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  • 平成27年度|
  • 第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等

第4節 国民の関心の高い事項等に関する検査状況


1 国民の関心の高い事項等に関する検査の取組方針

近年、行政においては、財政健全化に向けて、「経済・財政再生計画」を定めて、「デフレ脱却・経済再生」「歳出改革」及び「歳入改革」の3本柱の改革を一体として推進するとしている。また、国会においては、国会による財政統制を充実し強化する観点から、予算の執行結果を把握して次の予算に反映させることの重要性等が議論されている。

このような中で、本院は、その使命を的確に果たすために毎年次策定している会計検査の基本方針に従って、我が国の社会経済の動向、財政の現状、行政における様々な取組等を踏まえて国民の期待に応える検査に努めており、特に、国会等で議論された事項、新聞等で報道された事項その他の国民の関心の高い事項については、必要に応じて機動的・弾力的な検査を行うなど、適時適切に対応することとしている。

2 検査の状況

(1) 検査の結果、検査報告に掲記したもの

上記国民の関心の高い事項等としては、今なお我が国の大きな課題となっている東日本大震災からの復興や、度重なる自然災害の発生等により関心が一層高まっている国民生活の安全性の確保が挙げられる。また、厳しい財政の現状等を踏まえて、予算・経理の適正な執行はもとより、資産、基金等のストック、行政経費の効率化や事業の有効性の確保に対する国民の関心は引き続き高いものとなっている。このほか、少子高齢化や地球温暖化の進行、情報化の進展等を背景として、社会保障、環境及びエネルギー、情報通信(IT)といった分野についても国民の関心は高いものとなっている。

これら国民の関心の高い事項等について、正確性、合規性、経済性、効率性、有効性等の多角的な観点から検査を行った結果、「第3章 個別の検査結果」及び「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に掲記した主なものを示すと、次のとおりである。

ア 東日本大震災からの復興に向けた施策等に関するもの

イ 国民生活の安全性の確保に関するもの

ウ 予算の適正な執行、会計経理の適正な処理等に関するもの

エ 資産、基金等のストックに関するもの

オ 行政経費の効率化、事業の有効性等に関するもの

カ 社会保障に関するもの

キ 環境及びエネルギーに関するもの

ク 情報通信(IT)に関するもの

アからクまでに掲げたもののほか、国民の関心の高い事項等について検査を行った結果、「国外に所在する中古の建物に係る所得税法上の減価償却費について」(特定検査対象に関する検査状況)、「量的・質的金融緩和等の日本銀行の財務への影響について」(特定検査対象に関する検査状況)及び「独立行政法人都市再生機構の千葉ニュータウン事業における補償契約等について」(特定検査対象に関する検査状況)を「第4章 国会及び内閣に対する報告並びに国会からの検査要請事項に関する報告等」に掲記した。

(2) その他の検査の状況

(1)のほか、国会法第105条の規定に基づく検査要請が行われた「東京電力株式会社に係る原子力損害の賠償に関する国の支援等の実施状況について」及び「日本放送協会における関連団体の事業運営の状況について」について検査を実施している。

3 本院の所見

本院は、今後も我が国の社会経済の動向、財政の現状等を踏まえて国民の期待に応える検査に努めるために、国会等で議論された事項等の国民の関心の高い事項については、必要に応じて機動的・弾力的な検査を行うなど、適時適切に対応するとともに、我が国の財政の健全化に向けた様々な取組について留意しながら検査を行っていくこととする。