ページトップ
  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 不当事項|
  • 補助金|
  • (6) 補助事業により取得した財産を無断で処分するなどしていたもの

6次産業化先導モデル育成事業の補助対象事業費に補助の対象とならない経費を含めていたり、補助事業を中止したりなどしていたもの[東北農政局](219)


(1件 不当と認める国庫補助金 10,500,536円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(219) 東北農政局 株式会社ファミリア
(事業主体)
6次産業化先導モデル育成 23、24 30,706 14,622 21,001 10,500

この補助事業は、株式会社ファミリア(仙台市所在。以下「会社」という。)が、東日本大震災における被災地の農林漁業者等を雇用する取組を行うために、ジェラート等の加工製造・販売を行うこととして、みやぎ復興パーク(宮城県多賀城市所在)内の建物の一区画において、空調設備、照明器具等(以下「建物附属設備」という。)及び機械等16台の整備を行ったものである。

東日本大震災復旧・復興農山漁村6次産業化対策事業実施要綱(平成23年23食産第1598号農林水産事務次官依命通知)等によれば、事業主体は、事業実施計画を作成して事業承認者である地方農政局長等の承認を受けることとされており、事業の採択基準は、機械等の能力及び規模が適正であることなどとされている。

また、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)、「補助事業等により取得し、又は効用の増加した財産の処分等の承認基準について」(平成20年20経第385号農林水産省大臣官房経理課長通知)等によれば、補助事業者等は、処分制限期間内に補助事業等を中止するなどする場合には、農林水産大臣による財産処分に係る承認を受けなければならず、承認に当たっては、残存簿価等に国庫補助率を乗じた金額を国庫に納付するなどの条件が付されることとされている。

会社は、本件補助事業について、建物附属設備、機械等の整備を事業費30,706,200円(補助対象事業費29,244,000円)で実施したとして、東北農政局に実績報告書を提出して、国庫補助金14,622,000円の交付を受けていた。

しかし、整備した建物附属設備の一部は、会社の関係者が運営する別の法人が使用する区画に係る建物附属設備であった。また、機械等16台のうち3台は、事業実施計画において承認を受けた機械等に比べて性能が劣るものが納品されていた。このため、これらの建物附属設備の一部及び機械等3台については補助の対象とならないものであった。

また、会社は、平成26年12月に、整備した機械等16台から上記の3台を除いた13台のうち2台について、処分制限期間内であるにもかかわらず、財産処分に係る承認を受けずに無断で性能が劣るものと交換していた。さらに、会社は、27年1月をもって、みやぎ復興パークから退去するとともに、同年2月以降、財産処分に係る承認を受けずに無断で事業を中止していた。

したがって、補助の対象とならない建物附属設備、機械等に係る補助対象事業費7,837,778円に係る国庫補助金相当額3,918,889円及び会社が財産処分に係る承認を受けずに無断で事業を中止し使用を停止するなどしていた機械等の残存簿価13,163,296円に係る国庫補助金相当額6,581,647円、計10,500,536円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、会社において補助対象事業費及び補助事業により取得した財産の適正な処分についての理解が十分でなかったこと、東北農政局において実績報告書の審査及び確認並びに会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。