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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • (2) 工事の設計が適切でなかったもの

根固工の設計が適切でなかったもの[山形県](243)


(1件 不当と認める国庫補助金 21,316,667円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(243) 山形県 山形県 河川等災害復旧 28、29 43,719
(43,719)
29,160 31,960
(31,960)
21,316

この補助事業は、山形県が、米沢市大字赤崩地内の一級河川最上川において、豪雨により被災した護岸等を復旧するために、護岸の築造、根固工の敷設等を実施したものである。このうち、根固工(延長46.8m、敷設幅5.79m)は、護岸の基礎を保護するために、コンクリート製ブロック(以下「根固ブロック」という。)を基礎前面の河床に敷設したものである。

同県は、根固工等の設計を「建設省河川砂防技術基準(案)同解説」(社団法人日本河川協会編。以下「技術基準」という。)等に基づいて行っており、根固ブロックの天端を計画上の河床の高さに合わせ、根固ブロックの河川横断方向の敷設開始位置を護岸の基礎の川側端部として敷設することとして設計し、これにより施工していた(参考図参照)。

しかし、技術基準等によれば、根固工は、河床の変動等を考慮して、護岸の基礎が安全となる構造とするものとし、河床を直接覆うことにより急激な洗掘を緩和する目的で設置することとされており、根固工と護岸との間に間隙が生ずる場合には、間詰工を施工することとされている。本件根固工の場合、上記の設計では、根固ブロックの天端の高さにおいて根固ブロックの敷設開始位置と護岸の前面との間に0.88mの間隙が生ずることとなるのに、技術基準等により必要とされる間詰工を施工しないことにしていた。

このため、本件根固工は、間詰工が施工されておらず、間隙に流水による渦が発生するなどして、河床の洗掘が進行すると護岸に損傷が生ずるおそれがある状況となっていた。

したがって、本件根固工は、設計が適切でなかったため、護岸の基礎を洗掘から保護できない構造となっていて、本件護岸、根固工等(これらの工事費相当額31,960,000円)は、工事の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額21,316,667円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。

参考図

根固工の断面の概念図

根固工の断面の概念図 画像