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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第11 環境省|
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  • 補助金
  • (2)補助金により造成した基金の使用が適切でなかったもの

再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金により実施した事業において、事業の対象とならないなどのもの[環境本省](385)


(1件 不当と認める国庫補助金 49,067,950円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 実施年度 基金使用
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認
める基金
使用額
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(385) 環境本省 山形県 再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金 25、26 49,067 49,067 49,067 49,067

この補助事業は、平成23年度に、環境省が東日本大震災による被災地域の復旧・復興や、原子力発電施設の事故を契機とした電力需給のひっ迫への対応の必要性に鑑み、再生可能エネルギー等を活用したエネルギーシステムを導入することなどを目的として、東北を中心とした被災地等の地方公共団体に対して、再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金(以下「基金」という。)を造成させるために地域環境保全対策費補助金を交付するものである。

山形県は、「平成23年度地域環境保全対策費補助金(再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金)及び災害廃棄物処理促進費補助金(災害等廃棄物処理基金)交付要綱」(平成23年11月環境事務次官通知)、「再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業及び災害等廃棄物処理基金事業実施要領」(平成23年11月環境省総合環境政策局長及び大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知)及び「再生可能エネルギー等導入地方公共団体支援基金事業の取扱いについて」(平成23年12月環境省総合環境政策局環境計画課通知)(以下、これらを合わせて「要綱等」という。)に基づき、基金を財源として、災害時の避難所、災害対策本部等の防災拠点となる施設等(以下「防災拠点施設」という。)において、太陽光発電設備、蓄電池設備等を設置する工事等を自ら実施するほか、管内の市町村等が実施する上記の工事等に対して、基金を取り崩して同県からの補助金(以下「県補助金」という。)として交付している。

要綱等によれば、設置される太陽光発電設備等は、地震等の災害が発生し、電力会社からの電力供給が遮断された際に、防災拠点施設において必要な機能を確保するためのものとされている。このことから、太陽光発電設備等を設置する施設については、防災拠点施設として位置付けることなどとされており、また、防災拠点施設として所要の耐震性が確保されている必要があるとされている。

そして、山形県は、25年度に、美術作品の展示室等から構成される県立施設(以下「展示施設」という。)に、太陽光発電設備等を設置する工事等を自ら工事費等計29,230,950円(国庫補助金相当額同額)で、また、最上郡戸沢村は、県補助金の交付を受けて、25、26両年度に、同村の公民館(以下「公民館」という。)に太陽光発電設備等を設置する工事等を工事費等計21,655,500円(県補助金19,837,000円、国庫補助金相当額同額)でそれぞれ実施していた。

しかし、展示施設は同県の地域防災計画等において防災拠点施設として位置付けられていないなど、要綱等に定める防災拠点施設には該当しないものとなっていたり、同村が策定した太陽光発電設備等の整備計画が適切ではなく、所要の耐震性が確保されていない公民館に太陽光発電設備等が設置されていたりしていた。

したがって、山形県及び戸沢村が設置した太陽光発電設備等(工事費等計50,886,450円)は、事業の対象とならないものとなっていたり、災害時にその機能を発揮できないおそれがあり事業の目的を達していなかったりしていたため、取り崩された基金計49,067,950円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、山形県において要綱等における基金による事業の対象についての理解が十分でなかったり、戸沢村において太陽光発電設備等を設置する施設の耐震性等に係る確認等を適切に行っていなかったりしていたことなどによると認められる。