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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第14 防衛省|
  • 平成25年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

防衛装備品等の調達に関する契約における資料の信頼性確保について


平成25年度決算検査報告参照
平成26年度決算検査報告参照

1 本院が表示した意見

防衛省は、防衛装備品及びその修理等の役務(以下、これらを「防衛装備品等」という。)の調達に当たり、原価計算方式により予定価格を算定した契約において、契約の履行に要するなどした費用が原価として妥当であるか否かを審査するための原価監査を行ったり、原価計算方式により予定価格を算定した契約を締結している民間企業(以下「防衛関連企業」という。)に対して、その原価計算システムの適正性を確認するための制度調査を行ったりしている。平成24年1月以降、防衛関連企業7社による過大請求事案が相次いで発覚し、防衛省は、契約の相手方が提出等する資料について、一層の信頼性を確保するために「契約の相手方が提出等する資料の信頼性確保のための施策について(通達)」(以下「25年通達」という。)を発するなどして再発防止策を講じている。しかし、防衛関連企業12社において、原価計算等に関する規程類が十分整備されていなかったり、原価計算に係る工数の計上に当たり、工数が適正に計上されているか検証するための作業指示や作業実績に関する資料を保存していなかったり、不正な工数の付替えを防止するための工数修正の証拠の記録及び保存を行っていなかったりなどしていて、実績工数の客観性を検証することができないなどの事態が見受けられた。

したがって、防衛関連企業が提出等する資料の信頼性を確保して、防衛装備品等の調達価格の透明性を確保するために、防衛省において、防衛関連企業に対して、25年通達の一層の徹底を図るために原価監査等の機会も活用するなどして、原価計算等に関する規程類が十分に整備されているか、当該規程類に基づく適正な会計処理を行っているか、原価計算に係る適正な工数の計上を行う体制が整っているかなどについて早急に調査を行い、必要に応じて防衛関連企業に対して改善を求めるなどの方策を検討するよう、防衛大臣に対して26年9月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。

2 当局が講じた処置

本院は、防衛省内部部局、防衛装備庁(27年9月30日以前は内部部局等の一部及び装備施設本部)等において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、防衛省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 25年通達の一層の徹底を図るために、原価計算等に関する規程類の整備、当該規程類に基づく会計処理、原価計算に係る工数の計上を行う体制の整備等の状況について、全ての防衛関連企業に対して早急に聞き取り調査を行うとともに、25年通達の制定後に制度調査を行っていない全ての防衛関連企業に対して、26年度から28年度までの間に制度調査等を行った。これらの結果、不備があった防衛関連企業に対しては、速やかな改善を求めた。

イ 防衛装備庁において、原価監査官に対して、企業の規程類の確認の重要性等について指導を行い、原価監査の際に規程類の整備等の状況を確認することとした。