ページトップ
  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

(12)介護保険の普通調整交付金が過大に交付されていたもの[愛知県](189)


1件 不当と認める国庫補助金 1,165,000円

介護保険(「介護給付費負担金が過大に交付されていたもの」参照)については各種の国庫助成が行われており、その一つとして、財政調整交付金が交付されている。財政調整交付金は、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)が行う介護保険財政が安定的に運営され、もって介護保険制度の円滑な施行に資することを目的として、各市町村における介護給付等に要する費用の総額の5%に相当する額を国が負担して、これを各市町村に交付するもので、普通調整交付金と特別調整交付金とがある。

普通調整交付金(以下「交付金」という。)は、市町村間で、市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者(以下「第1号被保険者」という。)の総数に占める75歳以上の者の割合(以下「後期高齢者加入割合」という。)及び標準的な所得段階の区分(第1段階から第6段階まで)ごとの第1号被保険者の分布状況(以下「所得段階別加入割合」という。)に格差があることによって生ずる介護保険財政の不均衡を是正するために交付するものである。

交付金の交付額は、「介護保険の調整交付金の交付額の算定に関する省令」(平成12年厚生省令第26号)等に基づき、次により算定することとなっている。

(12)介護保険の普通調整交付金が過大に交付されていたもの[愛知県](189) 画像

上記のうち、調整基準標準給付費額及び普通調整交付金交付割合については、次のとおりとなっている。

ア 調整基準標準給付費額は、当該市町村における前年度の1月から当該年度の12月までにおいて、①国民健康保険団体連合会が審査決定した居宅介護サービス費、施設介護サービス費等、②市町村が支払決定した高額介護サービス費等の支給を行う介護給付に要した費用、③国民健康保険団体連合会が審査決定するなどした介護予防サービス費等の支給を行う予防給付に要した費用等の合計額から、前年度の12月から当該年度の11月までの間における損害賠償金等の収入額を控除した額とする。

イ 普通調整交付金交付割合は、後期高齢者加入割合補正係数と所得段階別加入割合補正係数を用いるなどして算出した割合であり、このうち、所得段階別加入割合補正係数は、当該市町村において、毎年4月1日(保険料の賦課期日)における標準的な所得段階の区分ごとの第1号被保険者数(ただし、4月1日から12月31日までの間に所得の更正決定等により賦課期日における所得段階の区分が変更となった第1号被保険者がいる場合は、当該変更後の所得段階の区分ごとの第1号被保険者数)を基に算出される所得段階別加入割合を、国から示される全ての市町村における所得段階別加入割合と比較するなどして算出した係数である。

交付金の交付を受けようとする市町村は、都道府県に交付申請書及び事業実績報告書を提出して、これを受理した都道府県は、その内容を添付書類により、また、必要に応じて現地調査を行うことにより審査した上でこれを厚生労働省に提出し、同省は、これに基づき交付決定及び交付額の確定を行うこととなっている。

本院が、16都道府県の172市区町村、1一部事務組合及び1広域連合において会計実地検査を行ったところ、1市において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 交付先
(保険者)
年度 交付金交付額 左のうち不当と認める額 摘要
        千円 千円  
(189) 愛知県 江南市 24 76,281 1,165 所得段階別加入割合補正係数の算出を誤るなどしていたもの

江南市は、平成24年度の所得段階別加入割合補正係数の算出に当たり、所得の更正決定等により所得段階の区分を変更すべき第1号被保険者について、所得段階の区分を変更していないなどしていて、誤った所得段階の区分ごとの第1号被保険者数に基づき算出するなどしていた。

この結果、普通調整交付金交付割合が過大に算出されるなどしており、交付金交付額76,281,000円のうち1,165,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において制度を十分に理解していなかったこと、愛知県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。