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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 総務省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(2)地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)が交付の対象とならない事業に交付されていたもの[総務本省](8)


1件 不当と認める国庫補助金 3,559,771円

地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)は、地域経済の活性化と雇用の創出を図ることを目的として、「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)制度要綱」(平成25年府地活第125号、総行応第50号等。以下「制度要綱」という。)等に基づき、「日本経済再生に向けた緊急経済対策」(平成25年1月閣議決定)の迅速かつ円滑な実施ができるよう、地方公共団体が作成した「地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金)実施計画」に基づき実施する事業に要する費用のうち、地方公共団体が負担する経費に対して、国が交付するものである。制度要綱によれば、同交付金の交付対象は、地方単独事業については「建設地方債の発行対象経費であるもの」などとされている。そして、地方財政法(昭和23年法律第109号)によれば、同法第5条に掲げる公共施設又は公用施設の建設事業費の財源とする場合等においては、地方債をもってその財源とすることができることとされている。また、平成25年度地方債同意等基準運用要綱によれば、既存施設の解体工事に要する経費については、原則として、既存建物を撤去しなければ、施設の新増築ができない場合等新施設の建設事業を実施するために直接必要と認められる場合には、地方債の発行対象経費に該当するものと解されることとされており、現地建替えの場合は既存施設の解体工事に要する経費も建設事業費として地方債の発行対象となるが、移転建替えの場合には地方債の発行対象とならないこととなる。

本院が21都道府県及び277市区町村において会計実地検査を行ったところ、1県において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 交付金事業者
(事業主体)
交付金事業 年度 交付対象事業費 左に対する交付金交付額 不当と認める交付対象事業費 不当と認める交付金相当額 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(8) 総務本省 福井県 地域の元気臨時交付金(地域経済活性化・雇用創出臨時交付金) 25 129,742 128,000 5,302 3,559 補助の対象外

この交付金事業は、福井県が、県の単独事業である駐在所等建設事業において上中交番等4施設の建築工事を行ったものである。同県は、このうち上中交番及び日新(旧花月)交番については移転建替えを行うこととして、これらの既存施設の解体工事を5,302,500円で実施し、別の場所に建て替えていた。

そして、同県は、本件交付金事業として、上記の解体工事を含む駐在所等建設事業を事業費129,742,729円で実施したとする実績報告書を総務本省に提出していた。

しかし、前記の解体工事は、移転建替えに伴うものであることから、制度要綱で同交付金の交付対象とされている「建設地方債の発行対象経費であるもの」に該当しないものであった。

したがって、前記の解体工事は交付対象とは認められず、これに係る交付金相当額3,559,771円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において同交付金の制度に対する理解が十分でなかったこと、総務本省において本件交付金事業の審査が十分でなかったことなどによると認められる。