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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 農林水産省|
  • 平成28年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(5) HACCP対応のための施設改修等支援事業における施設認定の取得状況について


平成28年度決算検査報告参照

1 本院が要求した改善の処置

水産庁は、水産物の輸出拡大を目指す水産加工・流通業者が輸出先国等の求めるHACCP(注)を取り入れた衛生管理基準(以下「HACCP基準」という。)を満たすために行う水産加工・流通施設(以下「加工流通施設」という。)の改修整備等(以下「施設改修等支援事業」という。)に対して補助金を交付している。HACCP対応のための施設改修等支援事業実施要綱等によれば、水産庁は、施設改修等支援事業の実施に当たり、公募により選定された者(以下「事業主体」という。)に対して、加工流通施設の仕様等がHACCP基準を満たしている旨の認定(以下「施設認定」という。)の取得を予定している時期(以下「認定予定時期」という。)等を記載した事業実施計画(以下「実施計画」という。)を提出させ、施設認定の取得が見込まれる場合に、事業の採択基準を満たすものとしてこれを承認することとされている。また、水産庁は、同要綱等によれば、事業主体に対して、事業完了年度の翌年度から5年間、施設認定の取得の状況等を記載した利用状況等報告書を提出させるとともに、施設認定が取得されていない場合等には、改善計画を策定させるなどの指導を行うことができることとされている。しかし、加工流通施設の仕様がHACCP基準を満たすものとなっていなかったり、HACCPを取り入れた高度な衛生管理を行うための体制(以下「HACCP体制」という。)を確立できていなかったりしていて、認定予定時期から1年以上を経過しても施設認定が取得されていない事態、利用状況等報告書に施設認定が取得されていない要因及びそれを解決するための方策を具体的に記載させていない事態並びに改善計画を策定させる場合の基準等を具体的に定めていない事態が見受けられた。

したがって、水産庁長官に対して平成29年10月に、会計検査院法第36条の規定により次のとおり改善の処置を要求した。

  • ア 事業主体に対して、施設改修等支援事業により改修整備等を行った加工流通施設について更なる改修整備の実施及びHACCP体制の確立に向けた取組を着実に行い、施設認定を取得するよう、必要に応じて改善計画を策定させるなどして指導すること
  • イ 事業完了後の指導を十分に行えるよう、利用状況等報告書に認定予定時期を超過しているのに施設認定が取得されていない要因及びそれを解決するための方策を具体的に記載させることとすること、また、改善計画を策定させる場合の基準等を具体的に定めること
  • ウ 事業主体に対して、実施計画の策定に当たっては、都道府県等の機関に所属する品質・衛生管理に関する知見を有する専門家(以下「品質・衛生管理専門家」という。)の活用が施設認定を取得するために効果的であることや、品質・衛生管理専門家を活用するなどして施設認定の取得に向けた調査・検討を十分に行うことを周知すること
  • エ 事業の採択に当たり、実施計画のより効果的な審査を行うための方策を検討すること
(注)
HACCP  食品の全ての製造工程で、あらかじめ食中毒等の危害を予測し、危害防止につながるポイントで継続的に監視・是正することにより、問題のある製品の出荷を未然に防止する管理手法

2 当局が講じた処置

本院は、水産庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、水産庁は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。

ア 30年1月に、施設認定を取得していない事業主体に対して通知を発して、施設改修等支援事業により改修整備等を行った加工流通施設について更なる改修整備の実施及びHACCP体制の確立に向けた取組を着実に行わせたり、必要に応じて改善計画を策定させたりなどして、施設認定を取得するよう指導した。

イ 30年1月に、施設認定を取得していない事業主体に対して通知を発して、水産庁に提出する利用状況等報告書に認定予定時期を超過しているのに施設認定が取得されていない要因及びそれを解決するための方策を具体的に記載することや改善計画を策定する場合の具体的な基準等を周知するとともに、同年2月に、今後施設改修等支援事業を行う事業主体に対しても上記の内容を周知するよう、HACCP対応のための施設改修等支援事業の運用についての通知を改正して、事業完了後の指導を十分に行えるようにした。

ウ 公募要領において、事業主体に対して、実施計画の策定に当たっては、品質・衛生管理専門家の活用が施設認定を取得するために効果的であることや、品質・衛生管理専門家を活用するなどして施設認定の取得に向けた調査・検討を十分に行うことが必要であることを周知した。

エ 事業の採択に当たり実施計画のより効果的な審査を行うための方策を検討して、30年2月にHACCP対応のための施設改修等支援事業の運用についての通知を改正して、実施計画の審査の際に、品質・衛生管理専門家の指導内容、その対応状況等が分かる資料を確認することとした。