ページトップ
  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (1) 補助の対象とならないもの

産地水産業強化支援事業の交付対象事業費に、交付の対象とならない経費を含めていたもの[水産庁、沖縄総合事務局](232)(233)


(2件 不当と認める国庫補助金 12,015,943円)

産地水産業強化支援事業は、産地水産業強化支援事業交付要綱(平成23年22水港第2421号農林水産事務次官依命通知)に基づき、漁業協同組合等の漁業者団体、市町村等により構成される産地協議会が策定した産地水産業強化計画の達成のために必要となる密漁等監視施設、文化的景観施設等の共同利用施設の整備等を実施した市町村等に対して、水産庁が、都道府県等を経由するなどして、水産業強化対策整備交付金(以下「交付金」という。)を交付するものである。同要綱等によれば、交付対象事業費の範囲は、施設の整備等に要する経費とされている。そして、施設の撤去に要する経費については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)で定める排出ガス等の規制に対応しておらず、休止・遊休化している施設について、その跡地に、新たに交付対象施設を整備する場合等に限り交付の対象とすることができるとされている。また、施設の改築等の場合は、既存の施設の一部取壊し及び復旧に係る経費(以下「一部取壊し費」という。)は交付対象としないこととされている。

本院が、72事業主体において会計実地検査を行ったところ、沖縄県又は北海道根室市を経由して交付金の交付を受けていた2事業主体において、交付対象とならない施設の整備に係る実施設計業務に要する経費等を含めて交付対象事業費を算定しており、これらの経費等計19,852,658円は交付の対象とは認められず、これに係る交付金相当額計12,015,943円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、2事業主体において交付対象となる経費についての理解が十分でなかったこと、沖縄県及び根室市において本件交付金事業に係る審査及び確認並びに2事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

以上を事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(232) 水産庁 北海道根室市 根室漁業協同組合
(事業主体)
産地水産業強化支援 23 164,850 78,500 7,314 3,657

根室漁業協同組合(根室市所在)は、根室市納沙布地内等において、平成23年度に、漁場監視レーダー、監視カメラ装置等から構成される密漁等監視施設の整備を事業費164,850,000円(交付対象事業費157,000,000円)で実施したとして、根室市に実績報告書を提出して、交付金78,500,000円の交付を受けていた。

しかし、同組合は、ダイオキシン類対策特別措置法で定める排出ガス等の規制とは関係のない既存の漁場監視レーダー等の撤去に要する経費を交付対象事業費に含めていた。

したがって、これに係る経費7,314,979円(交付金相当額3,657,490円)は交付の対象とは認められない。

(233) 沖縄総合事務局 沖縄県 島尻郡北大東村
(事業主体)
産地水産業強化支援 24、25 36,960 24,640 12,537 8,358

北大東村は、北大東村港地区において、平成24年度に、海洋レジャー講習室、交流ギャラリー等から構成される文化的景観施設(床面積473.21m2)の整備に係る実施設計業務を、25年度に、地域資源の付加価値創造を図るための加工作業所等(以下「海業支援施設」という。)の改築を、事業費計36,960,000円(交付対象事業費計同額)で実施したとして、沖縄県に実績報告書を提出して、交付金計24,640,000円の交付を受けていた。

しかし、同村は、文化的景観施設の整備に当たり、地域の水産物の普及を目的とする場合に限り交付対象とすることとされていることから、当該目的に該当しない交流ギャラリー等(床面積295.94m2)の工事については、同村の単独事業として実施することとしていたが、実施設計業務に要する経費14,385,000円については、交流ギャラリー等に係る分8,996,211円が含まれているのに、全額を交付対象事業費としていた。また、海業支援施設の改築に当たり、建物内部の間取りを変更するための壁のコンクリートブロック等に係る一部取壊し費3,541,468円を交付対象事業費に含めていた。

したがって、これらに係る経費12,537,679円(交付金相当額8,358,453円)は交付の対象とは認められない。

(232)(233)の計 201,810 103,140 19,852 12,015