ページトップ
  • 平成28年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第10 経済産業省|
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(3) 灯油配送合理化促進支援事業について、計画が実績等を踏まえて策定されていることを確認することとしたり、灯油配送量等が増加していない場合に指導等を行うこととしたり、購入したタンクローリーによる重油類の配送を制限することとしたりするなどして、事業が適切に実施されるよう改善の処置を要求したもの


所管、会計名及び科目
経済産業省所管
一般会計 (組織)経済産業本省
(項)産業保安費
内閣府、文部科学省、経済産業省及び環境省所管
エネルギー対策特別会計(エネルギー需給勘定)
(項)燃料安定供給対策費
部局等
資源エネルギー庁
補助の根拠
予算補助
補助事業者
一般社団法人全国石油協会(平成25年3月31日以前は社団法人全国石油協会)
間接補助事業者
事業主体
542事業主体
補助事業
石油基地等産業保安強化事業(平成24年度~26年度)
石油製品販売業環境保全対策事業(平成25年度~27年度)
補助事業の概要
経営悪化による揮発油販売業者等の廃業等が深刻化している過疎地域や老朽化したタンクローリーが稼働不能となる豪雪地帯において、灯油の安定供給を図ることなどを目的として、灯油配送を行うために必要なタンクローリーを大型化することなどによる灯油配送の合理化を促進する取組に要する経費の一部を助成するもの
検査の対象とした事業件数及びこれに対する国庫補助金交付額
 814件 24億3128万余円(平成25年度~27年度)
配送計画に記載された灯油配送量が配送実績等を踏まえたものとなっていない事業件数及び国庫補助金交付額
65件 1億8241万円(背景金額)(平成25年度~27年度)
配送計画に記載された灯油配送先件数が配送実績等を踏まえたものとなっていない事業件数及び国庫補助金交付額
47件 1億2977万円(背景金額)(平成26、27両年度)
灯油配送量等が合理化事業実施後に増加していない事業件数及び国庫補助金交付額
74件 2億3968万円(背景金額)(平成25、26両年度)
既存ローリーを売却等していることにより灯油配送可能総量が合理化事業により増加した状態が維持されておらず、交付申請時点の灯油配送可能総量を上回っていない事業件数及び国庫補助金交付額(1)
46件 1億4249万円(平成25年度~27年度)
対象ローリーにより重油類を配送しており、灯油の配送が行われていないことにより灯油配送可能総量が合理化事業により増加した状態が維持されておらず、交付申請時点の灯油配送可能総量を上回っているとは認められない事業件数及び国庫補助金交付額(2)
8件 3281万円(平成25年度~27年度)
(1)及び(2)の計
54件 1億7530万円

【改善の処置を要求したものの全文】

灯油配送合理化促進支援事業の実施について

(平成28年12月22日付け 資源エネルギー庁長官宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 事業の概要

(1) 石油基地等産業保安強化事業費補助金等の概要

貴庁は、石油製品の安定的な供給の確保を図ることなどを目的として、石油基地等産業保安強化事業費補助金(災害時等石油製品供給・利用インフラ等整備事業に係るもの)交付要綱(20130308財資第3号)を定めて、平成24年度に、灯油配送合理化促進支援事業(以下「合理化事業」という。)に要する経費を補助する事業を実施するために必要な基金を造成させるために、石油基地等産業保安強化事業費補助金(災害時等石油製品供給・利用インフラ等整備事業に係るもの)31億3518万余円を、公募により選定した社団法人全国石油協会(25年4月1日以降は一般社団法人全国石油協会。以下「石油協会」という。)に交付している。

また、貴庁は、灯油の安定供給を図ることを目的として、石油製品販売業環境保全対策事業費補助金(灯油配送合理化促進支援事業に係るもの)交付要綱(20140204財資第2号。以下、上記二つの交付要綱を合わせて「交付要綱」という。)を定めて、26、27両年度に、合理化事業に要する経費の一部を助成する事業を実施する民間団体等(以下「補助事業者」という。)に対して補助するために、石油製品販売業環境保全対策事業費補助金(灯油配送合理化促進支援事業に係るもの)計74億2319万余円(26年度46億4411万余円、27年度27億7907万余円)を、公募により選定した石油協会に交付している。

石油協会は、25年3月から27年3月にかけて、計7回にわたり、合理化事業の事業主体となる揮発油販売業者等を公募している。そして、石油協会は、前記石油基地等産業保安強化事業費補助金の交付を受けて造成した基金を取り崩して、また、上記石油製品販売業環境保全対策事業費補助金の交付を受けて、表1のとおり、25年度から27年度までの間に、事業主体である揮発油販売業者等が行う合理化事業に要する費用の一部に補助金(以下、この補助金を「支援補助金」という。)を交付する事業(以下「支援事業」という。)を実施している。

表1 支援事業の実施状況

(単位:事業主体、件、千円)
予算年度 平成24 25 26
会計名 一般会計 エネルギー対策特別会計 エネルギー対策特別会計
勘定名 エネルギー需給勘定 エネルギー需給勘定
項目 (項)産業保安費
(目)石油基地等産業保安強化事業費補助金
(項)燃料安定供給対策費
(目)石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金
(項)燃料安定供給対策費
(目)石油製品販売業構造改善対策事業費等補助金
国庫補助金交付額 3,135,188 4,644,119 2,779,079 10,558,387
事業年度 25 事業主体数 566 566
合理化事業数 566 566
支援補助金交付額 1,802,080 1,802,080
26 事業主体数 304 1,508 1,812
合理化事業数 304 1,508 1,812
支援補助金交付額 1,068,519 4,615,143 5,683,662
27 事業主体数 1,159 1,159
合理化事業数 1,159 1,159
支援補助金交付額 2,748,652 2,748,652
事業主体数 870 1,508 1,159 2,483(注)
合理化事業数 870 1,508 1,159 3,537
支援補助金交付額 2,870,600 4,615,143 2,748,652 10,234,395
(注)
支援補助金の交付を複数回受けている事業主体が存在するため、各欄の事業主体数を合計しても事業主体数2,483と一致しない。

(2) 合理化事業の概要

交付要綱によれば、合理化事業とは、経営悪化による揮発油販売業者等の廃業等が深刻化している過疎地域や老朽化したタンクローリー(以下「ローリー」という。)が稼働不能となる豪雪地帯において、灯油の安定供給を図ることなどを目的として、灯油配送を行うために必要なローリーを大型化することなどによる灯油配送の合理化を促進する取組であるとされている。

そして、石油協会は、交付要綱に基づき、貴庁の承認を受けて、環境・安全等対策事業に係る業務方法書(25年3月)及び灯油配送合理化促進支援事業業務方法書(26年2月、同年6月及び27年2月)をそれぞれ定めており、さらに、支援事業の実施の都度、灯油配送合理化促進支援事業実施細則、申請手引書等(以下、これらを合わせて「規程等」という。)を定めるなどしている。

規程等において、支援事業については、次のとおり実施することとなっている。

ア 支援事業は、面積当たりの給油所数が少ないなど燃料の安定供給に不安のある地域、豪雪地帯、過疎地域等(以下「補助対象地域」という。)への灯油の配送量を増加させるなどとする事業主体が購入するローリーを対象とする。支援事業の補助対象経費はローリーの車両本体等の購入に要する費用で、支援補助金の額は補助対象経費に3分の2を乗じて得た額以下とし、タンク容量10kL未満の場合は400万円、10kL以上の場合は1000万円をそれぞれ上限とする。

イ 事業主体は、支援補助金の交付申請に当たって、補助対象地域への灯油配送量、灯油配送先件数等の項目のうち、少なくともいずれか一つについて記載した灯油配送合理化計画(以下「配送計画」という。)を策定して、この配送計画において、合理化事業実施後1年間の補助対象地域への灯油配送量又は灯油配送先件数を、交付申請前よりも増加させる必要がある。そして、事業主体は、石油協会に提出した配送計画に基づき合理化事業を実施する。

ウ 事業主体は、交付申請前から灯油配送に使用しているローリー(以下「既存ローリー」という。)を手放して既存ローリーよりもタンク容量の大きいローリーを購入するか、新たにローリーを購入(以下、これらの購入したローリーを「対象ローリー」という。)して増車することにより、交付申請前よりも灯油配送を行うことができるタンク容量の合計(以下「灯油配送可能総量」という。)を増加させる。

エ 事業主体は、合理化事業としてローリーを購入した後に、これに係る実績報告書を石油協会に提出する。その際に、対象ローリーの設置場所、貯蔵する油種等を消防法(昭和23年法律第186号)等に基づき所轄消防署等に申請した危険物貯蔵所設置許可申請書(以下「許可申請書」という。)の写しなどを併せて提出する。

オ 事業主体は、石油協会の許可を得ることなく対象ローリーの処分を購入から一定期間(中古ローリーは一律2年、総排気量2L以下のローリーは3年、それ以外は4年。以下「処分制限期間」という。)行ってはならない。

そして、貴庁によれば、合理化事業の実施目的は補助対象地域への灯油配送量等を増加させることであるとしており、事業主体は、合理化事業実施後1年間を経過した後も補助対象地域への灯油配送量又は灯油配送先件数を合理化事業実施前の実績より上回るものとすること及び合理化事業により増加した灯油配送可能総量を維持することが重要であるとされている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、合規性、有効性等の観点から、配送計画は配送実績等を踏まえて適切に策定されているか、補助対象地域への灯油配送量又は灯油配送先件数を増加させているか、合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されているかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、2,483事業主体が25年度から27年度までの間に実施した合理化事業3,537件(支援補助金交付額計102億3439万余円)のうち、地域的な偏りがないよう抽出した542事業主体が実施した合理化事業814件(同計24億3128万余円)を対象とした。そして、貴庁、石油協会及び82事業主体(合理化事業117件、支援補助金交付額計4億6849万余円)において会計実地検査を行い、合理化事業に係る実績報告書等を確認するとともに、上記の82事業主体以外の460事業主体(同697件、同計19億6279万余円)について、事業主体から合理化事業の実施状況等に関する調書の提出を受けて、その内容を確認するなどして検査した。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 配送計画に記載された灯油配送量又は灯油配送先件数が配送実績等を踏まえたものとなっていない事態

前記の542事業主体に係る814件の配送計画のうち、508事業主体に係る740件の配送計画では、合理化事業実施前の補助対象地域への1年間の灯油配送量(以下「実施前配送量」という。)及び合理化事業実施後の補助対象地域への1年間の灯油配送量(以下「実施後配送量」という。)が記載されており、また、506事業主体に係る735件の配送計画では、合理化事業実施前の補助対象地域への灯油配送先件数(以下「実施前配送先件数」という。)及び合理化事業実施後の補助対象地域への灯油配送先件数(以下「実施後配送先件数」という。)が記載されていた。

しかし、実際の実施前配送量を把握することができた92事業主体に係る93件(支援補助金交付額計2億5790万余円)についてみたところ、合理化事業実施後に灯油配送量が増加していることを確認する基準となる配送計画に記載された実施前配送量と実際の実施前配送量とが異なっていて、配送実績等を踏まえたものとなっていないものが、64事業主体に係る65件(同計1億8241万余円)見受けられた。同様に、実際の実施前配送先件数を把握することができた81事業主体に係る81件(同計2億2184万余円)についてみたところ、合理化事業実施後に灯油配送先件数が増加していることを確認する基準となる配送計画に記載された実施前配送先件数と実際の実施前配送先件数とが異なっていて、配送実績等を踏まえたものとなっていないものが、47事業主体に係る47件(同計1億2977万余円)見受けられた。

しかし、石油協会は、規程等において、配送計画に記載された実施前配送量又は実施前配送先件数が配送実績等を踏まえたものとなっているかを確認することとしていなかったことから、上記の事態について把握しておらず、実施後配送量又は実施後配送先件数が実際の実施前配送量又は実施前配送先件数より増加していることを的確に確認できない状況となっていた。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

北海道A市に所在する事業主体Bは、平成27年3月に、A市を補助対象地域として、配送計画に実施前配送量を5,500kLと記載して支援補助金の交付申請を行い、タンク容量3.75kLのローリーを購入して、支援補助金283万余円の交付を受けていた。

しかし、本院が実地検査において確認したところ、実際の実施前配送量となる26年3月から27年2月までの間の灯油配送量は7,076kLであるにもかかわらず、実施前配送量を集計するには伝票等を確認する必要があり、Bはその業務量を勘案して実際の実施前配送量を適切に集計していなかった。そして、石油協会においても、配送実績等を踏まえたものとなっているかを確認することとしていないことから、これについて把握していなかった。

(2) 灯油配送量等が合理化事業実施後に増加していない事態

前記のとおり、事業主体は、配送計画において、実施後配送量又は実施後配送先件数を交付申請前よりも増加させる必要がある。しかし、貴庁は、石油協会に対して、配送計画の達成状況を事業主体から石油協会へ報告させることとしていなかった。

そこで、合理化事業実施後1年以上を経過していて実施後配送量を把握することができた440事業主体に係る546件についてみたところ、表2のとおり、実施後配送量が、配送計画に記載されるなどした実施前配送量(実際の実施前配送量が把握できたものについては実際の実施前配送量)を上回っていたものが362事業主体に係る423件あり、このうち177事業主体に係る192件は配送計画を達成していた。一方で、実施後配送量が実施前配送量を上回っていなかったものが111事業主体に係る123件(支援補助金交付額計4億0568万余円)見受けられた。

表2 灯油配送量の増加等の状況

(単位:事業主体、件、千円)
区分  
実施後配送量を把握することができたもの うち、実施後配送量が実施前配送量を上回っていたもの うち、実施後配送量が実施前配送量を上回っていなかったもの
  うち、配送計画を達成していたもの
(A)+(B) (A)   (B)
事業主体数 440 362 177 111
合理化事業数 546 423 192 123
支援補助金交付額 1,758,685 1,353,000 628,006 405,684
(注)
支援補助金の交付を複数回受けている事業主体が存在するため、(A)+(B)欄の事業主体数は(A)欄の事業主体数と(B)欄の事業主体数の計と一致しない。

また、同様に、合理化事業実施後1年以上経過していて実施後配送先件数を把握することができた423事業主体に係る521件についてみたところ、表3のとおり、実施後配送先件数が、配送計画に記載されるなどした実施前配送先件数(実際の実施前配送先件数が把握できたものについては実際の実施前配送先件数)を上回っていたものが348事業主体に係る415件あり、このうち172事業主体に係る192件は配送計画を達成していた。一方で、実施後配送先件数が実施前配送先件数を上回っていなかったものが100事業主体に係る106件(同計3億4662万余円)見受けられた。

表3 灯油配送先件数の増加等の状況

(単位:事業主体、件、千円)
区分  
実施後配送先件数を把握することができたもの うち、実施後配送先件数が実施前配送先件数を上回っていたもの うち、実施後配送先件数が実施前配送先件数を上回っていなかったもの
  うち、配送計画を達成していたもの
(A)+(B) (A)   (B)
事業主体数 423 348 172 100
合理化事業数 521 415 192 106
支援補助金交付額 1,677,491 1,330,861 615,343 346,629
(注)
支援補助金の交付を複数回受けている事業主体が存在するため、(A)+(B)欄の事業主体数は(A)欄の事業主体数と(B)欄の事業主体数の計と一致しない。

さらに、実施後配送量及び実施後配送先件数が実施前配送量及び実施前配送先件数のいずれも上回っていなかったものが69事業主体に係る74件(同計2億3968万余円)見受けられた。

これらの事業の中には、合理化事業の実施目的を十分に理解しておらず、補助対象地域への灯油配送量等を増加させる取組を十分に行っていないと認められる事業主体も見受けられた。

しかし、石油協会は、上記の事態が生じていることを把握しておらず、事業効果の発現に資するような事業主体への指導等を行っていなかった。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2>

佐賀県C市に所在する事業主体Dは、平成26年2月に、C市の一部を補助対象地域として、配送実績等を踏まえて、実施前配送量を2kL、実施前配送先件数を10件として、実施後配送量を2.5kL、実施後配送先件数を12件と記載した配送計画を策定して交付申請を行い、タンク容量2kLのローリーを購入して、支援補助金357万余円の交付を受けていた。

しかし、Dは、対象ローリーを購入した26年9月から27年8月までの1年間に1件の配送(灯油配送量0.11kL)を行った後、28年8月までの間に1件の配送(同1kL)しか行っておらず、灯油配送量及び灯油配送先件数を増加させることなく、主に補助対象地域外で灯油配送を行っていた。そして、石油協会は、実施後配送量又は実施後配送先件数の報告を受けることとしていなかったことから、上記の事態について認識しておらず、灯油配送量及び灯油配送先件数が増加していない原因の分析、事業主体への指導等を行っていなかった。

(3) 合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されておらず、交付申請時点の灯油配送可能総量を上回っていない事態

ア 既存ローリーを売却等している事態

前記のとおり、事業主体は合理化事業により増加した灯油配送可能総量を維持することが重要であるとされており、規程等において、対象ローリーについて処分制限期間が定められているが、既存ローリーの処分制限等については特に定められていなかった。

そこで、前記の542事業主体に係る814件について、灯油配送可能総量をみたところ、表4のとおり、処分制限期間中の28年3月末時点で合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されておらず、交付申請時点を上回っていなかったものが38事業主体に係る46件(支援補助金交付額計1億4249万余円)見受けられた。

表4 灯油配送可能総量の状況

(単位:件、千円)
区分 交付申請時点の灯油配送可能総量
5kL以下 5kL超10kL以下 10kL超
合理化事業数 支援補助金交付額 合理化事業数 支援補助金交付額 合理化事業数 支援補助金交付額 合理化事業数 支援補助金交付額
平成28年3月末時点の灯油配送可能総量 交付申請時点を上回っていたもの 493
(399)
1,310,587 131
(103)
408,160 144
(76)
570,045 768
(523)
2,288,793
交付申請時点を上回っていなかったもの 14
(13)
35,674 13
(10)
42,213 19
(17)
64,607 46
(38)
142,496
507
(409)
1,346,261 144
(111)
450,374 163
(87)
634,652 814
(542)
2,431,289
注(1)
( )内は事業主体数を示している。
注(2)
支援補助金の交付を複数回受けている事業主体が存在するため、各欄の事業主体数を合計しても検査対象とした事業主体数542と一致しない。

そして、上記の38事業主体に係る46件はいずれも、事業主体が合理化事業によりローリーを購入した後、タンク容量が対象ローリーと同等以上の既存ローリーを売却等していたものであった。

イ 対象ローリーにより重油類を配送しており、灯油の配送が行われていない事態

前記のとおり、事業主体は合理化事業により増加した灯油配送可能総量を維持することが重要であるとされているが、対象ローリーによる灯油以外の油種の配送については特段制限されていない。

そこで、前記の542事業主体に係る814件について、実績報告書を提出する際に併せて提出された許可申請書の写しの記載内容をみたところ、表5のとおり、214事業主体に係る335件において、対象ローリーで灯油以外にガソリン、軽油、重油類等の配送も行うとしており、このうち、88事業主体に係る128件(支援補助金交付額計4億6061万余円)においては、重油類の配送を行うとする申請をしていた。

表5 配送油種に係る申請及び配送状況

(単位:件、千円)
区分 申請状況 配送状況
合理化事業数 支援補助金交付額 合理化事業数 支援補助金交付額
灯油のみを対象としていたもの 479
(341)
1,212,136 633
(432)
1,741,051
灯油以外の油種を対象としていたもの 335
(214)
1,219,152 181
(120)
690,237
  うち、重油類を対象としていたもの 128
(88)
460,618 22
(17)
77,247
  うち、専ら重油類の配送に使用しているなどしていたもの 8
(6)
32,811
(注)
( )内は事業主体数を示している。

同一のローリーで重油類の配送を行った後に灯油を配送する場合には、揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号)により定められている灯油の規格に適合させるために多額の費用及び時間をかけてタンク内の洗浄等を行う必要があることから、重油類の配送を行うローリーは重油類専用とすることが一般的となっている。

そして、前記の88事業主体に係る128件のうち、17事業主体に係る22件(同計7724万余円)において、事業主体は、対象ローリーの処分制限期間中に、対象ローリーにより重油類を配送していた。

このうち、対象ローリーにより前記の規格に適合した灯油を配送することが困難となるなどとして、対象ローリーを専ら重油類の配送に使用するなどしていて、合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されておらず、交付申請時点の灯油配送可能総量を上回っているとは認められないものが、表5のとおり、6事業主体に係る8件(同計3281万余円)見受けられた。

(改善を必要とする事態)

合理化事業の実施に当たり、配送計画に記載された実施前配送量又は実施前配送先件数が配送実績等を踏まえたものとなっていなかったり、灯油配送量等が合理化事業実施後に増加していなかったり、合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されておらず、交付申請時点の灯油配送可能総量を上回っていなかったりしている事態は、合理化事業の実施目的に照らして適切ではなく、改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、事業主体において合理化事業の実施目的である補助対象地域への灯油配送量等を増加させるための取組を行う必要性について理解が十分でないことにもよるが、貴庁において、次のようなことなどによると認められる。

  • ア 石油協会に対して、配送計画が配送実績等を踏まえたものであることを確認させることとしていないこと
  • イ 石油協会に対して、配送計画の達成状況を事業主体から石油協会へ報告させることとしておらず、事業効果の発現に資するよう、実施後配送量又は実施後配送先件数が増加していない場合に、その原因を分析して、事業主体への指導等を行わせることとしていないこと
  • ウ 石油協会に対して、合理化事業により増加した灯油配送可能総量が維持されるようにする方法について十分検討させていないこと

3 本院が要求する改善の処置

近年、揮発油販売業者の廃業等が深刻化しており、暖房に使用する灯油の入手が困難となるなどしている補助対象地域において、灯油の安定供給を図ることは重要であることから、貴庁は、28年度にも石油製品販売業構造改善対策事業費補助金(石油製品安定供給体制整備事業)を石油協会に交付して支援事業を実施させるとしており、今後とも支援事業を実施する補助事業者に補助金を交付していくとしている。

貴庁は、これらの事態に係る本院の指摘を受けて、27年度補正予算により石油協会に実施させている石油製品安定供給体制整備事業に係る申請手引書(28年3月)において、事業効果の発現に資するよう、合理化事業実施後の灯油配送量等が増加していない場合には事業主体への指導等を行えるように処分制限期間中毎年灯油配送量等の実績を石油協会に報告させることとして、また、配送計画の達成状況についてフォローアップが求められる点に留意して、やむを得ない場合を除き対象ローリーの処分制限期間中における既存ローリーの売却等を制限することとした。

ついては、貴庁において、上記に加えて、合理化事業が適切に実施されるよう、事業主体に対して合理化事業の実施目的について周知を図るとともに、次のとおり改善の処置を要求する。

  • ア 補助事業者に対して、配送計画が配送実績等を踏まえて策定されていることを確認させること
  • イ 補助事業者に対して、業務方法書において、事業主体から毎年報告させる実施後配送量及び実施後配送先件数が増加していない場合に、その原因を分析して、事業効果の発現に資するよう、合理化事業の実施目的を踏まえて、事業主体への指導等を行わせるように定めさせること
  • ウ 補助事業者に対して、処分制限期間中における対象ローリーによる重油類の配送を制限することなどを定めさせること