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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第19 独立行政法人農畜産業振興機構|
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  • (1)補助の対象とならないなどのもの

中核的担い手育成増頭推進事業において、交付対象とならない繁殖雌牛を奨励金の算定に含めるなどしていたもの[一般社団法人北海道酪農畜産協会](322)


(1件 不当と認める機構の補助金 27,340,000円)

中核的担い手育成増頭推進事業(以下「増頭事業」という。)は、地域の中核的担い手が計画的に優良な繁殖雌牛を増頭した場合に、増頭実績に応じて奨励金を交付する事業であり、機構は、奨励金の交付を実施する事業主体が増頭事業を実施するのに要する経費に対して補助金を交付している。

事業主体は、肉用牛経営安定対策補完事業実施要綱(平成23年22農畜機第4380号)等に基づき、繁殖雌牛の増頭計画を有するなどの要件を満たす者(以下「生産者」という。)が、育種価(注)等が一定以上であることなどの所定の要件を満たす優良な繁殖雌牛を増頭した場合に、満たした要件の種類に応じて、増頭した繁殖雌牛1頭当たり80,000円以内又は100,000円以内の奨励金を交付することとなっている。

そして、奨励金の交付対象となる繁殖雌牛の頭数(以下「交付対象頭数」という。)は、次のように算定することとなっている(参考図参照)。

① 生産者が事業実施年度(4月1日から翌年3月31日まで)の12月31日現在(以下「期末」という。)に飼養している繁殖雌牛の全頭数から、事業実施年度の前の年度の1月1日現在(増頭事業に新規に参加する生産者については、事業実施年度の4月1日現在。以下「期首」という。)に飼養している繁殖雌牛の全頭数を差し引いた頭数(1生産者当たり50頭を上限)を、奨励金の交付対象となり得る頭数(以下「枠数」という。)とする。

② 生産者が期末に飼養している繁殖雌牛であって、期首から期末までの間に購入等により新たに導入した繁殖雌牛の中から、枠数を上限として前記所定の要件を満たす優良な繁殖雌牛の頭数を算定する。

(注)
育種価  枝肉重量、脂肪交雑等に係る遺伝的な能力を数値化したもの

本院が、機構及び9事業主体において会計実地検査を行ったところ、1事業主体において次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

  補助事業者 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する機構補助金交付額 不当と認める事業費 不当と認める機構補助金相当額
          千円 千円 千円 千円
(322) 一般社団法人北海道酪農畜産協会
(事業主体)
中核的担い手育成増頭推進 26、27 173,120 173,120 27,340 27,340

一般社団法人北海道酪農畜産協会(以下「協会」という。)は、平成26、27両年度の増頭事業の実施に要した経費を、交付対象頭数計1,734頭に係る計173,120,000円であったとして実績報告書を提出しており、機構は、協会に同額の補助金を交付していた。

しかし、前記のとおり、交付対象頭数は、生産者が期末に飼養している繁殖雌牛であって、期首から期末までの間に新たに導入した繁殖雌牛の中から算定することとなっているのに、協会は、誤って、期首よりも前から既に飼養していたものを含め、期末に飼養している全ての繁殖雌牛の中から算定していた。そのため、協会が交付対象頭数としていた上記1,734頭の繁殖雌牛には、期首よりも前から既に飼養されていて奨励金の交付対象とならない繁殖雌牛計221頭が含まれるなどしていた。

したがって、上記奨励金の交付対象とならない繁殖雌牛を除き、1頭当たりの奨励金の額を満たした要件の種類に応じたものとするなどして、適正な経費を算定すると、交付対象頭数計1,502頭に係る計145,780,000円となり、前記の計173,120,000円との差額27,340,000円が過大になっていて、これに係る機構の補助金相当額27,340,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、協会において増頭事業に対する理解が十分でなかったこと、機構において協会に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(参考図)

交付対象頭数の算定方法

交付対象頭数の算定方法 画像