同組合
(事業主体)
農業・食品産業強化対策整備交付金 20 21,367 10,175 2,384 1,135

上都賀農業協同組合(栃木県鹿沼市所在)は、平成20年度に、同組合以外の者に貸し付けることを目的として、トマトの園芸用ハウス内の保温性を高める外張りの多重化のための被覆材(以下「外張設備」という。)の設置を事業費21,367,500円で実施したとして、交付金10,175,000円の交付を受けていた。

そして、同組合は、外張設備について、21年3月に、上都賀トマト省エネルギー設備第2利用組合(以下「利用団体」という。)が所有する園芸用ハウス5棟(面積8,106㎡)に設置した上で、利用団体とリース契約を締結していた。

しかし、同組合は、外張設備について、28年3月までが処分制限期間(耐用年数7年に相当する期間)内であるにもかかわらず、前記の承認を受けずに無断で、リース契約期間が満了となった26年2月に利用団体に1,508,409円で譲渡していた。

したがって、外張設備の譲渡時点における残存簿価2,384,159円に係る交付金相当額1,135,312円が不当と認められる。

(331) 関東農政局 山梨県 北杜市 農業・食品産業強化対策整備交付金 18 551,472 262,606 37,138 17,684
      梨北農業協同組合
(事業主体)
  22~26 2,580 1,228 2,580 1,228
        小計         18,913

梨北農業協同組合(山梨県北杜市所在)は、平成18年度に、地域における将来の担い手を育成して確保することなどを目的として、水稲の育苗センター1棟、育苗ハウス22棟(以下、これらを合わせて「育苗施設」という。)の整備を事業費551,472,600円で実施したとして、交付金262,606,000円の交付を受けていた。

同組合は、育苗施設を整備した後の19年度から21年度までの間、本件交付金事業の事業実施計画に沿って施設を利用していた。そして、22年度以降は、育苗施設の遊休期間(毎年度、7月から翌年3月までの間)に、育苗ハウスを野菜等の生産農家に有償(1棟当たり3万円、22年度から26年度までにおける貸付料計2,580,000円)で貸し付けていた。

しかし、同組合は、育苗ハウスについて、34年4月までが処分制限期間(耐用年数15年に相当する期間)内であるにもかかわらず、前記の承認を受けずに無断で貸し付けており、また、貸付料に係る交付金相当額を国庫に納付していなかった。

したがって、育苗ハウスの貸付時点における残存簿価37,138,220円に係る交付金相当額17,684,837円及び22年度から26年度までにおける貸付料に係る交付金相当額1,228,570円が不当と認められる。

(330)(331)の計           572,840 272,781 39,522 18,820
            2,580 1,228 2,580 1,228
                20,048