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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成30年4月

在日米軍関係経費の執行状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

日本国政府は、日米安全保障条約、日米地位協定、特別協定等に基づき、日本国の安全に寄与するなどのために、日本国政府の負担の下、日本国内の施設等を合衆国政府に提供するなどしており、在日米軍が日本国内各地に配置されている。

また、日本国政府の負担の下に、在沖縄駐留米軍に関する沖縄県民の負担を軽減することを目的としたSACO最終報告に基づく事業(以下「SACO事業」という。)が平成8年度補正予算から、また、ロードマップ等に基づく普天間飛行場代替施設の建設やグアム移転事業等の在日米軍再編事業が平成18年度補正予算から、それぞれ実施されている。

これらの在日米軍の駐留及び再編等に関して日本国政府が負担している在日米軍関係経費の予算額は、26年度以降増加しており、平成29年度当初予算は、5874億余円に上るなど、毎年度多額となっている。

そして、会計検査院は、従来、在日米軍関係経費について検査を実施し、これまでにも累次、その結果を検査報告に掲記している(別表11参照)。

そこで、在日米軍関係経費の執行状況等について、正確性、合規性、経済性、有効性等の観点から、次の点に着眼するなどして検査した。

ア 在日米軍関係経費の決算の状況はどのように推移しているか。

イ 在日米軍に対する提供施設等の受渡しや返還に対応して、国有財産の提供や関係経費の支出が法令に基づき適切に行われているか。

ウ 「在日米軍駐留経費負担」の大半を占める労務費等の支払等は適切に行われているか。

エ 「SACO関係経費」及び「米軍再編関係経費」の予算は適切に執行され、SACO事業及び在日米軍再編事業の実施に伴い取得した土地等の国有財産は関係法令に従って適切に管理されているか。

オ 「SACO関係経費」及び「米軍再編関係経費」に関して、関連する市町村に交付される交付金により整備された施設や実施された事業等はそれぞれの目的を達成するものとなっているか。

(2) 検査の対象及び方法

検査に当たっては、23年度から28年度までの間の在日米軍関係経費の決算、28年度末の全国の78提供施設等に係る国有財産等を対象として、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)等に基づき防衛省から提出を受けた証拠書類等のほか、提供施設等の返還状況等に係る調書等の提出を求め、これらを分析するとともに、防衛省内部部局、8防衛局(注12)及び機構において、関係資料の提出を受けた上で説明を聴取するなどして会計実地検査を行った。

さらに、8年12月に公表されたSACO最終報告を契機に、従前と比較して、提供施設等が国有財産及び民公有地を合わせて大規模に返還されることになったことに鑑み、8年度以降の事業の実施状況等についても聴取するなどして検査した。

(注12)
8防衛局  北海道、東北、北関東、南関東、近畿中部、中国四国、九州、沖縄各防衛局