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  • 平成26年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第3 日本私立学校振興・共済事業団|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

日本私立学校振興・共済事業団の宿泊施設の運営について


平成25年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)は、福祉事業の一環として、私立学校教職員共済制度の加入者の保養若しくは宿泊又は教養のための施設(以下「宿泊施設」という。)の運営管理を行っている(以下、この事業を「宿泊事業」という。)。宿泊事業に係る経理である宿泊経理の状況をみると、平成24年度は利益を計上しているが、24年度末における繰越欠損金は121億5722万余円と多額に上っており、加入者等の利用の向上を図るとともに、一般利用者の利用を向上させて収益を得ることで宿泊事業の採算性を確保することが重要である。しかし、事業団において、宿泊施設の利用の向上を図るに当たって事業の有効性を評価するための重要な指標である加入者等の利用に係る目標が定められていなかったり、宿泊施設のうち複数の営業部門を有する「会館」における営業部門別の収支状況が管理されていなかったり、経営分析の結果の活用が十分なものとなっていなかったり、運営の改善に向けた取組が十分なものとなっていなかったり、事業の意義が低下し又は著しい不採算に陥っている施設は整理するとした「特殊法人等整理合理化計画」(以下「整理合理化計画」という。)の趣旨を踏まえた宿泊施設の統廃合に係る検討が継続的に行われていなかったりしている事態が見受けられた。

したがって、事業団において、全利用数に係る目標だけでなく宿泊施設の設置目的を踏まえて加入者等の利用に係る目標も設定した上で、それらの目標の達成に向けた取組を行ったり、各営業部門の共通経費等に係る配賦基準を設定するなどの営業部門別の収支状況の管理方法及び当該収支状況に関する情報の活用方法について検討したり、経営分析の結果のより有効な活用方法について検討したり、各宿泊施設の附帯設備の活用を図るなどして運営の改善に向けた取組を更に推進したり、整理合理化計画の趣旨を踏まえて宿泊事業の見直しについて継続的に検討したりするよう、日本私立学校振興・共済事業団理事長に対して26年7月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、事業団において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、事業団は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 27年2月に各宿泊施設に対して通知を発して、各宿泊施設は、同年3月に加入者等の利用に係る目標を設定し、当該目標の達成に向けて、同年4月の宿泊利用料金の改定に際して、加入者等の料金について優遇措置を実施するなどして目標の達成に向けた取組を行った。

イ 26年7月に各営業部門の共通経費等に係る配賦基準を設定して、各会館において当該配賦基準により営業部門別の収支状況を管理することとした。そして、各会館は、配賦基準に基づいて作成した営業部門別の収支状況に関する情報を活用して、現状の分析及び課題等の抽出を行うとともに、課題等の改善に向けた取組を行った。

ウ 近隣の同格ホテルのRev PAR(1日1室当たりの客室売上高)との比較による経営分析の結果を27年4月の宿泊利用料金改定の際の判断材料とするなどして、経営分析の結果のより有効な活用を図った。

エ 27年3月に各宿泊施設に対して通知を発して、附帯設備の利用状況調査の結果に基づいて附帯設備の転用等による活用を図ることとするなどして、運営の改善に向けた取組の更なる推進を図った。

オ 整理合理化計画の趣旨等を踏まえて、27年6月に宿泊施設の経営改善等に係る新たな検討基準を策定して、当該検討基準に従って宿泊事業の見直しを継続的に検討していくこととした。