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  • 平成27年9月

政府出資株式会社等における事業及び財務の状況等について


3 検査の状況

(1) 政府出資株式会社等に対する国の出資及び国等によるその他の財政支援等の状況

ア 国の出資の状況

(ア) 政府出資株式会社等における出資残高の状況

政府出資株式会社等38法人について、21年度末から25年度末までの出資残高の推移をみると、表2のとおり、21年度末(計18兆3388億余円)から25年度末(計20兆7550億余円)にかけて計2兆4162億余円増加している。

このうち国の出資残高の推移をみると、21年度末(計17兆2945億余円)から25年度末(計19兆5961億余円)にかけて計2兆3016億余円増加しており、出資残高の総額に占める国の出資残高の割合(以下「政府出資割合」という。)は、94.2%から94.5%までの高い率で推移している。

表2 政府出資株式会社と非株式会社別及び出資者別の出資残高の推移(平成21年度末~25年度末)

政府出資株式会社と非株式会社の区分 出資者 平成21年度末 22年度末 23年度末 24年度末 25年度末
法人数 出資残高
(百万円)
法人数 出資残高
(百万円)
法人数 出資残高
(百万円)
法人数 出資残高
(百万円)
法人数 出資残高
(百万円)
(割合)(%) (割合)(%) (割合)(%) (割合)(%) (割合)(%)
政府出資
株式会社
19 17,032,176 19 16,745,174 19 17,995,151 22 19,095,189 24 19,266,037
(94.4) (94.3) (94.5) (94.7) (94.5)
地方
公共
団体
6 90,563 6 90,563 6 90,563 6 90,563 6 90,568
(0.5) (0.5) (0.4) (0.4) (0.4)
民間
事業
者等
6 905,686 6 905,686 6 955,353 7 977,820 9 1,013,266
(5.0) (5.1) (5.0) (4.8) (4.9)
19 18,028,426 19 17,741,424 19 19,041,069 22 20,163,574 24 20,369,873
(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
間接
出資
法人
独立
行政
法人
4 47,500 4 47,500 4 47,500 4 47,500 4 47,500
(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
非株式会社 9 262,387 9 262,587 10 318,197 10 329,544 10 330,144
(99.7) (99.7) (97.6) (97.7) (97.7)
地方
公共
団体
1 0 1 0 1 0 1 0 1 0
(0.0) (0.0) (0.0) (0.0) (0.0)
民間
事業
者等
3 574 3 574 4 7,574 4 7,574 4 7,574
(0.2) (0.2) (2.3) (2.2) (2.2)
9 262,962 9 263,162 10 325,772 10 337,119 10 337,719
(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
合計 28 17,294,563 28 17,007,761 29 18,313,349 32 19,424,734 34 19,596,181
(94.3) (94.2) (94.3) (94.5) (94.4)
独立
行政
法人
4 47,500 4 47,500 4 47,500 4 47,500 4 47,500
(0.2) (0.2) (0.2) (0.2) (0.2)
地方
公共
団体
7 90,563 7 90,563 7 90,563 7 90,563 7 90,568
(0.4) (0.5) (0.4) (0.4) (0.4)
民間
事業
者等
9 906,261 9 906,261 10 962,928 11 985,395 13 1,020,841
(4.9) (5.0) (4.9) (4.7) (4.9)
合計 32 18,338,889 32 18,052,087 33 19,414,341 36 20,548,193 38 20,755,092
(100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)
注(1)
平成21年度から25年度までの間に設立された法人があるため、各年度末の法人数は異なっている。
注(2)
法人数の「計」欄及び「合計」欄は、複数の出資者から出資を受けている法人があるため、法人数を合計しても一致しない。

また、出資者別の出資残高の推移をみると、独立行政法人及び地方公共団体についてはほとんど増減がない一方、国及び民間事業者等については新たに設立された法人への出資や設立後の法人への追加出資を行っているために増加傾向となっている。なお、政府出資株式会社の区分における国の出資残高について、22年度末の出資残高(16兆7451億余円)が21年度末の出資残高(17兆0321億余円)と比較して減少しているのは、株式会社日本政策金融公庫が信用保険等業務に係る損失金について、株式会社日本政策金融公庫法(平成19年法律第57号)等に基づき、資本準備金を減額して整理したことによるものである。

そして、25年度末における政府出資株式会社等別の出資残高等の状況は、表3のとおりであり、国から出資を受けている法人は34法人(計19兆5961億余円)、独立行政法人からは4法人(計475億円)、地方公共団体からは7法人(計905億余円)、民間事業者等からは13法人(計1兆0208億余円)となっている。

表3 政府出資株式会社等別の出資残高等の状況(平成25年度末)

法人名  
                 
平成25年度末
の出資残高

  (百万円)
  (a)
うち国の出資
残高

  (百万円)
   (b)
割合
(%)
(b)/(a)
うち独立行政
法人の出資残高
(百万円)
(c)
割合
(%)
(c)/(a)
うち地方公共
団体の出資残高
(百万円)
(d)
割合
(%)
(d)/(a)
うち民間事業
者等の出資残高
(百万円)
(e)
割合
(%)
(e)/(a)
株式会社日本政策金融公庫 5,761,246 5,761,246 100.0
株式会社国際協力銀行 1,360,000 1,360,000 100.0
東京地下鉄株式会社 120,267 64,241 53.4 56,025 46.5
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 10,300 10,300 100.0
成田国際空港株式会社 152,000 152,000 100.0
東日本高速道路株式会社 105,000 105,000 100.0
中日本高速道路株式会社 130,000 130,000 100.0
西日本高速道路株式会社 95,000 95,000 100.0
本州四国連絡高速道路株式会社 8,000 5,330 66.6 2,669 33.3
日本郵政株式会社 8,003,856 8,003,856 100.0
株式会社日本政策投資銀行 2,267,419 2,267,419 100.0
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 5,102 5,102 100.0
株式会社産業革新機構 300,010 286,000 95.3 14,010 4.6
新関西国際空港株式会社 553,041 553,041 100.0
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 31,800 30,000 94.3 1,800 5.6
株式会社民間資金等活用事業推進機構 20,000 10,000 50.0 10,000 50.0
株式会社海外需要開拓支援機構 38,500 30,000 77.9 8,500 22.0
中部国際空港株式会社 83,668 33,466 39.9 8,368 10.0 41,834 50.0
日本電信電話株式会社 937,950 198,581 21.1 5 0.0 739,363 78.8
首都高速道路株式会社 27,000 13,499 49.9 13,500 50.0
阪神高速道路株式会社 20,000 9,999 49.9 10,000 50.0
日本アルコール産業株式会社 21,060 7,020 33.3 14,039 66.6
株式会社商工組合中央金庫 218,653 101,600 46.4 117,053 53.5
日本たばこ産業株式会社 100,000 33,333 33.3 66,666 66.6
北海道旅客鉄道株式会社 9,000 9,000 100.0
四国旅客鉄道株式会社 3,500 3,500 100.0
九州旅客鉄道株式会社 16,000 16,000 100.0
日本貨物鉄道株式会社 19,000 19,000 100.0
沖縄振興開発金融公庫 74,088 74,088 100.0
日本私立学校振興・共済事業団 100,329 100,329 100.0
日本銀行 100 55 55.0 0 0.0 44 44.9
日本中央競馬会 4,924 4,924 100.0
預金保険機構 32,135 31,830 99.0 305 0.9
日本司法支援センター 351 351 100.0
全国健康保険協会 7,059 7,059 100.0
日本年金機構 103,111 103,111 100.0
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 14,000 7,000 50.0 7,000 50.0
農水産業協同組合貯金保険機構 1,620 1,395 86.1 225 13.8
34法人 4法人 7法人 13法人
20,755,092 19,596,181 94.4 47,500 0.2 90,568 0.4 1,020,841 4.9
(注)
平成21年度末から24年度末までの法人別の出資残高等については、別表2-1別表2-2別表2-3別表2-4を参照

前記のとおり、国は、政府出資株式会社等に対して、特定の事業の実施等のために必要があると認めるときは、追加出資を行っている。22年度から25年度までの間に行われた国から政府出資株式会社等への追加出資の状況をみると、表4のとおり、追加出資を受けた法人は7法人で、その額は計4兆0347億余円となっており、当該追加出資の目的は、貸付けなどに要する資金として使用するためなどとなっている。

表4 国から政府出資株式会社等への追加出資の状況(平成22年度~25年度)

法人名 追加出資の額(百万円) 追加出資を受けた主な目的
平成22年度 23年度 24年度 25年度 22年度~25年度計
株式会社日本政策金融公庫 702,050 2,055,062 622,856 359,223 3,739,191 貸付けなどに要する資金として使用するため
株式会社日本政策投資銀行 6,594 19,165 25,759 危機対応業務の実施に必要な経営基盤充実のため
株式会社産業革新機構 10,000 50,000 124,000 20,000 204,000 民間事業者等への出資に要する資金として使用するため
沖縄振興開発金融公庫 200 444 1,153 600 2,397 民間事業者等への出資に要する資金として使用するため
日本私立学校振興・共済事業団 28,166 12,194 40,360 貸付けに要する資金として使用するため
預金保険機構 18,680 3,000 21,680 他の法人(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構(平成23年度)及び株式会社地域経済活性化支援機構(平成24年度))に出資するため
農水産業協同組合貯金保険機構 1,320 1,320 他の法人(株式会社東日本大震災事業者再生支援機構)に出資するため
7法人 計 712,250 2,160,266 782,368 379,823 4,034,707
(イ) 政府出資割合の状況

政府出資株式会社等38法人を政府出資割合の別に区分してみると、表5のとおり、25年度末において、政府出資割合が50.0%以上となっているのは、政府出資株式会社17法人(うち政府出資割合が50%のもの1法人)及び非株式会社10法人(同1法人)の計27法人となっており、このうち政府出資割合が100%のものは、政府出資株式会社11法人及び非株式会社6法人の計17法人と過半を占めている。一方、政府出資割合が50.0%未満となっているのは、全て政府出資株式会社で計11法人となっている。

表5 政府出資割合別の政府出資株式会社等数(平成25年度末)

政府出資割合
(国の出資残高/出資残高)
法人名
政府出資株式会社 非株式会社
株式会社日本政策金融公庫(100%) 沖縄振興開発金融公庫(100%) 政府出資割合が100%であるもの
政府出資株式会社 11法人
非株式会社    6法人
        計17法人
株式会社国際協力銀行(100%) 日本私立学校振興・共済事業団(100%)
中間貯蔵・環境安全事業株式会社(100%) 日本中央競馬会(100%)
成田国際空港株式会社(100%) 日本司法支援センター(100%)
東日本高速道路株式会社(100%) 全国健康保険協会(100%)
中日本高速道路株式会社(100%) 日本年金機構(100%)
西日本高速道路株式会社(100%) 預金保険機構(99.0%)
日本郵政株式会社(100%) 農水産業協同組合貯金保険機構(86.1%)
50.0%以上 株式会社日本政策投資銀行(100%) 日本銀行(55.0%)
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(100%) 原子力損害賠償・廃炉等支援機構(50%)
新関西国際空港株式会社(100%)
株式会社産業革新機構(95.3%)
株式会社農林漁業成長産業化支援機構(94.3%)
株式会社海外需要開拓支援機構(77.9%)
本州四国連絡高速道路株式会社(66.6%)
東京地下鉄株式会社(53.4%)
株式会社民間資金等活用事業推進機構(50%)
17法人 10法人 27法人
首都高速道路株式会社(49.9%)
阪神高速道路株式会社(49.9%)
株式会社商工組合中央金庫(46.4%)
中部国際空港株式会社(39.9%)
日本アルコール産業株式会社(33.3%)
50.0%未満 日本たばこ産業株式会社(33.3%)
日本電信電話株式会社(21.1%)
間接出資法人 北海道旅客鉄道株式会社(0%) (注)
四国旅客鉄道株式会社(0%) (注)
九州旅客鉄道株式会社(0%) (注)
日本貨物鉄道株式会社(0%) (注)
11法人 11法人
(注)
北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社については、政府出資割合100%の独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が全額出資している間接出資法人であるため、政府出資割合は0%としている。

イ 国等による出資以外の財政支援等の状況

アのとおり、国は、政府出資株式会社等に対して直接又は間接に出資を行い、また、当該政府出資株式会社等が貸付けに要する資金として使用するなどのために必要があると認めるときは追加出資も行っている。

そして、国等は、これらの出資のほかに、表6のとおり、政府出資株式会社等に対して、補助金等の交付、運営費交付金の交付、経営安定基金の設置、融資、債務保証、法人税の非課税等の様々な財政支援等を行っている。

表6 国等による財政支援等の状況

(単位:百万円)
区分 法人名 平成21年度~25年度の交付額計 25年度末残高 法人税の非課税(法
人税法上、公共法人
又は公益法人等に区
分されており、非課税
等となっている法人)
補助金等 運営費交付金 経営安定基金資産 融資 債務保証
政府出資株式会社 株式会社日本政策金融公庫 注(1) 211,358 16,397,195 1,194,542
株式会社国際協力銀行 599,852 6,425
東京地下鉄株式会社 注(2) 11,706
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 43,664 83,200
成田国際空港株式会社
東日本高速道路株式会社 170,000
中日本高速道路株式会社
西日本高速道路株式会社 225,400
本州四国連絡高速道路株式会社
日本郵政株式会社
株式会社日本政策投資銀行 4,213,694 2,647,084
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社
株式会社産業革新機構 213,500
新関西国際空港株式会社 10,900 359,980
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 61
株式会社民間資金等活用事業推進機構
株式会社海外需要開拓支援機構
中部国際空港株式会社 115,539 174,800
日本電信電話株式会社
首都高速道路株式会社 78,300
阪神高速道路株式会社 21,600
日本アルコール産業株式会社
株式会社商工組合中央金庫
日本たばこ産業株式会社
北海道旅客鉄道株式会社 注(2) 9,013 752,313 252,909
四国旅客鉄道株式会社 注(2) 3,285 224,366 148,974
九州旅客鉄道株式会社 注(2) 1,634 426,791 52,612
日本貨物鉄道株式会社 注(2) 23,404 52,139
315,026 1,403,470 21,832,917 5,174,831 2法人
非株式会社 沖縄振興開発金融公庫 350 544,048
日本私立学校振興・共済事業団 注(3) 1,627,623 234,134
日本銀行
日本中央競馬会
預金保険機構 2,585,500
日本司法支援センター 73,981
全国健康保険協会 6,155,760
日本年金機構 1,348,376
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 1,000,000
農水産業協同組合貯金保険機構
7,783,734 1,422,357 778,182 3,585,500 9法人
合計 8,098,761 1,422,357 1,403,470 22,611,099 8,760,331 11法人
注(1)
株式会社日本政策金融公庫に係る計数については、平成24年4月に同会社から分離した株式会社国際協力銀行に係る分は含まれていない。
注(2)
補助金等の額には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が国から交付された補助金等を原資として、北海道旅客鉄道株式会社等5法人に交付した額を含む。
注(3)
日本私立学校振興・共済事業団に交付された補助金は、私立大学等経常費補助金として全額私立大学等へ配分されるものである。

これを財政支援等の種別にみると、次のような状況となっている。

(ア) 補助金等の交付

21年度から25年度までの間において、国等が政府出資株式会社等に交付した補助金等(補助金等の額には、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)が国から交付された補助金等を原資として、北海道旅客鉄道株式会社等5法人に交付した額を含む。)の交付状況についてみたところ、表7のとおり、補助金等の交付の対象となった法人は12法人で、その交付額は計8兆0987億余円となっている。このうち、政府出資株式会社に対するものが9法人で計3150億余円、非株式会社に対するものが3法人で計7兆7837億余円となっている。

政府出資株式会社9法人の中で補助金等の交付額が最も多い法人は、株式会社日本政策金融公庫(2113億余円)であり、これは、主に同会社が行う低利融資のために国から交付されたものである。次に補助金等の交付額が多い法人は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(436億余円)であり、これは、同会社が行うポリ塩化ビフェニル廃棄物処理施設の整備のために国から交付されたものである。

そして、日本貨物鉄道株式会社に対しては、国土交通省、環境省及び鉄道・運輸機構から計234億余円の補助金等が交付されている。このうちの209億余円は、第三セクター鉄道会社等に対する線路使用料に係る日本貨物鉄道株式会社の負担を軽減させるなどのため、並行在来線における鉄道貨物輸送に係る調整金として、鉄道・運輸機構から交付されたものである。

また、非株式会社3法人の中で補助金等の交付額が最も多い法人は、全国健康保険協会(6兆1557億余円)であり、これは、同協会が管掌する健康保険事業の執行に要する費用の一部を補助するために、健康保険法(大正11年法律第70号)に基づいて国から交付されたものなどである。次に補助金等の交付額が多い法人は、日本私立学校振興・共済事業団(1兆6276億余円)であり、これは、同事業団が私立大学等に配分する私立大学等経常費補助金の財源として、日本私立学校振興・共済事業団法(平成9年法律第48号。以下「事業団法」という。)に基づいて国から交付されたものである。そして、この2法人で補助金等の交付対象となった政府出資株式会社等計12法人に対する交付額全体の96.1%を占めている。

表7 補助金等の交付状況(平成21年度から25年度までの交付額計)

(政府出資株式会社) (単位:百万円)
       法人名
府省等名
株式会社日
本政策金融公庫 注(1)
東京地下鉄
株式会社 注(2)
中間貯蔵・
環境安全事
業株式会社
新関西国際
空港株式会
株式会社農
林漁業成長
産業化支援
機構
北海道旅客
鉄道株式会
注(2)
四国旅客鉄
道株式会社
注(2)
九州旅客鉄
道株式会社
注(2)
日本貨物鉄
道株式会社
注(2)
財務省 36,787 36,787
厚生労働省 6,725 6,725
農林水産省 76,223 61 76,284
経済産業省 91,621 91,621
国土交通省 343 10,900 545 110 1,147 1,375 14,421
環境省 43,664 50 43,714
211,358 343 43,664 10,900 61 545 110 1,147 1,425 269,554


鉄道・運輸機構 11,362 8,468 3,174 487 21,978 45,471
11,362 8,468 3,174 487 21,978 45,471
合計 211,358 11,706 43,664 10,900 61 9,013 3,285 1,634 23,404 315,026
(非株式会社) (単位:百万円) (単位:百万円)
       法人名
府省名
沖縄振興開発金融公庫 日本私立学校振興・共済事業団 注(3) 全国健康保険協会 区分 政府出資株式会社 非株式会社
内閣府 286 286 269,554 7,783,734 8,053,289
厚生労働省 6,155,760 6,155,760 国以外 45,471 45,471
文部科学省 1,627,623 1,627,623 315,026 7,783,734 8,098,761
経済産業省 64 64
350 1,627,623 6,155,760 7,783,734
注(1)
株式会社日本政策金融公庫に係る計数については、平成24年4月に同会社から分離した株式会社国際 協力銀行に係る分は含まれていない。
注(2)
補助金等の額には、鉄道・運輸機構が国から交付された補助金等を原資として、北海道旅客鉄道株式 会社等5法人に交付した額を含む。
注(3)
日本私立学校振興・共済事業団に交付された補助金は、私立大学等経常費補助金として全額私立大学 等へ配分されるものである。
注(4)
平成21年度から25年度までの財政支援等の年度別の交付実績については、別表3を参照
(イ) 運営費交付金の交付

運営費交付金は、国が予算の範囲内において、政府出資株式会社等の事業の財源に充てるために必要な金額の全部又は一部に相当する金額を交付するものである。21年度から25年度までの間において、運営費交付金の交付の対象となった法人は、表8のとおり、日本司法支援センター及び日本年金機構の2法人であり、その交付額は計1兆4223億余円となっている。これらの運営費交付金は、それぞれ総合法律支援法(平成16年法律第74号)において準用される独立行政法人通則法及び日本年金機構法(平成19年法律第109号)に基づいて交付されたものである。

表8 運営費交付金の交付状況(平成21年度から25年度までの交付額計)

(単位:百万円)
        法人名
府省名
日本司法支援センター 日本年金機構
法務省 73,981 73,981
厚生労働省 1,348,376 1,348,376
73,981 1,348,376 1,422,357
(注)
平成21年度から25年度までの財政支援等の年度別の交付実績については、別表3を参照
(ウ) 経営安定基金の設置

日本国有鉄道から北海道、四国及び九州の各地域の旅客鉄道事業を引き継いだ北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社(以下、これらを合わせて「三島会社」という。)には、鉄道ネットワークの維持、向上を図るための収益調整の措置として、日本国有鉄道改革法(昭和61年法律第87号)に基づいて、日本国有鉄道が必要な額の債務を負担する形でそれぞれ経営安定基金(北海道旅客鉄道株式会社6822億円、四国旅客鉄道株式会社2082億円、九州旅客鉄道株式会社3877億円)が設けられている。そして、各会社は、その見合いの資産である経営安定基金資産をそれぞれの自主性及び責任の下に管理し、同資産を運用することによって得た収益により営業損失を補塡することとなっている。21年度末から25年度末までの貸借対照表上の経営安定基金資産の状況をみると、各会社における資産運用の結果、表9のとおりとなっており、25年度末の残高は、計1兆4034億余円となっている。

表9 貸借対照表上の経営安定基金資産の状況(平成21年度末~25年度末)

(単位:百万円)
法人名 平成21年度末 22年度末 23年度末 24年度末 25年度末
北海道旅客鉄道株式会社 678,737 676,753 675,140 732,700 752,313
四国旅客鉄道株式会社 206,574 206,332 208,596 225,433 224,366
九州旅客鉄道株式会社 383,581 381,554 388,525 420,108 426,791
1,268,894 1,264,640 1,272,263 1,378,242 1,403,470
(エ) 融資

政府出資株式会社等は、国等から民間では対応が困難な長期・低利の融資又は無利子の融資を受けている。そして、21年度から25年度までの間において、国等が政府出資株式会社等に対して行った融資の状況をみたところ、表10のとおり、25年度末において融資残高のある法人は10法人で、その残高は計22兆6110億余円となっている。このうち、政府出資株式会社は8法人で計21兆8329億余円、非株式会社は2法人で計7781億余円となっている。

上記10法人の中で融資残高が最も多い法人は、株式会社日本政策金融公庫であり、その残高は16兆3971億余円となっている。これは、同会社が行う融資事業の貸付原資とするために、財政融資資金借入金等として財務省等から融資を受けたものである。

北海道、四国両旅客鉄道株式会社は、近年の低金利によって経営安定基金資産の運用収益が悪化したことから、その安定的な収益を確保するために、鉄道・運輸機構から、23年度に、両会社で計3600億円(北海道旅客鉄道株式会社2200億円、四国旅客鉄道株式会社1400億円)の無利子貸付けを受けている。そして、両会社はこの無利子貸付けを原資として、鉄道・運輸機構が発行する鉄道建設・運輸施設整備支援機構特別債券(以下「鉄道・運輸機構特別債券」という。)を購入し、その受取利息を損益計算書上の鉄道建設・運輸施設整備支援機構特別債券受取利息収益として計上している。

表10 融資残高の状況(平成21年度末~25年度末)

(単位:百万円)
区分 法人名 府省等名 種類 平成21年度末 22年度末 23年度末 24年度末 25年度末
政府出資株式会社 株式会社日本政策金融公庫 (注) 財務省 有利子 15,727,561 16,321,614 16,753,053 16,711,154 16,214,058
農林水産省 無利子 93,496 81,494 71,814 62,167 51,836
経済産業省 無利子 131,300 131,300 131,300 131,300 131,300
小計 15,952,357 16,534,408 16,956,168 16,904,622 16,397,195
株式会社国際協力銀行 財務省 有利子 421,278 599,852
株式会社日本政策投資銀行 財務省 有利子 5,402,900 4,866,584 4,577,285 4,466,008 4,213,694
中部国際空港株式会社 財務省 無利子 126,018 123,401 120,785 118,168 115,539
北海道旅客鉄道株式会社 鉄道・運輸機構 無利子 29,213 29,213 249,213 251,726 252,909
四国旅客鉄道株式会社 鉄道・運輸機構 無利子 8,179 8,179 148,179 148,423 148,974
九州旅客鉄道株式会社 鉄道・運輸機構 無利子 30,654 30,654 30,654 38,674 52,612
日本貨物鉄道株式会社 鉄道・運輸機構 無利子 31,954 31,954 31,954 39,265 52,139
21,581,276 21,624,395 22,114,239 22,388,167 21,832,917
非株式会社 沖縄振興開発金融公庫 財務省 有利子 782,244 711,052 642,057 588,892 542,407
財務省 無利子 3,942 3,313 2,703 2,119 1,597
農林水産省 無利子 320 307 87 54 42
小計 786,508 714,673 644,848 591,066 544,048
日本私立学校振興・共済事業団 財務省 有利子 199,921 213,997 211,310 218,418 234,134
986,429 928,670 856,158 809,485 778,182
合計 22,567,706 22,553,065 22,970,397 23,197,652 22,611,099
(注)
株式会社日本政策金融公庫に係る計数については、平成24年4月に同会社から分離した株式会社国際協力銀行に係る分は含まれていない。
(オ) 債務保証

21年度から25年度までの間において、政府出資株式会社等が行う債券発行等に対して国が行っている債務保証の状況をみたところ、表11のとおり、25年度末において債務保証残高のある法人は13法人で、その残高は計8兆7603億余円となっている。このうち、政府出資株式会社は11法人で計5兆1748億余円、非株式会社は2法人で計3兆5855億円となっている。

上記13法人の中で債務保証残高が最も多い法人は、株式会社日本政策投資銀行(2兆6470億余円)であり、これは、融資事業の貸付原資となる資金を長期的かつ安定的に調達することを目的として、同会社が発行した債券に対して国が債務保証を行ったものである。次に債務保証残高が多い法人は、預金保険機構(2兆5855億円)であり、これは、同機構がその事業に必要な資金を民間金融機関等から調達するために発行した債券等に対して国が債務保証を行ったものである。

表11 債務保証残高の状況(平成21年度末~25年度末)

(単位:百万円)

法人名 府省名 平成21年度末 22年度末 23年度末 24年度末 25年度末







株式会社日本政策金融公庫 (注) 財務省 2,215,683 1,937,356 1,765,008 1,502,311 1,194,542
株式会社国際協力銀行 財務省 2,500 6,425
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 財務省 124,900 121,600 114,700 103,700 83,200
東日本高速道路株式会社 財務省 260,000 260,000 260,000 260,000 170,000
中日本高速道路株式会社 財務省 370,000 250,000 250,000
西日本高速道路株式会社 財務省 290,400 290,400 290,400 290,400 225,400
株式会社日本政策投資銀行 財務省 2,248,007 2,159,150 2,252,553 2,445,299 2,647,084
株式会社産業革新機構 財務省 219,000 210,500 213,500
新関西国際空港株式会社 財務省 370,701 359,980
中部国際空港株式会社 財務省 203,140 197,880 194,110 187,410 174,800
首都高速道路株式会社 財務省 88,300 88,300 88,300 88,300 78,300
阪神高速道路株式会社 財務省 40,500 34,160 34,160 34,160 21,600
5,840,930 5,338,847 5,468,232 5,495,282 5,174,831




預金保険機構 財務省 5,484,700 4,092,100 2,837,800 2,837,300 2,585,500
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 内閣府
文部科学省
経済産業省
1,000,000 1,000,000
5,484,700 4,092,100 2,837,800 3,837,300 3,585,500
合計 11,325,630 9,430,947 8,306,032 9,332,582 8,760,331
(注)
株式会社日本政策金融公庫に係る計数については、平成24年4月に同会社から分離した株式会社国際協力銀行に係る分は含まれていない。
(カ) 非課税又は税の軽減

法人は一般的に納税の義務を負っているが、公益上その他の事由により、特定の事業を行う法人等に対して、法人税法(昭和40年法律第34号)及び地方税法(昭和25年法律第226号)に基づく非課税等の税制上の優遇措置が講じられている。

このうち、法人税が非課税となるのは、法人税法別表第一に掲げる公共法人であり、表12のとおり、政府出資株式会社2法人、非株式会社4法人、計6法人がこれに該当している。また、法人税法別表第二に掲げる公益法人等については、収益事業を行う場合に限り法人税を納める義務があり、収益事業以外の事業から生ずる所得には法人税が課されないこととなっており、表12のとおり、これには非株式会社5法人が該当している。

表12 法人税法上の法人区分

区分 法人名 法人税法上の法人区分
公共法人 公益法人等
政府出資
株式会社
株式会社日本政策金融公庫
株式会社国際協力銀行
非株式会社 沖縄振興開発金融公庫
日本私立学校振興・共済事業団
日本中央競馬会
預金保険機構
日本司法支援センター
全国健康保険協会
日本年金機構
原子力損害賠償・廃炉等支援機構
農水産業協同組合貯金保険機構
6法人 5法人

(2) 政府出資株式会社等における事業の実施状況及び財務状況

政府出資株式会社等38法人における事業の実施状況及び財務状況をみたところ、次のとおりとなっている。

ア 政府出資株式会社

(ア) 事業の実施状況

政府出資株式会社28法人のうち、社会資本整備関連の高速道路会社6法人(注4)、空港会社3法人(注5)及び鉄道会社5法人(注6)における事業の実施状況をみたところ、表13-1のとおりであり、これを事業の類型別にみると、次のとおりとなっている。

(注4)
高速道路会社6法人 東日本、中日本、西日本、本州四国連絡、首都、阪神各高速道路株式会社
(注5)
空港会社3法人 成田、新関西、中部各国際空港株式会社
(注6)
鉄道会社5法人 東京地下鉄株式会社、北海道、四国、九州各旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社

① 高速道路会社 高速道路会社6法人のうち、21年度と25年度で日平均交通量の集計方法が異なる首都、阪神両高速道路株式会社を除く4法人について、21年度と25年度の日平均交通量を比較すると、25年度の方が多くなっている。特に、本州四国連絡高速道路株式会社は、高速道路延長に変化はなかったが、高速道路料金収入及び日平均交通量は共に増加している。

② 空港会社 空港会社3法人のうち、21年度の時点で設立されていなかった新関西国際空港株式会社を除く2法人について、21年度と25年度の航空機発着回数を比較すると、いずれも25年度の方が多くなっているが、23年度については、東日本大震災等の影響により発着回数が前年より減少している。

③ 鉄道会社 鉄道会社5法人について、21年度から25年度までの旅客運輸収入(日本貨物鉄道株式会社は鉄道事業収入)をみると、九州旅客鉄道株式会社を除く4法人は、横ばい傾向で推移している。そして、九州旅客鉄道株式会社は、23年3月に九州新幹線が全線開業したことなどにより、25年度の旅客運輸収入が21年度に比べて約1.2倍となっている。

表13-1 高速道路会社、空港会社及び鉄道会社における事業の実施状況(平成21年度~25年度)

区分 法人名 指標の名称 平成21年度
(a)
22年度 23年度 24年度 25年度
(b)
21年度に対する
25年度の割合
(b)/(a)
[%]






東日本高速道路株式会社 高速道路延長(km) 3,565 3,593 3,653 3,677 3,735 104.7
高速道路料金収入(百万円) 571,150 558,777 528,043 642,174 658,934 115.3
日平均交通量(台/日) 2,497,078 2,682,967 2,827,170 2,691,672 2,811,377 112.5
中日本高速道路株式会社 高速道路延長(km) 1,761 1,774 1,762 1,944 1,949 110.6
高速道路料金収入(百万円) 446,865 442,266 476,788 497,373 511,461 114.4
日平均交通量(台/日) 1,723,953 1,884,981 1,850,418 1,861,608 1,935,604 112.2
西日本高速道路株式会社 高速道路延長(km) 3,338 3,364 3,375 3,388 3,427 102.6
高速道路料金収入(百万円) 525,215 506,290 557,498 585,452 605,520 115.2
日平均交通量(台/日) 2,421,790 2,900,945 2,718,968 2,699,450 2,821,655 116.5
本州四国連絡高速道路株式会社 高速道路延長(km) 172 172 172 172 172 100.0
高速道路料金収入(百万円) 53,576 55,702 61,201 63,951 65,354 121.9
日平均交通量(台/日) 50,903 51,324 49,432 50,271 51,655 101.4
首都高速道路株式会社 (注) 高速道路延長(km) 299 301 301 301 301 100.6
高速道路料金収入(百万円) 234,647 243,714 250,724 255,730 254,443 108.4
日平均交通量(台/日) 1,119,739 1,113,870 1,075,287 949,430 950,495
阪神高速道路株式会社 (注) 高速道路延長(km) 242 245 245 254 259 107.0
高速道路料金収入(百万円) 154,230 161,919 166,733 170,404 173,305 112.3
日平均交通量(台/日) 861,408 876,062 834,083 723,970 740,954




成田国際空港株式会社 航空機発着回数(万回) 18.7 19.1 18.7 21.2 22.6 120.8
空港運営事業売上高等(百万円) 105,295 110,466 103,085 113,505 113,138 107.4
新関西国際空港株式会社 航空機発着回数(万回) 25.6 27.2
空港運営事業売上高等(百万円) 56,738 78,110
中部国際空港株式会社 航空機発着回数(万回) 8.6 8.3 8.2 8.3 9.0 104.6
空港事業売上高等(百万円) 30,153 26,358 25,158 25,439 26,236 87.0




東京地下鉄株式会社 輸送人キロ(百万人キロ) 18,518 18,534 18,375 18,905 19,769 106.7
旅客運輸収入(百万円) 295,290 293,032 289,272 298,651 312,280 105.7
北海道旅客鉄道株式会社 輸送人キロ(百万人キロ) 4,301 4,249 4,236 4,346 4,311 100.2
旅客運輸収入(百万円) 69,266 67,735 67,299 68,860 67,077 96.8
四国旅客鉄道株式会社 輸送人キロ(百万人キロ) 1,387 1,379 1,378 1,388 1,415 102.0
旅客運輸収入(百万円) 22,903 22,792 22,620 22,802 22,991 100.3
九州旅客鉄道株式会社 輸送人キロ(百万人キロ) 7,902 8,074 8,888 8,924 9,182 116.1
旅客運輸収入(百万円) 114,470 116,857 141,644 141,206 143,990 125.7
日本貨物鉄道株式会社 輸送トンキロ(百万トンキロ) 20,432 20,255 19,879 20,180 20,763 101.6
鉄道事業収入(百万円) 137,010 135,316 133,068 131,256 133,152 97.1
(注)
首都、阪神両高速道路株式会社の「日平均交通量」の集計方法は、平成23年12月までは料金圏1回の利用を1台として集計していたが、24年1月からの距離別料金の導入に伴い、高速道路1回の利用を1台として集計することに変更されている。このように、23年度の途中から集計方法が変更されたため、21年度に対する25年度の割合は算出していない。

また、政府出資株式会社28法人のうち、金融機関4法人(注7)、官民ファンド4法人 (注8)及びその他の業種6法人(注9)における事業の実施状況をみたところ、表13-2のとおりであり、これを事業の類型別にみると、次のとおりとなっている。

(注7)
金融機関4法人 株式会社日本政策金融公庫、株式会社国際協力銀行、株式会社日本政策投資銀行、株式会社商工組合中央金庫
(注8)
官民ファンド4法人 株式会社産業革新機構、株式会社農林漁業成長産業化支援機構、株式会社民間資金等活用事業推進機構、株式会社海外需要開拓支援機構
(注9)
その他の業種6法人 中間貯蔵・環境安全事業株式会社、日本郵政株式会社、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社、日本電信電話株式会社、日本アルコール産業株式会社、日本たばこ産業株式会社

④ 金融機関 株式会社国際協力銀行を除く金融機関3法人における21年度末から25年度末までの貸付金等残高は、ほぼ横ばい傾向で推移している。

⑤ 官民ファンド 官民ファンド4法人については、そのほとんどが設立後間もないため、25年度末における融資等の件数は少ない。なお、26年度以降は新たに融資等が実施されているものも見受けられる。

⑥ その他の業種 日本郵政株式会社の個人保険保有契約件数、輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社のAir-NACCS(注10)参加事業者数、日本電信電話株式会社のシステムインテグレーション(注11)収入について、それぞれ増加傾向が顕著になっている。

(注10)
Air-NACCS 入出港する船舶・航空機及び輸出入される貨物について、税関その他の関係行政機関に対する手続及び関連する民間業務をオンラインで処理するシステムのうち、航空貨物の手続等を行うもの
(注11)
システムインテグレーション システムの企画、構築、導入、保守、運用等を行う事業

表13-2 金融機関、官民ファンド及びその他の業種における事業の実施状況(平成21年度~25年度)

区分 法人名 指標の名称 平成21年度
(a)
22年度 23年度 24年度 25年度
(b)
21年度に対する
25年度の割合
(b)/(a)
[%]




株式会社日本政策金融公庫 
注(1)
年度末貸付金等件数(件) 2,773,903 2,661,361 2,573,070 2,506,369 2,446,436 88.1
年度末貸付金等残高(百万円) 20,411,229 20,612,731 21,289,372 21,178,335 20,598,245 100.9
株式会社国際協力銀行 年度末貸付金等件数(件) 1,172 1,219
年度末貸付金等残高(百万円) 10,555,128 12,655,401
株式会社日本政策投資銀行 年度末貸付金等件数(件) 13,016 12,579 12,141 11,507 10,832 83.2
年度末貸付金等残高(百万円) 14,238,629 13,820,316 14,619,528 14,995,033 15,087,610 105.9
株式会社商工組合中央金庫 年度末貸付金等件数(件) 328,521 321,068 338,480 339,102 324,179 98.6
年度末貸付金等残高(百万円) 9,455,603 9,520,295 9,626,981 9,549,056 9,488,404 100.3






株式会社産業革新機構 投資件数(件) 12 9 14 27
投資金額(百万円) 30,915 266,962 72,399 170,069
株式会社農林漁業成長産業化
支援機構
出資件数(件) 6
出資金額(百万円) 180
株式会社民間資金等活用事
業推進機構
出資件数(件) 1
出資金額(百万円) 1
株式会社海外需要開拓支援
機構
投資件数(件)
投資金額(百万円)






中間貯蔵・環境安全事業株
式会社
ポリ塩化ビフェニル廃棄物受入
重量(トン)
4,879 5,260 5,530 6,535 5,793 118.7
日本郵政株式会社 注(2) 総引受郵便等物数(億通) 234 228 224 223 223 95.5
貯金期末残高(百万円) 175,797,715 174,653,220 175,635,370 176,096,136 176,612,780 100.4
個人保険保有契約件数(千件) 4,342 6,180 8,018 9,871 11,668 268.7
輸出入・港湾関連情報処理
センター株式会社
Sea-NACCS参加事業者数(事業
者)
3,261 3,611 3,847 4,229 4,637 142.1
Air-NACCS参加事業者数(事業
者)
1,238 1,490 1,704 2,043 2,331 188.2
日本電信電話株式会社 注(3) ネットワーク収入(億円) 7兆6197 7兆5435 6兆9755 6兆6831 6兆3434 83.2
システムインテグレーション収
入(億円)
1兆2427 1兆3822 1兆9360 2兆0100 2兆2750 183.0
固定電話契約件数(万契約) 3833 3488 3167 2877 2637 68.7
フレッツ光契約件数(万契約) 1325 1506 1656 1730 1805 136.2
携帯電話契約件数(万契約) 5608 5801 6013 6154 6311 112.5
日本アルコール産業株式会
売上高(百万円) 23,119 20,123 19,786 20,232 20,977 90.7
日本たばこ産業株式会社 国内たばこ事業販売数量(百万
本)
151,863 134,637 108,432 116,217 120,083 79.0
国内たばこ事業自社たばこ製品
売上収益(百万円)
629,580 632,158 611,924 653,999 676,170 107.4
海外たばこ事業販売数量(百万
本)
434,927 428,414 425,743 436,524 416,365 95.7
海外たばこ事業自社たばこ製品
売上収益(百万ドル)
9,682 10,112 11,210 11,816 12,273 126.7
注(1)
株式会社日本政策金融公庫の指標のうち、「年度末貸付金等件数」は、国民一般向け業務、農林水産業者向け業務及び中小企業者向け業務に係るものの合計であり、「年度末貸付金等残高」は、これらのほか、危機対応円滑化業務における指定金融機関向け貸出しを加算したものである。
注(2)
日本郵政株式会社の指標は、同会社の子会社である日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険の事業に係るものである。
注(3)
日本電信電話株式会社の指標は、同会社の子会社である東日本、西日本両電信電話株式会社、株式会 社NTTドコモ等の事業に係るものである。
(イ) 損益の状況

政府出資株式会社28法人について、25年度における損益の状況をみると、表14のとおり、19法人は単体決算に加えて連結決算を行っており、9法人は単体決算のみを行っている。なお、19法人のうち4法人(三島会社及び日本貨物鉄道株式会社)については、金融商品取引法に基づく連結財務諸表の作成及び開示の義務はないが、任意で連結決算の開示を行っている。

当期純損益等については、単体決算において10法人が当期純損失を計上している。このうち、連結決算を行っているのは5法人であり、連結決算において、利益を計上しているものが3法人(東日本、中日本、西日本各高速道路株式会社)、損失を計上しているがその損失額が単体決算よりも少なくなっているものが2法人(首都、阪神両高速道路株式会社)となっている。

表14 政府出資株式会社の損益の状況(平成25年度)

(単位:百万円)
区分 法人名 単体・連結の別 経常収益等 注(1) 営業損益 経常損益 当期純損益等 注(2)
① 
高速
道路
会社
東日本高速道路株式会社 単体 821,457 △ 2,834 845 △ 125
連結 859,053 3,252 5,795 2,296
中日本高速道路株式会社 単体 603,402 △ 3,184 △ 2,208 △ 3,094
連結 635,443 2,040 3,433 1,230
西日本高速道路株式会社 単体 851,520 507 1,945 △ 533
連結 886,616 4,472 6,173 3,480
本州四国連絡高速道路株式会社 単体 77,073 435 632 459
連結 78,861 924 1,231 852
首都高速道路株式会社 単体 313,345 △ 1,822 △ 1,373 △ 1,631
連結 316,216 533 818 △ 480
阪神高速道路株式会社 単体 326,167 △ 2,135 △ 1,841 △ 2,382
連結 329,329 △ 1,453 △ 988 △ 1,945
② 
空港
会社
成田国際空港株式会社 単体 156,451 33,651 27,375 16,422
連結 199,496 39,811 33,332 19,936
新関西国際空港株式会社 単体 112,749 7,417 5,841 3,489
連結 126,827 32,614 21,877 23,934
中部国際空港株式会社 単体 45,340 5,168 3,701 3,168
連結 46,010 5,429 3,816 3,328
③ 
鉄道
会社
東京地下鉄株式会社 単体 355,385 93,830 81,415 49,380
連結 393,986 100,303 86,514 51,654
北海道旅客鉄道株式会社 注(3) 単体 82,787 △ 37,246 3,765 6,056
連結 189,482 △ 28,610 11,417 9,156
四国旅客鉄道株式会社 注(3) 単体 27,958 △ 10,164 5,233 6,277
連結 48,883 △ 10,582 4,692 7,944
九州旅客鉄道株式会社 注(3) 単体 196,145 △ 1,905 11,615 7,232
連結 354,810 9,072 21,216 11,566
日本貨物鉄道株式会社 注(3) 単体 152,430 6,438 3,472 1,886
連結 187,849 7,879 4,695 2,635
④ 
金融
機関
株式会社日本政策金融公庫 単体 788,255 △ 35,817 △ 35,936
株式会社国際協力銀行 単体 226,100 91,358 91,366
株式会社日本政策投資銀行 単体 340,802 154,741 123,240
連結 361,610 165,777 124,303
株式会社商工組合中央金庫 単体 189,163 26,777 12,519
連結 219,671 27,426 12,885
⑤ 
官民
ファ
ンド
株式会社産業革新機構 単体 166,866 58,752 58,636 36,216
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 単体 61 △ 711 △ 723 △ 727
株式会社民間資金等活用事業推進機構 単体 △ 240 △ 243 △ 244
株式会社海外需要開拓支援機構 単体 △ 427 △ 567 △ 567
⑥ 
その
他の
業種
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 単体 55,985 13,489 12,787 9,174
日本郵政株式会社 単体 272,988 146,002 147,837 155,090
連結 15,240,126 1,103,603 479,071
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 単体 8,847 219 79 △ 24
日本電信電話株式会社 注(4) 単体 430,843 283,530 277,322 279,224
連結 10,925,174 1,213,653 585,473
日本アルコール産業株式会社 単体 20,977 218 283 190
日本たばこ産業株式会社 注(5) 単体 809,967 230,245 230,900 168,779
連結 2,399,841 648,260 427,987
連結決算を行っている法人(19法人)
単体決算のみを行っている法人(9法人)
注(1)
「経常収益等」とは、「経常収益」、「営業収益」又は「売上高」である。
注(2)
「当期純損益等」とは、「当期純利益」、「当期純損失」、「当期剰余金」又は「当期純損失金」である。
注(3)
三島会社及び日本貨物鉄道株式会社については、金融商品取引法に基づく連結財務諸表の作成及び開示の義務はないが、任意で連結決算の開示を行っている。なお、九州旅客鉄道株式会社は、別途、会社法に基づく連結計算書類を作成して監査役会及び会計監査人の監査を受けており、表中の計数はこれによるものである。
注(4)
日本電信電話株式会社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されており、「当期純損益等」は、「当社に帰属する当期純利益」である。
注(5)
日本たばこ産業株式会社の連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成されており、「当期純損益等」は、「親会社の所有者に帰属する当期利益」である。
注(6)
平成21年度から24年度までの年度別の状況については、別表4-1別表4-2別表4-3別表4-4を参照
(ウ) 政府出資株式会社における事業別の経常収益等及び営業損益の状況

政府出資株式会社28法人のうち12法人は、主たる事業のみを行っているが、表15に掲げる16法人は、法人による違いはあるものの、主たる事業以外の事業として、主に商業施設、駐車場等の運営、物品販売、各種サービスの取扱事業等を行っている。

上記の16法人における25年度の経常収益等及び営業損益について、主たる事業と主たる事業以外の事業に区分してみると、新関西国際空港株式会社、東京地下鉄株式会社、日本電信電話株式会社及び日本たばこ産業株式会社の4法人は主たる事業の営業利益が主たる事業以外の事業の営業利益を上回っている。一方、これらの4法人を除く12法人のうち9法人は主たる事業で営業損失を計上しているが、主たる事業以外の事業では営業利益を計上しており、3法人は主たる事業の営業利益を主たる事業以外の事業の営業利益が上回っている状況となっている。これを各法人の主たる事業の類型別にみると、次のとおりとなっている。

① 高速道路会社 高速道路会社6法人は、「道路関係四公団民営化の基本的枠組みについて」(平成15年12月政府・与党申し合わせ)において、高速道路の通行料金の設定に当たっては、各法人の利潤を含めないものとすることとなっているため、主たる事業である高速道路事業において利益を含めた料金設定を行うことができず、営業利益を見込めない状況となっている。一方、主たる事業以外の事業であるサービスエリア等の運営事業等においては、6法人共に営業利益を計上している状況となっている。

② 空港会社 空港会社3法人のうち成田、中部両国際空港株式会社の2法人は、主たる事業以外の事業である空港内での商業事業等に関する営業利益が、主たる事業である空港事業による営業利益を上回っている状況となっている。

③ 鉄道会社 鉄道会社5法人のうち東京地下鉄株式会社を除く三島会社及び日本貨物鉄道株式会社の4法人は、主たる事業である鉄道事業で営業損失を計上しており、他の政府出資株式会社に比べて、その損失額は大きくなっている。一方で、当該4法人は、小売業、不動産事業等の主たる事業以外の事業を拡大しており、特に三島会社の3法人は、主たる事業である鉄道事業を上回る経常収益等を計上している。そして、4法人共に、主たる事業以外の事業では営業利益を計上している状況となっている。

表15 政府出資株式会社における事業別の経常収益等及び営業損益の状況(平成25年度)

(単位:百万円)
区分 法人名 主たる事業 主たる事業以外の事業
主な事業内容 注(1)
経常収益等
営業損益 主な事業内容 注(1)
経常収益等
営業損益

高速道
路会社
東日本高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 785,849 △ 308 サービスエリア等の建設、管理及び運営等 78,030 3,554
中日本高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 582,569 △ 3,531 サービスエリア等の建設、管理及び運営等 52,937 5,540
西日本高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 828,753 △ 1,131 サービスエリア等の建設、管理及び運営等 58,607 5,538
本州四国連絡高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 74,104 245 サービスエリア等の建設、管理及び運営等 4,756 679
首都高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 278,561 △ 789 都市計画駐車場及び高架下駐車場の運営管理 38,103 1,323
阪神高速道路株式会社 高速道路の建設、管理等 316,718 △ 1,836 サービスエリア等の管理及び運営等 12,860 382

空港会
成田国際空港株式会社 空港事業 106,882 7,932 商業施設の運営、不動産の賃貸、鉄道事業等 92,613 31,947
新関西国際空港株式会社 空港事業 78,110 19,667 商業施設の運営、不動産の賃貸、鉄道事業等 54,894 12,938
中部国際空港株式会社 空港事業 26,236 2,464 商業施設の運営、駐車場の運営等 19,774 2,964

鉄道会
東京地下鉄株式会社 旅客鉄道事業等 345,268 90,011 商業施設の運営、不動産の賃貸、広告事業等 64,044 10,216
北海道旅客鉄道株式会社 旅客鉄道事業 96,294 △ 38,145 小売業、不動産の賃貸、広告事業等 129,829 9,577
四国旅客鉄道株式会社 旅客鉄道事業 30,355 △ 10,516 小売業、不動産の賃貸、広告事業等 31,125 299
九州旅客鉄道株式会社 旅客鉄道事業 174,218 △ 14,991 小売業、不動産の賃貸、広告事業等 276,921 24,897
日本貨物鉄道株式会社 貨物鉄道事業 133,152 △ 4,383 不動産事業等 19,277 10,821

その他
の業種
日本電信電話株式会社 電気通信事業等 11,187,270 1,139,862 不動産事業、金融事業、建築・電力事業等 1,328,526 56,098
日本たばこ産業株式会社 国内及び海外での製造たばこの製造・販売等 2,040,991 634,514 医薬品、清涼飲料水、加工食品等の製造・販売等 430,396 13,684
注(1)
「経常収益等」とは、「経常収益」、「営業収益」又は「売上高」である。また、その金額は、異なる事業間の取引を相殺消去していない金額である。
注(2)
各政府出資株式会社の経理上、「主たる事業」と「主たる事業以外の事業」とに区分することが困難な事業については、その実態等からみて「主たる事業」に相当する部分が過半を占める場合には「主たる事業」に、過半を下回る場合には「主たる事業以外の事業」に区分している。
注(3)
平成21年度から24年度までの年度別の状況については、別表5-1別表5-2別表5-3別表5-4を参照
(エ) 当期純損益等の推移

政府出資株式会社28法人のうち、22年度から25年度までの間に設立された5法人(新関西国際空港株式会社、株式会社国際協力銀行、株式会社農林漁業成長産業化支援機構、株式会社民間資金等活用事業推進機構及び株式会社海外需要開拓支援機構)を除く23法人について、21年度から25年度までの単体決算における当期純損益等の推移をみたところ、表16のとおり、当期純利益が増加傾向となっているのは6法人(成田、中部両国際空港株式会社、東京地下鉄株式会社、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、日本電信電話株式会社及び日本たばこ産業株式会社)、当期純損失が減少傾向となっているのは1法人(株式会社日本政策金融公庫)となっている。

高速道路会社6法人のうち4法人(東日本、中日本、西日本、阪神各高速道路株式会社)は、24年12月に発生した中央自動車道笹子トンネル天井板落下事故を受けて、安全性確保のために緊急修繕事業を行っており、この影響等により、25年度は、単体決算において当期純損失を計上している。

表16 政府出資株式会社の当期純損益等の推移(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
区分 法人名 単体・連
結の別
平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度

高速
道路
会社
東日本高速道路株式会社 単体 2,299 2,497 3,071 3,355 △ 125
連結 7,245 7,797 4,515 8,275 2,296
中日本高速道路株式会社 単体 1,736 3,753 2,157 583 △ 3,094
連結 5,540 6,547 6,856 4,352 1,230
西日本高速道路株式会社 単体 2,631 2,423 953 6,030 △ 533
連結 6,726 10,074 2,814 6,433 3,480
本州四国連絡高速道路株式会社 単体 397 55 209 413 459
連結 756 357 522 807 852
首都高速道路株式会社 単体 440 742 875 1,694 △ 1,631
連結 1,873 1,393 1,715 3,433 △ 480
阪神高速道路株式会社 単体 1,889 1,734 1,330 1,095 △ 2,382
連結 3,047 4,368 1,182 1,727 △ 1,945

空港
会社
成田国際空港株式会社 単体 4,456 8,176 2,698 12,318 16,422
連結 6,055 9,952 3,555 15,324 19,936
新関西国際空港株式会社 単体 3,926 3,489
連結 △ 2,652 23,934
中部国際空港株式会社 単体 △ 2,912 909 442 1,326 3,168
連結 △ 2,755 1,034 597 1,430 3,328

鉄道
会社
東京地下鉄株式会社 単体 37,323 35,311 29,901 43,080 49,380
連結 38,567 36,818 31,366 45,240 51,654
北海道旅客鉄道株式会社 注(2) 単体 954 △ 1,801 △ 4,786 1,326 6,056
連結 2,447 △ 59 △ 2,652 4,040 9,156
四国旅客鉄道株式会社 注(2) 単体 251 △ 1,433 151 △ 1,563 6,277
連結 393 △ 965 635 △ 1,933 7,944
九州旅客鉄道株式会社 注(2) 単体 1,844 2,808 3,326 2,057 7,232
連結 2,284 2,150 6,705 6,048 11,566
日本貨物鉄道株式会社 注(2) 単体 △ 2,759 1,062 △ 555 447 1,886
連結 △ 2,474 777 △ 717 819 2,635

金融
機関
株式会社日本政策金融公庫 注(3) 単体 △ 1,112,890 △ 886,503 △ 295,408 △ 286,268 △ 35,936
株式会社国際協力銀行 単体 63,585 91,366
株式会社日本政策投資銀行 単体 39,834 100,054 74,720 70,540 123,240
連結 39,893 101,583 77,313 71,337 124,303
株式会社商工組合中央金庫 単体 5,616 14,711 9,575 13,835 12,519
連結 6,704 15,867 10,696 15,081 12,885

官民
ファ
ンド
株式会社産業革新機構 単体 △ 1,292 △ 3,029 △ 4,472 △ 9,794 36,216
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 単体 △ 119 △ 727
株式会社民間資金等活用事業推進機構 単体 △ 244
株式会社海外需要開拓支援機構 単体 △ 567

その
他の
業種
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 単体 △ 17,054 △ 8,074 227 7,047 9,174
日本郵政株式会社 単体 145,389 153,622 151,404 145,228 155,090
連結 450,220 418,929 468,907 562,753 479,071
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 単体 △ 34 173 118 39 △ 24
日本電信電話株式会社 注(4) 単体 215,746 225,705 257,297 271,527 279,224
連結 492,266 509,629 467,701 521,932 585,473
日本アルコール産業株式会社 単体 627 154 4,589 810 190
日本たばこ産業株式会社 注(5) 単体 107,361 32,216 142,726 149,773 168,779
連結 138,448 243,315 320,883 343,596 427,987
注(1)
「当期純損益等」とは、「当期純利益」、「当期純損失」、「当期剰余金」又は「当期純損失金」である。
注(2)
三島会社及び日本貨物鉄道株式会社については、金融商品取引法に基づく連結財務諸表の作成及び開示の義務はないが、任意で連結決算の開示を行っている。なお、九州旅客鉄道株式会社は、別途、会社法に基づく連結計算書類を作成して監査役会及び会計監査人の監査を受けており、表中の計数はこれによるものである。
注(3)
平成21年度から23年度までの株式会社日本政策金融公庫に係る計数については、24年4月に同会社から分離した株式会社国際協力銀行に係る分が含まれている。
注(4)
日本電信電話株式会社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されており、「当期純損益等」は、「当社に帰属する当期純利益」である。
注(5)
日本たばこ産業株式会社の連結財務諸表は、平成21年度は日本基準、22年度から国際会計基準に基づいて作成されている。22年度から25年度までの連結財務諸表の「当期純損益等」は、「親会社の所有者に帰属する当期利益」である。
(オ) 純資産等の状況

政府出資株式会社28法人について、25年度末における純資産等の状況をみると、表17のとおり、社会資本整備関連の事業を行っている法人の単体決算でみた自己資本比率は、それぞれ高速道路会社6法人で平均15.5%、空港会社3法人で平均31.8%、鉄道会社5法人で平均48.7%となっており、高速道路会社及び空港会社と比較して、鉄道会社の自己資本比率が高い状況となっている。これは、鉄道会社のうち、三島会社に設けられている経営安定基金が純資産の部に計上されていることによるものであり、三島会社の平均でみた場合は65.4%と、東京地下鉄株式会社の自己資本比率34.7%よりも高い状況となっている。

日本郵政株式会社は、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の発行済株式の総数を保有し、これらの事業会社の経営管理を行っている。そして、単体決算でみると、負債に計上している未払金等の金額が総資産額と比較して小さいことから、単体決算での自己資本比率は高くなっている。一方、連結決算では負債に計上している貯金、保険契約準備金等の金額が、純資産額と比較して大きいことから、連結決算でみた自己資本比率は単体決算でみた自己資本比率よりも低くなっている。

中間貯蔵・環境安全事業株式会社は、16年に設立されて以降、22年度までは当期純損失を計上していたが、23年度からは当期純利益を計上している。これにより、純資産額のマイナス幅は縮小されてきているものの、25年度末においても依然として純資産額がマイナスとなっている。なお、26年度からは、福島県内において生じた除去土壌等の中間貯蔵等に係る事業を行っているため、今後の状況については変化する可能性もある。

表17 政府出資株式会社の純資産等の状況(平成25年度末)

(単位:百万円、%)
区分 法人名 単体・連
結の別
資産 負債 純資産   自己資本比率 注(1)
資本金

高速
道路
会社
東日本高速道路株式会社 単体 849,537 706,462 143,075 52,500 16.8
連結 882,424 726,329 156,094 52,500 17.6
中日本高速道路株式会社 単体 1,371,936 1,193,845 178,090 65,000 13.0
連結 1,391,882 1,193,241 198,641 65,000 14.0
西日本高速道路株式会社 単体 902,360 759,150 143,209 47,500 15.9
連結 929,551 770,200 159,351 47,500 17.1
本州四国連絡高速道路株式会社 単体 50,218 36,619 13,599 4,000 27.0
連結 56,516 43,007 13,509 4,000 23.9
首都高速道路株式会社 単体 592,956 559,853 33,103 13,500 5.6
連結 605,610 566,605 39,005 13,500 6.4
阪神高速道路株式会社 単体 216,454 184,733 31,720 10,000 14.7
連結 222,886 189,254 33,631 10,000 15.1
高速道路会社6法人の単体における自己資本比率の平均 15.5

空港
会社
成田国際空港株式会社 単体 824,582 582,264 242,318 100,000 29.4
連結 859,400 591,929 267,470 100,000 30.1
新関西国際空港株式会社 単体 1,161,787 601,331 560,456 300,000 48.2
連結 1,985,233 1,204,256 780,976 300,000 28.9
中部国際空港株式会社 単体 470,212 386,827 83,384 83,668 17.7
連結 471,720 386,769 84,951 83,668 17.8
空港会社3法人の単体における自己資本比率の平均 31.8

鉄道
会社
東京地下鉄株式会社 単体 1,286,255 840,538 445,716 58,100 34.7
連結 1,299,323 829,903 469,419 58,100 36.1
北海道旅客鉄道株式会社 注(2)注(3) 単体 1,286,674 391,474 895,200 9,000 69.6
連結 1,368,349 438,400 929,857 9,000 67.2
四国旅客鉄道株式会社 注(2)注(3) 単体 491,035 214,220 276,814 3,500 56.4
連結 495,743 209,600 286,053 3,500 57.7
九州旅客鉄道株式会社 注(2) 単体 1,015,793 303,206 712,587 16,000 70.2
連結 1,106,271 365,946 740,325 16,000 66.2
日本貨物鉄道株式会社 注(2) 単体 354,755 309,714 45,041 19,000 12.7
連結 397,325 335,561 61,763 19,000 13.7
三島会社の単体における自己資本比率の平均 65.4
鉄道会社5法人の単体における自己資本比率の平均 48.7

金融
機関
株式会社日本政策金融公庫 単体 24,653,427 20,145,668 4,507,759 3,709,538 18.3
株式会社国際協力銀行 単体 16,346,047 14,004,734 2,341,312 1,360,000 14.3
株式会社日本政策投資銀行 単体 16,247,962 13,637,880 2,610,081 1,206,953 16.0
連結 16,310,711 13,682,997 2,627,714 1,206,953 16.0
株式会社商工組合中央金庫 単体 12,459,658 11,576,874 882,783 218,653 7.0
連結 12,524,175 11,639,668 884,507 218,653 7.0

官民
ファ
ンド
株式会社産業革新機構 単体 1,462,740 616,831 845,909 150,005 57.8
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 単体 31,061 108 30,953 17,500 99.6
株式会社民間資金等活用事業推進機構 単体 19,805 49 19,755 10,000 99.7
株式会社海外需要開拓支援機構 単体 37,989 57 37,932 19,250 99.8

その
他の
業種
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 単体 82,019 126,479 △ 44,460 600
日本郵政株式会社 単体 9,740,129 1,020,744 8,719,384 3,500,000 89.5
連結 292,246,440 278,857,789 13,388,650 3,500,000 4.5
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 単体 19,438 14,347 5,091 1,000 26.1
日本電信電話株式会社 注(4) 単体 7,302,096 2,973,091 4,329,004 937,950 59.3
連結 20,284,949 9,334,231 8,511,354 937,950 42.0
日本アルコール産業株式会社 単体 33,310 5,955 27,355 3,000 82.1
日本たばこ産業株式会社 注(5) 単体 2,732,637 998,258 1,734,379 100,000 63.4
連結 4,616,766 2,020,675 2,596,091 100,000 54.2
注(1)
「自己資本比率」については、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」において開示している比率を用いており、有価証券報告書を開示していない法人については、表中の(純資産)/(資産)の比率を用いている。なお、法人の中には、BIS規制(国際業務を行う銀行等の自己資本比率に関する基準)等、異なる指標の自己資本比率を別途開示しているものもある。
注(2)
三島会社及び日本貨物鉄道株式会社については、金融商品取引法に基づく連結財務諸表の作成及び開示の義務はないが、任意で連結決算の開示を行っている。なお、九州旅客鉄道株式会社は、別途、会社法に基づく連結計算書類を作成して監査役会及び会計監査人の監査を受けており、表中の計数はこれによるものである。
注(3)
北海道、四国両旅客鉄道株式会社の連結財務諸表の計数のうち「負債」については、億円単位で開示されている。
注(4)
日本電信電話株式会社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されており、「純資産」は「株主資本」、「自己資本比率」は「株主資本比率」である。
注(5)
日本たばこ産業株式会社の連結財務諸表は、国際会計基準に基づいて作成されており、「純資産」は「資本合計」、「自己資本比率」は「親会社所有者帰属持分比率」である。
注(6)
平成21年度から24年度までの年度別の状況については、別表6-1別表6-2別表6-3別表6-4を参照

イ 非株式会社

(ア) 事業の実施状況

非株式会社10法人における事業の実施状況は、表18のとおりであり、全国健康保険協会の健康保険について、21年度に対する25年度の被保険者数と医療給付額を比較すると、被保険者数が4.0%の増加であるのに対して、医療給付額は11.5%増加しており、医療給付額の方が上回る状況となっている。

表18 非株式会社における事業の実施状況(平成21年度~25年度)

法人名 指標の名称(単位) 平成21年度
(a)
22年度 23年度 24年度 25年度
(b)
21年度に対する
25年度の割合
(b)/(a)
[%]
沖縄振興開発金融公庫 年度末貸付金等件数(件) 72,458 68,818 64,574 60,129 56,312 77.7
年度末貸付金等残高(百万円) 1,067,728 1,001,927 946,437 894,002 817,599 76.5
日本私立学校振興・共済事業団 (注) 補助金交付法人数(法人) 619 623 630 629 633 102.2
補助金交付額(百万円) 321,782 322,182 339,381 323,807 320,471 99.5
年度末貸付金等件数(件) 3,025 2,991 2,903 2,840 2,757 91.1
年度末貸付金等残高(百万円) 617,195 617,776 603,656 585,681 569,774 92.3
日本銀行 事業年度末銀行券発行高(億枚) 129 133 133 136 140 108.5
日本中央競馬会 総参加人員(千人) 173,698 168,358 157,088 162,390 160,255 92.2
売得金額(百万円) 2,590,073 2,427,565 2,293,578 2,394,308 2,404,933 92.8
預金保険機構 一般勘定保険料収入(百万円) 641,157 679,397 702,932 606,561 622,346 97.0
被保険預金残高(億円) 8,053,280 8,339,254 8,660,957 8,886,006 9,209,526 114.3
日本司法支援センター 民間法律扶助立替金残高(百万円) 29,582 33,573 35,812 36,876 38,692 130.7
全国健康保険協会 健康保険被保険者数(千人) 19,528 19,591 19,642 19,883 20,315 104.0
健康保険医療給付(百万円) 3,943,826 4,076,433 4,165,896 4,291,033 4,398,468 111.5
船員保険被保険者数(人) 60,848 59,981 58,722 58,231 57,859 95.0
船員保険医療給付(百万円) 5,110 19,078 19,151 19,313 18,787 367.6
日本年金機構 厚生年金保険適用事業所数(千事業所) 1,753 1,748 1,745 1,758 1,800 102.6
国民年金第1号被保険者数(千人) 19,507 19,037 18,717 18,343 17,788 91.1
厚生年金、国民年金支払件数(万件) 3億9438 3億5663 3億6658 3億8056 3億9384 99.8
厚生年金、国民年金支払金額(億円) 40兆9909 41兆9460 41兆9924 42兆8437 43兆6121 106.3
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 東京電力株式会社への資金交付金額(百万円) 663,600 1,567,700 1,455,700
農水産業協同組合貯金保険機構 保険料収入(億円) 124 126 128 131 133 107.2
被保険貯金残高(億円) 88兆2848 90兆1494 91兆3265 93兆2057 95兆0493 107.6
(注)
日本私立学校振興・共済事業団に交付された補助金は、私立大学等経常費補助金として全額私立大学等へ配分されるものである。
(イ) 損益の状況

非株式会社は、いずれも連結決算を行うこととなっておらず、10法人における25年度の損益の状況をみると、表19のとおり、7法人は勘定別に財務諸表を作成している。

非株式会社の中には、勘定によっては当期純損失を計上している法人もあるが、日本銀行は、量的・質的金融緩和の導入により金融機関等から多額の金融資産を買い入れたことに伴い生ずる利息収入等の増加により、7242億余円の当期剰余金を計上している。

なお、預金保険機構及び農水産業協同組合貯金保険機構の一般勘定は、預金者等の保護及び破綻金融機関に係る資金決済の確保を図るための事業を経理するものであり、それぞれ設置根拠法等により、当該事業年度の収益から費用(責任準備金繰入を除く。以下同じ。)及び繰越欠損金の合計額を控除した額を責任準備金に積み立てることとなっている。そして、25年度は、繰越欠損金がなく、収益から費用を控除した額を損益計算書の経常費用の科目である責任準備金繰入に計上していたため、当期利益金は計上していない。

表19 非株式会社の損益の状況(平成25年度)

(単位:百万円)
法人名 勘定等名 経常収益等 注(1) 経常損益 当期純損益等 注(2)
沖縄振興開発金融公庫 (法人単位) 注(3) 26,459 29 29
  米穀資金・新事業創出促進特別 73 29 29
日本私立学校振興・共済事業団 助成 352,851 141 697
短期 243,493 △ 2,442 △ 2,651
長期 684,464 123,035 123,958
福祉 38,765 3,768 4,181
共済業務 3,577 △ 2,144 △ 2,058
日本銀行 1,579,307 1,280,543 724,249
日本中央競馬会 一般 2,423,951 37,015 29,690
特別振興資金 1,026
預金保険機構 一般 917,741 1
危機対応 63,798 63,386 63,386
金融再生 45,067 16,192 16,192
金融機能早期健全化 88,607 88,359 88,359
金融機能強化 6,802 6,250 6,250
被害回復分配金支払 533 34 34
地域経済活性化支援 0 △ 4 △ 4
東日本大震災事業者再生支援 0 △ 0 △ 0
日本司法支援センター (法人単位) 注(3) 36,452 3,156 3,156
  一般 21,224 3,156 3,156
  国選弁護人確保業務 15,727 0 0
全国健康保険協会 健康保険 9,631,287 310,256 310,254
船員保険 44,581 △ 697 △ 697
日本年金機構 290,692 29,598 29,598
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 1,878,804 209,789 209,789
農水産業協同組合貯金保険機構 一般 16,360
震災特例 79
東日本大震災事業者再生支援 0 0 0
注(1)
「経常収益等」とは、「経常収益」又は「事業収益」である。
注(2)
「当期純損益等」とは、「当期純利益」、「当期純損失」、「当期利益金」、「当期損失金」、「当期剰余金」又は「当期純損失金」である。
注(3)
「(法人単位)」とは、法人全体を示す。
注(4)
表21のとおり、勘定別にみた場合には、国の出資が行われていない勘定もある。
注(5)
平成21年度から24年度までの年度別の状況については、別表7-1別表7-2別表7-3別表7-4を参照
(ウ) 当期純損益等の推移

非株式会社10法人における21年度から25年度までの当期純損益等の推移をみると、表20のとおり、当期純損益等が増加傾向で推移しているのは日本銀行及び原子力損害賠償・廃炉等支援機構の2法人となっている。

預金保険機構の一般勘定は、前記のとおり、当該事業年度の収益から費用及び繰越欠損金の合計額を控除した額を責任準備金に積み立てることとなっているが、21、22両年度については、繰越欠損金があったため、当期純利益が計上されている。

また、沖縄振興開発金融公庫においては、「法人単位」の当期利益金と、同公庫の損益計算書から特別勘定に係る分を摘記した「米穀資金・新事業創出促進特別勘定」の当期利益金が同額となっている。これは、同特別勘定以外の経理を整理する一般勘定において、損益収支差を補塡して経営基盤を維持することなどを目的として、国から沖縄振興開発金融公庫補給金が交付されていることなどによるものである。

表20 非株式会社の当期純損益等の推移(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
法人名 勘定等名 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
沖縄振興開発金融公庫 (法人単位) 注(1) 20 △ 27 △ 39 25 29
  米穀資金・新事業創出促進特別 20 △ 27 △ 39 25 29
日本私立学校振興・共済事業団 助成 214 386 219 572 697
短期 12,996 5,587 △ 13,863 △ 22,001 △ 2,651
長期 △ 29,281 965 7,325 6,756 123,958
福祉 3,804 4,196 4,483 4,462 4,181
共済業務 1,275 1,034 △ 473 △ 647 △ 2,058
日本銀行 367,114 52,140 529,066 576,028 724,249
日本中央競馬会 一般 15,458 4,037 △ 6,344 23,083 29,690
特別振興資金
預金保険機構 一般 637,241 273,260
危機対応 22,381 118,266 10,161 10,325 63,386
特定住宅金融専門会社債権債務処理 △ 27,023 △ 23,863 456,660
金融再生 9,408 11,865 14,099 11,766 16,192
金融機能早期健全化 49,221 21,935 9,228 △ 59,350 88,359
金融機能強化 394 △ 83 3,964 4,116 6,250
被害回復分配金支払 2,833 1,600 384 △ 4,698 34
企業再生支援 △ 2 △ 4 △ 4
地域経済活性化支援 △ 4 △ 4
東日本大震災事業者再生支援 △ 0 △ 0 △ 0
日本司法支援センター (法人単位) 注(1) 1,280 △ 128 △ 12 △ 18 3,156
  一般 1,280 △ 125 △ 12 △ 15 3,156
  国選弁護人確保業務 △ 3 △ 0 △ 2 0
全国健康保険協会 健康保険 △ 472,328 158,079 127,955 327,495 310,254
船員保険 2,000 2,862 2,912 1,634 △ 697
日本年金機構 21,469 64,101 43,696 42,529 29,598
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 79,992 97,322 209,789
農水産業協同組合貯金保険機構 一般
震災特例
東日本大震災事業者再生支援 △ 0 △ 0 0
注(1)
「(法人単位)」とは、法人全体を示す。
注(2)
「当期純損益等」とは、「当期純利益」、「当期純損失」、「当期利益金」、「当期損失金」、「当期剰余金」又は「当期純損失金」である。
注(3)
表21のとおり、勘定別にみた場合には、国の出資が行われていない勘定もある。
(エ) 純資産等の状況

非株式会社10法人における25年度末における純資産等の状況をみると、表21のとおり、勘定によっては、国等の出資がなく、資本金を計上していないものが見受けられる。

表21 非株式会社の純資産等の状況(平成25年度末)

(単位:百万円)
法人名 勘定等名 資産 負債 純資産  
資本金 注(1)
沖縄振興開発金融公庫 (法人単位) 注(2) 840,015 764,201 75,814 74,088
  米穀資金・新事業創出促進特別 4,866 41 4,825 3,100
日本私立学校振興・共済事業団 助成 583,585 475,327 108,258 100,329
短期 70,680 27,796 42,883
長期 3,548,003 1,671 3,546,331
福祉 1,120,860 1,079,173 41,686
共済業務 17,521 4,530 12,990
日本銀行 241,579,845 238,114,057 3,465,787 100
日本中央競馬会 一般 1,168,241 76,668 1,091,572 4,924
特別振興資金 54,695 175 54,520
預金保険機構 一般 1,817,005 1,816,550 455 455
危機対応 599,752 269,398 330,353
金融再生 1,576,144 1,821,955 △ 245,810
金融機能早期健全化 1,589,622 6 1,589,616
金融機能強化 510,343 495,004 15,339
被害回復分配金支払 137 169 △ 31
地域経済活性化支援 22,641 9,660 12,980 13,000
東日本大震災事業者再生支援 18,679 0 18,679 18,680
日本司法支援センター (法人単位) 注(2) 20,562 17,085 3,477 351
  一般 17,186 13,704 3,482 351
  国選弁護人確保業務 3,375 3,381 △ 5
全国健康保険協会 健康保険 1,313,176 644,642 668,533 6,594
船員保険 42,340 4,007 38,333 465
日本年金機構 224,338 87,077 137,260 103,111
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 2,537,650 2,523,650 14,000 14,000
農水産業協同組合貯金保険機構 一般 349,418 349,118 300 300
震災特例 47,876 47,876
東日本大震災事業者再生支援 1,319 1,319 1,320
注(1)
「資本金」欄の「―」は、当該勘定に対する国等の出資が行われていないことを示す。
注(2)
「(法人単位)」とは、法人全体を示す。
注(3)
平成21年度から24年度までの年度別の状況については、別表8-1別表8-2別表8-3別表8-4を参照

ウ 財政支援等が政府出資株式会社等の財務に与える影響

前記のとおり、政府出資株式会社等の中には、国等から補助金等の財政支援等を受けている法人がある。また、このほかに、特定の事業を行う法人に対して、地方税法に基づき固定資産税及び都市計画税(以下「固定資産税等」という。)や事業税等の軽減措置が講じられている。例えば、高速道路事業、空港事業等の用に供する固定資産を対象として、固定資産税等の非課税又は課税標準の減額措置が講じられている。

そして、上記の国等から財政支援等を受けている政府出資株式会社等の損益や純資産等の財務状況は、その効果が反映されたものになっていると考えられる。しかし、これらの財政支援等の中には、毎年度の予算措置や時限的な措置により行われているものがあり、今後の経営環境の変化や国の財政事情等により変動し得るものである。そして、財政支援等の見直し等が行われた場合には、政府出資株式会社等の財務にも影響を与えることとなる。

そこで、国等からの財政支援等が政府出資株式会社等の財務に与える影響をみるため、前記のとおり主たる事業に係る営業損失の額が、他の政府出資株式会社に比べて大きい三島会社及び日本貨物鉄道株式会社について、国等からの財政支援等が損益に与える影響を分析した(次の分析は、法人全体の財務に与える影響をみるため、地方税の軽減措置を含めて行っている。)。

三島会社及び日本貨物鉄道株式会社における25年度の損益の状況は、表22の「損益計算書」のとおりとなっており、これらの法人が国等から受けている主な財政支援等の内容は、次のとおりである。

三島会社及び日本貨物鉄道株式会社が日本国有鉄道から承継した固定資産のうち、政令で定めるものに賦課される固定資産税等については、地方税法に規定される課税標準の特例により、その計算の基礎となる固定資産評価額が5分の3に減額されている。また、三島会社が所有する鉄道事業に供される固定資産に対して賦課される固定資産税等については、地方税法に規定される課税標準の特例により、固定資産評価額が2分の1に減額されている。さらに、三島会社は、地方税法に規定される事業税の課税標準の特例により、資本割の課税標準が減額されている。そして、このように減額して計算された固定資産税等及び事業税が営業費に計上されるため、これらの地方税の軽減措置(表22の①)は、営業利益を増加させる要因となっている。

また、北海道、四国両旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社は、鉄道・運輸機構から助成金の交付を受けており(同②又は⑤)、さらに、三島会社は、経営安定基金資産を運用した収益を営業外収益に計上し(同③)、北海道、四国両旅客鉄道株式会社は、鉄道・運輸機構特別債券を購入したことによる受取利息を営業外収益に計上している(同④)。

表22 地方税の軽減措置等が三島会社及び日本貨物鉄道株式会社の損益に与える影響(平成25年度)

(単位:百万円)
区分 損益計算書 地方税の軽減措置等を考慮せずに算出した場合の損益(試算)
北海道旅客鉄
道株式会社
四国旅客鉄
道株式会社
九州旅客鉄
道株式会社
日本貨物鉄
道株式会社
 4法人計  北海道旅客鉄
道株式会社
四国旅客鉄
道株式会社
九州旅客鉄
道株式会社
日本貨物鉄
道株式会社
 4法人計 
鉄道事業 営業損益  △ 40,039 △ 10,650 △ 15,684 △ 4,383 △ 70,758 △ 40,039 △ 10,650 △ 15,684 △ 4,383 △ 70,758
関連事業 営業損益  2,793 485 13,779 10,821 27,879 2,793 485 13,779 10,821 27,879
① 地方税の軽減額 △ 2,429 △ 988 △ 5,438 △ 1,177 △ 10,032
② 助成金 並行在来線貨物
  輸送調整金
△ 6,048 △ 6,048
全事業 営業損益 △ 37,246 △ 10,164 △ 1,905 6,438 △ 42,879 △ 39,675 △ 11,153 △ 7,343 △ 787 △ 58,959
営業外損益 41,011 15,398 13,520 △ 2,965 66,965 1,337 922 1,505 △ 2,965 800
③ うち、経営安定基金運用
  収益
34,173 10,975 12,015 57,164
④ うち、鉄道建設・運輸
  施設整備支援機構特別債
  券受取利息収益
5,500 3,500 9,000
経常損益 3,765 5,233 11,615 3,472 24,085 △ 38,338 △ 10,230 △ 5,837 △ 3,753 △ 58,159
特別利益 4,715 3,898 10,324 1,650 20,589 149 1,719 10,324 1,423 13,616
⑤ うち、設備投資助成金 4,566 2,178 227 6,972
特別損失(△) △ 2,861 △ 3,962 △ 9,584 △ 1,373 △ 17,781 △ 2,861 △ 3,962 △ 9,584 △ 1,373 △ 17,781
税引前当期純損益 5,619 5,169 12,355 3,749 26,893 △ 41,050 △ 12,473 △ 5,097 △ 3,702 △ 62,324
注(1)
「損益計算書」欄の①の地方税の軽減額及び②の助成金の金額については、損益計算書上に計数が表示されていないため空欄としている。
注(2)
「地方税の軽減措置等を考慮せずに算出した場合の損益(試算)」欄の①及び②の△は、営業利益又は経常利益に対するマイナスの影響を示している。
注(3)
「地方税の軽減措置等を考慮せずに算出した場合の損益(試算)」欄の①の軽減額は、軽減を受けた税額相当額を本院が推計して算出したものである。

一方、三島会社及び日本貨物鉄道株式会社に対する地方税の軽減措置、助成金の交付、経営安定基金運用収益及び鉄道建設・運輸施設整備支援機構特別債券受取利息収益を考慮せずに損益を試算した場合は、表22の「地方税の軽減措置等を考慮せずに算出した場合の損益(試算)」のとおり、三島会社は営業損失が拡大し、日本貨物鉄道株式会社は営業利益が営業損失に転ずることとなる。さらに、4法人の経常利益及び税引前当期純利益は、いずれも、経常損失及び税引前当期純損失に転ずることとなり、これらの措置等が4法人の損益に与える影響は大きいものとなっている。

(3) 政府出資株式会社等から国が得ている収入及び株式売却等の状況

政府出資株式会社等から国が得ている収入には、国庫納付、配当及び納税によるものがある。また、このように国が政府出資株式会社等から直接得る収入とは異なるが、国が政府出資株式会社等に関して得られる収入として、国が保有する株式の売却収入があり、一部の政府出資株式会社に係る株式の売却収入については、東日本大震災に係る復興債の償還財源として位置付けられている。これらを国の収入の種別にみると、次のような状況となっている。

ア 国庫納付の状況

政府出資株式会社等からの国庫納付の状況をみたところ、設置根拠法等に国庫納付規定がある法人は、表23のとおり、政府出資株式会社2法人及び非株式会社9法人の計11法人となっており、このうち、21年度から25年度までに国庫納付を行った政府出資株式会社等は8法人で、国庫納付額は計4兆1126億余円となっている。

表23 政府出資株式会社等からの国庫納付の状況(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
区分 法人名 根拠規定 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度







株式会社日本政策金融公庫 株式会社日本政策金融公庫法第47条 16,603 29,632 10 46,246
株式会社国際協力銀行 株式会社国際協力銀行法第31条 31,685 45,683 77,368




沖縄振興開発金融公庫 沖縄振興開発金融公庫法第25条
日本私立学校振興・共済事業団 日本私立学校振興・共済事業団法第36条
日本銀行 日本銀行法第53条 348,754 44,314 502,608 547,222 579,394 2,022,293
日本中央競馬会 日本中央競馬会法第27条 266,736 244,775 229,357 247,900 255,338 1,244,108
預金保険機構 預金保険法附則第21条 46,045 33,941 25,023 23,401 15,406 143,817
日本司法支援センター 総合法律支援法第46条 1,182 1,182
日本年金機構 日本年金機構の財務及び会計に関する省令第6条 20,183 53,306 46,508 39,167 31,354 190,520
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法第59条 79,992 97,322 209,789 387,103
農水産業協同組合貯金保険機構 農水産業協同組合貯金保険法第109条
698,323 407,152 883,491 986,698 1,136,976 4,112,642
(注)
各年度に属する剰余金等からの国庫納付額を記載している。

上記の8法人が行った国庫納付は、毎事業年度の損益計算上生じた剰余金の処分、利益の額から積立金として積み立てた額を控除した残余の額の処理によるものなどとなっている。

上記の8法人の中で国庫納付額が最も多い法人は、日本銀行(計2兆0222億余円)である。同銀行の主な収益は、金融調節等を通じて取得した金融資産から生ずる利息収入等となっており、同銀行は、当期剰余金の額の100分の5に相当する金額又は財務大臣の認可を受けて当該金額を超える金額を法定準備金に積み立てるなどした後、その残額を国庫に納付することとなっている。

次に国庫納付額が多い法人は、日本中央競馬会(計1兆2441億余円)である。同会は、勝馬投票券の発売金から返還金を引いた金額の100分の10に相当する金額及び事業年度ごとの剰余金の2分の1に相当する金額を国庫に納付することとなっている。

イ 配当の状況

政府出資株式会社等からの配当の状況をみたところ、表24のとおり、21年度から25年度までに配当を行った法人は、政府出資株式会社8法人及び非株式会社1法人の計9法人であり、国が受領した配当額は計9770億余円となっている。

表24 政府出資株式会社等からの配当の状況(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
区分 法人名 根拠規定  配当を行っていない
 理由
平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度







株式会社日本政策金融公庫 会社法及び
設置根拠法
配当不可の規定
株式会社国際協力銀行 配当不可の規定
東京地下鉄株式会社 4,344 4,965 5,586 6,206 6,827 27,928
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 配当可能利益なし
成田国際空港株式会社 1,340 2,490 890 3,832 5,982 14,534
東日本高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
中日本高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
西日本高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
本州四国連絡高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
日本郵政株式会社 36,346 38,404 37,851 38,550 43,500 194,652
株式会社日本政策投資銀行 10,033 50,036 37,349 35,254 30,804 163,478
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 配当可能利益なし
株式会社産業革新機構 8,402 8,402
新関西国際空港株式会社 経営基盤の確立を優先
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 配当可能利益なし
株式会社民間資金等活用事業推進機構 配当可能利益なし
株式会社海外需要開拓支援機構 配当可能利益なし
中部国際空港株式会社 経営基盤の確立を優先
日本電信電話株式会社 63,668 63,668 63,300 68,997 70,968 330,602
首都高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
阪神高速道路株式会社 経営基盤の確立を優先
日本アルコール産業株式会社 経営基盤の確立を優先
株式会社商工組合中央金庫 1,016 1,016 1,016 1,016 1,016 5,080
日本たばこ産業株式会社 29,007 34,009 50,013 55,351 64,025 232,407
北海道旅客鉄道株式会社 経営基盤の確立を優先
四国旅客鉄道株式会社 経営基盤の確立を優先
九州旅客鉄道株式会社 経営基盤の確立を優先
日本貨物鉄道株式会社 経営基盤の確立を優先
非株式
会社
日本銀行 設置根拠法 2 2 2 2 2 13
145,759 194,592 196,008 209,210 231,528 977,098
(注)
各年度に属する剰余金等からの配当額を記載している。

上記の9法人のうち政府出資株式会社8法人は、株主総会で剰余金の処分が決議された後、主務大臣の認可を受けて配当を行っている。

日本銀行は、設置根拠法により配当をすることができることとなっており、配当の実施は主務大臣の認可事項となっている。

一方、配当を行っていない政府出資株式会社20法人についてみると、累積損失を計上していて配当可能利益がない法人が5法人あるほか、株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行の2法人については、設置根拠法に基づき、剰余金の処分は準備金の積立てと国庫納付のみにより行うこととなっている。また、高速道路会社、三島会社、日本貨物鉄道株式会社等13法人については、利益が計上された場合であっても、経営基盤の確立を最優先するという経営方針に基づき内部留保を行っている。

ウ 法人税等の状況

会社計算規則によれば、当該事業年度に係る法人税、住民税及び利益に関連する金額を課税標準として課される事業税は、「法人税、住民税及び事業税」(以下「法人税等」という。)として損益計算書の税引前当期純損益金額の次に表示することとされている。

政府出資株式会社28法人における法人税等の状況をみたところ、表25-1のとおり、国税である法人税については、法人税法上の公共法人に該当する株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行の2法人は、法人税が非課税となっている。単体決算において、法人税等の金額がマイナスになっている年度がある日本郵政株式会社、中部国際空港株式会社、日本電信電話株式会社、北海道、四国両旅客鉄道株式会社の5法人は、連結納税制度を適用している。

表25-1 政府出資株式会社の法人税等の状況(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
法人名 単体・連結の別 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
株式会社日本政策金融公庫 注(1) 単体
株式会社国際協力銀行 注(1) 単体
東京地下鉄株式会社 単体 22,770 22,810 20,306 25,660 29,440
連結 24,433 24,463 22,279 27,953 32,133
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 単体 10 10 10 895 1,813
成田国際空港株式会社 単体 3,496 6,167 1,633 7,030 9,458
連結 5,229 7,939 3,180 8,372 12,004
東日本高速道路株式会社 単体 3,952 2,590 1,333 1,750 700
連結 6,771 4,856 4,022 4,837 3,585
中日本高速道路株式会社 単体 3,970 2,360 3,490 1,100 450
連結 6,613 4,157 5,838 3,335 2,929
西日本高速道路株式会社 単体 5,218 2,070 2,470 3,970 800
連結 8,493 5,209 5,406 6,227 2,694
本州四国連絡高速道路株式会社 単体 492 250 346 181 611
連結 728 436 500 355 892
日本郵政株式会社 注(2) 単体 △ 7,041 △ 20,234 △ 23,162 △ 9 △ 18,001
連結 325,310 307,087 437,908 446,519 381,825
株式会社日本政策投資銀行 単体 25,308 56 21,400 41,577 24,588
連結 25,382 371 21,488 41,753 25,102
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 単体 9 81 101 9 46
株式会社産業革新機構 単体 2 3 3 3 22,420
新関西国際空港株式会社 単体 3,618 2,813
連結 4,062 4,832
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 単体 0 3
株式会社民間資金等活用事業推進機構 単体 1
株式会社海外需要開拓支援機構 単体 0
中部国際空港株式会社 注(2) 単体 △ 18 △ 49 △ 80 59 214
連結 50 43 73 186 331
日本電信電話株式会社 注(2)注(3) 単体 △ 1,922 △ 3,571 △ 448 △ 1,142 △ 1,977
連結 494,472 448,813 451,222 461,995 483,113
首都高速道路株式会社 単体 1,724 573 2,038 1,389 19
連結 2,980 1,407 2,945 2,443 1,091
阪神高速道路株式会社 単体 1,533 997 940 1,161 172
連結 2,264 1,694 1,678 1,711 583
日本アルコール産業株式会社 単体 328 164 3,276 39 279
株式会社商工組合中央金庫 単体 446 4,812 7,140 15,413 17,202
連結 904 5,485 7,984 16,197 17,736
日本たばこ産業株式会社 注(4) 単体 56,358 62,031 40,244 84,245 86,573
連結 114,145 141,224 110,493 145,434 172,230
北海道旅客鉄道株式会社 注(2)注(5) 単体 △ 757 △ 479 △ 648 △ 391 △ 437
連結 1,900 1,400 1,300 2,500 2,900
四国旅客鉄道株式会社 注(2) 単体 △ 43 △ 55 △ 114 189 426
連結 183 234 225 429 712
九州旅客鉄道株式会社 単体 725 226 81 217 1,950
連結 3,146 3,144 3,820 4,237 7,018
日本貨物鉄道株式会社 単体 175 173 171 842 1,299
連結 506 449 588 1,437 1,744
注(1)
株式会社日本政策金融公庫及び株式会社国際協力銀行は、法人税法上の公共法人に該当し、法人税が非課税となっている。
注(2)
日本郵政株式会社、中部国際空港株式会社、日本電信電話株式会社、北海道、四国両旅客鉄道株式会社は、法人税法上の連結納税制度を適用している。
注(3)
日本電信電話株式会社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されており、「法人税等」は、連結損益計算書の「法人税等当年度分」である。
注(4)
日本たばこ産業株式会社の連結財務諸表は、平成21年度は日本基準、22年度から国際会計基準に基づいて作成されている。22年度から25年度までの連結財務諸表の「法人税等」は、連結財務諸表注記の「当期法人所得税費用」である。
注(5)
北海道旅客鉄道株式会社の連結財務諸表の計数については、億円単位で開示されている。

非株式会社10法人における法人税等の状況をみたところ、表25-2のとおり、法人税法上の公共法人に該当する4法人(沖縄振興開発金融公庫、日本中央競馬会、日本司法支援センター及び日本年金機構)は、法人税が非課税となっている。また、同法上の公益法人等に該当する5法人(日本私立学校振興・共済事業団、預金保険機構、全国健康保険協会、原子力損害賠償・廃炉等支援機構及び農水産業協同組合貯金保険機構)については、収益事業から生じた所得がないことから、法人税は課せられていない。

表25-2 非株式会社の法人税等の状況(平成21年度~25年度)

(単位:百万円)
法人名 法人税法上
の法人区分
勘定等名 平成21年度 22年度 23年度 24年度 25年度
沖縄振興開発金融公庫 公共法人 (法人単位) 注(1)
米穀資金・新事業創出促進特別
日本私立学校振興・共済事業団 公益法人等 助成 注(2) 0 0 0 0 0
短期
長期
福祉 注(2) 0 0 0 0 0
共済業務
日本銀行 9 3,669 16,244 260,630 257,398
日本中央競馬会 公共法人 一般
特別振興資金
預金保険機構 公益法人等 一般
危機対応
特定住宅金融専門会社債権債務処理
金融再生
金融機能早期健全化
金融機能強化
被害回復分配金支払
企業再生支援
地域経済活性化支援
東日本大震災事業者再生支援
日本司法支援センター 公共法人 (法人単位) 注(1)
一般
国選弁護人確保業務
全国健康保険協会 公益法人等 健康保険 注(2) 2 3 0 0 0
船員保険 注(2) 0 0 0 0 0
日本年金機構 公共法人
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 注(2) 公益法人等 0 0 0
農水産業協同組合貯金保険機構 公益法人等 一般
震災特例
東日本大震災事業者再生支援
注(1)
「(法人単位)」とは、法人全体を示す。
注(2)
日本私立学校振興・共済事業団、全国健康保険協会及び原子力損害賠償・廃炉等支援機構の金額は住民税である。

エ 株式売却等の状況

国による政府出資株式会社の株式売却等の状況及び国が引き続き保有している株式の状況は、表26のとおりであり、各法人によって株式の政府保有義務や国による株式の保有状況等は異なっている状況となっている。

表26 国による政府出資株式会社の株式売却等の状況(平成27年6月末現在)

(単位:億円)
法人名 株式の政府保有義務 国による株
式の保有状
国による株式売却等の状況又は方針の決
定状況(根拠法又は売却時期)
株式売却総
株式会社日本政策金融公庫 総数 100% 総数を国が保有
(株式会社日本政策金融公庫法)
株式会社国際協力銀行 総数 100% 総数を国が保有
(株式会社国際協力銀行法)
東京地下鉄株式会社 なし 53.4% 保有株式を売却する旨の規定があるが
未売却(東京地下鉄株式会社法)
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 総数 100% 総数を政府が保有
(中間貯蔵・環境安全事業株式会社法)
成田国際空港株式会社 なし 100% 未定
東日本高速道路株式会社 3分の1以上 100% 未定
中日本高速道路株式会社 3分の1以上 100% 未定
西日本高速道路株式会社 3分の1以上 100% 未定
本州四国連絡高速道路株式会社 3分の1以上 注(1) 66.6% 未定
日本郵政株式会社 3分の1超 100% 平成26年6月の財政制度等審議会において売却に係る基本方針が示された。
株式会社日本政策投資銀行 3分の1超
(危機対応業務に関する措置を講ずる間)
2分の1以上
(特定投資業務に関する措置を講ずる間)
100% 平成27年5月の設置根拠法の一部改正により保有株式の早期処分義務等を規定
(株式会社日本政策投資銀行法)
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 2分の1超 100% 平成27年2月の財政制度等審議会において売却に係る基本方針が示された。
株式会社産業革新機構 2分の1以上 95.3% 未定
新関西国際空港株式会社 総数 100% 総数を国が保有
(関西国際空港及び大阪国際空港の一体的かつ効率的な設置及び管理に関する法律)
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 2分の1以上 94.3% 未定
株式会社民間資金等活用事業推進機構 2分の1以上 50.0% 未定
株式会社海外需要開拓支援機構 2分の1以上 73.8% 未定
中部国際空港株式会社 なし 39.9% 未定
日本電信電話株式会社 3分の1以上 33.3% 注(2) 政府保有義務分を超えて保有している分の株式を売却(昭和62年2月~平成26年11月) 15兆4253
首都高速道路株式会社 3分の1以上 注(1) 49.9% 未定
阪神高速道路株式会社 3分の1以上 注(1) 49.9% 未定
日本アルコール産業株式会社 なし 33.3% 約3分の2を売却(平成20年3月) 145
株式会社商工組合中央金庫 危機対応業務を実施するために必要な株式の保有 46.5% 平成27年5月の設置根拠法の一部改正により、保有株式の早期処分義務等を規定(株式会社商工組合中央金庫法)
日本たばこ産業株式会社 3分の1超 33.3% 注(3) 政府保有義務分を超えて保有している分の株式を売却(平成6年10月~平成25年3月) 2兆0436
北海道旅客鉄道株式会社 0% 注(4) 未定
四国旅客鉄道株式会社 0% 注(4) 未定
九州旅客鉄道株式会社 0% 注(4) 平成27年6月の設置根拠法の一部改正により、平成28年度を目途に株式売却を実施する方針
(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律)
日本貨物鉄道株式会社 0% 注(4) 未定
3法人
17兆4834
注(1)
国及び地方公共団体による保有義務である。
注(2)
33.3%は、株式数の保有割合でみた場合の数値であり、表3の国の出資割合とは算出方法が異なる。
注(3)
33.3%は、33.33334%であり3分の1超の株式を保有している。
注(4)
三島会社及び日本貨物鉄道株式会社については、国が全額出資している鉄道・運輸機構が全額出資している間接出資法人であるため、国による株式の保有状況は0%としている。

政府出資株式会社のうち、株式の売却実績がある法人は、日本電信電話株式会社、日本たばこ産業株式会社及び日本アルコール産業株式会社の3法人であり、その売却の状況をみると、表27のとおり、27年6月末までに、国は総額17兆4834億余円の売却収入を得ている。

表27 法人別の売却株式数及び売却総額について(平成27年6月末現在)

(単位:万株、億円)
法人名 売却時期 売却株式数 売却総額 国が保有する株式の帰属する会計
日本電信電話株式会社 昭和62年2月 195.0 2兆3746 国債整理基金特別会計
昭和62年11月 195.0 4兆9725
昭和63年10月 150.0 2兆8500
平成10年12月 100.0 8550
平成11年7月 4.8 720
平成11年11月 95.2 1兆5860
平成12年11月 100.0 9490
平成14年10月 9.2 396
平成15年10月 8.5 459
平成16年11月 80.0 3664
平成17年9月 112.3 5424
平成21年1月 株式分割を実施(100分割)
平成23年7月 5,751.4 2234 財政投融資特別会計
平成24年2月 4,182.1 1583
平成26年3月 2,601.0 1533
平成26年11月 3,508.9 2301
平成26年11月 106.8 68
17,200.1 15兆4253
日本たばこ産業株式会社 平成6年10月 39.4 5670 国債整理基金特別会計
平成8年6月 27.2 2220
平成15年10月 4.4 332
平成16年6月 28.9 2439
平成18年4月 株式分割を実施(5分割)
平成23年12月 政府保有義務の見直し
(「2分の1以上」から「3分の1超」に変更)
平成24年7月 株式分割を実施(200分割)
平成25年2月 8,007.1 2306 国債整理基金特別会計
平成25年3月 25,326.2 7469
33,433.3 2兆0436

日本アルコール産業株式会社
平成20年3月 4.0 145 一般会計
4.0 145
合計 17兆4834

上記の3法人のうち、日本たばこ産業株式会社の株式売却額の中には、東日本大震災からの復興を図るために発行された復興債の償還財源に充てるために、設置根拠法に規定されている政府保有義務を「2分の1以上」から「3分の1超」に引き下げた上で25年2月及び3月に売却したものが含まれている。

また、日本電信電話株式会社の株式について、その帰属する特別会計別に売却状況をみると、国債整理基金特別会計に帰属する株式は、昭和62年から平成17年にかけて全て売却されている。一方、財政投融資特別会計に帰属する株式は、同会社が自己株式の消却を行い、発行済株式数が減少したことにより、国が政府保有義務を超えて保有することとなったものであり、その売却は、全て同会社による自己株式の取得の方法で行われている。

今後の新たな株式売却に向けての主な動きについては、次のとおりである。

① 日本郵政株式会社については、26年6月に、財政制度等審議会において、証券会社を通じて市場に売却することが基本方針として示されている。

② 輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社については、27年2月に、財政制度等審議会において一般競争入札により売却すること及び政府保有義務分を除く株式の全てを一度に売却することなどが基本方針として示されている。

③ 九州旅客鉄道株式会社については、27年6月に、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和61年法律第88号)の改正法が成立し、同法の公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日をもって、同会社は、同法の適用対象から除外されることとなった。そして、鉄道・運輸機構は、同会社の株式の処分について、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律」(平成10年法律第136号)に基づき設置されている資産処分審議会に諮問している。鉄道・運輸機構では、同審議会から答申(27年9月上旬予定)を受けた後に、株式売却を行うこととしており、現在のところ28年度を目途に実施が予定されている。

一方、政府出資株式会社の株式の中には、政府保有義務が課せられておらず、設置根拠法において、できる限り速やかに株式売却の措置を講ずる旨の規定はあるものの、株式売却が行われていないものも見受けられる。その状況を示すと次のとおりである。

東京地下鉄株式会社の株式については、東京地下鉄株式会社法(平成14年法律第188号)附則第2条において、国及び東京都は、特殊法人等整理合理化計画の趣旨を踏まえ、同法の施行の状況を勘案し、できる限り速やかに同法の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする旨が規定されている。さらに、同会社の株式は、復興財源法により、34年度までに生じた売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還財源に充てることとされている。

そして、東京の地下鉄の一元化等を目的として、国土交通省、財務省、東京都及び東京地下鉄株式会社から成る「東京の地下鉄の一元化等に関する協議会」(以下「協議会」という。)が22年8月に設置されており、協議会においても株式売却について検討が行われている。

協議会は、23年2月までの間に計4回開催されており、第4回の協議会において「今後の取り組み」が了解されている。これによれば、株式売却に係る今後の取組については、東京地下鉄株式会社の早期完全民営化が課題として言及されており、東京地下鉄株式会社法を踏まえて協議を続けるとされている。

しかし、その後、4年以上にわたって株式売却に向けての動きは進捗していない状況となっている。

このように、政府出資株式会社の中には、国が保有する株式を売却することにより、出資の回収段階にある法人がある一方で、設置根拠法に早期に売却する旨の規定があり、その売却収入を東日本大震災に係る復興債の償還財源に充てることとされているものの売却が進んでいない法人も見受けられる。

(4) 政府出資株式会社等の事業及び財務に係る国の監督等

ア 政府出資株式会社の主務大臣及び政府出資株式会社の株主権の帰属

政府出資株式会社等は、設置根拠法等において主務大臣が定められており、政府出資株式会社の株主権の帰属については、出資が行われた国の会計により決定されることとなっている。

政府出資株式会社等の主務大臣及び株主権の帰属の状況をみると、表28のとおり、一つの法人に対して複数の主務大臣や株主が存在する場合がある。例えば、株式会社日本政策金融公庫においては、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣が主務大臣となっている。株主については、設立当初は一般会計及び財政投融資特別会計から出資が行われたため、財務大臣のみであったが、東日本大震災復興特別会計から出資が行われたことに伴い、厚生労働大臣、農林水産大臣及び経済産業大臣が新たに株主となっている。

表28 政府出資株式会社等の主務大臣及び株主(平成27年3月末現在)

法人名 主務大臣 株主権が帰属する大臣
政府出資株式会社 (28法人)
株式会社日本政策金融公庫 財務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
財務大臣
厚生労働大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
株式会社国際協力銀行 財務大臣 財務大臣
東京地下鉄株式会社 国土交通大臣 財務大臣
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 環境大臣 財務大臣
環境大臣
成田国際空港株式会社 国土交通大臣 国土交通大臣
財務大臣
東日本高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
中日本高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
西日本高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
本州四国連絡高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
日本郵政株式会社 総務大臣 財務大臣
株式会社日本政策投資銀行 財務大臣
国土交通大臣
財務大臣
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 財務大臣 財務大臣
株式会社産業革新機構 経済産業大臣 財務大臣
新関西国際空港株式会社 国土交通大臣 国土交通大臣
財務大臣
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 農林水産大臣 財務大臣
株式会社民間資金等活用事業推進機構 内閣総理大臣 財務大臣
株式会社海外需要開拓支援機構 経済産業大臣 財務大臣
中部国際空港株式会社 国土交通大臣 国土交通大臣
日本電信電話株式会社 総務大臣 財務大臣
首都高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
阪神高速道路株式会社 国土交通大臣 財務大臣
日本アルコール産業株式会社 経済産業大臣 財務大臣
株式会社商工組合中央金庫 経済産業大臣
財務大臣
金融庁長官 注(2)
財務大臣
日本たばこ産業株式会社 財務大臣 財務大臣
北海道旅客鉄道株式会社 国土交通大臣
四国旅客鉄道株式会社 国土交通大臣
九州旅客鉄道株式会社 国土交通大臣
日本貨物鉄道株式会社 国土交通大臣
非株式会社 (10法人)
沖縄振興開発金融公庫 内閣総理大臣
財務大臣
日本私立学校振興・共済事業団 文部科学大臣
日本銀行 財務大臣
金融庁長官 注(2)
日本中央競馬会 農林水産大臣
預金保険機構 金融庁長官 注(2)
財務大臣
日本司法支援センター 法務大臣
全国健康保険協会 厚生労働大臣
日本年金機構 厚生労働大臣
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 内閣総理大臣
文部科学大臣
経済産業大臣
農水産業協同組合貯金保険機構 農林水産大臣
金融庁長官 注(2)
財務大臣
注(1)
三島会社及び日本貨物鉄道株式会社は、間接出資法人であり、国が全額出資している鉄道・運輸機構が株主となっている。
注(2)
金融庁長官は、内閣総理大臣から権限を委任されている。

イ 政府出資株式会社等に対する国の監督及び株主権の行使

政府出資株式会社については、設置根拠法上の目的を達成する上で事業の適正な実施を確保する観点から、設置根拠法に基づき、新株発行、社債募集、長期借入れ、代表取締役等の選任及び解任、事業計画の決定等について主務大臣の認可を要することが規定されている。これらの事項は、表29-1のとおり、その多くが株主総会又は取締役会の議決事項となっているが、決議の効力は主務大臣の認可がなければ生じないことなどとなっている。

表29-1 政府出資株式会社に対する国の監督等の状況(平成27年3月末現在)

区分 設置根拠法における認可事項等 左の事項についての主な国の監督の内容
事業 (注) 株主総会に
おける主な
議決事項
・特定の役職員についての選任及び解任等
・資本金等の額の減少等
・剰余金の処分
・定款の変更
主務大臣の認可がなければ決議の効力が生じない
取締役会に
おける主な
議決事項
・事業計画の決定等
・重要な財産の譲渡又は処分等
・債券(社債等)の発行
・借入れの決定
財務 財務諸表等
(取締役会における承認事項であり、株主総会における報告事項)
設置根拠法に定められた大臣への提出を要する
(注)
事業欄の認可事項等については、該当しない法人がある。

また、国は、政府出資株式会社に対する議決権の保有割合に応じて、主に次のような権利等を持つこととなり、法人の経営の自主性を尊重しつつ、株主権の行使を通じて、国有財産である政府出資株式会社の株式の価値を毀損しないように管理するなどしている。

① 議決権を3分の2以上保有する場合
総議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の有する議決権の3分の2以上の賛成をもって決議される事項(以下「特別決議」という。)を単独で議決することが可能となる。具体的には、株主にとって重大な影響を及ぼす事項である定款の変更や重要な財産の譲渡等が該当する。

② 議決権を2分の1超保有する場合
株主総会に出席した株主の有する議決権の過半数の賛成をもって決議される事項(以下「普通決議」という。)を単独で議決することが可能となる。具体的には、特定の役職員の選任及び解任等、剰余金の処分が該当する。

③ 議決権を2分の1以上保有する場合
普通決議を単独で否決することが可能となる。

④ 議決権を3分の1超保有する場合
特別決議を単独で否決することが可能となる。

一方、非株式会社については、表29-2のとおり、設置根拠法等により、非株式会社の長等の任命が主務大臣により行われることなどとなっていたり、事業計画の決定、借入れ、財産の処分等が主務大臣の認可事項となっていたりしている。また、財務諸表は、設置根拠法等に定められた大臣に提出され、その承認を受けることとなっている。

表29-2 非株式会社に対する国の監督等の状況(平成27年3月末現在)

区分 設置根拠法等における認可事項等
事業 (注) ・主務大臣による非株式会社の長等の任命等
・主務大臣による事業計画の決定、借入れ、財産の処分等の認可
財務 設置根拠法等に定められた大臣への財務諸表の提出及びその承認
(注)
事業欄の認可事項等については、該当しない法人がある。

政府出資株式会社等においては、設置根拠法等により、主務大臣による監督上の命令や違法行為等の是正に関する規定が設けられている。その内容は、多くの法人において、主務大臣は、設置根拠法を施行するために特に必要があると認める場合には、その業務に関し監督上必要な命令をすることができることなどとなっており、広く当該法人の業務に関与できることとなっている。

一方、非株式会社である日本司法支援センター及び日本銀行においては、主務大臣は、法人又はその役職員が法令等に違反し又は違反するおそれがあると認めるときは、その是正のために必要な措置を求めることができることなどとなっており、法人の運営の自主性に配慮して、違法行為等を対象としてその是正を促すものとなっている。

(5) 政府出資株式会社等の財務報告

ア 財務諸表等の作成基準及び開示制度

政府出資株式会社等における財務諸表等の作成基準及び開示制度をみたところ、次のような状況となっている。

(ア) 政府出資株式会社

政府出資株式会社について、設置根拠法等により作成及び開示並びに監査を義務付けられている財務諸表等(以下「法定財務諸表等」という。)の開示状況等をみると、表30のとおり、会社法に基づく計算書類等を開示している法人は全28法人であり、この計算書類等のほかに、金融商品取引法に基づく財務諸表等を開示している法人は、このうちの15法人となっている。

表30 政府出資株式会社の法定財務諸表等の開示状況等(平成27年3月末現在)

(単位:法人)
法人名 単体・
連結の
法定財務諸表等の作成基準 計算書類等の開示状況
会社法に基づ
く計算書類等
金融商品取引
法に基づく財
務諸表等
株式会社日本政策金融公庫 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社国際協力銀行 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
東京地下鉄株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
中間貯蔵・環境安全事業株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
成田国際空港株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
東日本高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
中日本高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
西日本高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
本州四国連絡高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
日本郵政株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社日本政策投資銀行 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社産業革新機構 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
新関西国際空港株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社農林漁業成長産業化支援機構 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社民間資金等活用事業推進機構 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社海外需要開拓支援機構 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
中部国際空港株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
日本電信電話株式会社  単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 米国会計基準
首都高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
阪神高速道路株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
日本アルコール産業株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
株式会社商工組合中央金庫 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
日本たばこ産業株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 国際会計基準
北海道旅客鉄道株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
四国旅客鉄道株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
九州旅客鉄道株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
連結 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
日本貨物鉄道株式会社 単体 一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
単体 28 15
連結 16 13
(イ) 非株式会社

非株式会社における法定財務諸表等の作成基準等は、表31のとおりとなっている。また、非株式会社10法人の各法人の設置根拠法においては、連結財務諸表の作成は義務付けられていない。

非株式会社10法人のうち、日本私立学校振興・共済事業団、日本司法支援センター及び日本年金機構の3法人は、設置根拠法等により、独立行政法人会計基準を適用している。また、日本中央競馬会及び全国健康保険協会の2法人は、設置根拠法により、会計については省令等の定めるところによるものとすることとなっており、当該省令等に定めのないものについては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うこととなっている。残りの5法人のうち日本銀行を除く4法人は、特殊法人等会計処理基準を適用している。

特殊法人等会計処理基準は、特殊法人等について初めて制定された統一的な基準であり、企業会計原則に準拠した基準となっている。同基準の適用対象となる法人は、株式会社及び独立行政法人を除く特殊法人及び認可法人のうち、国の出資又は補助金等 (業務の円滑な運営に資するための補助金等に限る。)の交付がなされている法人とするとされている。

そして、同基準は強制的に適用されるものではないが、適用対象となる法人の会計処理及び財務諸表等の作成を行う場合には、同基準の定めによるほか、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って行うことなどとなっている。

日本銀行は特殊法人等会計処理基準を適用していないが、同銀行における会計処理は、同銀行の政策委員会が制定した会計規程等の定めるところにより、中央銀行としての財務の健全性を踏まえつつ、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を尊重して行うものとされている。

表31 非株式会社の法定財務諸表等の作成基準等

法人名 法人区分 適用している会計基準 財務諸表等に関する主な法令等の定め
沖縄振興開発金融公庫 特殊法人 特殊法人等会計処理基準 沖縄振興開発金融公庫法、沖縄振興開発金融公庫法施行令、沖縄振興開発金融公庫の予算及び決算に関する法律、沖縄振興開発金融公庫の予算及び決算に関する法律施行令、沖縄振興開発金融公庫の国庫納付金に関する政令
日本私立学校振興・共済事業団 特殊法人 独立行政法人会計基準 日本私立学校振興・共済事業団法、日本私立学校振興・共済事業団の財務及び会計に関する省令
日本銀行 認可法人 会計規程等の定めるところにより、中央銀行としての財務の健全性を踏まえつつ、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を尊重 注(1) 日本銀行法、日本銀行法施行令、日本銀行法施行規則、日本銀行定款、会計規程
日本中央競馬会 特殊法人 規約に定めのないものは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準 注(2) 日本中央競馬会法、日本中央競馬会法施行令、日本中央競馬会法施行規則、日本中央競馬会定款、日本中央競馬会の会計に関する規約
預金保険機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準 預金保険法、預金保険法施行令、預金保険法施行規則
日本司法支援センター 独立行政法人会計基準 総合法律支援法、総合法律支援法施行規則
全国健康保険協会 省令に定めのないものは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準 注(3) 健康保険法、全国健康保険協会の財務及び会計に関する省令
日本年金機構 特殊法人 独立行政法人会計基準 日本年金機構法、日本年金機構の財務及び会計に関する省令
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準 原子力損害賠償・廃炉等支援機構法、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法施行令、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の業務方法書並びに財務及び会計に関する命令
農水産業協同組合貯金保険機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準 農水産業協同組合貯金保険法、農水産業協同組合貯金保険法施行令、農水産業協同組合貯金保険法施行規則
注(1)
日本銀行法に基づき政策委員会が制定した会計規程において、「当銀行の会計処理に関しては、日本銀行法(平成9年法律第89号。以下「法」という。)、日本銀行法施行令(平成9年政令第385号。以下「令」という。)、日本銀行法施行規則(平成10年大蔵省令第3号。以下「規則」という。)及び日本銀行定款の定めによるほか、別に定めのない限り、この規程の定めるところによる。」(第2条)、「当銀行の会計処理は、中央銀行としての財務の健全性を踏まえつつ、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を尊重して行うものとする。」(第3条)と規定されている。
注(2)
日本中央競馬会法(昭和29年法律第205号)に基づく日本中央競馬会の会計に関する規約(平成19年規約第3号)において、「本会の会計に関しては、法、日本中央競馬会法施行令(昭和29年政令第258号)、日本中央競馬会法施行規則(昭和29年農林省令第56号)及び法第7条の定款の規定によるほか、この規約の定めるところによる。」(第2条)、「本会の会計に関して、この規約に定めのないものについては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」(第3条)と規定されている。
注(3)
健康保険法において、「協会の会計は、厚生労働省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。」(第7条の26)と規定されている。また、全国健康保険協会の財務及び会計に関する省令(平成20年厚生労働省令第144号)において、「全国健康保険協会(以下「協会」という。)の会計については、この省令の定めるところによるものとし、この省令に定めのないものについては、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」(第1条)と規定されている。

イ 財務諸表等の監査等の状況

(ア) 政府出資株式会社

政府出資株式会社28法人においては、会社法に基づく監査役等及び会計監査人による財務諸表等の監査が実施されており、さらに、株式を上場している株式会社及び一定額以上の有価証券を発行・募集する株式会社に該当する15法人においては、金融商品取引法に基づく公認会計士等の監査も受けている。

また、政府出資株式会社は、設置根拠法に定められた大臣に財務諸表等を提出することとなっている。

(イ) 非株式会社

非株式会社10法人における財務諸表等の監査等については、政府出資株式会社に適用される会社法や金融商品取引法のように共通して適用される法令はなく、それぞれの設置根拠法等において規定されており、その状況は、表32のとおりとなっている。

財務諸表等の監査については、設置根拠法等により、監事による監査及び会計監査人による監査は、それぞれ10法人及び3法人に義務付けられている。また、日本私立学校振興・共済事業団及び日本中央競馬会は、次のとおり、任意で会計監査人の監査を受けている。

日本私立学校振興・共済事業団は、特殊法人等整理合理化計画において、同事業団が行う「助成業務には独立行政法人に準じた管理手法を導入する」こととなった。その後、15年10月の事業団法の一部改正により、同年10月から中期目標、中期計画、年度計画、評価等について独立行政法人通則法の関係規定が準用されるとともに、会計についても独立行政法人会計基準が適用されることとなった。そして、当時の事業団法においては、会計監査人の監査を義務付ける規定が設けられていなかったことから、特殊法人等整理合理化計画の趣旨に鑑み、財務諸表の適正性及び信頼性を高めるために、18年度の財務諸表等から会計監査人の監査を受けている。なお、27年4月の事業団法の一部改正により、会計監査人の監査を受けることが法律上義務付けられている。

また、日本中央競馬会は、「行政改革の重要方針」(平成17年12月閣議決定)において、事業及び組織形態について講ずべき措置の中で外部監査の導入が示され、事業の透明性向上のため、日本中央競馬会の会計に関する規約に基づいて、20年度の財務諸表等から会計監査人の監査を受けている。

そして、会計監査人の監査を受けていない法人を含めて、非株式会社全10法人は、それぞれの設置根拠法等に定められた大臣に財務諸表を提出して、その承認を受けなければならないこととなっている。

表32 非株式会社の財務諸表等の監査制度等の状況(平成26年3月末現在)

法人名 法令上の義務 法令上の義務に基づかない会計監査人による監査の実施
大臣による承認 監事による監査 会計監査人による監査
沖縄振興開発金融公庫
日本私立学校振興・共済事業団 (注)
日本銀行
日本中央競馬会
預金保険機構
日本司法支援センター
全国健康保険協会
日本年金機構
原子力損害賠償・廃炉等支援機構
農水産業協同組合貯金保険機構
(注)
平成27年4月の事業団法の一部改正により、会計監査人の監査を受けることが法律上義務付けられている。

ウ 特殊法人等に係る行政コスト計算財務書類の作成及び開示の状況

行政コスト計算財務書類は、行政コスト計算書、民間企業仮定貸借対照表、民間企業仮定損益計算書等から構成されている。同財務書類は、法定財務諸表等のように、作成及び開示並びに監査が義務付けられているものではなく、説明責任の確保及び透明性の向上の観点から、法定財務諸表等に添付される性格のものであり、近年の企業会計の動向も踏まえて、特殊法人等が民間企業として活動を行っていると仮定した場合の財務書類である。

そして、作成指針によれば、作成対象となる特殊法人等は、特殊法人及び認可法人のうち「国の出資又は補助金等(業務の円滑な運営に資するための補助金等に限る。)の交付がなされている法人」とされており、特殊法人等会計処理基準の適用対象と同様となっている。

行政コスト計算財務書類の作成及び開示の状況をみたところ、表33のとおり、特殊法人等8法人のうち、行政コスト計算財務書類の作成及び開示を行っているのは4法人となっている。

表33 特殊法人等に係る行政コスト計算財務書類の作成及び開示の状況

法人名 法人区分 法定財務諸表の作成に関して適用対象となる
としている会計基準
特殊法人等に係る行政コ
スト計算財務書類の作成
及び開示
沖縄振興開発金融公庫 特殊法人 特殊法人等会計処理基準
日本私立学校振興・共済事業団 特殊法人 独立行政法人会計基準
日本銀行 認可法人 会計規程等の定めるところにより、中央銀行としての財務の健全性を踏まえつつ、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を尊重
日本中央競馬会 特殊法人 規約に定めのないものは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準
預金保険機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準
日本年金機構 特殊法人 独立行政法人会計基準
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準
農水産業協同組合貯金保険機構 認可法人 特殊法人等会計処理基準

作成及び開示を行っていない4法人のうち、日本私立学校振興・共済事業団及び日本年金機構の2法人は、法定財務諸表等の作成において、独立行政法人会計基準が適用されることとなっている。

そして、作成及び開示を行っていない残りの2法人のうち、日本中央競馬会は、政府出資が同会の設立の際に国から承継した資産の現物出資によるものであり、その額が純資産額に比べて僅少であること、かつ、国の補助金等が交付されていないことから、特殊法人等会計処理基準の適用対象とされておらず、これと同様の理由により、行政コスト計算財務書類の作成対象とされていない。また、作成指針が公表された後に設立された原子力損害賠償・廃炉等支援機構は、作成指針の適用対象となる法人であるが、現状では法定財務諸表等のみを作成している。なお、同機構は、行政コスト計算財務書類の作成は任意であることから、今後、必要に応じて、主務大臣と協議の上、現在開示している法定財務諸表等の内容を勘案しつつ、行政コスト計算財務書類に準じた財務情報の開示の要否を検討していくこととしている。