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租税の徴収に当たり、徴収額に過不足があったもの[38税務署](19)


会計名及び科目
一般会計 国税収納金整理資金 (款)歳入組入資金受入
(項)各税受入金
部局等
38税務署
納税者
59人
徴収過不足額
徴収不足額 274,925,806円(平成22年度~27年度)
徴収過大額 1,550,300円(平成25、26両年度)

1 租税の概要

源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税、消費税等の国税については、法律により、納税者の定義、納税義務の成立の時期、課税する所得の範囲、税額の計算方法、申告の手続、納付の手続等が定められている。

納税者は、納付すべき税額を税務署に申告して納付することなどとなっている。国税局等又は税務署は、納税者が申告した内容が適正であるかについて申告審理を行い、必要があると認める場合には調査等を行っている。そして、確定した税額は、税務署が徴収決定を行っている。

平成27年度国税収納金整理資金の各税受入金の徴収決定済額は72兆8964億余円となっている。このうち源泉所得税は1449億余円、源泉所得税及復興特別所得税(注1)は17兆8083億余円(以下、源泉所得税と源泉所得税及復興特別所得税とを合わせて「源泉所得税」という。)、申告所得税は861億余円、申告所得税及復興特別所得税は3兆2388億余円(以下、申告所得税と申告所得税及復興特別所得税とを合わせて「申告所得税」という。)、法人税は12兆2847億余円、相続税・贈与税は2兆1030億余円、消費税及地方消費税は28兆0533億余円となっていて、これら各税の合計額は63兆7193億余円となり、全体の87.4%を占めている。

(注1)
復興特別所得税  東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法(平成23年法律第117号)に基づくものであり、平成25年1月から49年12月までの25年間、源泉所得税及び申告所得税に、その税額の2.1%相当額を上乗せする形で課税するもの

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、上記の各税に重点をおいて、合規性等の観点から、課税が法令等に基づき適正に行われているかに着眼して、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された証拠書類等により検査するとともに、全国の12国税局等及び524税務署のうち11国税局等及び68税務署において、申告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、国税局等及び税務署に調査等を求めて、その調査等の結果の内容を確認するなどの方法により検査した。

(2) 徴収過不足の事態

検査の結果、38税務署において、納税者59人から租税を徴収するに当たり、徴収額が、61事項計274,925,806円(22年度から27年度まで)不足していたり、2事項計1,550,300円(25、26両年度)過大になっていたりしていて、不当と認められる。

これを、税目別に示すとのとおりである。

表 税目別の徴収過不足額等

税目 事項数 徴収不足額 事項数 徴収過大額(△)
     
源泉所得税 1 2,292,006
申告所得税 22 38,727,200
法人税 25 193,303,700 1 △910,300
相続税・贈与税 4 20,195,600
消費税 5 7,703,000 1 △640,000
復興特別法人税 4 12,704,300
61 274,925,806 2 △1,550,300
(注)
復興特別法人税  東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法に基づくものであり、原則として、平成24年4月1日から26年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度開始の日から同日以後2年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度において、法人税額の10%相当額を課税するもの

なお、これらの徴収不足額及び徴収過大額については、本院の指摘により、全て徴収決定又は支払決定の処置が執られた。

(3)発生原因

このような事態が生じていたのは、前記の38税務署において、納税者が申告書等において所得金額や税額等を誤るなどしているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったり、課税資料の収集及び活用が的確でなかったりしたため、誤ったままにしていたことなどによると認められる。

(4) 税目ごとの態様

この63事項のうち、源泉所得税、申告所得税、法人税、相続税・贈与税及び消費税に関する事態について、その主な態様を示すと次のとおりである。

ア 源泉所得税

源泉所得税に関して徴収不足になっていた事態が1事項あった。これは、配当に関する事態である。

配当の支払者は、支払の際に、源泉所得税を徴収して法定納期限までに国に納付しなければならないこととなっており、法定納期限までに納付がない場合には、税務署は支払者に対して納税の告知をしなければならないこととなっている。また、自己株式の取得(市場取引による取得等を除く。)に際し、その対価として金銭等を交付した場合、当該株式に対応する資本金等の額を超える部分の金額は、配当とみなされることとなっている。

この配当に関して、自己株式の取得による配当とみなされる金額について、法定納期限を経過した後も長期間にわたって源泉所得税が納付されていないのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、納税の告知をしておらず徴収不足になっていた事態が1事項2,292,006円あった。

イ 申告所得税

申告所得税に関して徴収不足になっていた事態が22事項あった。この内訳は、譲渡所得に関する事態が13事項、不動産所得に関する事態が5事項及びその他に関する事態が4事項である。

(ア) 譲渡所得に関する事態

個人が資産を譲渡した場合には、その総収入金額から譲渡した資産の取得費や譲渡に要した費用の額等を差し引いた金額を譲渡所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。ただし、土地建物等の譲渡による所得については、他の所得と分離して課税することとなっている。そして、個人が相続又は遺贈により取得した資産を一定の期間内に譲渡した場合には、相続税額のうち所定の方法により計算した金額を、当該資産の譲渡による利益の金額を超えない範囲で取得費に加算する特例の規定を適用できることとなっている。

この譲渡所得に関して、徴収不足になっていた事態が13事項計17,115,000円あった。その主な内容は、取得費に加算できる相続税額を過大に計上しているのに、これを見過ごしたり、法令等の適用の検討が十分でなかったりしたため、譲渡所得の金額を過小のままとしていたものである。

<事例1> 相続財産に係る譲渡所得の課税の特例の規定の適用を誤っていた事態

納税者Aは、平成25年分の申告に当たり、譲渡した2筆の土地に係る譲渡所得の計算において、当該2筆の土地が相続により取得したものであるとして、相続財産に係る譲渡所得の課税の特例の規定を適用し、相続税額のうち所定の方法により計算した金額39,314,408円を譲渡した土地の取得費に加算するなどして、譲渡所得の金額はないとしていた。

しかし、納税者Aの申告書等によれば、譲渡した2筆の土地のうち、1筆の土地は相続する前から所有しており、この1筆の土地については譲渡所得の計算において上記特例の規定を適用できないため、譲渡所得の金額が22,019,435円過小となっていたのに、これを見過ごしたため、申告所得税額3,372,200円が徴収不足になっていた。

(イ) 不動産所得に関する事態

個人が不動産を貸し付けた場合には、その総収入金額から必要経費等を差し引いた金額を不動産所得として、他の各種所得と総合して課税することとなっている。そして、個人が有する減価償却資産の償却費として不動産所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、当該資産について取得日等に応じて定められた償却の方法に基づいて計算した金額とすることとなっている。

この不動産所得に関して、徴収不足になっていた事態が5事項計12,971,600円あった。その主な内容は、減価償却資産の償却費の計算を誤って必要経費の額を過大に計上しているのに、これを見過ごしたため、不動産所得の金額を過小のままとしていたものである。

(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、事業所得等に関して、徴収不足になっていた事態が4事項計8,640,600円あった。

ウ 法人税

法人税に関して徴収不足又は徴収過大になっていた事態が26事項あった。この内訳は、法人税額の特別控除に関する事態が11事項、受取配当等の益金不算入に関する事態が5事項及びその他に関する事態が10事項である。

(ア) 法人税額の特別控除に関する事態

法人税額の算定に当たり、法人税額から一定の金額を控除する各種の特別控除が設けられている。このうち、青色申告書を提出する資本金又は出資金の額が3000万円以下の中小企業者等(以下「特定中小企業者等」という。)は、特定の機械等を取得して事業の用に供した場合、その事業年度において、当該事業年度の法人税額の100分の20相当額を限度として、取得価額に一定の割合を乗じた金額を法人税額から控除できることなどとなっている。

また、青色申告書を提出する法人は、損金の額に算入した試験研究費の額がある場合、当該事業年度の法人税額の100分の20相当額等又は試験研究費の額に一定の割合を乗じた金額(以下「税額控除限度額」という。)のいずれか少ない金額を法人税額から控除できることとなっている。そして、前事業年度の税額控除限度額のうち前事業年度において控除できなかった金額があるときには、当該事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超える場合において、当該事業年度に繰り越して控除できることなどとなっている。

この法人税額の特別控除に関して、徴収不足になっていた事態が11事項計22,578,300円あった。その主な内容は、次のとおりである。

a 資本金の額が3000万円を超えていて特定中小企業者等に該当しない法人が、特定中小企業者等が機械等を取得して事業の用に供した場合の法人税額の特別控除を行っているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。

b 当該事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超えていない法人が、前事業年度の税額控除限度額のうち前事業年度において控除できなかった金額を当該事業年度の法人税額から誤って控除しているのに、これを見過ごしたため、法人税額を過小のままとしていた。

<事例2> 試験研究費に係る法人税額の特別控除の規定の適用を誤っていた事態

B会社は、平成24年4月から25年3月までの事業年度分の申告に当たり、試験研究費に係る法人税額の特別控除の規定を適用して、当該事業年度の税額控除限度額9,639,249円と前事業年度の税額控除限度額のうち前事業年度において控除できなかった金額4,819,624円との合計額14,458,873円を法人税額から控除していた。

しかし、B会社の申告書の試験研究費に関する資料によれば、当該事業年度の試験研究費の額が前事業年度の試験研究費の額を超えていないことから、前事業年度の税額控除限度額のうち前事業年度において控除できなかった金額については上記特別控除の規定を適用できず、当該事業年度の法人税額から誤って控除していたのに、これを見過ごしたため、法人税額4,819,700円が徴収不足になっていた。

(イ) 受取配当等の益金不算入に関する事態

法人が内国法人から受ける配当等の金額、証券投資信託の収益の分配金のうち内国法人から受ける配当等から成る部分の金額等については、所定の方法により計算した金額を所得の金額の計算上、益金の額に算入しないこととなっている。ただし、証券投資信託のうち特定外貨建等証券投資信託の収益の分配金、不動産投資信託の収益の分配金等については、その全額が益金不算入の対象とならないこととなっている。

この受取配当等の益金不算入に関して、徴収不足になっていた事態が5事項計10,112,800円あった。その主な内容は、受取配当等の益金不算入の対象とならない特定外貨建等証券投資信託の収益の分配金、不動産投資信託の収益の分配金等を受取配当等の益金不算入額としているのに、これを見過ごしたため、所得の金額を過小のままとしていたものである。

<事例3> 受取配当等の益金不算入の対象とならない不動産投資信託の収益の分配金等を受取配当等の益金不算入額としていた事態

C会社は、平成25年4月から26年3月までの事業年度分の申告に当たり、内国法人から受ける配当等について受取配当等の益金不算入に関する規定を適用して、受取配当等の益金不算入額を29,777,678円と計算していた。

しかし、受取配当等の益金不算入額に含まれていた不動産投資信託の収益の分配金は、その全額が受取配当等の益金不算入の対象とならないなどのため、当該事業年度分の所得の金額が過小となっていたのに、これを見過ごしたため、法人税額6,068,500円が徴収不足になっていた。

(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、役員給与の損金不算入等に関して、徴収不足になっていた事態が9事項計160,612,600円、徴収過大になっていた事態が1事項910,300円あった。

エ 相続税・贈与税

相続税・贈与税に関して徴収不足になっていた事態が4事項あった。この内訳は、相続税額の加算に関する事態が1事項、贈与税の非課税の特例に関する事態が1事項及びその他に関する事態が相続税について2事項である。

(ア) 相続税額の加算に関する事態

個人が相続又は遺贈により財産を取得した場合には、その取得した財産に対して相続税を課することとなっている。そして、財産を取得した者が被相続人の一親等の血族(養子を含む。)及び配偶者以外の者である場合の相続税額は、所定の方法により計算した金額にその100分の20に相当する金額を加算するなどした金額とすることとなっている。ただし、被相続人の孫が養子となっている場合は、当該養子は相続税額の計算に当たっては一親等の血族に含まないものとすることとなっている。

この相続税額の加算に関して、相続により財産を取得した者が被相続人の養子となった孫であるため、相続税額を加算する必要があるのに、これを見過ごしたため、相続税額を過小のままとしており徴収不足になっていた事態が1事項2,268,500円あった。

(イ) 贈与税の非課税の特例に関する事態

個人が贈与により財産を取得した場合には、その取得した財産に対して贈与税を課することとなっている。そして、取得した財産が住宅取得等資金(注2)であり、直系尊属から贈与を受けたものであるなどの要件を満たす場合には、当該住宅取得等資金のうち一定の額までの金額を贈与税の課税価格に算入しないこととなっている。

この住宅取得等資金に係る贈与税の非課税の特例に関して、贈与をした者が納税者の直系尊属に該当しないにもかかわらず誤って住宅取得等資金の特例の規定を適用しているのに、これを見過ごしたため、贈与税の課税価格を過小のままとしており徴収不足になっていた事態が1事項530,000円あった。

(注2)
住宅取得等資金  自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又は自己の居住の用に供している家屋の増改築等の対価に充てるための金銭
(ウ) その他に関する事態

(ア)及び(イ)のほか、有価証券の価額等に関して、相続税が徴収不足になっていた事態が2事項計17,397,100円あった。

オ 消費税

消費税に関して徴収不足又は徴収過大になっていた事態が6事項あった。この内訳は、課税売上高の計上に関する事態が3事項及びその他に関する事態が3事項である。

(ア) 課税売上高の計上に関する事態

事業者は、課税の対象となる国内において行った資産の譲渡及び貸付け並びに請負等の役務の提供に係る収入金額を課税売上高に計上することとなっている。

この課税売上高の計上に関して、徴収不足になっていた事態が3事項計3,233,400円あった。その内容は、事業者が事業用建物を譲渡しているのに、課税資料の収集及び活用が的確でなかったため、課税売上高を過小のままとしていたものである。

(イ) その他に関する事態

(ア)のほか、課税仕入れに係る消費税額の控除等に関して、徴収不足になっていた事態が2事項計4,469,600円、徴収過大になっていた事態が1事項640,000円あった。

これらの徴収不足額及び徴収過大額を国税局別に示すと次のとおりである。

国税局 税務署数   源泉所得税   申告所得税   法人税   相続税
贈与税
  消費税   復興特別法人税  
事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△) 事項数 徴収不足徴収過大(△)
      千円   千円   千円   千円   千円   千円   千円
札幌国税局 1         1 1,432             1 1,432
仙台国税局 2     1 555         1 2,631     2 3,186
関東信越国税局 4 1 2,292 1 931 3 2,360     1 559     6 6,143
東京国税局 19     18 31,305 12 59,225 3 19,665 2 2,673 1 534 36 113,404
1 △910 1 △640 2 △1,550
金沢国税局 1     1 3,249                 1 3,249
名古屋国税局 6         5 123,369     1 1,837 3 12,170 9 137,377
大阪国税局 1         1 675             1 675
広島国税局 1         1 796             1 796
福岡国税局 1         1 4,819             1 4,819
熊本国税局 2     1 2,685 1 624 1 530         3 3,839
38 1 2,292 22 38,727 25 193,303 4 20,195 5 7,703 4 12,704 61 274,925
1 △910 1 △640 2 △1,550