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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 平成28年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(1) 6次産業化ネットワーク活動交付金等による事業のフォローアップについて


平成28年度決算検査報告参照

1 本院が求めた是正改善の処置及び要求した改善の処置

農林水産省は、農林漁業者等の所得を増大させることなどを目的として、農林漁業者等が行う農林水産物等を活用した新商品開発や販路開拓の取組、これらの取組を支援するためのサポート事業等(以下「支援体制整備事業等」という。)を支援する6次産業化ネットワーク活動交付金等による事業を実施している。そして、上記取組のうち新商品を開発するために必要となる試作等に係る事業(以下「新商品開発事業」という。)を実施した事業主体は、新商品に係る売上高、費用等の実績を記載した事業収益状況報告書(以下「収益報告書」という。)を原則として事業終了年度の翌年度以降3年間、毎年、本省総合食料局長、地方農政局長等、公益財団法人食品流通構造改善促進機構会長又は都道府県知事(以下、これらを「事業承認者」という。)に提出することとなっている。また、支援体制整備事業等において、各都道府県に6次産業化サポートセンター(以下「サポート機関」という。)を設置して農林漁業者等の相談対応を行うなどの支援を実施している。しかし、新商品開発事業について、事業主体から収益報告書が提出期限内に提出されていないことにより、事業承認者が新商品に係る利益の発生状況等を適時適切に把握できていない事態、事業承認者が新商品に係る利益が発生していない場合に要因等を十分に把握していなかったり、新商品に係る利益が発生していない事業主体に対して継続的に指導するなどのフォローアップを行う期間が十分でなかったりする事態、及び支援体制整備事業等について、サポート機関が事業主体に十分に活用されていない事態が見受けられた。

したがって、農林水産大臣に対して平成29年10月に、次のとおり是正改善の処置を求め及び改善の処置を要求した。

  • ア 事業承認者に対して、新商品に係る利益の発生状況等を適時適切に把握するために、収益報告書を提出期限内に提出させることの重要性を十分認識させた上で、事業主体から収益報告書を提出期限内に確実に提出させるよう指導すること(会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めたもの)
  • イ 事業承認者に対して、新商品開発事業終了後に新商品に係る利益が発生していない場合に要因及び改善策を事業主体から報告させるなどして、その要因等を十分に把握したり、サポート機関を事業主体に更に活用させたりするよう指導すること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)
  • ウ 新商品開発事業終了年度の翌年度以降3年間提出させている収益報告書において新商品に係る利益の発生が認められない場合、事業主体に新商品の販売・開発の継続を検討させて、継続する場合には、4年目以降も事業主体から利益の発生状況等について報告を徴するよう実施要綱等に定めること(同法第36条の規定により改善の処置を要求したもの)

2 当局が講じた処置

本院は、農林水産本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、農林水産省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 29年12月に関係部署に対して通知を発するなどして、事業承認者に対して、新商品に係る利益の発生状況等を適時適切に把握するために、収益報告書を提出期限内に提出させることの重要性を十分認識させるとともに、事業主体から収益報告書を提出期限内に確実に提出させるよう指導した。

イ 29年12月に関係部署に対して通知を発するなどして、事業承認者に対して、新商品開発事業終了後に新商品に係る利益が発生していない場合に要因及び改善策を事業主体から報告させ、その要因等を十分に把握するとともに、サポート機関を事業主体に更に活用させるよう指導した。

ウ 30年3月に食料産業・6次産業化交付金実施要綱を定め、新商品開発事業終了年度の翌年度以降3年間提出させている収益報告書において新商品に係る利益の発生が認められない場合、事業主体に新商品の販売・開発の継続を検討させて、継続する場合には、4年目以降も利益の発生状況等について把握するために事業主体から収益報告書を提出させることとした。