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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第4 総務省|
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  • 補助金

(6)電波遮へい対策事業費等補助金により実施した事業に係る補助対象事業費の積算及び補助率の適用を誤ったため、補助金が過大に交付されていたもの[関東総合通信局](14)


1件 不当と認める国庫補助金 13,902,000円

電波遮へい対策事業費等補助金は、電波法(昭和25年法律第131号)に基づき地上デジタルテレビ放送の受信障害に対策を講ずるなどの事業を実施する市町村等に対して、事業の実施に要する経費の全部又は一部について、国が補助するものである。

本院が20市及び19町において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
補助事業 年度 補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める補助対象事業費 不当と認める国庫補助金相当額 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(14) 関東総合通信局 埼玉県秩父市 辺地共聴施設整備 21、22 99,574 70,088 8,190 13,902 積算過大、過大交付

この補助事業は、秩父市が、秩父市内の浦山地区及び大滝地区において、山間地等の地上アナログテレビ放送の難視聴解消を目的として設置された共聴施設を地上デジタルテレビ放送対応の共聴施設に改修するために、既設の地上デジタルテレビ放送対応の受信設備(以下「受信点」という。)で受信した地上デジタルテレビ放送を送信設備まで伝送するための光ケーブル網、中継増幅装置等を整備したものである。

同市は、光ケーブル敷設費の積算に当たり、光ケーブルを管路内に敷設する際に曲がり部分等の施工が困難な箇所等に使用するプルボックスを、浦山地区内の延長203mの管路に、1m当たり2個設置することとして、計406個分のプルボックスの材料費計7,186,200円(17,700円/個)を計上していた。

しかし、上記の管路には、プルボックスの設置を必要とする曲がり部分等の施工が困難な箇所等はなく、設計図面にもプルボックスの設置について記載されていないことなどから、上記プルボックスの材料費を光ケーブル敷設費に含めて計上する必要はなかった。

また、「辺地共聴施設改修整備事業の支援拡充に係る運用について」(平成21年7月総務省デジタル放送受信推進室事務連絡)によれば、新たに設置する伝送路(以下「新設伝送路」という。)で受信点からの長さが1,000mまでの区間の設置に要する経費については、補助率2分の1を適用し、1,000mを超える区間の設置に要する経費については、補助率10分の10を適用することなどとされている。

しかし、同市は、大滝地区における新設伝送路の区間の区分を誤ったため、補助率2分の1を適用すべき一部の区間の設置に要する経費について補助率10分の10を適用するなどしていた。

したがって、前記プルボックスの材料費を浦山地区の光ケーブル敷設費に計上しないこととするなどして適正な補助対象事業費を算定した上で、大滝地区における新設伝送路の設置に要する経費に適用する補助率を適正なものとするなどして国庫補助金を算定すると56,186,000円となることから、本件国庫補助金70,088,000円との差額13,902,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において本件補助事業の適正な実施に対する理解が十分でなかったこと、関東総合通信局において本件補助事業の審査及び確認並びに同市に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。