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  • 平成27年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第22 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

電子複写機等の調達に当たり、賃貸借契約を複写サービス等契約に変更して本社において一括して契約することなどにより、契約事務の効率化を図り、より経済的な調達を実施するよう改善させたもの


科目
(建設勘定) (項)業務経費 等
部局等
独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構本社、2支社、3新幹線建設局、1工事事務所、1工事局
契約の概要
電子複写機等の賃貸借及び保守等を行うもの
契約の相手方
14会社
検査の対象とした契約件数及び契約額
43件 1億7087万余円(平成26、27両年度)
上記のうち契約を変更することなどにより節減できた契約件数及び契約額
9件 1457万円(平成27年度)

1 電子複写機等の調達等の概要

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)は、本社、支社、新幹線建設局、工事事務所及び工事局(以下、支社から工事局までを合わせて「支社局等」という。)並びに支社局等管内の建設所の業務に必要な電子複写機等の調達に当たり、一般競争契約等により民間業者と電子複写機等の賃貸借及び保守契約(以下、賃貸借及び保守契約を「賃貸借契約」という。)等を毎年締結している。

機構の契約事務規程等によれば、本社、支社局等ごとに設置された会計機関としての契約担当役が自ら契約するほか、契約担当役が他の契約担当役に支出負担行為を委託すること(調達委託)ができるとされている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性、効率性等の観点から、役務の調達等に当たり、経済的な調達となっているか、契約事務が効率的に行われているかなどに着眼して、平成26、27両年度に、14会社と契約した電子複写機等の賃貸借契約等(契約件数計43件、契約額計1億7087万余円)を対象として、本社及び6支社局等(注1)において、契約書、仕様書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、九州新幹線建設局から調書等の提出を受け、その内容を確認するなどして検査した。

(注1)
6支社局等  東京、大阪両支社、北海道新幹線建設局、青森新幹線建設局(平成28年4月1日以降は青森工事事務所)、富山工事事務所(27年3月31日以前は北陸新幹線第二建設局)、関東甲信工事局

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

支社局等は、従前から継続して賃貸借契約により電子複写機等を調達してきており、支社局等自らが定めた仕様に基づき賃貸借契約(26年度契約件数20件、契約額計4221万余円、27年度同21件、同計7158万余円)を締結していた。そして、支社局等における賃貸借契約の内容を仕様書により確認したところ、調達する電子複写機等の性能に若干の違いはあるものの、電子複写機等の賃貸借、設置、調整、定期点検、故障時の保守等となっていて、支社局等で契約内容に差異はないものであった。

一方、本社では、26年度にそれまでの賃貸借契約から複写サービス及びプリント提供業務(注2)契約(契約件数1件、契約額3784万余円。以下「複写サービス等契約」という。)に変更しており、関東甲信工事局においても、27年8月に本社近郊へ事務所を移転した際に、賃貸借契約から複写サービス等契約(契約件数1件、契約額1922万余円)に変更していた。そして、本社及び関東甲信工事局における複写サービス等契約の内容を仕様書により確認したところ、請負業者が利用状況を勘案して要求する機能を備えた電子複写機等を適正に配置して、複数年にわたってその保守やセキュリティの確保等を行うものであり、賃貸借契約と比較しても同等以上の仕様要求を満足できるものとなっていた。

(注2)
複写サービス及びプリントサービス提供業務  請負業者において、契約期間全般にわたって仕様に定められた一定水準の役務品質を保証して出力サービスに関する一切の業務を提供するものであり、異常発生を感知できるシステムの構築・提供や利用状況についての定期報告等も行われる。

そして、電子複写機等の賃貸借契約と複写サービス等契約における、モノクロ、カラー1枚当たりの単価を比較すると、賃貸借契約については、モノクロは0.46円から2.2円(月印刷予定枚数2,000枚から84,000枚)、カラーは2.05円から12.16円(同1,000枚から53,000枚)となっており、複写サービス等契約については、モノクロは0.4円又は0.5円(同135,000枚又は465,278枚)、カラーは3.0円又は3.1円(同69,000枚又は197,639枚)となっており、月印刷予定枚数が多くなると、おおむね複写サービス等契約の方が賃貸借契約より1枚当たりの単価は安価となる傾向となっていた。

なお、機構を通じて、複写サービス等契約を提供している複数の民間業者に機構全体で一括して調達することが可能か確認したところ、機構における現行の電子複写機等の使用状況等に鑑みると可能であることが示された。

したがって、電子複写機等の調達について、賃貸借契約と比較しても同等以上の仕様要求を満足できる複写サービス等契約に変更するとともに、支社局等の契約担当役から本社の契約担当役への調達委託を行い本社において一括して調達することなどにより、契約事務の効率化を図り、より経済的な調達を実施することが可能であったのに、賃貸借契約による電子複写機等の調達を継続していた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(節減できた契約額)

26年度に本社が複写サービス等契約を締結した後に支社局等が検討する期間や、27年度以降における支社局等の統廃合等を考慮した場合に、26、27両年度に支社局等が締結した電子複写機等の賃貸借契約計41件のうち、複写サービス等契約に変更することが可能であった27年度の賃貸借契約9件、契約額計5448万余円について、本院において、複写サービス等契約に変更したと仮定して契約額を試算すると計3991万余円となり、契約額を1457万余円節減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、機構において、電子複写機等の調達に当たり、契約事務の効率化を図り、より経済的な調達を実施することに対する検討が十分でなかったこと、また、本社及び支社局等の契約担当役に対して、これらの指導が十分でなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、機構は、28年9月に本社及び支社局等に対して通知を発して、電子複写機等の調達に当たっては、従来の賃貸借契約を、現在の契約期間を考慮して、順次、複写サービス等契約に変更して本社において一括して契約することなどにより、契約事務の効率化を図り、より経済的な調達を実施するための処置を講じた。