ページトップ
  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書
  • 平成27年3月

東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況に関する会計検査の結果について

第2 検査の結果

3 東京電力による原子力損害の賠償その他の特別事業計画の履行状況等

(1) 原子力損害の賠償の状況

ア 損害項目及び賠償基準

東京電力は、23年8月30日に、同月5日に公表された中間指針で示された損害項目の一部について賠償基準を定めて、同年10月に、当該基準に基づく賠償金の支払を開始した。賠償基準には、損害項目ごとに賠償対象者、賠償金額及びその内容、賠償を受けるために必要な書類の例等が示されている。東京電力は、その後も、中間指針等や、原子力災害対策本部が同年12月26日に公表した国の避難指示区域等の見直しの方針を受けて24年7月20日に経済産業省が公表した「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」等の内容や趣旨を踏まえて、新たな賠償基準の策定や既存の賠償基準の見直しを行うなどして、順次、賠償金の支払を進めている。

そして、前記のとおり、25年12月26日に中間指針第四次追補が策定され、固定資産税評価額を基にするなどして算定した従前の財物賠償の考え方では対応できない「新たな住居の確保のために要する費用」等に係る賠償の考え方が示されたことから、これに係る賠償基準の見直しを行うなどして、賠償金の支払を進めている。

東京電力が賠償基準において設定している主な損害項目は、図表3-1のとおり、「個人」の区分では「検査費用等」、「精神的損害」、「自主的避難」及び「就労不能損害」、「法人等」の区分では「営業損害、出荷制限等」及び「風評被害」、「共通・その他」の区分では「財物価値の喪失又は減少等」、「住居確保損害」となっている。

図表3-1 主な損害項目の概要

主な損害項目 主な賠償対象者 主な基準の概要
(賠償金額、賠償の内容等)

検査費用等
  • 避難等対象者のうち、 23年原発事故が生じたことにより、健康診断費用、放射線検査費用等を負担した者
  • 交通費:個別、定額(1回当たり1人5,000円を基本とする。)等
  • 宿泊費:実費(8,000円を基本とする。)
  • 健康診断費用:定額(1回当たり8,000円を基本とする。)
  • 放射線検査費用:定額(1回限り15,000円(人)、17,000円(物)を基本とする。)
  • 早期帰還賠償:定額(事故後4年以内に避難指示が解除された区域の住民 1人当たり 90万円)
精神的損害
  • 避難等対象者
  • 定額(1月当たり1人100,000円を基本とし、要介護者等は介護の状況に応じて増額する。支払の対象期間は地域等により異なる。)
  • 一定期間分の一括払も可能(対象期間:平成24年6月1日から)
  • 移住を余儀なくされた帰還困難区域に係る住民1人当たり1000万円(既に受けた一括払の将来分相当を控除するため、避難区域の見直しが24年6月である地区の住民は、追加支給額が700万円)
自主的避難
  • 23年原発事故発生時に所定の区域内に生活の本拠としての住居があった者
  • 定額(対象地域、対象者の性別や年齢等により異なる。)
就労不能損害
  • 所定の区域に居住していたり勤務していたりした者のうち、避難等により就労が困難となり減収等を生じた者及び 23年3月11日時点で就職・復職を予定していたが避難等により就労困難となり減収等を生じた者
  • 従前の平均収入から現在の実収入を差し引いた額に、通勤交通費の増加分等を加算
  • 一定期間分の一括払も可能(対象期間:24年6月1日から)


営業損害、出荷制限等
  •  23年3月11日現在、事業を営んでいて、政府の避難指示等により損害を受けた法人等
  •  23年3月11日現在、事業を営んでいて、政府の出荷制限指示等により損害を受けた法人等
  • 避難指示等又は出荷制限指示等に伴う減収分に追加的費用を加算
  • 一定期間ごとの実損害額
  • 一定期間分の一括払も可能(対象期間:24年7月1日から)
風評被害
  • 所定の区域に所在するなどし、 23年原発事故に伴う買控え、取引の停止、解約等により損害を受けた下記の業を営む者
    *農林漁業
    *農林水産物の加工業、食品製造業及び流通業
    *観光業
    *製造業、サービス業等
    *輸出業
  • 買控え、解約等に伴う減収分に追加的費用を加算
  • 輸出先国の要求等による検査費用に追加的費用を加算





財物価値の喪失又は減少等
  • 所定の区域にあり、かつ、23年原発事故に関して価値が喪失又は減少した財物の所有者
  • 宅地:固定資産税評価額を基にした事故前の時価相当額
  • 建物:①固定資産税評価額又は②建築着工統計による平均新築単価のいずれかを基にした事故前の時価相当額、(①、②が適用不可の場合)③個別評価
  • 家財:定額 (家族構成に応じて算定)
  • 車両:第三者機関による算定額に取得に係る登録費用相当額を加算
  • 田畑:不動産鑑定による単価を用いて算定した市場価値の避難指示期間中における減少分
住居確保損害
  • 所定の区域内にある持家に居住していた者のうち、帰還に当たり管理不能に起因する建て替え・修繕が必要である者
  • 所定の区域内にある持家に居住していた者のうち、移住する者
  • 帰還時の建て替え・修繕や移住時の購入に要した実費が「財物価値の喪失又は減少等」に係る賠償金額を超える場合の超過分で、下記の範囲内の額
    宅地:従前の宅地面積×38,000円/m2

- 従前の宅地価格

建物:(従前の建物の新築時点の価格

- 従前の建物の時価相当額)×0.75

  • 所定の区域内にある借家に居住していた者のうち、帰還又は移住する者
  • 新たな借家と従前の借家との家賃差額相当額の8年分及び新たな借家に係る礼金等
(注)
下線を付した項目は、中間指針第四次追補に伴う賠償基準の見直し等により、25年報告以降新たに追加されたものである。
イ 東京電力による賠償金の支払状況等
(ア) 賠償金の支払に係る体制の状況

東京電力は、現在、福島復興本社に設置された福島原子力補償相談室が中心となって、被害者に対する賠償対応業務を実施している。

東京電力が公表している資料によれば、福島原子力補償相談室の体制は、図表3-2のとおりであり、約1万人の体制(うち福島県内は1,500人)で賠償対応業務を実施しているとされている。

図表3-2 福島原子力補償相談室の体制(平成26年7月1日現在)

図表3-2 福島原子力補償相談室の体制(平成26年7月1日現在) 画像

ただし、「約1万人」としている体制には、東京電力が契約している委託先の職員や派遣職員等が含まれており、東京電力の社員のみの体制は、26年9月末現在で約2,660人(うち福島県内で業務に従事している者約1,100人)となっている。

また、新・総特で掲げられた「震災時に50歳以上であったベテラン管理職(500人規模)を対象とする役職定年の実施と福島専任化」については、東京電力において、避難指示解除の動きなどを見据え、帰還の加速に直結する賠償及び除染の分野を中心に計217人(26年7月1日現在)が配置され、賠償請求に係る相談業務等の対応に当たっている。

そして、東京電力は、賠償対応業務を図表3-3のような流れで実施しており、賠償を迅速かつ適切に進めるために、賠償対応に関する専門的な知識を必要とする業務や一定期間に大量一括処理を必要とする業務について、外部に委託している。

図表3-3 賠償対応業務の流れ(概念図)

図表3-3 賠償対応業務の流れ(概念図) 画像

東京電力が24年5月29日に公表した「賠償対応費用について」をみると、賠償対応業務に係る費用の24年度から26年度までの3か年の見通しが示されており、その額は図表3-4のとおり、24年度は計439億円、25年度は計254億円、26年度は計143億円となっている。

図表3-4 賠償対応業務に係る費用の見通し

(単位:億円)

費用 平成
24年度
25年度 26年度 24年度~
26年度
平均
業務概要
委託費 372 206 108 229
  請求書の受付・審査 182 81 41 101 請求書の受取・仕分、請求内容のシステム登録、請求書の電子画像化等
コンサルティング業務 131 87 44 87 賠償対応に係る全体計画修正、進捗・課題管理、システム導入支援等
電話受付 20 14 7 14 請求書送付の申込受付、電話での説明対応等
請求書確認 9 6 3 6 請求書記載内容の不備項目の電話確認等
その他 30 18 13 21 事務所共益費等
賃借料 22 15 14 17
通信運搬費 16 11 5 11
その他(旅費、消耗品、雑費等) 29 22 15 22
439 254 143 278
注(1)
賠償対応業務に係る東京電力社員の人件費を除く。
注(2)
金額は、消費税及び地方消費税抜きの額である。

これらの費用について、東京電力は、電気料金の原価に算入する営業費用として整理しており、24年の電気料金値上げの申請に係る国の認可において、例えば25年度分については254億円と申請し、審査、査定等の結果、236億円を電気料金の原価に算入することが認められている。

一方、これらの費用の決算額は、24年度計617億円(消費税及び地方消費税抜き)、25年度計593億円(同)となっており、前記の見通し額24年度計439億円、25年度計254億円に対してそれぞれ40%増、133%増の規模となっている(図表3-525年報告リンク先図表3-8参照)。

図表3-5 賠償対応業務に係る費用の見通し額と決算額との比較

(単位:億円)

費用 平成24年度 25年度
見通し額
(a)
決算額
(b)
(%)
(b/a)
見通し額
(c)
決算額
(d)
(%)
(d/c)
委託費 372 555 149 206 542 263
  請求書の受付・審査 182 305 167 81 307 379
コンサルティング業務 131 128 97 87 148 170
電話受付 20 61 305 14 31 221
請求書確認 9 17 188 6 13 216
その他 30 43 143 18 41 227
賃借料 22 23 104 15 21 140
通信運搬費 16 13 81 11 6 54
その他(旅費、消耗品、雑費等) 29 25 86 22 22 100
439 617 140 254 593 233
(注)
金額は、消費税及び地方消費税抜きの額である。

このような状況となっているのは、24年5月に示した見通しにおいては、一定の初期費用を要するものについては順次費用が低減していくこと、請求書の受付についても徐々に収束していくことなどを見込んでいたものの、中間指針やその追補等を受けての新たな賠償項目に係る請求書の配布、受付や審査体制を維持するための費用が継続して発生していることのほか、これらを受けてのコンサルティング費用等が発生していることによると考えられる。

これらの賠償対応業務に係る費用の見通しに対する決算額の増大は、実際の賠償対応業務の作業量等の増加に起因するものであるが、実際に要した25年度の費用は前記のとおり593億円であったことから、前記の認可された額との差額357億円が同年度の利益を圧縮する結果となっている。

そして、26年度の賠償対応業務に係る費用の見通しは、前記のとおり、計143億円となっているが、賠償対応業務に係る同年度の第2四半期の決算額(26年4月1日から9月30日までのもの)は約312億円とその約2.1倍の規模となっており、引き続き、見通し額と決算額とのかい離及びこれに伴う利益の圧縮が生ずると見込まれる。

なお、東京電力は、例えば25年度の「電話受付」について、体制の見直しなどにより、前年度と比べて約50%減の31億円まで費用を低減させるなどして、賠償対応業務に要する費用の低減を図っている。

(イ) 仮払補償金の精算等の状況

東京電力は、23年原発事故発生後に避難のための立ち退き、屋内への退避等の指示の対象となった3市7町3村の約16万人に対して、個人向けの仮払補償金として、初回受付分(23年4月受付開始)は1世帯当たり100万円(単身世帯の場合75万円)を、追加受付分(同年7月受付開始)は1人ごとに各人の避難等の期間と状況に応じて10万円、20万円又は30万円を支払った。このうち、本賠償金が未請求となっている者の状況についてみると、図表3-6のとおり、25年報告で取りまとめた25年5月末の11,214人からは減少したものの、26年12月末現在で3,501人がその後の本賠償金の支払請求を行うまでに至っていない状況であり、これらの者に対する仮払補償金の支払額は計20億余円となっている。

東京電力は、これらの本賠償未請求者に対して、仮払補償金の精算を行うべくダイレクトメールの送付等により賠償請求を働きかけているが、賠償未請求者の割合は引き続き一定規模で推移しており、未精算状態の早期の解消が望まれる。

図表3-6 仮払補償金の支払を受けた者(個人)の状況(平成26年12月末現在)

(単位:人)

市町村名 仮払補償金の支払を受けた者の数 本賠償金の支払請求者数 仮払補償金の支払
を受けた者のうち
本賠償金の未請求
者数
 
(a) (b) (b/a)
(%)
南相馬市 71,221 69,412 1,809 2.5
浪江町 21,802 21,389 413 1.8
富岡町 16,378 16,135 243 1.4
大熊町 11,949 11,739 210 1.7
楢葉町 8,084 7,917 167 2.0
双葉町 7,180 7,031 149 2.0
飯舘村 6,498 6,450 48 0.7
いわき市 6,198 5,935 263 4.2
広野町 5,483 5,360 123 2.2
田村市 4,512 4,486 26 0.5
川内村 2,914 2,870 44 1.5
葛尾村 1,568 1,566 2 0.1
川俣町 1,254 1,250 4 0.3
165,041 161,540 3,501 2.1
(注)
(a)欄は、東京電力において未請求者の母数から新生児等の本賠償を請求する意向の有無を確認できない未請求者を除外したことなどにより、25年報告の図表3-10とは異なる数になっている。
(ウ) 賠償金の支払等の状況

東京電力は、機構からの交付金等の入金や賠償金等の出金を管理するための専用の銀行口座(以下「賠償口座」という。)を開設し、23年11月15日から利用している。賠償口座には、同日に機構から1回目の入金(5587億円)があり、26年12月31日までの入金額の累計は4兆5337億円となっている。一方、賠償口座からは、23年11月16日から、土曜日、日曜日及び祝日(振替休日を含む。)を除きほぼ毎日、支払対象者の口座へ賠償金(仮払補償金を含む。)の出金(振込み)があり、26年12月31日までの振込額は計4兆4088億余円となっている。また、機構から1回目の入金があった23年11月15日までに支払われていた仮払補償金及び本賠償金の総額は1567億余円であり、東京電力は賠償口座ではない既存の口座から手元資金により支払を行っていた。これらの合計額の4兆5656億余円が、23年4月から26年12月までの東京電力の賠償金の支払額である。

a 賠償口座の残高の状況

東京電力は原子力損害の賠償に充てるための資金として、機構に資金交付の要望を行っており、機構は、前記のとおり、その都度、国に対して交付国債の償還請求を行い、償還された資金を東京電力に交付している。

東京電力が資金交付を要望する額については、翌月の賠償金の支払見込額を基に、機構と協議を行い決定することになっている。そして、26年12月末までに東京電力に資金交付された額の各資金交付日前日の賠償口座の残高は図表3-7のとおりとなっており、各資金交付日前日の残高の平均は、25年において1796億余円であったが、支払見込額を算定する精度を向上させることに努めたこともあり、26年において1277億余円に減少している。しかし、国が機構に交付国債の償還を行うに当たっては、前記のとおり借入金の借入れにより資金を調達しており、かつ、当該借入金に係る支払利息は一般会計から原賠勘定に繰り入れて造成した原賠資金により賄われていることから、東京電力においては、国の財政負担を軽減するためにも、更にその精度を向上させて賠償口座の残高を抑える取組を継続することが望まれる。

図表3-7 資金交付日前日における東京電力の賠償口座の残高の推移

図表3-7  資金交付日前日における東京電力の賠償口座の残高の推移 画像

b 支払相手方別の状況

東京電力は、賠償金の支払について、支払の相手方別に「個人」、「個人(自主的避難)」、「法人等」及び「団体」の4区分で管理している。その状況をみると、図表3-8のとおり、26年12月末までの本賠償金及び仮払補償金の支払額の合計は、前記の4兆5656億余円となっている。

25年度以降の本賠償金に占める割合を支払件数についてみると、23、24両年度とも最多であった「個人(自主的避難)」が大きく減少する一方、「個人」の割合が全体の7割程度まで増加している。支払額についても「個人」が最大となり、23、24両年度とも最大であった「法人等」を大きく超えて全体の6割程度まで増加している。これは、個人の家財、宅地、建築物等を対象とした「財物価値の喪失又は減少等」に係る損害の請求受付が25年3月から開始され、また、同年12月に示された中間指針第四次追補を受けて、26年1月以降、避難指示の長期化に伴う「精神的損害」や「就労不能損害」の取扱いが見直されたことなどが影響していると考えられる。

4か年度を通じた本賠償金の1件当たりの平均支払額は「個人」325万余円、「個人(自主的避難)」27万余円、「法人等」562万余円、「団体」1億9441万余円となっている。年度ごとの推移をみると、「団体」については減少しているが、この要因としては、農林漁業者等の風評被害に係る賠償の支払請求について、品目や産地を類型化して東京電力が請求書を直接受け付ける取扱いを25年3月から開始したことにより、組合等の団体を通じた請求が減少する傾向になったことが考えられる。

図表3-8 賠償金の支払の状況

支払件数

(単位:件)

年度 区分
個人 個人(自主的避難) 法人等 団体 本賠償金計 仮払補償金
平成 45,358 144,052 29,137 180 218,727 154,434
23年度 (20.7) (65.8) (13.3) (0.0) (100)
24年度 254,942 1,095,627 105,324 849 1,456,742 161
(17.5) (75.2) (7.2) (0.0) (100)
25年度 198,196 46,929 75,887 1,026 322,038 23
(61.5) (14.5) (23.5) (0.3) (100)
26年度 121,713 1,821 50,119 932 174,585 9
(69.7) (1.0) (28.7) (0.5) (100)
620,209 1,288,429 260,467 2,987 2,172,092 154,627
(28.5) (59.3) (11.9) (0.1) (100)

支払額

(単位:百万円)

年度 区分
個人 個人 (自主的避難 ) 法人等 団体 本賠償金計 仮払補償金 合計
平成 69,305 62,253 183,873 108,687 424,119 142,144 566,264
23年度 (16.3) (14.6) (43.3) (25.6) (100)
24年度 468,294 284,824 473,208 242,920 1,469,247 7,222 1,476,469
(31.8) (19.3) (32.2) (16.5) (100)
25年度 921,253 5,768 479,310 164,185 1,570,518 825 1,571,344
(58.6) (0.3) (30.5) (10.4) (100)
26年度 557,200 216 328,808 64,921 951,146 428 951,575
(58.5) (0.0) (34.5) (6.8) (100)
2,016,052 353,063 1,465,201 580,714 4,415,032 150,620 4,565,653
(45.6) (7.9) (33.1) (13.1) (100)

1件当たりの平均支払額

(単位:万円)

年度 区分
個人 個人(自主的避難) 法人等 団体
平成
23年度
152 43 631 6億0381
24年度 183 25 449 2億8612
25年度 464 12 631 1億6002
26年度 457 11 656 6965
4か年度
の平均
325 27 562 1億9441
注(1)
( )内は、本賠償金計に占める当該件数又は金額の比率(%)を示す。
注(2)
平成 26年度は 12月末までの分を集計している。

c ADRセンターの仲介による和解等の成立に伴う支払の状況

ADRセンターの仲介による和解の成立に伴う支払の状況は、図表3-9のとおりであり、26年12月末までの支払額は1468億余円となっている。

そして、ADRセンターの仲介による和解の成立に伴い、26年12月末までに賠償金の支払に至った件数についてみると、支払件数の総計に占める割合は、「個人」(「個人(自主的避難)」を含む。以下、本項cにおいて同じ。)0.5%、「法人等」1.4%となっている。同様に支払額についてみると、「個人」2.5%、「法人等」5.8%となっている。これらの値は、25年報告において取りまとめた24年度末現在の値(支払件数「個人」0.1%、「法人等」0.6%。支払額「個人」0.8%、「法人等」2.4%。25年報告リンク先図表3-12参照)と比べると0.4ポイントから3.4ポイントまでの間でそれぞれ上昇しているが、直接東京電力に請求することによりその支払が行われる案件が大半を占めている状況は24年度末現在と同様である。

図表3-9 ADRセンターの仲介による和解の成立に伴う支払の状況

(単位:件、百万円)

区分 平成 23年度 24年度 25年度 26年度 (参考)
「個人」又は「法人等」の総計
支払件数 支払額 支払件数 支払額 支払件数 支払額 支払件数 支払額 支払件数 支払額 支払件数 支払額
個人 25 48 2,071 7,863 4,149 24,642 3,482 27,924 9,727 (0.5) 60,478 (2.5) 1,908,638 2,369,116
法人等 16 344 868 15,443 1,710 43,425 1,273 27,155 3,867 (1.4) 86,369 (5.8) 260,467 1,465,201
41 393 2,939 23,306 5,859 68,068 4,755 55,079 13,594 146,847 /
注(1)
計欄の( )内は、「個人」又は「法人等」の支払件数又は支払金額の総計に占める当該支払件数又は支払金額の比率(%)を示す。
注(2)
裁判所における和解等の成立に伴う賠償金の支払額に係る割合は、個人、法人等とも上記の割合(2.5%及び5.8%)を更に下回る規模となっている。
注(3)
平成26年度は12月末までの分を集計している。

d 月別の状況

23年4月から26年12月までの月別の支払額等は、図表3-10のとおりであり、本賠償金の支払が開始された23年10月から26年12月までの平均支払月額は1137億余円となっている。支払累計額についてみると、25年3月に2兆円を超えた後に、同年10月に3兆円、26年6月に4兆円を超えている。

図表3-10 月別の支払額及び支払累計額の推移

図表3-10 月別の支払額及び支払累計額の推移 画像

そして、支払の相手方別の賠償金の支払の推移は、次のとおりとなっている。

(a) 個人

 「個人」に係る賠償金(個人に対する賠償金のうち、自主的避難に係る分を除いたもの)の支払の推移をみると、図表3-11のとおり、支払件数については、24年8月及び11月に3万件を超える支払があったが、その後増減を繰り返しながら若干減少傾向にあり、26年1月、2月及び9月の支払件数は1万件未満となっている。また、支払額については、25年4月に1191億余円、26年6月に1132億余円となっており、26年以降も1か月当たり1000億円を超える支払がある。26年1月以降に支払額が増加しているのは、前記のとおり、25年12月に示された中間指針第四次追補を受けて「精神的損害」等の取扱いが見直されたことなどが影響していると考えられる。

図表3-11 個人に対する賠償金の支払の推移

図表3-11 個人に対する賠償金の支払の推移 画像

(b) 個人(自主的避難)

 「個人(自主的避難)」に係る賠償金は、自主的避難による生活費の増加費用、移動費用、精神的苦痛等による損害を対象として定額で支払われるものであり、23年3月から同年12月までの間の損害を対象とした支払が24年3月から、24年1月から同年8月までの間の損害を対象とした支払が25年1月から、それぞれ開始されている。その後は対象期間の見直しが行われていないため、図表3-12のとおり、賠償金の支払に大きな伸びはなく、低位で推移する傾向となっている。

図表3-12 自主的避難等を行った個人に対する賠償金の支払の推移

図表3-12 自主的避難等を行った個人に対する賠償金の支払の推移 画像

(c) 法人等

 「法人等」に係る賠償金の支払の推移をみると、図表3-13のとおり、件数はやや減少傾向が見受けられるが、支払額については必ずしも件数に連動しておらず、また、支払額が突出した月が見受けられる。このように支払額が突出した月があるのは、1件当たりの金額が大きい支払が含まれているためであり、特に、26年4月は環境省へ116億余円、同年7月は内閣府へ102億余円及び環境省へ52億余円、同年10月は環境省へ367億余円と、それぞれ除染に要した費用に係る多額の支払があったことがその一因となっている。

図表3-13 法人等に対する賠償金の支払の推移

図表3-13 法人等に対する賠償金の支払の推移 画像

(d) 団体

 「団体」に係る賠償についてみると、図表3-14のとおり、件数は増減を繰り返しているが、支払額については、25年度以降では25年8月の213億余円が最大となっており、26年度以降はほとんどの月で100億円未満の支払が続いている。これは、前記のとおり、農林漁業者等の風評被害に係る賠償の支払請求について、25年3月から東京電力が農林漁業者等からの請求書を直接受け付ける取扱いを行っていることが影響していると考えられる。

図表3-14 団体に対する賠償金の支払の推移

図表3-14 団体に対する賠償金の支払の推移 画像

(エ) 支払対象別の賠償金の支払の状況

25年報告においては、賠償口座における支払対象の4区分のうち、賠償システムを利用して賠償金の請求受付から支払の合意に至るまでの進捗を管理している「個人」、「個人(自主的避難)」及び「法人等」の3区分を対象として分析を行った。

今回の検査では、26年9月までの支払に係る賠償システムのデータに基づき、賠償の実態の把握に資するよう、25年報告との継続性を図り、「個人」については損害項目別に、「個人(自主的避難)」及び「法人等」については請求書類の種類別に、件数、金額等を集計するなどして分析した。また、「個人」及び「法人等」に係る損害項目のうち、25年報告の時点において支払が本格化していなかったため分析の対象外とした「財物価値の喪失又は減少等」に対する賠償についても、支払が進捗している現状を踏まえて分析の対象とした。

さらに、賠償システムによる進捗管理が行われていない「団体」についても、東京電力が事務の進捗管理を行うために用いている帳票類を用いるなどして検査し、団体の種類や請求の対象となっている損害の内容等について分析を行った。

a 個人

 「個人」は、個人が被った種々の損害に係る損害項目を取り扱う区分である。「個人」に係る賠償のレコード数(賠償システム上では、個人1人又は法人等1者が複数の損害項目について賠償金の支払を請求している場合は、各損害項目をそれぞれ1レコードと数える取扱いとされている。)は約318万件であり、各レコードの損害項目等について東京電力が自社の賠償基準に照らした審査の結果支払うことを決定した金額(以下「審査結果金額」という。)の合計は、2兆0030億余円となっている(図表3-15参照)。

図表3-15 「個人」に係る賠償の状況(避難前住所別)

(単位:億円)

避難前住所 審査結果金額計 主な内訳(損害項目)
浪江町 4301(21.4) ①精神的損害(1467)
④宅地(420)
②建築物(813)
⑤家財(331)
③就労不能損害(426)
南相馬市 4072(20.3) ①精神的損害(1632)
④宅地(240)
②就労不能損害(610)
⑤その他(209)
③建築物(525)
富岡町 3358(16.7) ①精神的損害(1224)
④就労不能損害(287)
②建築物(639)
⑤家財(275)
③宅地(358)
大熊町 3147(15.7) ①精神的損害(1454)
④家財(232)
②建築物(524)
⑤就労不能損害(230)
③宅地(242)
双葉町 1804(9.0) ①精神的損害(827)
④宅地(128)
②建築物(294)
⑤就労不能損害(119)
③家財(128)
飯舘村 1003(5.0) ①精神的損害(333)
④その他(66)
②建築物(234)
⑤構築物・庭木(53)
③家財(87)
楢葉町 946(4.7) ①精神的損害(354)
④建築物(114)
②就労不能損害(117)
⑤その他(51)
③家財(116)
広野町 201(1.0) ①精神的損害(94)
④実費(10)
②就労不能損害(46)
⑤通院交通費等の生活費の増加分(9)
③その他(17)
田村市 175(0.8) ①精神的損害(89)
④実費(9)
②就労不能損害(24)
⑤通院交通費等の生活費の増加分(7)
③建築物(10)
いわき市 152(0.7) ①就労不能損害(73)
④建築物(8)
②精神的損害(35)
⑤宅地(7)
③その他(10)
10市町村計 1兆 9165(95.6)
その他 864(4.3)
合計 2兆 0030(100)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、審査結果金額の合計に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(損害項目)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。
注(3)
主な内訳(損害項目)欄の「その他」は、他の損害項目に含まれない損害に対する賠償に幅広く対応 するために設けられた損害項目である(以下、本項aの図表において同じ。)。

また、損害項目についてみると、上位5項目の審査結果金額の計が合計の80.5%に当たる1兆6135億余円となっている(図表3-16参照)。

このうち「精神的損害」は7733億余円で、25年報告において取りまとめた24年度末現在(25年報告リンク先図表3-19参照)と同様に最も多くなっているが、その割合は54.4%から38.6%へと減少している。これは、「家財」、「宅地」、「建築物」等、個人を対象とした「財物価値の喪失又は減少等」に係る支払請求の受付が25年3月に開始され、これらの損害項目に係る賠償金の支払が増えたことにより相対的に減少したことなどによると考えられる。

図表3-16 「個人」に係る賠償の状況(損害項目別)

(単位:億円)

損害項目 審査結果金額計 主な内訳(避難前住所)
精神的損害 7733(38.6) ①南相馬市(1632)
④富岡町(1224)
②浪江町(1467)
⑤双葉町(827)
③大熊町(1454)
建築物 3334(16.6) ①浪江町(813)
④大熊町(524)
②富岡町(639)
⑤双葉町(294)
③南相馬市(525)
就労不能損害 2102(10.4) ①南相馬市(610)
④大熊町(230)
②浪江町(426)
⑤双葉町(119)
③富岡町(287)
宅地 1556( 7.7) ①浪江町(420)
④南相馬市(240)
②富岡町(358)
⑤双葉町(128)
③大熊町(242)
家財 1408( 7.0) ①浪江町(331)
④南相馬市(181)
②富岡町(275)
⑤双葉町(128)
③大熊町(232)
合計 1兆 6135(80.5)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「個人」に係る審査結果金額の合計(2兆0030億余円)に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(避難前住所)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

また、損害項目別に「個人」に係る賠償金の請求受付から支払までに要した平均日数をみると、図表3-17のとおり、各損害項目で30日から58日程度、全ての損害項目の平均日数は40.1日となっており、24年度末現在(25年報告リンク先図表3-20参照)の平均日数(35.1日)と比較すると5.0日増加している。なお、この日数には、請求者が東京電力から賠償金の支払に係る合意書案を受領してからその内容を承認して合意書を返送するまでの日数や、審査の際に証ひょう類が不足していた場合に請求者が当該証ひょう類を準備するために要した日数等が含まれている(c(d)の「法人等」に係る賠償金の請求受付から支払までに要した日数についても同様である。)。

図表3-17 「個人」に係る賠償金の支払までに要した平均日数

(損害項目別)

(単位:日)

図表3-17 「個人」に係る賠償金の支払までに要した平均日数 画像

そして、賠償金の支払までに特に長期間を要した請求は、図表3-18のとおりであり、最長のものは980日に達している。

図表3-18 支払までに特に長期間を要した請求(上位5件)

(単位:千円、日)

請求者 損害項目 審査結果金額計 請求受付から支払までに要した日数
精神的損害、その他等 7,040 980
その他、精神的損害 240 889
精神的被害、生命・身体的損害等 564 867
就労不能損害 2,047 860
車両本体の価格等 388 855
(注)
「個人」に係る賠償金の支払は世帯単位で行われるため、本図表には、複数の者における複数の損害項目に対する審査結果金額が計上されている。

このように長期間を要する支払については、請求者において相続が必要となったり、一旦合意していた内容に不備があったりして再度請求を行うものなどがあり、東京電力は、経年に伴いこれらの対応に相応の時間を要する案件の件数が増える傾向にあるとしている。

また、会計検査院が、25年報告に係る検査において「個人」に係る賠償金が重複して支払われていた事例(25年報告リンク先事例1参照)があったことを踏まえて、新たに提出を受けた支払に係るデータを対象として請求者名、損害項目区分等が同一の請求者に係る支払を抽出するなどして検査したところ、4件、計109万余円の重複が見受けられた。

<事例1>「個人」に係る賠償金が重複して支払われていた事例

東京電力は、被災者1人に対して、平成25年10月に、23年3月から同年11月までの期間における精神的損害に係る賠償金として70万円を支払っていた。

しかし、当該期間における精神的損害に係る賠償金は、24年10月に支払済みであり、当該賠償金70万円は重複して支払われたものとなっていた。

東京電力は、今後、過払となっている70万円について返還を求めるとしている。

東京電力は、賠償金の支払が迅速かつ適切になされているか確認することを目的とした機構のモニタリングを受けるとともに、賠償システムにおける支払の重複を検知する機能や審査チェックリストを活用することにより、従来、賠償金の適正な支払の確認に取り組んでいるとしているが、今回判明した重複の中には25年報告に記述した重複の事例の発覚後に支払が行われたものもあることから、賠償金の支払の適正性を確認する従来の体制や方法を改めることも視野に入れて、引き続き適切な賠償を実施するための取組に努める必要がある。

b 個人(自主的避難)

 「個人(自主的避難)」は、23年原発事故発生時に、①後に自主的避難等対象区域に指定された福島県の23市町村、②福島県の県南地域の9市町村又は③宮城県伊具郡丸森町のいずれかに生活の本拠としての住居があった者を対象とした賠償の管理区分である。

賠償システムでは、23年3月から同年12月までの間に生じた損害(第1期分)と24年1月から同年8月までの間に生じた損害(第2期分)とに分けて管理されており、両区分の審査結果金額計は、第1期分が2633億余円、第2期分が896億余円となっている(図表3-19参照)。

図表3-19 「個人(自主的避難)」のレコード数及び審査結果金額計

(単位:千件、億円)

区分 レコード数 審査結果金額計
第1期分 1,544 2633
第2期分 1,681 896
(注)
「個人(自主的避難)」について、賠償システムでは、振込完了日(東京電力が請求者の口座に支払った後に、請求者に支払を行った旨を通知した日。以下同じ。)で支払の最終状況を管理しており、レコード数は振込完了日が平成26年10月1日までの分である。

第1期分及び第2期分について、賠償金の請求受付から振込完了までに要した平均日数をみると、それぞれ24.7日、27.0日となっている。なお、振込完了日は、東京電力が賠償口座から実際に支払を行った後に、その事実を請求者に通知した日であることから、実際の審査等に要した日数は上記の平均日数より少ないと考えられる。

c 法人等

 「法人等」は、賠償システムでは、「法人(定型書式)」、「法人(非定型書式)」及び「公共」の3区分により管理されている。「法人(定型書式)」が定型的な請求書類による通常の区分であり、「法人(非定型書式)」は定型的な請求書類では対応が困難な請求案件の区分、「公共」は地方公共団体又はこれに準ずる法人等を対象とした区分となっている。なお、内閣府及び環境省が行う除染に係る請求案件は、賠償口座における支払対象の区分として「法人等」に含まれるが、支払に係る事務が個別に管理され、賠償システムの対象とはなっていないため、上記の3区分に含まれていない。

各区分の審査結果金額の合計は、1兆2797億余円となっている(図表3-20参照)。

図表3-20 「法人等」3区分のレコード数及び審査結果金額計

(単位:千件、億円)

区分 レコード数 審査結果金額計
法人(定型書式) 488 9758(76.2)
法人(非定型書式) 43 2635(20.5)
公共 14 404(3.1)
合計 546 1兆 2797(100)
(注)
審査結果金額計欄の( )内は、審査結果金額の合計に占める比率(%)を示す。

 「法人等」の各区分に係る賠償の状況及び「法人等」全体を通じた賠償金の請求受付から支払までに要した日数についてみると、次のとおりとなっている。

(a) 法人(定型書式)

 「法人(定型書式)」に係る賠償の状況を請求書類送付先の所在県等別にみると図表3-21のとおりとなっており、上位5都県は順位に一部変動があるものの25年報告で取りまとめた24年度末現在(25年報告リンク先図表3-24参照)と同じ都県であり、主な内訳についてもおおむね同様となっている。審査結果金額計は、最も多い福島県が次順位の東京都の6倍以上の規模となっている。

図表3-21 「法人(定型書式)」に係る賠償の状況(請求書類送付先の所在県等別)

(単位:億円)

請求書類送付
先の所在県等
審査結果金額計 主な内訳(請求書類の種類)
福島県 5981(61.3) ①法人等(2346)
④観光A(424)
②サービス等(1765)
⑤加工・流通(風評被害)(243)
③製造(537)
東京都 895(9.1) ①法人等(313)
④サービス等(84)
②観光A(208)
⑤加工・流通(風評被害)(68)
③観光B(87)
茨城県 753(7.7) ①観光A(281)
④法人等(81)
②加工・流通(風評被害)(200)
⑤製造(10)
③農業(避難等対象区域外)(156)
千葉県 452(4.6) ①観光A(226)
④法人等(41)
②加工・流通(風評被害)(111)
⑤観光B(8)
③農業(避難等対象区域外)(46)
栃木県 450(4.6) ①観光A(363)
④製造(15)
②法人等(25)
⑤農業(避難等対象区域外)(13)
③加工・流通(風評被害)(19)
上記以外の
所在県等
1224(12.5)
合計 9758(100)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「法人(定型書式)」に係る審査結果金額の合計に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類の種類)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。
注(3)
「法人等」は、避難等対象区域内において事業を行う法人又は個人事業主が受けた逸失利益や追加的費用等の営業損害に対する賠償の請求時に利用される請求書類である(以下、本項cの図表における区分において同じ。)。
注(4)
「観光A」は、東北地方及び関東地方の10県(8県は全域、2県は一部の市町村を除く。)に観光業を営む事業所を有する法人等が受けた、風評に基づく観光客の解約や予約控えによる減収等の損害に対する賠償の請求時に利用される請求書類である。
注(5)
「観光B」は、「観光A」に該当する県以外の都道府県に観光業を営む事業所を有する法人等が受けた外国人観光客に係る上記の減収等の損害に対する賠償の請求時に利用される請求書類である。

また、請求書類の種類別に審査結果金額計が200億円を超えるものの内訳をみると、図表3-22のとおりとなっており、24年度末現在(25年報告リンク先図表3-25参照)の順位と比較すると、「サービス等」が「観光A」と入れ替わって上位となったほか、「財物(償却・棚卸資産)」が「観光B」に代わって新たに加わっている。

図表3-22 「法人(定型書式)」に係る賠償の状況(請求書類の種類別)

(単位:億円)

請求書類の種類 審査結果金額計 主な内訳 (請求書類送付先所在県等 )
法人等 3280(33.6) ①福島県(2346)
④埼玉県(99)
②東京都(313)
⑤神奈川県(93)
③宮城県(110)
サービス等 1936(19.8) ①福島県(1765)
④埼玉県(12)
②東京都(84)
⑤茨城県(9)
③宮城県(27)
観光A 1763(18.0) ①福島県(424)
④千葉県(226)
②栃木県(363)
⑤東京都(208)
③茨城県(281)
加工・流通(風評被害) 773(7.9) ①福島県(243)
④東京都(68)
②茨城県(200)
⑤宮城県(27)
③千葉県(111)
製造 664(6.8) ①福島県(537)
④神奈川県(14)
②東京都(59)
⑤埼玉県(11)
③栃木県(15)
農業(避難等対象区域外) 356(3.6) ①茨城県(156)
④栃木県(13)
②福島県(113)
⑤東京都(7)
③千葉県(46)
財物(償却・棚卸資産) 318(3.2) ①福島県(198)
④宮城県(12)
②埼玉県(37)
⑤神奈川県(9)
③東京都(31)
合計 9093(93.1)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「法人(定型書式)」に係る審査結果金額の合計(9758億余円)に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類送付先所在県等)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

(b) 法人(非定型書式)

 「法人(非定型書式)」に係る賠償の状況を請求書類送付先の所在県等別にみると図表3-23のとおりとなっており、24年度末現在(25年報告リンク先図表3-26参照)の順位と比較すると栃木県に代わって宮城県が上位5都県に入っている。

図表3-23 「法人(非定型書式)」に係る賠償の状況(請求書類送付先の所在県等別)

(単位:億円)

請求書類送付
先の所在県等
審査結果金額計 主な内訳(請求書類の種類)
東京都 835(31.7) ①その他(680)
④製造(9)
②法人等(81)
⑤観光A(5)
③間接損害(47)
福島県 703(26.6) ①その他(611)
④製造(13)
②間接損害(34)
⑤農業(避難等対象区域内)(8)
③法人等(23)
茨城県 263(10.0) ①その他(122)
④観光A(3)
②法人等(99)
⑤農業(避難等対象区域外)(3)
③間接損害(33)
千葉県 162(6.1) ①その他(145)
④観光A(0.6)
②間接損害(8)
⑤輸出(0.5)
③法人等(6)
宮城県 121(4.6) ①その他(114)
④加工・流通(風評被害)(1)
②法人等(3)
⑤農業(避難等対象区域外)(0.1)
③間接損害(2)
上記以外の
所在県等
548(20.8)
合計 2635(100)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「法人(非定型書式)」に係る審査結果金額の合計に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類の種類)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

また、請求書類の種類別に主なものをみると図表3-24のとおりであり、24年度末現在(25年報告リンク先図表3-27参照)と同様に、他の請求書類による手続では請求が困難な賠償の請求書類である「その他」が大部分を占めている。

図表3-24 「法人(非定型書式)」に係る賠償の状況(請求書類の種類別)

(単位:億円)

請求書類の種類 審査結果金額計 主な内訳(請求書類送付先所在県等)
その他 2136(81.0) ①東京都(680) ②福島県(611) ③千葉県(145)
法人等 235(8.9) ①茨城県(99) ②東京都(81) ③福島県(23)
間接損害 167(6.3) ①東京都(47) ②福島県(34) ③茨城県(33)
製造 24(0.9) ①福島県(13) ②東京都(9) ③新潟県(0.9)
観光A 15(0.6) ①東京都(5) ②茨城県(3) ③栃木県(2)
合計 2580(97.8)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「法人(非定型書式)」に係る審査結果金額の合計(2635億余円)に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類送付先所在県等)欄の()内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

(c) 公共

 「公共」の区分に該当する賠償請求を行った地方公共団体等は、請求書類の送付先データによれば、20都県に所在しており、その所在県等別に審査結果金額計をみると、図表3-25のとおり、各県及び当該県管内の市町村等による賠償請求は、主に上下水道や廃棄物処理に係る損害等について行われている。

図表3-25 「公共」に係る賠償の状況(請求書類送付先の所在県等別)

(単位:億円)

請求書類送付
先の所在県等
審査結果金額計 主な内訳(請求書類の内容)
福島県 125(30.9) ①下水道・集落排水(63)
③上水道・工業用水道(10)
②代理負担費用(39)
千葉県 56(14.0) ①廃棄物処理(29)
③上水道・工業用水道(9)
②下水道・集落排水(11)
岩手県 42(10.3) ①代理負担費用(40)
③農畜産(0.5)
②下水道・集落排水(0.5)
埼玉県 35(8.8) ①下水道・集落排水(15)
③上水道・工業用水道(6)
②廃棄物処理(11)
東京都 33(8.1) ①下水道・集落排水(15)
③上水道・工業用水道(5)
②廃棄物処理(6)
上記以外の
所在県等
111(27.6)
合計 404(100)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、審査結果金額の合計に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類の内容)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

また、請求書類の主な内容別にみると、図表3-26のとおり、「下水道・集落排水」が合計の40%以上を占めているほか、被災した住民が受けた損害を補塡する目的で地方公共団体等が提供した物品の購入費用等に係る請求に対する賠償である「代理負担費用」が合計の20%近くを占めている。

図表3-26 「公共」に係る賠償の状況(請求書類の主な内容別)

(単位:億円)

請求書類の主な内容 審査結果金額計 主な内訳(請求書類送付先所在県等)
下水道・集落排水 165(40.9) ①福島県(63) ②神奈川県(18) ③東京都(15)
代理負担費用 80(19.9) ①岩手県(40) ②福島県(39) ③茨城県(0.5)
廃棄物処理 58(14.5) ①千葉県(29) ②埼玉県(11) ③東京都(6)
合計 305(75.4)
注(1)
審査結果金額計欄の( )内は、「公共」に係る審査結果金額の合計(404億余円)に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(請求書類送付先所在県等)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した審査結果金額の計を示す。

(d) 賠償金の請求受付から支払までに要した日数

 「法人等」の3区分に係る賠償金の請求受付から支払までに要した平均日数をみると、図表3-27のとおり、「法人(定型書式)」37.2日、「法人(非定型書式)」63.4日、「公共」81.8日となっている。24年度末現在(25年報告リンク先図表3-30参照)の平均日数と比較すると、「法人(非定型書式)」が10日以上長期化した一方、「公共」については、申請書類の書式等が定型化されたことにより、5日程度短縮されている。

図表3-27 「法人等」に係る賠償金の支払までに要した平均日数

(単位:日)

区分 平均日数
法人
(定型書式 )
財物(償却・棚卸資産) 68.2
観光B 51.4
法人等 34.4
農業(避難等対象区域外) 32.7
サービス等 27.7
観光A 27.2
平均 37.2
法人
(非定型書式 )
法人等 99.5
農業(避難等対象区域外) 88.5
その他 65.8
輸出 61.7
間接損害 41.4
平均 63.4
公共 上水道・工業用水道 100.4
農畜産 79.7
下水道・集落排水 75.0
廃棄物処理 64.7
食品検査 55.1
平均 81.8

そして、賠償金の支払までに特に長期間を要した請求は、図表3-28のとおりであり、最長のものは951日に達している。

図表3-28 支払までに特に長期間を要した請求(上位5件)

(単位:千円、日)

請求者 損害項目 審査結果金額計 請求受付から支払までに要した日数
A(観光業 観光B 10,495 951
B(流通業 加工・流通(風評被害) 2,490 951
C(観光業 観光A 58 914
D(卸売業 間接損害 13,394 902
E(レンタル業) その他 412 881

 「法人等」に係る賠償請求で長期間を要する支払が生ずる要因について、東京電力は、請求を受け付けた後、証ひょう類の追加等に時間を要している間に請求者の事業実態が変化したため請求内容を変更する必要が生ずるなどして手続が増え、合意までの時間が更に長期化する場合があることなどによるとしている。

d 団体

 「団体」に係る賠償金の支払請求は、農業協同組合、漁業協同組合等の団体が個々の構成員の請求を取りまとめて団体単位で一括することにより行われている。その請求内容は、損害項目では「風評被害」や「出荷制限」が主なものであるが、請求の対象とする品目等が多岐にわたり、定型的な請求書類では対応が困難であるため、東京電力は各団体と調整して請求内容に応じた書類を個別に設定しており、その支払事務は賠償システムの対象とはなっていない。そこで、東京電力が支払事務を管理するために用いている帳票類を基に、団体に対する支払事務を開始した23年10月以降の支払額を集計すると、26年9月末現在では5476億余円となっている。

(a) 団体の種類

団体の種類別にみた支払状況は図表3-29のとおりであり、農業関係の生産者が構成する組合等に対する支払が大多数を占めている。

図表3-29 団体に対する賠償金の支払状況(団体種類別・年度別)

(単位:件、百万円)

団体の種類 平成23年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度
件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 比率



組合等 62 88,943 594 187,063 781 126,495 373 19,151 1,810 421,653 76.9
うち協議会 42 63,067 488 176,392 725 121,653 340 18,326 1,595 379,440 69.2
会社 1 139 46 1,330 46 564 47 337 140 2,372 0.4
その他 14 6,182 58 25,726 88 11,364 48 1,887 208 45,160 8.2



組合等 27 13,404 127 28,798 131 25,761 91 10,477 376 78,441 14.3
うち協議会 0 4 192 14 391 6 56 24 640 0.1
その他 3 18 1 0 1 0 0 5 18 0
107 108,687 826 242,920 1,047 164,185 559 31,853 2,539 547,646 100
注(1)
「協議会」は、農業協同組合中央会又は漁業協同組合中央会が23年原発事故の損害賠償に係る手続等を迅速かつ適切に行うことを目的として農業又は漁業の関係団体とともに構成する組織で都道府県単位に設置されたものをいう。
注(2)
「比率」は支払額の計に占める比率(%)を示す。
注(3)
平成26年度については9月末までの分を集計している。

(b) 請求対象品目

団体の支払請求の対象とされている品目別にみた支払状況は図表3-30のとおりであり、牛や水産物に係る賠償金の支払が多くなっている。

図表3-30 団体に対する賠償金の支払状況(品目別・年度別)

(単位:件、百万円)

品目 平成 23年度 24年度 25年度 26年度
件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 件数 支払額 比率
複数品目 6 4,266 97 59,454 121 55,735 37 7,049 261 126,505 23.0
非区分 27 75,514 112 33,244 125 15,256 66 2,298 330 126,313 23.0
18 6,930 202 71,980 239 22,665 99 3,262 558 104,839 19.1
水産物 30 13,422 128 28,799 132 25,761 91 10,477 381 78,460 14.3
5 1,863 30 13,331 22 10,141 3 159 60 25,495 4.6
2 771 41 9,004 107 8,825 90 2,770 240 21,371 3.9
牧草・飼料 4 53 25 6,642 82 9,966 51 3,431 162 20,093 3.6
きのこ類 1 24 29 2,495 91 6,491 58 1,048 179 10,060 1.8
野菜 0 28 2,773 38 5,797 14 597 80 9,168 1.6
食肉 5 3,848 66 4,706 3 49 1 18 75 8,623 1.5
上記以外の品目 9 1,992 68 10,487 87 3,496 49 740 213 16,716 3.0
107 108,687 826 242,920 1,047 164,185 559 31,853 2,539 547,646 100
注(1)
「複数品目」は1件の支払で複数の品目について支払っているもの、また、「非区分」は農畜産物に係る検査費用等、特定の品目に係る支払として区分することが困難なものである(以下、本報告書において同じ。)。
注(2)
「比率」は支払額の計に占める比率(%)を示す。
注(3)
平成26年度については9月末までの分を集計している。

(c) 所在県等

賠償金の支払を受けた団体は、図表3-31のとおり、全国単位のもの、都道県や地域単位のものなど様々であり、このうち都道県や地域単位の団体は、24都道県に所在している。

図表3-31 所在県等別の団体数

(単位:団体)

所在県等名 農業関係 漁業関係 合計
    会社 その他 その他
組合等 うち
協議会
組合等 うち
協議会
全国 8 0 3 2 13 2 0 0 2 15
北海道 7 1 0 2 9 2 0 0 2 11
青森県 1 1 0 1 2 9 0 0 9 11
岩手県 2 1 1 2 5 1 1 0 1 6
宮城県 2 1 0 6 8 4 0 0 4 12
秋田県 2 1 1 1 4 0 0 0 0 4
山形県 3 1 4 0 7 0 0 0 0 7
福島県 8 1 49 34 91 2 0 3 5 96
茨城県 9 1 1 2 12 2 0 0 2 14
栃木県 1 1 1 5 7 0 0 0 0 7
群馬県 1 1 5 0 6 0 0 0 0 6
埼玉県 1 1 2 1 4 0 0 0 0 4
千葉県 4 1 0 2 6 1 0 0 1 7
東京都 2 1 0 0 2 0 0 0 0 2
神奈川県 1 1 0 0 1 0 0 0 0 1
新潟県 1 1 1 0 2 0 0 0 0 2
長野県 7 1 0 0 7 0 0 0 0 7
岐阜県 2 1 1 0 3 0 0 0 0 3
静岡県 2 1 0 0 2 0 0 0 0 2
愛知県 1 0 1 0 2 0 0 0 0 2
三重県 1 1 0 0 1 0 0 0 0 1
島根県 2 1 0 0 2 0 0 0 0 2
香川県 1 0 0 0 1 0 0 0 0 1
愛媛県 0 0 1 0 1 0 0 0 0 1
鹿児島県 1 0 1 0 2 0 0 0 0 2
70 20 72 58 200 23 1 3 26 226
(注)
所在県等名欄の「全国」は、全国単位の団体であり、その本部が所在する都道県別に振り分けず、単独の区分を設けたものである。

団体の所在県等別にみた支払状況は図表3-32のとおりであり、「複数品目」及び「非区分」を除くと、各地域の特産と関連した品目に係る支払請求が多く見受けられる。

図表3-32 団体に対する賠償金の支払状況(所在県等別)

(単位:億円)

団体の所在県等 支払額計 主な内訳(品目別)
福島県 1807(33.0) ①複数品目(687)
④米(159)
②非区分(453)
⑤牧草・飼料(51)
③水産物(296)
茨城県 611(11.1) ①水産物(270)
④野菜(27)
②非区分(207)
⑤牛(17)
③複数品目(68)
静岡県 475(8.6) ①茶(227)
④牛(5)
②複数品目(210)
⑤きのこ類(2)
③非区分(28)
混合 391(7.1) 非区分(391)
北海道 343(6.2) ①牛(273)
④牧草・飼料(17)
②水産物(31)
⑤食肉(3)
③非区分(17)
岩手県 297(5.4) ①複数品目(105)
④きのこ類(27)
②牛(81)
⑤非区分(17)
③牧草・飼料(57)
上記以外の所在県等 1549(28.2)
合計 5476(100)
注(1)
「混合」は、1件の支払が複数の団体に対して一括して行われ、所在県等別の区分を行うことが困難なものである(図表3-33においても同じ。)。
注(2)
支払額計欄の( )内は、支払額の合計に占める比率(%)を示す。
注(3)
主な内訳(品目別)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した支払額の計を示す。

また、支払額が100億円を超える品目について、品目別にみた支払状況は、図表3-33のとおりであり、所在県等別の支払状況と同様に、各地域の特産との関連性が見受けられる。

図表3-33 団体に対する賠償金の支払状況(品目別)

(単位:億円)

品目 支払額計 主な内訳(団体の所在県等別)
複数品目 1265(23.0) ①福島県(687)
④茨城県(68)
②静岡県(210)
⑤宮城県(53)
③岩手県(105)
非区分 1263(23.0) ①福島県(453)
④群馬県(56)
②混合(391)
⑤宮城県(36)
③茨城県(207)
1048(19.1) ①北海道(273)
④岩手県(81)
②栃木県(168)
⑤群馬県(81)
③宮城県(88)
水産物 784(14.3) ①福島県(296)
④宮城県(43)
②茨城県(270)
⑤北海道(31)
③千葉県(115)
254(4.6) ①静岡県(227)
④東京都(1)
②埼玉県(24) ③神奈川県(1)
213(3.9) ①福島県(159) ②全国(53) ③宮城県(0.1)
牧草・飼料 200(3.6) ①岩手県(57)
④栃木県(20)
②福島県(51)
⑤北海道(17)
③宮城県(44)
きのこ類 100(1.8) ①群馬県(29)
④福島県(11)
②岩手県(27)
⑤宮城県(4)
③栃木県(23)
合計 5131(93.6)
注(1)
支払額計欄の( )内は、団体に係る賠償の支払額の合計(5476億余円)に占める比率(%)を示す。
注(2)
主な内訳(団体の所在県等別)欄の( )内は、当該賠償請求の内容を基に算出した支払額の計を示す。

(d) 請求回数

各団体は個々の構成員の請求内容を一定の期間ごとなどで取りまとめた上で東京電力への支払請求を行っていることから、同様の請求内容で定期的に複数回の請求が行われることが多い。前掲図表3-31の計226団体について、団体ごとの請求回数をみたところ、団体の支払請求の受付を開始した23年10月以降の3年間における1団体当たりの平均の請求回数は11.1回となっていた。

(e) 支払請求の受付から支払までに要した日数

東京電力において団体に対する支払事務の記録方法が統一されていないことなどから、支払請求の受付から支払までに要した日数について、全ての支払請求を対象とした確認はできなかった。なお、当該日数について確認できた24年度支払分の158件については、当該日数の平均が48.1日となっていた。