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  • 平成29年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第17 国立研究開発法人理化学研究所|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

設備管理業務を実施する際の予定価格の積算に当たり、建築保全業務積算要領の歩掛かりを採用して必要人数を算定するものについて、建築保全業務労務単価を採用することとして、適切に予定価格の積算を実施するよう改善させたもの


科目
経常費用
部局等
国立研究開発法人理化学研究所本部、神戸事業所
契約名
神戸第1地区設備管理業務一式等2契約
契約の概要
事業所の建物内に設置された設備機器の保守点検等を委託するもの
契約の相手方
神戸都市振興サービス株式会社
契約
平成28年4月、29年4月 随意契約
予定価格の積算額
1億9956万余円(平成28、29両年度)
低減できた積算額
1720万円(平成28、29両年度)

1 設備管理業務等の概要

(1) 設備管理業務の概要

国立研究開発法人理化学研究所(以下「理研」という。)は、国立研究開発法人理化学研究所法(平成14年法律第160号)に基づき、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する試験、研究等の業務を実施している。

理研は、上記の業務を実施するために、多数の建物を保有しており、事業所ごとに、建物内に設置された照明器具等の電気設備、空気調和機等の機械設備等の設備機器に係る保守点検等の業務(以下「設備管理業務」という。)を業者に委託して実施している。

そして、設備管理業務の委託契約の仕様書によれば、設備管理業務のうち、保守については、設備機器の消耗部品等の取替えなどの軽微な作業とされ、点検については、測定機器の使用又は目視等により設備機器の機能状況を調査し、その良否を判断することなどの日常点検等とされている。

(2) 設備管理業務の積算の概要

理研本部は、物品、役務等の調達に係る予定価格の積算に必要な基本的事項を定めることを目的として「独立行政法人理化学研究所調達物品等予定価格積算要領」(平成19年契約業務部。以下「理研積算要領」という。)を定めている。

理研積算要領によれば、設備管理業務等の役務契約の積算は、刊行物等の標準的な資料に基づくもの(以下「刊行物積算」という。)、関心のある相手方から徴取した見積原価内訳書に値引きを考慮し算定したもの(以下「見積積算」という。)、前年度の契約実績に基づくもの(以下「実績積算」という。)などのうち、可能な方法を比較検討し、適正に行うこととされている。

設備管理業務等の建築保全業務については、一般的な点検項目等を定めた「建築保全業務共通仕様書」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修。以下「共通仕様書」という。)が、また、共通仕様書に基づき建築保全業務に係る費用の積算を行うものに適用する「建築保全業務積算基準」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修。以下「国交省積算基準」という。)がそれぞれ公表されている。そして、国交省積算基準に基づき積算するための標準的な考え方等が示されている「建築保全業務積算要領」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修。以下「国交省積算要領」という。)には技術者区分に応じた歩掛かりが示されている。さらに、共通仕様書を適用して、国交省積算基準及び国交省積算要領を基に、建築保全業務費を積算するために用いる労務単価として、「建築保全業務労務単価」(国土交通省大臣官房官庁営繕部決定。以下「国交省単価」という。)が定められている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性等の観点から、設備管理業務の予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、神戸事業所が平成28、29両年度に神戸都市振興サービス株式会社と締結した設備管理業務2契約(契約金額計1億9956万余円)を対象として、理研本部及び神戸事業所において、契約書、仕様書、予定価格書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

神戸事業所は、設備管理業務の予定価格の積算に当たり、刊行物積算を行う上で、設備管理要員の必要人数を、国交省積算要領に記載されている保全技術員等の技術者の歩掛かりを採用して算定していた。そして、労務単価については、理研積算要領において、刊行物等の例として「職種別賃金の実態」(一般財団法人労務行政研究所。以下「賃金実態」という。)が示されている一方で国交省単価は明確に示されていないこと、また、保守点検等を実施する作業環境が研究施設であることを考慮して、賃金実態における技術関係職種(機械、電気等各分野について、設計、製造、修理等の技術的業務を行う従業員(頭脳労働者))である技術係員の給与等に基づき労務単価を算定していた。そして、算定した労務単価に必要人数を乗ずるなどして、刊行物積算を計2億2019万余円と算定していた。その上で、契約ごとに、刊行物積算、見積積算及び実績積算を比較して、それぞれ最も安価であった実績積算の計1億8478万余円に消費税相当額計1478万余円を加え、予定価格を計1億9956万余円と算定していた。

しかし、国交省単価は、共通仕様書を適用し、国交省積算要領に基づき、保全業務を委託する際の保全業務費の積算に用いるためのものとされており、神戸事業所における2契約では共通仕様書が適用され、かつ、設備管理業務の対象となる設備機器に係る歩掛かりが国交省積算要領に記載されていること、さらに、日常的な保守点検等の設備管理業務が実施される研究施設内の作業環境において特別に配慮を必要とする研究機器はなかったことから、賃金実態の技術係員の給与等に基づき算定した労務単価を採用していたのは適切ではなく、国交省単価を採用すべきであったと認められた。

現に、筑波事業所が実施した設備管理業務1契約は、神戸事業所における2契約とおおむね同様の業務内容となっているが、当該契約の刊行物積算においては、国交省積算要領の歩掛かりを採用し、労務単価も国交省単価を採用していた。

このように、神戸事業所の設備管理業務の予定価格の積算において、刊行物積算を行う上で、国交省積算要領の技術者区分に対応した国交省単価を採用すべきであったのに、賃金実態の技術係員の給与等に基づき算定した労務単価を採用していた事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(低減できた積算額)

神戸事業所における設備管理業務2契約の予定価格について、刊行物積算について国交省単価を採用するなどして修正計算すると2割程度低減され、2契約とも刊行物積算が見積積算及び実績積算に比べて安価となることから、刊行物積算の計1億6883万余円に消費税相当額計1350万余円を加えた適切な予定価格は計1億8234万余円となり、前記の予定価格計1億9956万余円を計約1720万円低減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、理研本部において、設備管理業務の刊行物積算に当たり、国交省積算要領の歩掛かりを採用して必要人数を算定する場合の労務単価として、理研積算要領に国交省単価を明確に示していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、理研本部は、30年9月に設備管理業務の予定価格の積算に係る積算要領を整備して各事業所に対して通知し、国交省積算要領の歩掛かりを採用して必要人数を算定するものについて、国交省単価を採用することとして、適切に予定価格の積算を実施するよう周知する処置を講じた。