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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第11 環境省|
  • 不当事項|
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  • (1) 補助金が過大に交付されていたなどのもの

循環型社会形成推進交付金事業において、現場管理費等の算定が適切でなかったため、交付金が過大に交付されていたなどのもの[3道県](256)―(259)


(4件 不当と認める国庫補助金 92,724,000円)

  部局等 補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
          千円 千円 千円 千円
(256) 北海道 士別市 循環型社会形成推進交付金 24~28 4,380,778
(4,010,142)
1,336,711 84,974
(84,974)
28,323
(257) 奈良県 奈良市 27~29 1,417,975
(1,394,216)
464,738 117,540
(117,540)
39,180
(258) 愛媛県 西予市 26~28 149,926
(130,823)
43,141 51,140
(51,140)
16,581
(259) 宇和島地区広域事務組合 26、27 320,429
(202,571)
67,368 26,385
(26,385)
8,640
(256)―(259)の計 6,269,109
(5,737,753)
1,911,958 280,040
(280,040)
92,724

これらの交付金事業は、4事業主体が、循環型社会形成の推進に必要な廃棄物処理施設の整備を実施したものである。

循環型社会形成推進交付金交付取扱要領(平成17年4月環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長通知。以下「取扱要領」という。)によれば、交付対象事業費のうちの本工事費及び土地造成費の算定に当たっては、材料費、労務費及び直接経費から構成される直接工事費に、共通仮設費及び現場管理費から構成される間接工事費と、一般管理費等を加えて算定することとされている。このうち、現場管理費は、工場において生産される生コンクリート等の調達額(以下「特殊製品費」という。)が直接工事費に含まれている場合には、当該特殊製品費の2分の1に相当する額を直接工事費及び共通仮設費の合計額である純工事費から減額した上で、取扱要領に定められた所定の率をこれに乗じて得た額の範囲内とされている。また、交付の対象となる土地造成費は、廃棄物処理施設の設置に必要な最小限度の工事費とされている。

しかし、4事業主体は、交付対象事業費の算定に当たり、現場管理費について、純工事費から特殊製品費を減額していなかったり、取扱要領に定められた所定の率と異なる高い率を用いて算出していたり、4事業主体のうちの1事業主体は、交付の対象とならない車庫棟、多目的広場等の用地に係る土地造成費を含めていたりしていた。

したがって、取扱要領に基づいて現場管理費を算出するなどして適正な交付対象事業費を算定すると5,457,712,891円となることから、本件交付対象事業費5,737,753,523円は、これに比べて280,040,632円過大になっており、これに係る交付金相当額92,724,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、4事業主体において交付対象事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、3道県において本件交付金事業の実績報告書の審査及び4事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>

奈良市は、最終処分場を整備する事業として、奈良市米谷町地内において、一般廃棄物最終処分場を整備する工事等を事業費1,417,975,200円(交付対象事業費1,394,216,000円、交付金交付額464,738,000円)で実施していた。

しかし、同市は、交付対象事業費の算定に当たり、現場管理費について、純工事費から擁壁の設置に用いる生コンクリート等の特殊製品費を減額していなかったり、取扱要領に定められた所定の率と異なる高い率を用いたりして算出していた。

したがって、取扱要領に基づいて現場管理費を算出するなどして適正な交付対象事業費を算定すると1,276,676,000円となることから、本件交付対象事業費1,394,216,000円は、これに比べて117,540,000円過大になっており、これに係る交付金相当額39,180,000円が過大に交付されていた。

<事例2>

西予市は、有機性廃棄物リサイクル推進施設を整備する事業として、西予市宇和町稲生地内において、し尿等を処理して汚泥を資源化する処理棟等と併せて、同施設の車庫棟等や緑地、駐車場等から成る多目的広場を整備するための土地造成工事(造成面積計22,282.7m2)を事業費149,926,000円(交付対象事業費130,823,427円、交付金交付額43,141,000円)で実施していた。

しかし、同市は、交付対象事業費の算定に当たり、交付の対象とならない車庫棟、多目的広場等の用地計12,852.6m2に係る土地造成費を含めていたり、現場管理費について、純工事費から擁壁の設置に用いる生コンクリート等の特殊製品費を減額していなかったり、取扱要領に定められた所定の率と異なる高い率を用いたりして算出していた。

したがって、取扱要領に基づいて、上記の車庫棟、多目的広場等の用地に係る土地造成費を交付対象事業費から除くとともに、現場管理費を算出するなどして適正な交付対象事業費を算定すると79,682,837円となることから、本件交付対象事業費130,823,427円は、これに比べて51,140,590円過大になっており、これに係る交付金相当額16,581,000円が過大に交付されていた。