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  • 平成29年9月

次期戦闘機(F-35A)の調達等の実施状況について


3 検査の状況

(1) F-35Aに係る調達の計画及び実績

1(3)のとおり、F-35Aについては、機種選定の際に23年12月の安全保障会議において決定され閣議了解された42機のうち、23中期防に基づく6機及び26中期防に基づく28機の計34機について契約することとしている。

F-35Aに係る調達の実績について、FMS調達が開始された24年度から28年度までの間の引合受諾書を確認するなどしてみたところ、図表6のとおり、24年度から28年度までの間に契約した機数は計22機となっていた。このうち、24年度に契約した4機は、28年度にアメリカ合衆国テキサス州のロッキード社で受領された後にアリゾナ州のルーク空軍基地へ移動され、航空自衛隊が同基地に派遣する操縦者、整備員等の教育訓練等に使用されている。一方、25年度以降に国内企業が下請製造を行うF-35Aは、29年度以降に順次三沢基地等で受領されることとなっている。これにより、24年度に契約した上記の4機と25年度から28年度までの間に契約した18機を合わせた計22機のF-35Aは、32年度までに順次受領されることとなる。

装備庁は、29年度以降も国内企業が下請製造を行うF-35Aの契約を締結することとしており、26中期防により契約することとした28機のうち、26年度から28年度までに契約済みの16機を除く残りの12機について29、30両年度に契約する予定であるとしている。また、31年度以降にも引き続き8機について契約し、防衛省は、計42機のF-35Aを調達して三沢基地において2個飛行隊を構成する計画であるとしている。

図表6 F-35Aに係る調達の計画及び実績

図表6 F-35Aに係る調達の計画及び実績 画像

上記調達の実績を踏まえ、F-35Aに係る契約額の推移や、1機当たり本体価格の推移等についてみると、次のとおりとなっていた。

ア F-35Aに係る契約額

F-35Aに係る調達は、これまで述べてきたとおりFMS調達、国内企業参画契約、直轄工事契約等により実施されているが(図表7参照)、これらの契約件数及び契約額についてみたところ、23年度から28年度までの間の契約件数及び契約額(変更契約後のもの。FMS調達においては、引合受諾書に記載されたドル建ての契約額を契約時の支出官レートにより邦貨に換算したもの。以下同じ。)の合計は109件、6256億余円となっていた(年度別、調達要求品目等別の契約額の一覧は別表2参照)。

図表7 F-35Aに係る調達

図表7 F-35Aに係る調達 画像

23年度は、F-35Aに関係する情報を取り扱うための事務室改修に係る調査検討の契約1件、契約額183万余円のみと少額となっていたことから、これを除いた24年度から28年度までの契約額の推移を調達方法ごとにみたところ、図表8のとおりとなっていた。

24年度については、F-35A4機等に係る契約額の計は599億余円となっていた。25年度については、契約機数が2機に減少したが、ALGSの態勢の整備等が開始されたこと、また、国内企業の製造への参画が開始されて、国内企業参画契約に係る契約額894億余円が新たに生じたことから、契約額の計は1349億余円と大きく増加していた。26年度については、国内企業参画契約に係る契約額が504億余円に減少したが、契約機数が4機に増加したこと、新たに搭載弾薬がFMS調達により契約されたこと、直轄工事が本格的に開始されたことなどにより、契約額の計は1522億余円と更に増加していた。27年度については、契約機数が6機に増えたことなどにより、FMS調達に係る契約額が1163億余円に増加したものの、国内企業参画契約に係る契約額が234億余円に減少したことなどから、契約額の計は1414億余円と減少していた。そして、28年度については、契約機数は27年度と同様に6機となっていたが、整備拠点において重整備を実施するために必要な器材がFMS調達により契約されたため、FMS調達に係る契約額が1253億余円に増加していた一方で、国内企業参画契約に係る契約額が94億余円に減少したことから、契約額の計は1370億余円と更に減少していた。

なお、上記の国内企業参画契約のうち、初度費契約に係る契約額は、25年度891億余円、26年度504億余円、27年度225億余円、28年度94億余円となっており、これにより整備された専用施設、専用治工具等は、国内企業が製造へ参画した後、下請製造のため継続的に使用されることになる。また、FMS調達のうち、F-35Aの機体1機を完成させるために必要な作業行程は、複数年度で行われることになる。

図表8 F-35Aに係る調達方法別の契約額の推移図表8 F-35Aに係る調達方法別の契約額の推移

図表8 F-35Aに係る調達方法別の契約額の推移 画像

また、23年度から28年度までの間の契約額の合計6256億余円のうち、FMS調達の契約額の計は4456億余円(契約額の合計に占める割合は71.2%)、国内企業参画契約、直轄工事契約、その他の契約を合わせたFMS調達以外の契約額の計は1799億余円(同28.7%)となっていた。

イ FMS調達のケース別の調達要求品目等

アのとおり、調達方法別でみるとFMS調達の契約額が全体の71.2%と多くの割合を占めていたことから、F-35Aに係るFMS調達のケース別の調達要求品目等についてみたところ、次のとおりとなっていた。

機体、エンジン、搭載機器(暗号装置等の航空機に搭載して機能を発揮するもの)等は、ケースD-SBC(ケースの識別のために個別に付される名称。以下「機体等ケース」という。)で調達されている。そして、同一又は関連する調達要求品目が多い場合は、合衆国政府の要請を踏まえて、複数の調達要求品目を1ケースに集約して引合受諾書を作成することがあり、機体等ケースにおいても、24年度の引合受諾書に25年度以降の調達要求品目を追加するなどして、複数年度にわたる複数の調達要求品目の調達が1ケースにまとめて行われている。一方で、F-35Aに搭載する弾薬は、年度や弾薬ごとに個別のケースで調達されている(以下、弾薬を調達するケースをまとめて「弾薬ケース」という。)。

これらの機体等ケース及び弾薬ケースについて、ケース別、年度別の調達要求品目をみたところ、図表9のとおり、機体等ケースでは、機体、エンジン、搭載機器等の調達要求品目「F-35A戦闘機」のほか、教育訓練器材等となっていた。また、弾薬ケースでは、F-35Aに搭載する各種の弾薬となっていた。

図表9 平成24年度から28年度までのケース別、年度別の調達要求品目

年度
ケース名等
平成24 25 26 27 28
機体等ケース
(D-SBC)
F-35A戦闘機 F-35A戦闘機 F-35A戦闘機 F-35A戦闘機 F-35A戦闘機
フル・ミッション・シミュレータ F-35A ALGSの態勢整備 F-35A ALGSの態勢整備 F-35A ALGSの態勢整備 F-35A ALGSの態勢整備
    ALIS端末等の取得(FMS) ALIS端末等の取得(FMS) ALIS端末等の取得(FMS) ALIS端末等の取得(FMS)
F-35A教育用器材の取得(FMS用補用部品) F-35A用フル・ミッション・シミュレータ(訓練用)の取得 F-35A教育用器材の取得 F-35用ECM装置
F-35A教育用器材の取得(訓練器材等) F-35A教育用器材の取得 F-35A用救命装備品の取得 F-35A用救命装備品の取得
  F-35A用救命装備品の取得 MJU-64 F-35Aの整備拠点設置(その2)
    MJU-68
MJU-61
1ケース、27品目 2品目 5品目 6品目 6品目 8品目
弾薬ケース D-YAH     AIM-120訓練弾    
AIM-120
P-LZB AIM-9X訓練弾
AIM-9X
D-YAI   AIM-120訓練弾
AIM-120
P-ASL AIM-9XEOD弾・キャプティブ弾
AIM-9X
D-AAG GBU-12訓練弾
GBU-12
D-YAJ GBU-31訓練弾
GBU-31
D-AAD GBU-39訓練弾・EOD弾
GBU-39
7ケース、14品目 2ケース、4品目 5ケース、10品目
注(1)
調達要求品目「F-35A戦闘機」は、機体、エンジン、搭載機器、その他(初度部品や教育訓練等)から構成されている。
注(2)
太枠は個々のケースを示す。
注(3)
ECM装置は、電波妨害装置である。また、MJU-61、MJU-64及びMJU-68は、赤外線誘導ミサイルを回避するための妨害弾である。

これらのF-35Aに係るFMS調達の契約額の内訳は、図表10のとおりとなっていた。FMS調達の契約額全体に占める割合は、機体等ケースが98.1%、弾薬ケースが1.8%、機体等ケースのうち、調達要求品目「F-35A戦闘機」が82.9%、「F-35A戦闘機」以外の調達要求品目及び管理費等が合わせて15.2%であった。さらに、調達要求品目「F-35A戦闘機」のうち、機体が57.5%、エンジンが10.9%、搭載機器が1.5%、その他が12.9%であった。

図表10 F-35Aに係るFMS調達の契約額の内訳(平成24年度から28年度までの間の5か年度の計)

図表10 F-35Aに係るFMS調達の契約額の内訳(平成24年度から28年度までの間の5か年度の計) 画像

ウ 1機当たり本体価格等

FMS調達に係る契約額の大半を占める調達要求品目「F-35A戦闘機」について、管理費、梱包費、輸送費等を除いた機体、エンジン、搭載機器、その他(初度部品や教育訓練等)の細目別の契約額の推移は、図表11のとおりとなっており、各年度ともに機体、エンジンが契約額の大部分を占めていた。

図表11 調達要求品目「F-35A戦闘機」の細目別の契約額の推移

図表11 調達要求品目「F-35A戦闘機」の細目別の契約額の推移 画像

そして、F-35Aの1機当たり本体価格の推移についてみたところ、次のとおりとなっていた。

前記細目のうちその他(初度部品や教育訓練等)を除いた機体、エンジン、搭載機器のF-35A本体に係る細目について、それぞれ各年度の契約機数等で除したものを合計し、各年度の1機当たり本体価格を算定して、その推移をドル建て、円建ての別に分析したところ、それぞれ図表12のとおりとなっていた。

ドル建ての1機当たり本体価格は、24年度1.20億余ドル、25年度1.58億余ドル、26年度1.43億余ドル、27年度1.42億余ドル、28年度1.31億余ドルとなっており、24年度に対して25年度は約1.3倍となった後、以降28年度まで緩やかに減少していた。

一方、円建ての1機当たり本体価格は、24年度97億余円、25年度129億余円、26年度139億余円、27年度156億余円、28年度157億余円と年々上昇していて、24年度と28年度を比較すると約1.6倍に増加していた。

このように、24年度から28年度までの間、ドル建ての1機当たり本体価格は増減がある一方で、この間に支出官レートが24年度の1ドル81円、25年度の1ドル82円、26年度の1ドル97円、27年度の1ドル110円、28年度の1ドル120円と一貫して円安方向に推移したことなどにより、円建ての1機当たり本体価格は年々上昇している。

図表12 1機当たり本体価格の推移

図表12 1機当たり本体価格の推移 画像

また、1機当たり本体価格の大部分を占めている機体及びエンジンについて、それぞれの円建て、ドル建ての単価変動を確認したところ、図表13のとおり、円建ての機体単価は、為替変動の影響により年々上昇していた。また、円建てのエンジン単価は、28年度に若干減少しているものの、機体単価と同様に為替変動の影響によりおおむね上昇傾向であった。

一方で、ドル建ての機体単価は1機当たり本体価格と同様、24年度に対して25年度は約1.3倍となった後、以降28年度まで緩やかに減少していた。また、ドル建てのエンジン単価は26年度まで増加した後、28年度にかけて若干減少していた。

図表13 機体及びエンジン単価の推移

図表13 機体及びエンジン単価の推移 画像

このような状況となっているのは、装備庁が合衆国政府に確認したところによれば、機体については、前記のとおり25年度に我が国の国内企業が最終組立・検査及び部品の下請製造を行うことにより価格が上昇し、26年度以降は作業習熟が進むことにより価格が低減したこと、また、エンジンについては、25年度に国内企業が部品の下請製造を行うことにより価格が上昇し、26年度は最終組立・検査を行うことなどにより更に価格が上昇したことによるとされている。

初度費を除いた1機当たり本体価格が国内企業参画により上昇することについて、装備庁は、図表14のとおり、①製造の作業に習熟していない国内企業が下請として参画する場合、既に習熟した外国企業自らが製造を行う場合と比べて、作業習熟に係る工数が余分に発生して製造原価が増加するため、②合衆国政府が外国企業と契約する単価が上がり、③その結果、間接的に我が国のFMS調達の価格(1機当たり本体価格)が上昇すると説明している。

図表14 国内企業参画と1機当たり本体価格の関係

図表14 国内企業参画と1機当たり本体価格の関係 画像

このように、価格上昇の要因について、装備庁は、合衆国政府に確認するなどして定性的に把握していた。一方で、装備庁は、価格上昇の要因を定量的にも把握するよう努めているものの、現在のところ把握するには至っていない状況となっていた。その理由について、装備庁は、一般的な売買契約と同様に、F-35Aに係るFMS調達についても、①国内企業の作業未習熟によりどれほど余分な工数が発生しているか、②これにより外国企業においてどれほど製造原価が増加しているかなどの情報を、通常、契約相手方である合衆国政府から得ることが難しいことなどによるとしている。

F-35Aに係るFMS調達の契約額の合計は4456億余円と多額となっていることなどを踏まえ、1機当たり本体価格等が変動した場合には、引き続き適時適切に合衆国政府に対して定量的に要因を確認する必要がある。

エ 直轄工事契約及びその他の契約の状況

中央調達のうち、FMS調達、国内企業参画契約以外のその他の契約として、装備庁は、26年度にALISを運用するに当たり必要となる技術的検討に係る契約(契約額計7020万円)を、27年度に三沢基地におけるF-35A関連施設の監視装置等に係る契約(契約額8769万余円)等を、28年度にALIS用のサーバ等に係る契約(契約額5838万余円)等をそれぞれ締結し、28年度までのその他の契約に係る契約額は計3億余円となっていた。

また、中央調達以外にも、直轄工事として、東北防衛局が25年度以降に三沢基地において施設整備を行っているが、これに係る進捗状況及び契約額をみたところ、図表15のとおりとなっていた。三沢基地における施設整備は、それぞれ調査・検討、設計、工事の各契約により実施されており、このうち、主たる工事契約についてみたところ、28年度末までに、FMS調達を行ったフル・ミッション・シミュレータ(注14)を設置する教育訓練施設(契約額37億余円)及び飛行隊指揮所(同3億余円)の整備及び改修が完了していた。補給倉庫(同14億余円)及び弾薬作業所・整備関連施設(同10億余円)の整備は、29年度中のF-35Aの三沢基地配備までに完了する予定であるとしている。また、エンジンの試運転等を行うための騒音防止施設について、今後の整備の方向性(改修又は新設)を判断するために必要な調査が28年度末に完了し、現在、航空幕僚監部において具体的に整備の方向性を検討している。

これらの三沢基地における施設整備以外にも、北関東防衛局は、F-35Aに関係する情報を取り扱うために、23年度から航空幕僚監部が所在する市ヶ谷基地の事務室改修に係る契約等(契約額計2028万余円)を締結していた。

そして、28年度までの直轄工事契約に係る契約額は計68億余円となっていた。

なお、国内企業参画契約の状況は(3)において詳述する。

(注14)
フル・ミッション・シミュレータ  実機による飛行訓練に先立ち、地上において基本手順、緊急手順等の多様な訓練内容を模擬する訓練装置。FMS調達により三沢基地に設置され、今後の訓練に使用される。

図表15 三沢基地における直轄工事の進捗状況及び契約額(平成28年度末現在)

図表15 三沢基地における直轄工事の進捗状況及び契約額(平成28年度末現在) 画像

(2) FMS調達に係る前払金の支出決定、防衛装備品等の受領等、及び余剰金の返済の状況

ア 前払金の支出決定の状況

FMS調達においては、支払は原則として前払とされており、支出官は、引合受諾書に定められた支払予定に合わせて、合衆国政府に支払うべきドル建ての前払金の邦貨換算額を支出決定することとなっている。このため、支出決定額は、為替レートの影響を受けることになる。

そして、機体等ケースにおいては、前払金を複数年度にわたって分割して支払う旨及び各年度の年割額が引合受諾書に定められている。機体等ケースについて24年度以降の各年度における前払金の支出決定の状況をみたところ、24年度24億余円、25年度204億余円、26年度442億余円、27年度475億余円、28年度644億余円と増加し、28年度末までの累計は1791億余円(契約額計4373億余円)となっていた。そして、前払金の支出決定額は、29年度以降も数百億円の規模となることが見込まれている(機体等ケースに係る年度別、調達要求品目別の前払金の支出決定額は別表3参照。なお、弾薬ケースについては28年度末時点で支払予定が到来していない。)。

イ 防衛装備品等の受領等の状況

(ア) 防衛装備品等の受領の状況

機体等ケースについて、引合受諾書に記載された調達要求品目、品目数及び細目数をみたところ、図表16のとおり、24年度から28年度までの間の5か年度で計27調達要求品目に係る111細目となっていた。

図表16 機体等ケースの年度別の調達要求品目、品目数及び細目数

年度 調達要求品目及び品目数 細目数
平成24 F-35A戦闘機 19
(うち機体本体4機に対応するもの) (8)
フル・ミッション・シミュレータ 2
2 21
25 F-35A戦闘機 12
(うち機体本体2機に対応するもの) (8)
F-35A ALGSの態勢整備 1
ALIS端末等の取得(FMS) 1
F-35A教育用器材の取得(FMS用補用部品) 1
F-35A教育用器材の取得(訓練器材等) 1
5 16
26 F-35A戦闘機 17
(うち機体本体6機に対応するもの) (8)
F-35A ALGSの態勢整備 1
ALIS端末等の取得(FMS) 2
F-35Aフル・ミッション・シミュレータ(訓練用)の取得 2
F-35A教育用器材の取得 1
F-35A用救命装備品の取得 1
6 24
27 F-35A戦闘機 17
(うち機体本体6機に対応するもの) (8)
F-35A ALGSの態勢整備 2
ALIS端末等の取得(FMS) 2
F-35A教育用器材の取得 1
F-35A用救命装備品の取得 1
MJU-64 2
6 25
28 F-35A戦闘機 14
(うち機体本体6機に対応するもの) (7)
F-35A ALGSの態勢整備 1
ALIS端末等の取得(FMS) 2
F-35用ECM装置 1
F-35A用救命装備品の取得 1
F-35Aの整備拠点設置(その2) 1
MJU-68 3
MJU-61 2
8 25
合計 27 111
(注)
各年度の調達要求品目「F-35A戦闘機」の括弧書きは、調達要求品目「F-35A戦闘機」の細目のうち、各年度に契約した機体本体を構成する機体、エンジン及び搭載機器に係る細目であり、内数である。なお、機体本体に対応するこれらの細目以外は、F-35Aの運用等に当たり必要となる各種の役務又は機体本体以外の防衛装備品である。

上記のうち、28年度末までに提供の予定時期が到来していたものは、図表17のとおり、24年度は2調達要求品目に係る21細目、25年度は4調達要求品目に係る4細目、26年度は2調達要求品目に係る6細目で、計8調達要求品目に係る31細目となっていた。

そして、これらについて28年度末現在の受領の状況をみたところ、次のとおりとなっていた。

24年度に契約した4機のF-35A本体について、装備庁は、同年度の調達要求品目「F-35A戦闘機」のうちの機体、エンジン、搭載機器に係る8細目(このうち搭載機器に係る1細目は一部のみ)として、4機を受領していた。

しかし、上記の8細目以外の23細目については、全てF-35Aの運用等に当たり必要となる各種の役務又は機体本体以外の防衛装備品であるが、28年度末現在、引合受諾書に定められた予定時期が到来していたのに、合衆国政府から提供が行われていなかった。そして、28年度末までに提供の予定時期が到来していた31細目の引合受諾書における価格の合計は8億0395万余ドルであり、このうち、提供が行われていない23細目の引合受諾書における価格の合計は3億0738万余ドル(提供の予定時期が到来していた細目全体に占める割合は38.2%)であった。

なお、予定時期が到来していたのに提供が行われていない細目があることについて、装備庁は、現時点で直ちに任務の遂行に支障は生ずるものではないが、引き続き提供の促進等に取り組むとしている。

図表17 平成28年度末までに提供の予定時期が到来していた機体等ケースの調達要求品目及び細目に係る受領の状況

年度 調達要求品目及び品目数 提供の予定時期 細目数 受領の状況
(28年度末現在)
未済
平成24 F-35A戦闘機 27年3月31日 5 0 5
27年6月30日 1 0 1
29年3月31日 13 8 5
フル・ミッション・シミュレータ 29年3月31日 2 0 2
2   21 8 13
25 F-35A戦闘機 28年3月31日 1 0 1
ALIS端末等の取得(FMS) 29年3月31日 1 0 1
F-35A教育用器材の取得(FMS用補用部品) 29年3月31日 1 0 1
F-35A教育用器材の取得(訓練器材等) 29年3月31日 1 0 1
4   4 0 4
26 F-35A戦闘機 29年3月31日 5 0 5
F-35A用救命装備品の取得 28年9月30日 1 0 1
2   6 0 6
合計 8   31 8 23

上記の事態について事例を示すと、次のとおりである。

<事例> 引合受諾書に定められた予定時期が到来していたのに、合衆国政府から防衛装備品等の提供が行われていなかったもの

平成24年度契約の調達要求品目「フル・ミッション・シミュレータ」は、提供の予定時期が28年度末に到来していたのに、合衆国政府から提供が行われていなかった。

フル・ミッション・シミュレータは、アメリカ合衆国での教育が終了した操縦者の国内での訓練に供するなどのために、三沢基地にF-35Aが配備されるまでに設置が完了し、運用を開始する必要があるものの、F-35Aの配備は29年度末頃を予定していることから、装備庁は、28年度末現在で提供が行われていないとしても、直ちに任務の遂行に支障が生ずるものではないとしている。

しかし、フル・ミッション・シミュレータは、設置してから運用を開始するまでに様々な確認や調整等を必要とすることから、F-35Aの配備までに運用を開始するために、可能な限り早期に提供が行われるよう、引き続き提供の促進に取り組む必要がある。

(イ) 引合受諾書における要求項目に係る状況

装備庁は、28年度末までにF-35A4機を受領しているが、この4機について、引合受諾書で要求したとおりのものを受領しているか確認したところ、28年11月から29年2月までの間にアメリカ合衆国内で受領したF-35Aに搭載されたソフトウェアは、引合受諾書で要求したものと異なっていた。

すなわち、F-35Aは、機体の開発と併せて、基本的な機体の管理、任務の遂行に必要な搭載装備品の作動等を制御するソフトウェアの開発も実施されている。このソフトウェアの開発においては、当初から全ての機能を付加したソフトウェアを開発するのではなく、段階的に開発することで徐々に機能を付加していく方法が採用されているが、引合受諾書で要求した全ての弾薬を運用する能力を付与したソフトウェア(以下「要求ソフトウェア」という。)の開発が遅れ、24年度に契約した4機の提供の予定時期である28年度末(29年3月)に間に合わない見込みとなった。このため、装備庁は、一部の弾薬を運用することができないソフトウェア(以下「現行ソフトウェア」という。)が搭載されたF-35Aを受領していた。

引合受諾書で要求したものとは異なるものを受領したことについて、装備庁は、24年度に契約した4機はアメリカ合衆国内において30年3月まで航空自衛隊の操縦者や整備員等の教育訓練に使用される予定であり、直ちに防空等の任務に就くものではなく、教育訓練終了後に同任務に就くまでには要求ソフトウェアに換装される見込みであることから、同任務の遂行に支障が生ずるものではないとしている。

なお、引合受諾書における見積価格や合衆国政府へ支払った前払金は、要求ソフトウェアが搭載されたF-35Aに係るものであったことから、今後実施される現行ソフトウェアから要求ソフトウェアへの換装に関して我が国に追加的経費の負担が生じない旨、防衛省と合衆国政府の間で交わされた文書はないものの、装備庁は、合衆国政府の担当官と確認済みであるとしている。

そして、装備庁は、F-35Aが最も先進的な機体を実現すべく現在開発中であることから、引き続き、開発状況を把握するなど、合衆国政府との間で緊密に連携・協議していくとしている。

(ウ) 国有財産台帳への登載の状況

防衛省は、航空機を受領した際には、防衛省所管国有財産取扱規則(平成18年防衛庁訓令第118号)等に基づき、当該航空機の所管部局(航空幕僚監部等)においてこれを国有財産台帳に登載することとなっている。

28年度末までに受領したF-35A4機について、国有財産台帳への登載の状況を航空幕僚監部において確認したところ、次のとおりとなっていた。

調達要求品目「F-35A戦闘機」の細目として受領した前記8細目のうち、一部しか受領していない1細目を除く7細目に対する支出決定額(24年度から28年度までの年割額を各年度の支出官レートで邦貨換算した額の総額)を、それぞれ契約機数等で除したものを合計し、1機当たり121億余円として4機を国有財産台帳に登載していた。上記の1細目を国有財産台帳価格から除外した理由について、航空幕僚監部は、受領した一部の価格が不明であるためとしている。

なお、受領したF-35A4機には現行ソフトウェアが搭載されているが、前払金の支出決定は要求ソフトウェアを搭載した場合の価格で行っているため、上記の国有財産台帳価格は要求ソフトウェアが搭載された場合の価格となっていた。

防衛省所管国有財産(航空機)の取扱いに関する訓令(昭和40年防衛庁訓令第24号)によれば、国有財産台帳価格は、概算価格により取得した場合で、価格の確定まで日時を要するときは概算価格とし、後日価格が確定したとき訂正するものとされていることから、航空幕僚監部は、受領時点において、概算価格として前記の価格を登載しているが、28年度末現在、合衆国政府に対して防衛装備品の価格内訳を確認しており、その確認結果等を踏まえるなどして、適時に価格改定を行っていくとしている。

なお、この国有財産台帳価格と、(1)ウで示した24年度契約機の1機当たり本体価格97億余円とが大きく異なるのは、国有財産台帳価格は各年度の支出官レートに基づく支出決定額により算定しているのに対し、1機当たり本体価格は24年度の契約当時の支出官レートに基づく契約額により算定しているためである。

ウ 余剰金の返済の状況

24年度以降の機体等ケースに係る前払金の支出決定累計額は、28年度末現在で計1791億余円と多額に上っている。そして、F-35AのFMS調達は、複数年度にわたる複数の調達要求品目の調達を機体等ケースの1ケースに集約して行っているため、調達要求品目が今後も追加され続けることとなる。その結果、ケースに係る全ての提供が当面完了しないため、長期にわたり最終計算書が合衆国政府から送付されず、提供の完了の確認を行うことができないことが見込まれる。

ケースの取扱いに関して、防衛省は、当初、毎年度新たに引合受諾書を締結することを合衆国政府に要望していた。しかし、毎年度ケースを追加する方法では合衆国政府側で契約の都度議会への通知に多大な時間を要すること、ケース数の増加により合衆国政府側の管理が煩雑になることなどから、1ケースへの集約を合衆国政府から要請され、24年度の引合受諾書を修正して調達要求品目を追加する方法を採ることになったとしている。

一方、防衛省は、機体等ケースに調達要求品目を集約する場合の条件として、①我が国の予算年度と予算科目が同一の調達要求品目の提供が完了した後に、合衆国政府は速やかに計算書を送付すること、②同計算書に基づき防衛省はケースの終結前であっても合衆国政府に対して余剰金の返済を請求できること、③合衆国政府において当該請求があった場合は余剰金の返済を行うことなどを、24年4月に合衆国政府に対して提示し、合衆国政府は同年5月にこれを認めている。

上記の手続に基づく余剰金の返済の状況を装備庁において確認したところ、28年度末現在、予算年度と予算科目が同一の調達要求品目の提供が完了したことはないため、余剰金の返済時期は到来していなかった。一方、今後、返済時期が到来した際の計算書の送付期限等の詳細は、28年度末現在、合衆国政府との間で具体的に定められていなかった。

(3) F-35Aの調達に当たり実施される国内企業の製造及び修理への参画

1(4)アのとおり、防衛省は、我が国の戦闘機について、将来にわたり安全性を確保しつつ高い可動率を維持し、我が国の運用に適した能力向上等を行っていくために、防衛生産・技術基盤の維持・強化が重要であるとし、F-35Aの調達に際して国内企業の製造及び修理への参画を図っている。そして、装備庁は、国内企業の参画に当たって、防衛生産・技術基盤の維持・強化といった国内企業の参画の意義、合衆国政府等との調整状況、我が国の財政状況等の参画要件について検討を行うとともに、国内企業が下請製造を行うに当たって必要となる費用を初度費契約により負担している。

そこで、F-35Aに係る国内企業の製造及び修理への参画状況についてみると、次のとおりとなっていた。

ア 製造への参画状況

1(4)アのとおり、機体の最終組立・検査については三菱重工が25年度から、エンジンの最終組立・検査についてはIHIが26年度から、部品の製造についてはIHI及び三菱電機が25年度からそれぞれ参画していた。

各国内企業の製造への参画について、25年度から28年度までの間の引合受諾書にそれぞれ記載がなされており、この期間において装備庁が契約する全てのF-35Aについて、各国内企業は下請製造を行うこととなっている。これを受けて装備庁は、国内企業が下請製造を行うために必要な初度費契約を25年度から締結している。そして、各年度の初度費契約で整備した専用治工具等により国内企業が下請製造を行う部品(以下「下請製造部品」という。)等は、同年度(一部は翌年度)に装備庁が契約したF-35Aに搭載されることになっている。

上記各国内企業の製造への参画のうち、25年度から28年度までの間に製造に参画した各国内企業の下請製造部品の状況についてみると、次のとおりとなっていた。

25年度にはIHIがエンジンに係る下請製造部品17品目、三菱電機がレーダーに係る下請製造部品7品目に、26年度には三菱電機が赤外線探知装置に係る下請製造部品2品目に、27年度にはIHIがエンジンに係る下請製造部品2品目、三菱電機が赤外線探知装置に係る下請製造部品1品目にそれぞれ新規に参画しており、三菱重工による機体に係る下請製造部品への参画は行われていなかった。そして、参画品目の累計は25年度は24品目、26年度は26品目、27、28両年度は29品目となっていた。

また、装備庁は、新たな下請製造部品への参画の可否を判断するなどのために、25年度に三菱重工、IHI及び三菱電機と調査研究の契約を締結(契約額計2億余円)しており、上記のうち27年度に新規に参画した3品目については、この調査研究の結果を踏まえたものであった。

(ア) 初度費契約の状況

初度費契約により行う初度費業務の内容についてみると、図表18のとおり、三菱重工は専用施設、専用治工具等の整備、維持管理、技術援助等、IHI及び三菱電機は供給元認定(注15)の取得、専用治工具等の整備、維持管理、技術援助等となっている。また、初度費契約は国庫債務負担行為により実施されており、契約期間は初度費業務の内容に応じて契約ごとに異なっている。

(注15)
供給元認定  下請製造部品の品質を元請の外国企業が保証するための認定

また、25年度から28年度までの間に締結した初度費契約に係る各国内企業の契約額は、三菱重工計1022億余円、IHI計494億余円、三菱電機計199億余円、合計1716億余円となっていたが、年々減少していた。これは、25年度が機体の最終組立・検査の、26年度がエンジンの最終組立・検査のそれぞれ参画初年度であって、主に専用施設の整備を行ったことにより多額の初度費が計上された一方、翌年度以降その経費が大幅減となったことや、前記のとおり新規に製造に参画する品目が少なくなっていることなどによる。

図表18 年度別、国内企業別の初度費業務及び契約額

図表18 年度別、国内企業別の初度費業務及び契約額 画像

装備庁は、初度費契約における予定価格について、専用治工具等に係る費用や技術援助費等の製造原価に、所定の率を乗じて算出される総利益(一般管理費及び販売費、利子並びに利益を合計したものをいう。)を加算するなどして算定している。各国内企業の25年度から28年度までの間の初度費契約における予定価格について、製造原価計の内訳比率をみると、図表19のとおり、製造原価全体に占める割合は、専用治工具等に係る費用が48.6%、技術援助費が34.3%となっていた。なお、三菱電機は部品の製造のみの参画となっており、専用施設を整備しないことから、三菱電機における製造原価の内訳比率は、専用治工具等に係る費用が21.8%、技術援助費が61.6%となっており、技術援助費の割合の方が高くなっている。そして、技術援助費については、今後も国内企業の下請製造が見込まれることから引き続き発生することが見込まれる。

図表19 各国内企業の平成25年度から28年度までの間の初度費契約における製造原価の内訳比率

図表19 各国内企業の平成25年度から28年度までの間の初度費契約における製造原価の内訳比率 画像

また、初度費契約の特約条項及び仕様書によれば、初度費契約で整備した専用施設、専用治工具等は原則として我が国が調達するF-35Aのためにのみ使用するものとされており、我が国以外が調達するF-35戦闘機のために使用するなどの場合には、各国内企業は装備庁と協議の上相応の対価を負担する必要があるとされているが、装備庁はこうした協議は今のところ行われていないとしている。

(イ) 下請製造の実施状況等

防衛省は、防衛生産・技術基盤の維持・強化を図るために国内企業に対して下請製造等への参画を求めている。これを受けて、25年度から28年度までの間の引合受諾書において、国内企業が下請製造を行うこととされている。そして、当該各年度の下請製造部品等は、同年度(一部は翌年度)に装備庁が契約したF-35Aに搭載されることになっている。このため、装備庁が調達するF-35Aに下請製造部品等を搭載するためには、IHI及び三菱電機の下請製造部品及びIHIが最終組立・検査を行うエンジンを、元請の外国企業を経由した後に、三菱重工が行う最終組立・検査に必要な段階で供給する必要がある。

そこで、28年度の引合受諾書は29年3月に締結され28年度末現在下請製造が見込まれないことから、これを除いた25年度から27年度までの間に装備庁が引合受諾書において行うこととしている下請製造の実施状況等についてみたところ次のとおりとなっていた。

a 25年度機の下請製造の実施状況等(図表20参照

25年度の引合受諾書において、三菱重工は機体の最終組立・検査、IHIはエンジンに係る17品目、三菱電機はレーダーに係る7品目についてそれぞれ下請製造を行うこととなっている。そして、IHIが下請製造を行う17品目のうち10品目及び三菱電機が下請製造を行う7品目については25年度に装備庁が合衆国政府と契約したF-35A(以下「25年度機」という。)から搭載され、IHIが下請製造を行う残りの7品目については26年度に装備庁が合衆国政府と契約したF-35A(以下「26年度機」という。)から搭載されることになっている。

(a) 三菱重工

三菱重工は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用施設、専用治工具等の整備等の期間を記載していた。また、最終組立・検査の工程及びロッキード社への納入時期について具体的に記載していた。

実施状況についてみると、専用施設、専用治工具等の整備等について、28年度末現在おおむね実施計画に沿って実施していた。

そして、25年度機の最終組立・検査について、ロッキード社からエンジン等の提供を受けて、2機の艤(ぎ)装(注16)を終了していた。

(注16)
艤装  航空機としての機能や用途を果たすため、機体にエンジンや通信・航法装置等の諸装備・装置を取り付け、調整する作業

(b) IHI

IHIは、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用治工具等の整備の期間を記載していた。一方、下請製造部品に係る供給元認定の取得についてみると、実施計画において、25年度機から搭載される10品目、26年度機から搭載される7品目に係る供給元認定の取得を30年1月までに行うこととしていた。しかし、25年度機については27年度以降、26年度機については28年度以降に三菱重工が最終組立・検査を行うことになっていることから、これらの17品目については三菱重工が行う最終組立・検査に必要な段階で供給することを前提として供給元認定を取得する計画となっていなかった。

また、下請製造は初度費契約の対象となっていないが、下請製造部品の製造工程やプラット社への納入時期を実施計画に記載していなかったため、下請製造部品の供給時期は明確になっていなかった。

実施状況についてみると、専用治工具等の整備については実施計画に沿って実施していたものの、プラット社から供給元認定の取得に必要な認定用部品の素材の提供が遅れていたり、合衆国政府が情報の保全体制に対する要求水準を引き上げたことにより当該体制の整備に要する期間が新たに生じていたりしたため、28年度末時点において、初度費契約の対象となっている17品目全てについてプラット社からの供給元認定を取得していなかった。

このため、28年度末時点においても、25年度機から搭載されることになっている10品目について、IHIは、プラット社と下請製造の契約を締結しておらず、製造を行っていなかった。

(c) 三菱電機

三菱電機は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用治工具等の整備や供給元認定の取得に必要な認定用部品の製造等の期間について記載していた。また、下請製造は初度費契約の対象となっていないが、下請製造部品の製造工程やノースロップ社への納入時期について、三菱重工の最終組立・検査において三菱電機の下請製造部品が必要になると装備庁が想定した時期を踏まえて、28年3月までに下請製造部品を供給する旨を記載していた。

実施状況についてみると、専用治工具等の整備は終了していた。また、初度費契約において対象としている下請製造部品7品目全てについての供給元認定を取得していた。

しかし、26年2月の4者会議において三菱電機がアメリカ合衆国側に早期の発注を求めるなどしたものの、25年度の初度費契約の納期(28年3月)までにノースロップ社との下請製造の契約が締結されず、三菱電機からノースロップ社への下請製造部品の納入は行われなかった。これについて三菱電機は、下請製造の契約が締結されていない原因として、ロッキード社からノースロップ社へのレーダー製造に係る発注の遅れなどのアメリカ合衆国内の契約関係を挙げている。そして、28年度末時点においても、三菱電機は、ノースロップ社と下請製造の契約を締結しておらず下請製造部品の製造を行っていなかった。

以上のことから、25年度機については、IHI及び三菱電機の下請製造部品が供給されないまま、三菱重工において既に艤装を終了していたため、下請製造部品が搭載されないものと認められる。

図表20 25年度機の下請製造の実施状況等(平成28年度末現在)

図表20 25年度機の下請製造の実施状況等(平成28年度末現在) 画像

b 26年度機の下請製造の実施状況等(図表21参照

25年度の参画実績に加え、26年度の引合受諾書において、IHIはエンジンの最終組立・検査、三菱電機は赤外線探知装置に係る2品目についてそれぞれ新規に下請製造を行うこととなっている。そして、IHIが下請製造を行うエンジンの最終組立・検査により完成したエンジン及び三菱電機が下請製造を行う2品目については、26年度機から搭載されることになっている。また、IHIが25年度に参画した17品目のうち7品目についても、26年度機から下請製造が行われ搭載されることになっている。

(a) 三菱重工

三菱重工は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用施設の整備等の期間を記載していた。また、最終組立・検査の工程及びロッキード社への納入時期について、28年7月から最終組立・検査の工程を開始するなどの予定を具体的に記載していた。

実施状況についてみると、専用施設の整備等について、28年度末現在おおむね実施計画に沿って実施していた。

そして、26年度機の最終組立・検査について、28年度から順次艤装を開始していた。

(b) IHI

IHIは、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用施設、専用治工具等の整備等の期間やエンジンの最終組立・検査に係る認定の取得に必要な1台目のエンジンの最終組立・検査の工程を記載していた。

一方、下請製造は初度費契約の対象となっていないが、2台目以降のエンジンの最終組立・検査の工程や26年度機から搭載されることになる下請製造部品7品目の製造工程等を実施計画に記載していなかったため、下請製造部品等の供給時期は明確になっていなかった。

実施状況についてみると、専用施設及び専用治工具の整備については、IHIがプラット社と製造工程等について協議する中で、プラット社が指定する外国の業者等から専用治工具を調達する必要が生じたことなどにより、実施計画より遅れが生じていた。

そして、1台目のエンジンの最終組立・検査については、上記のように専用治工具の整備が遅れることなどのため、実施計画より開始が遅れており、三菱重工が28年度から実施している26年度機の最終組立・検査に必要な段階までにエンジンを供給していなかった。また、26年度機から搭載されることになっている7品目についても、28年度末時点においてプラット社と下請製造の契約を締結しておらず、製造を行っていなかった。

(c) 三菱電機

三菱電機は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用治工具等の整備や供給元認定の取得に必要な認定用部品の製造等の期間について記載していた。しかし、29年度初期までに供給元認定を取得するとしており、その後にノースロップ社と契約してから下請製造を行うこととなるため、三菱重工が28年度から行う26年度機の最終組立・検査に必要な段階までに下請製造部品を供給する計画になっていなかった。

また、下請製造は初度費契約の対象となっていないが、下請製造部品の製造工程やノースロップ社への納入時期を実施計画に記載していなかったため、下請製造部品の供給時期が明確なものとなっていなかった。

実施状況についてみると、おおむね実施計画のとおり実施しているものの、供給元認定の取得予定を前記のとおり29年度初期としていることから、26年度機から搭載されることになっている2品目について、三菱電機はノースロップ社と契約を締結しておらず、製造を行っていなかった。

以上のことから、26年度機について、IHI及び三菱電機の下請製造部品等が三菱重工による艤装の終了までに搭載されないおそれがある。

図表21 26年度機の下請製造の実施状況等(平成28年度末現在)

図表21 26年度機の下請製造の実施状況等(平成28年度末現在) 画像

c 27年度機の下請製造の実施状況等(図表22参照

25、26両年度の参画実績に加え、27年度の引合受諾書において、IHIはエンジンに係る2品目、三菱電機は赤外線探知装置に係る1品目についてそれぞれ新規に下請製造を行うこととなっている。そして、三菱電機が下請製造を行う1品目については、27年度に装備庁が合衆国政府と契約したF-35A(以下「27年度機」という。)から搭載されることになっているが、IHIが新規に下請製造を行う2品目については、28年度に装備庁が合衆国政府と契約したF-35Aから搭載されることになっている。

(a) 三菱重工

三菱重工は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている最終組立・検査の各工程に関連する専用施設や専用治工具等の整備等の期間を記載していた。また、最終組立・検査の工程についても記載していた。しかし、25、26両年度の実施計画では記載していた結合や艤装等に関する詳細な工程を記載していなかったため、IHI及び三菱電機が下請製造部品等をいつまでに三菱重工に供給する必要があるのかが明確になっていなかった。

実施状況についてみると、28年度末から専用施設等の整備等を開始していた。

(b) IHI及び三菱電機

IHI及び三菱電機は、初度費契約の実施計画において、初度費契約の対象となっている専用治工具等の整備の期間を記載していた。一方、供給元認定の取得について、三菱電機は供給元認定の取得に必要な部品の製造等の期間を記載していたものの、IHIは供給元認定の取得に必要な認定用部品の製造等を具体的に記載していなかった。

また、IHI及び三菱電機は、下請製造は初度費契約の対象となっていないが、下請製造部品の製造工程や納入時期を記載していなかったため、下請製造部品の供給時期が明確になっていなかった。

実施状況についてみると、IHIは28年度から専用治工具等の整備及び供給元認定の取得作業を開始しており、三菱電機は27年度から専用治工具等の整備を開始していた。

図表22 平成27年度の初度費契約の実施計画(平成28年度末現在)

図表22 平成27年度の初度費契約の実施計画(平成28年度末現在) 画像

各国内企業は、前記のように下請製造部品等の製造工程等を実施計画に記載をしていなかった理由について、次のとおりであるとしている。

  • ① 初度費契約の対象はあくまでも専用治工具等の整備等であり、下請製造は直接の対象ではないこと(三菱重工、IHI及び三菱電機)
  • ② 元請の外国企業間の製造工程の中で外国企業と国内企業との整合性を取る必要がある一方、当該外国企業から実施計画作成に必要な情報を得られなかったこと(IHI及び三菱電機)
  • ③ ノースロップ社と下請製造の契約が締結されず下請製造を行うことができないことにより、25、26両年度の初度費契約において、下請製造部品の納入手続に係る規定が削除される変更が行われたこと(三菱電機)

しかし、下請製造は初度費契約の対象でなくても、引合受諾書において、25年度から28年度までの間に装備庁が契約する全てのF-35Aについて、各国内企業は下請製造を行うこととなっていることから、実施計画には、下請製造を前提として、必要な専用治工具等の整備等を記載することになる。したがって、IHI及び三菱電機の下請製造部品等を三菱重工が実施する最終組立・検査の際に搭載するために、装備庁は、合衆国政府と調整し、各国内企業の下請製造の工程を確認すべきであったのに、これらを十分に行っていなかった。このため、各国内企業が作成した実施計画は、下請製造部品等を対応する機体に搭載することを前提とした整合性の取れたものとなっていなかった。そして、IHI及び三菱電機は、28年度末現在、下請製造部品に係る契約を締結しておらず、国内企業の製造への参画を通じた防衛生産・技術基盤の維持・強化についての効果は十分に発現していなかった。

また、(1)ウに示したとおり、装備庁は、25年度以降に1機当たり本体価格が上昇した主な要因を国内企業が最終組立・検査及び部品の下請製造を行うことによるものであるとしていることから、下請製造部品等が搭載されなかった場合にはFMS調達の価格の変更が必要となる。しかし、価格の変更に係る手続は、28年度末現在において未定となっている。したがって、装備庁は、適切な価格でFMS調達を行うために、価格の変更やその手続に係る検討、合衆国政府等との交渉等を適時適切に行う必要があると認められる。

イ 修理への参画状況

装備庁は、27年度に整備拠点契約を契約額8億余円で三菱重工と締結している。三菱重工は、整備拠点契約の締結後、実施計画を作成し、装備庁の承認を得ることとなっている。実施計画には、重整備を行うために必要な専用施設や設備等の整備に関する計画等を記載することとなっている。

三菱重工が作成した実施計画によると、図表23のとおり、28年12月から倉庫の新築や専用施設の改修に係る設計業務を開始し、30年4月に全ての工事を終了するなどの工程となっていた。

図表23 整備拠点契約に係る三菱重工の実施計画

図表23 整備拠点契約に係る三菱重工の実施計画 画像

F-35戦闘機は現在も開発中であり、合衆国政府においても整備の体制が構築されていないことから、装備庁は、整備拠点における具体的な整備の対象機や整備の作業内容等について、合衆国政府等と調整を進めているとしている。

また、整備拠点契約にも初度費契約と同様の特約条項等があり、我が国以外のF-35戦闘機に係る修理のために整備拠点を使用するなどの場合には、各国内企業は装備庁と協議の上相応の対価を負担する必要があるとされている。そして、装備庁はこうした修理を行うこととなった場合の特約条項等の取扱いや負担する対価等についても、検討を進めているとしている。

(4) プロジェクト管理等の状況

ア 装備庁新設前のLCC管理の状況

(ア) F-35AのLCCの算定

装備施設本部は、F-35AのLCCの算定に当たり、24年度から31年度までの間に42機について契約し、1機当たり30年運用することを前提条件として、LCC算定要領に基づき、過去の契約実績、合衆国政府からの見積額、予算資料等を用いて、ライフサイクルの各段階(構想段階、開発段階、量産段階、運用・維持段階、廃棄段階)の経費を算出して、LCCを算定していた。なお、上記各段階のうち開発段階はFMS調達のため存在せず、また、廃棄段階は現時点での見積りが困難なため、いずれも経費を算出していない。

そして、24年度から最終的な運用終了が見込まれる65年度までの間のLCCの総額についてみると、初年度である24年度のLCC管理年次報告書において算定したLCC(機種提案時の提案価格を参照するなどして算定した当初のLCC。以下「24年度算定」という。)は1兆9195億円であったが、その後25年度のLCC管理年次報告書では2兆0164億円、26年度のLCC管理年次報告書では2兆2216億円と増加している。このうち、26年度のLCC管理年次報告書において算定したLCC(以下「26年度算定」という。)の数値について、ライフサイクルの段階別の推移等を確認したところ、図表24のとおりとなっている。

31年度までにF-35A42機について契約する前提としているため、量産段階の経費(初度費及び航空機の取得に係る経費)は、同年度まで急増し計8171億余円となった後、32年度以降は発生していない。運用・維持段階の経費(補給、維持、整備等、教育・訓練等に係る経費)は、F-35Aの運用期間を1機当たり約30年としていることから、65年度まで一定の金額が見込まれ計1兆4037億余円となっている。そして、運用・維持段階の経費のLCC全体に占める割合は63.1%となっていて、量産段階の経費の36.7%を大きく上回っている。

F-35Aの運用・維持段階では、補給、維持、整備等の業務に係る経費(技術援助費を含む。)が計1兆1949億余円とその多くを占めるが、これは主に、1(2)のALGSの枠組みの中で補給や整備を受けるためのFMS調達に係るものである。

なお、(1)ウに記載した国内企業参画によるFMS調達の価格の上昇分は、図表24の量産段階(航空機)累計(c)に含まれている。

図表24 F-35Aに係る段階別のLCC(26年度算定)

図表24 F-35Aに係る段階別のLCC(26年度算定) 画像

(イ) F-35AのLCCの検証

1(5)アのとおり、装備施設本部は、ベースライン作成年度の翌年度以降、毎年度、LCCの見積値を実績値に更新して、ベースラインとのかい離度合いを測定し、大きなかい離が生じた場合は差異分析を行うこととしていた。

一方で、LCC算定要領によれば、ベースラインは当該防衛装備品の将来に必要となるコストを予測するための重要な指標とされ、防衛計画の大綱の見直し、閣議決定による調達数量の変更、機能付加による仕様変更等が発生した際はベースラインを引き直すこととされていた。

そして、装備施設本部は、25、26両年度のLCC管理年次報告書において、国内企業の製造への参画の開始及び拡大を理由として、いずれもLCCのベースラインを引き直していた。その結果、24年度から26年度までの間の各年度とも、べースライン設定の初年度となったため、LCC管理年次報告書の公表最終年度である26年度まで、差異分析は行われていなかった。

25、26両年度のベースラインは引き直されているが、24年度及び26年度のLCC管理年次報告書のベースラインを比較すると、24年度算定の1兆9195億円に対し、26年度算定の2兆2216億円は3021億円の増加となっている。そこで、会計検査院において、この増加要因を年度別に比較して分析したところ、為替レートの変動(例えば、24年度算定時点での直近となる25年度支出官レートは1ドル82円、26年度算定時点での直近となる27年度支出官レートは1ドル110円)による増(3500億余円(注17)、24年度算定に対する増加の割合18.2%)、国内企業参画に伴う初度費の増(665億余円、同3.4%)等によるものと認められた。

(注17)
各年度のドル建ての経費項目について、24年度算定と26年度算定のいずれか少ない方のドル建て経費に、26年度算定で適用した為替レートと24年度算定で適用した為替レートの開差を乗ずるなどして試算した。本要因による増加分がLCC全体の差額3021億円を超えているのは、26年度算定では24年度算定と比較してドル建てで減少している経費項目(補給、維持、整備等に係る経費等)があるなどのためである。

イ 装備庁新設後のプロジェクト管理の状況

1(5)イのとおり、装備庁は、27年10月に新設された後、同年11月にF-35Aを含む12のプロジェクト管理重点対象装備品等を選定し、プロジェクト管理を実施している。そして、28年7月に各プロジェクト管理重点対象装備品等のLCCを記載した取得戦略計画を策定し、同年8月にその概要を公表した。

このうち、F-35Aのプロジェクト管理の状況についてみると、次のとおりである。

(ア) F-35AのLCC見積りの手続

装備庁は、見積りの範囲、時期及び方法その他の必要な事項を定めたLCCの見積計画を作成することとなっている。そして、LCC細部見積要領によれば、装備庁は、内部部局、陸上、海上、航空各幕僚監部等の関係各組織から必要なデータの提供を求める際は、この見積計画を示すこととされている。

見積計画の作成等の状況についてみたところ、次のような事態が見受けられた。

装備庁は、28年7月に策定した取得戦略計画におけるLCCの見積りに当たり、見積計画を文書として作成していなかった。なお、装備庁は、見積計画の作成を定めたLCC見積管理要領の策定が28年2月まで遅れていて、その時点では既に関係各組織から必要なデータの提供を求めるなどの作業が進行しており、データの提供に必要な見積りの範囲、時期、方法等の情報が、担当者間のメール連絡等適宜の方法で関係各組織へ伝えられていたとしている。

しかし、見積りの範囲、時期、方法等の情報はLCCの適切な見積りのための重要な要素であり、事後的な検証等を容易にするため、今後の見積りに当たっては、LCC見積管理要領に沿って適時に見積計画を文書化した上で、装備庁及び関係各組織で共有し、保存する必要がある。

また、装備庁は、29年3月、次回のLCC見積りのために、プロジェクト・マネージャー(注18)において文書により見積計画を作成していたが、LCC見積管理要領において装備庁長官が見積計画を作成すると規定されているのに、装備庁長官の決裁等を得ていなかった。

この点について、装備庁は、LCC見積管理要領の下位規程であるLCC細部見積要領においてプロジェクト・マネージャー等が見積計画を作成すると規定されていることによるとし、また取得プログラムの分析及び評価の結果に係る報告資料において見積計画の主要事項を併記することとなっており、当該資料を通じて装備庁長官に報告する予定であるとしている。

しかし、LCC細部見積要領の規定によりプロジェクト・マネージャーが見積計画の作成実務を行うとしても、作成に係る責任はLCC細部見積要領の上位規程であるLCC見積管理要領の規定により装備庁長官にあること、また、見積計画は、LCCの見積りを適切に実施するために重要な調整資料であり、前記のとおりLCCの見積りに当たり必要なデータの提供を関係各組織に求める際に提示するものとされていることから、事前に装備庁長官の決裁等を得る必要があると思料される。

(注18)
プロジェクト・マネージャー  プロジェクト管理重点対象装備品等ごとに装備庁長官から指名され、プロジェクト管理の円滑かつ効率的な実施のための総合調整を行う担当官
(イ) F-35AのLCCの総額

装備庁は、開発段階及び廃棄段階を除くライフサイクルの各段階の経費を算出してLCCを網羅的に見積もっており、28年8月に公表されたF-35Aの取得戦略計画の概要をみると、LCCの総額は2兆2287億円となっている(以下、この見積りを「28年度見積り」という。)。28年度見積りの数値について、ライフサイクルの段階別の推移等を確認したところ、図表25のとおりとなっている。

量産段階の経費が31年度まで発生し、運用・維持段階の経費が65年度まで一定の金額が見込まれるという全体の傾向は、26年度算定(図表24参照)と同様である。

また、装備庁のLCCの見積方法と、装備施設本部のLCCの算定方法とに基本的な相違はないことから、両者のLCCを比較してみると、28年度見積りのLCCの総額2兆2287億円は26年度算定の2兆2216億円と比べて71億円の増となっており、さらに、ライフサイクルの段階ごとの内訳をみると、次のとおりとなっている。

① 構想段階については、26年度算定時点で既に実績値であったため、28年度見積りにおいても6億余円のままほとんど変化がない。

② 量産段階については、28年度見積りでは計8277億余円(全体に占める割合37.1%)となっていて、26年度算定と比べて106億余円の増となっている。この主な要因は、将来年度の経費を見積もる際の為替レートが円安方向に変動した(26年度算定においては27年度支出官レートが1ドル110円だったのに対し、28年度見積りにおいては28年度支出官レートが1ドル120円)ためであると認められる。

③ 運用・維持段階については、補給、維持、整備等に係る経費が計1兆1750億余円(26年度算定と比べて198億余円の減)、その他の経費が2252億余円(同163億余円の増)となっていて、これらを合わせた全体では計1兆4002億余円(同35億余円の減、全体に占める割合62.8%)となっている。このうち、補給、維持、整備等に係る経費が26年度算定と比べて198億余円の減となっているのは、将来のALGSの経費を見積もるに当たり合衆国政府から徴取している見積金額が減となっているなどのためであり、一方、その他の経費が163億余円の増となっているのは、量産段階と同様、支出官レートが円安方向に変動したことにより、将来の燃料費の邦貨換算額が増加したことなどによると認められる。

図表25 F-35Aに係る段階別のLCC(28年度見積り)

図表25 F-35Aに係る段階別のLCC(28年度見積り) 画像

(ウ) F-35AのLCCに与える為替の影響と感度分析

装備庁は、LCC細部見積要領において、LCCの見積りの結果等を取得戦略計画、取得プログラムの分析及び評価結果等に活用する場合に参考にすべき項目として、LCCに影響を与えるリスク及び不確実性を考慮し、為替レートの変動に伴うLCCへの影響(変動幅)を前もって計算しておくこと(以下「感度分析」という。)を挙げている。LCC細部見積要領の感度分析に関する説明によれば、為替変動が影響する項目については、ベースライン、年度見積ライン等の設定時点に対し、為替変動を与えて分析した結果を記載することとされている。そして、F-35Aのように外貨建て費目が多い防衛装備品については、感度分析がプロジェクト管理を実施していくに当たって重要である。現に、F-35Aの円建ての1機当たり本体価格は、FMS調達が行われた24年度以降に支出官レートが一貫して円安に推移したことなどから増加傾向にあるなど、為替の影響は既に顕在化している。

しかし、感度分析の実施状況をみたところ、装備庁は、担当者において行っていたとしているものの、実施結果が取得戦略計画の中に示されておらず、また、その他F-35Aの取得プログラムに係る会議や各種報告のいずれにおいても、装備庁及び関係各組織で共有されていなかった。

感度分析を行い、その結果を取得戦略計画、取得プログラムの分析及び評価に係る文書等に記載して防衛大臣に報告するとともに装備庁及び関係各組織で共有することは、防衛装備品の調達等に関する的確な意思決定に資することとなるため、今後確実に実施する必要がある。

(エ) F-35Aの取得プログラムの分析及び評価

装備庁は、取得プログラムの管理を行い、進捗状況や経費の発生状況等を確認し、取得戦略計画との比較を行うとともに、その分析及び評価の結果を、原則として毎年度第1四半期に防衛大臣に報告することとなっている。装備庁は、28年度第1四半期において、この報告を行っていなかった。ただし、これは、取得戦略計画の策定が28年7月まで遅れ、28年度第1四半期の時点では分析及び評価の基準となる取得戦略計画が存在していなかったこと、取得戦略計画に27年度中の取得プログラムの進捗が適切に反映されていることなどのためである。

なお、装備庁は、29年8月に防衛大臣への第1回目の報告を行った。