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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第7 厚生労働省|
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  • 補助金

(8) 保育対策総合支援事業費補助金(認可化移行改修費等支援事業に係る分)により実施した事業が補助の対象とならないもの[広島県](170)


1件 不当と認める国庫補助金 20,437,000円

保育対策総合支援事業費補助金(認可化移行改修費等支援事業に係る分)(以下「国庫補助金」という。)は、待機児童の解消を図るとともに、子どもを安心して育てることができる体制整備を行うことを目的として、認可保育所又は認定こども園への移行を希望する認可外保育施設に対して、移行に当たって必要となる改修等に要する経費を市町村(特別区を含む。)が補助する事業に要する費用の一部を国が補助するものである。

認可化移行改修費等支援事業(以下「改修費等支援事業」という。)の補助対象経費は、「認可化移行改修費等支援事業の実施について」(平成27年雇児発0413第22号。以下「実施要綱」という。)等によれば、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」(昭和23年厚生省令第63号)第32条に規定する保育所に係る設備に関する基準(以下「設備基準」という。)を満たすために必要な経費(改修費等及び賃借料)とされており、設備基準を満たすための改修等に該当しない「施設整備を目的とする事業」、「既存施設の破損や老朽化に伴う改修・修繕を目的とする事業」等は補助の対象としないこととされている。また、移行のために必要な経費である改修期間中の建物賃借料等が補助の対象とされており、厚生労働省は、認可保育所等として開所した後の賃借料等は補助の対象としないこととしている。

本院が、1県の1市において会計実地検査を行ったところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 国庫補助対象事業費 左に対する国庫補助金交付額 不当と認める国庫補助対象事業費 不当と認める国庫補助金交付額
        千円 千円 千円 千円
(170) 広島県 尾道市 27 30,655 20,437 30,655 20,437

尾道市は、平成27年度に、尾道市内に所在する社会福祉法人が実施した認可外保育施設の改修等に要した経費30,655,577円を補助対象経費として改修費等支援事業を実施したとして、広島県に事業実績報告書を提出し、これにより国庫補助金20,437,000円の交付を受けていた。そして、上記経費の内訳は、保育室、乳児室等(以下「保育室等」という。)の増築、保育室等及び調理室の床及び壁面の改修等の工事等(以下「増築工事等」という。)に要した経費20,655,577円、同保育施設の建物及び同建物が所在する土地(以下「園舎等」という。)の賃貸借契約に係る28年4月から34年8月までの間の賃借料10,000,000円となっていた。

しかし、同保育施設における増築等を行う前の保育室等は、認可保育所への移行後の定員等を基にした設備基準上の面積等の要件を既に満たしていたことから、保育室等の増築等は、設備基準を満たすために必要なものではない「施設整備を目的とする事業」であると認められた。また、保育室等及び調理室の床及び壁面の改修等は、全て既存の老朽化した施設を改修するなどしたものであり、「既存施設の破損や老朽化に伴う改修・修繕を目的とする事業」であると認められた。さらに、同保育施設の認可保育所としての開所日は28年4月1日となっていたことから、上記の賃借料10,000,000円はその全額が認可保育所として開所した後の賃借料に該当するものであった。

したがって、同市が改修費等支援事業において補助対象としていた増築工事等に要した経費及び園舎等の賃借料は全て補助の対象とは認められず、国庫補助金20,437,000円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において実施要綱等に定められた補助対象経費についての理解が十分でなかったこと、同県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。