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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第1 内閣府(内閣府本府)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

消費税の転嫁拒否行為等の相談件数等に応じて、相談業務を実施するための電話設備等の設置台数を見直すことなどにより、消費税価格転嫁等総合相談センターの運営に係る機器費用の節減を図るよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)内閣本府 (項)内閣本府共通費
部局等
内閣府本府
契約名
消費税価格転嫁等総合相談センターの設置運営業務
契約の概要
電話相談及びメール相談に対応するための機器及び回線の設置並びに消費税価格転嫁等総合相談センターの運営業務
契約の相手方
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
契約
平成28年4月、29年4月 随意契約
支払額
3億6860万余円(平成28、29両年度)
支払額のうち分室等運営費の計(1)
1億2310万余円
(1)のうち電話相談件数及びメール相談件数が共に年間10件未満となっていた分室に係る分室運営費の計(2)
9467万円
(1)のうち1日平均1回未満の操作回数となっていた分室及び関係庁に設置された専用PCに係る機器費用の計(3)
1632万円
(2)及び(3)の純計
9896万円

1 総合相談センター等の概要

(1) 総合相談センターの概要

内閣府は、「消費税の円滑かつ適正な転嫁・価格表示に関する対策の基本的な方針(中間整理の具体化)」(平成24年10月消費税の円滑かつ適正な転嫁等に関する対策推進本部決定)に基づき、平成25年10月に、消費税価格転嫁等総合相談センター(以下「総合相談センター」という。)を設置して、「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」(平成25年法律第41号。以下「転嫁特措法」という。)で禁止されている消費税の転嫁を拒否する行為等(以下「転嫁拒否行為等」という。)に関する相談業務を行っている。そして、内閣府は、総合相談センターに、全国各地の消費者、事業者等(以下「相談者」という。)からの転嫁拒否行為等に関する相談窓口としてアウトソーシングセンター(以下「OC」という。)を設置するとともに、相談者からの専門性の高い相談にも対応できるよう13省庁(注1)の本省庁内及び10地方機関(注2)内に計23の総合相談センター分室(30年3月末現在。以下「分室」という。)を設置している。また、総合相談センターの運営期間については、当初、25年10月から29年3月末までとされていたが、消費税率の10%への引上げが31年10月に延期されたことなどを受けて、33年3月末まで延長されている。

(注1)
13省庁  警察庁、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、財務省、国税庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、中小企業庁、国土交通省、環境省
(注2)
10地方機関  沖縄総合事務局、東京国税局、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州各経済産業局

(2) 総合相談センター等の運営体制等の概要

内閣府は、25年6月に、一般競争入札によりエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下「NTTコム」という。)との間で、総合相談センターの運営及び電話設備の設置等に関する請負契約(契約期間25年6月から26年3月まで。以下「総合相談センター運営等契約」という。)を締結している。そして、26年度以降は、総合相談センターを継続的かつ安定的に運営する必要があることなどから、毎年度、随意契約によりNTTコムとの間で総合相談センター運営等契約を締結している。

内閣府が総合相談センター運営等契約により実施している総合相談センター等の運営体制及び電話設備等の設置状況は、次のとおりとなっている(図参照)。

ア OC及び分室における運営体制及び電話設備等の設置状況

内閣府は、総合相談センター運営等契約に基づき、NTTコムに、OCにオペレータを配置させるとともに、OC及び各分室には、専用回線を用いた相談用の専用電話と専用パーソナルコンピュータ(以下「専用PC」という。)をそれぞれ設置させている。そして、総合相談センターに相談者から電話相談及びメール相談が寄せられた場合には、相談内容に応じて、オペレータ又は13省庁等の各分室の職員(以下「分室員」という。)が相談に対応することになっている。また、専用PCは、オペレータ又は分室員がメール相談に対応する際に利用されるほか、オペレータ又は分室員が相談内容を蓄積するためのシステム(以下、このシステムを「応対管理システム」という。)に応対記録を入力することに利用されるなどしている。さらに、専用回線は、電話相談が同時に多数寄せられても専用電話が受電することを可能としたり、応対管理システムに入力される応対記録等のデータ通信を外部ネットワークから遮断されたネットワークで行ったりするなどのために設置されている。

イ 関係庁における電話設備等の設置状況

内閣府は、総合相談センターのほか、内閣府の消費税価格転嫁等相談対応室(以下「相談対応室」という。)や転嫁特措法等の所管省庁である3省庁等(注3)の担当部署(以下、相談対応室と3省庁等を合わせて「関係庁」という。)についても、各分室の相談業務を補助することなどができるよう、総合相談センター運営等契約に基づき、NTTコムに専用PC及び専用回線を設置させている。

(注3)
3省庁等  公正取引委員会、財務省、中小企業庁

図 総合相談センターの概念図

総合相談センターの概念図 画像

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性、有効性等の観点から、総合相談センター運営等契約について、相談件数等に応じた契約の見直しが行われて、総合相談センターの運営に要する費用が経済的なものとなっているかなどに着眼して、設置された機器等の操作状況の記録が保存されるなどしていた28、29両年度の総合相談センター運営等契約(支払金額計3億6860万余円)を対象として、内閣府本府において、業務実績報告書、契約書等の関係書類等により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

内閣府が、総合相談センター運営等契約に基づき、28、29両年度にNTTコムに対して支払った額は、のとおり、計3億6860万余円であり、このうちOCの運営に要した費用(以下「OC運営費」という。)は計1億5161万余円、分室の運営に要した費用(以下「分室運営費」という。)及び関係庁の運営に要した費用(以下「関係庁運営費」といい、分室運営費と関係庁運営費を合わせて「分室等運営費」という。)は計1億2310万余円となっていて、専用回線に要した費用が分室等運営費の過半を占めていた。そして、OC運営費については、相談件数等に応じてオペレータの配置人数や専用電話及び専用PCの設置台数を見直すなどしている一方、分室等運営費については、専用電話及び専用PCの設置台数を見直すなどしていなかった。

表 総合相談センター等の運営に要した費用並びに専用電話及び専用PCの設置状況

(単位:台、千円)
運営費用   平成28年度 29年度
費用内訳
  OC運営費 オペレータ等費用、専用電話及び専用PCに係る機器費用、専用回線費用 78,209 73,402 151,611
  OCに設置された専用電話台数 28 22
OCに設置された専用PC台数 22 16
分室運営費 専用電話及び専用PCに係る機器費用、専用回線費用、その他附属機器費用 60,344 58,391 118,735
  分室に設置された専用電話台数 73 73
分室に設置された専用PC台数 75 75
関係庁運営費 専用PCに係る機器費用、専用回線費用、その他附属機器費用 2,187 2,177 4,364
  関係庁に設置された専用PC台数 8 8
その他費用 通話録音システム費用、機器移設費用等 47,386 46,507 93,893
合計 188,127 180,478 368,606
  分室等運営費 62,532 60,568 123,100
  分室及び関係庁に設置された専用PCの台数 83 83
分室等運営費のうち専用回線費用 36,275 34,927 71,202
(注)
表中の金額は単位未満を切り捨てているため、集計しても計又は合計と一致しないものがある。

そして、内閣府は、25年度の総合相談センターの運営の開始に当たりNTTコムと締結した契約書の仕様書において、毎月の電話相談の予定件数15,000件程度、メール相談の予定件数7,500件程度になると想定していた。しかし、実際には、最も相談件数が多かった26年3月においても電話相談4,134件、メール相談304件となっていて想定を大きく下回っており、28年度は年間で電話相談757件、メール相談68件、29年度は年間で電話相談865件、メール相談72件となっていた。

そこで、各分室及び関係庁における相談件数と電話設備等の利用状況についてみたところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 各分室で受け付けた相談件数が少なく、専用電話、専用PC及び専用回線の利用が低調となっていた事態

28、29両年度に設置されていた23分室における電話相談件数及びメール相談件数を確認したところ、電話相談件数が年間10件未満であった分室の数は、28年度で19室、29年度で20室、メール相談件数が年間10件未満であった分室の数は、28年度で22室、29年度で21室となっていた。このうち、28、29両年度に電話相談件数及びメール相談件数が共に年間10件未満となっていた分室の数は、28年度で19室、29年度で20室、計39室となっていて、これらの分室に設置されている専用電話及び専用PC並びにこれに付随する専用回線の利用が低調となっていると認められた。そして、上記の39室に要した分室運営費は28、29両年度で計9467万余円となっていた。

(2) 分室及び関係庁に設置された専用PCの利用が低調となっていた事態

のとおり、28、29両年度に、分室及び関係庁には専用PCが計83台設置されており、専用PCはメール相談に利用されるほか応対管理システムに応対記録を入力したり、保存された応対記録を検索したりすることなどに利用されていた。上記の計83台の専用PCの操作状況について、応対管理システム上に保存された操作記録を用いて専用PCの操作状況を確認したところ、専用PCの年間の操作回数が1日平均1回未満の操作(操作回数を開庁日(28年度243日、29年度244日)で除して求めた回数)にとどまっていた専用PCは、28年度で54台、29年度で60台となっていて、多くの専用PCの利用が低調となっていた。そして、これらの専用PCに係る機器費用は28、29両年度で計1632万余円となっていた。

このうち、(1)の電話相談件数及びメール相談件数が共に10件未満となっていた分室における専用PCを除くと、28年度で11台、29年度で19台、計30台となり、これらの専用PCに係る機器費用は28、29両年度で計429万余円となっていた。

このように、電話相談件数及びメール相談件数が少なくなっていた分室において、専用電話、専用PC及び専用回線の利用が低調となっていたり、相談件数が年間10件以上あった分室及び関係庁に設置された専用PCについても利用が低調となっていたりしていたのに、内閣府において、専用電話及び専用PCの設置台数並びに専用回線の回線数について相談件数等に応じた見直しが十分に行われていなかった事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、内閣府において、利用が低調となっている専用電話、専用PC及び専用回線を分室及び関係庁に設置しておくことについての必要性の検討を十分に行っていなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、内閣府は、31年10月に予定されている消費税率の引上げを考慮しつつ、総合相談センターの運営に係る機器費用等の節減を図るよう次の処置を講じた。

ア 30年10月に総合相談センター運営等契約の変更契約を行い、16分室の専用電話、専用PC及び専用回線を撤去することとした。

イ 専用電話及び専用PCを引き続き設置することにした分室及び関係庁においても、利用実績が低調となっている専用電話及び専用PCについて、上記の変更契約等により設置台数の見直しなどを行った。