ページトップ
  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書
  • 平成30年4月

在日米軍関係経費の執行状況等について


3 検査の状況

(1) 在日米軍関係経費の決算の状況

在日米軍関係経費に係る8年度から28年度までの各年度の支出済歳出額について、財務省が毎年度公表している「決算の説明」から、在日米軍関係経費に関係する計数を集計することにより示すと、図表5のとおり、4718億余円(19年度)から6205億余円(28年度)までの間を推移し、25年度以降は毎年度増加していて、28年度は過去最高となっている。

このうち「在日米軍の駐留に関連する経費」は、11年度の5424億余円をピークに減少してきており、近年では4286億余円(24年度)から4590億余円(28年度)までの間で増減を繰り返している。また、「SACO関係経費」は、15年度の389億余円をピークに減少傾向にあるのに対して、「米軍再編関係経費」は、18年度の在日米軍再編事業の開始以降、その進捗に伴って増加傾向となっており、28年度は19年度(140億余円)の約11倍である1557億余円と過去最高となっている。ただし、「在日米軍の駐留に関連する経費」のうち「周辺対策」「施設の借料」及び「その他(漁業補償等)」の3経費について、自衛隊施設に関連する経費が図表5においては一部含まれており、在日米軍関係経費のみを集計したものとはなっていない。

図表5 「決算の説明」における計数を集計した在日米軍関係経費の決算(支出済歳出額)の推移(平成8年度~28年度)

(単位:百万円)
経費名注(2) 平成
8年度
9年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
Ⅰ 在日米軍の駐留に関連する経費 534,777 534,166 540,183 542,407 540,790 524,634 523,228
  1在日米軍駐留経費負担 273,739 268,324 265,528 271,775 271,462 247,529 254,068
2(1)周辺対策注(3) 151,563 153,645 154,849 149,915 145,788 141,618 135,541
2(2)施設の借料注(3) 96,654 101,299 106,232 107,536 110,440 113,710 115,941
2(3)リロケーション 346 240 1,719 1,746 2,321 4,706 1,748
2(4)その他(漁業補償等)注(3)注(4) 12,475 10,658 11,855 11,435 10,779 17,071 11,078
2(5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費 4,852
Ⅱ SACO関係経費注(5) 213 9,279 16,248 22,475 21,467 28,207 26,156
534,990 543,445 556,431 564,882 562,257 552,841 549,384
 
経費名注(2) 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度
Ⅰ 在日米軍の駐留に関連する経費 512,539 506,771 503,363 474,246 440,469 450,152 484,563
  1在日米軍駐留経費負担 243,368 239,085 238,190 222,762 208,577 205,175 207,806
2(1)周辺対策注(3) 136,803 134,260 127,341 118,009 98,827 113,085 140,078
2(2)施設の借料注(3) 116,230 116,752 118,836 117,686 118,015 118,857 119,453
2(3)リロケーション 355 788 639 2,561 2,402 2,490 4,041
2(4)その他(漁業補償等)注(3)注(4) 11,074 11,294 13,835 8,921 8,464 6,778 9,529
2(5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費 4,709 4,592 4,522 4,307 4,184 3,767 3,656
Ⅱ SACO関係経費注(5) 38,974 31,702 33,536 28,747 17,330 17,356 9,983
Ⅲ 米軍再編関係経費(地元負担軽減に資する措置)注(5) 891 14,041 34,920 57,436
551,513 538,473 536,899 503,884 471,840 502,428 551,982
 
経費名注(2) 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
Ⅰ 在日米軍の駐留に関連する経費 455,520 434,200 428,647 443,682 445,266 444,142 459,011
  1在日米軍駐留経費負担 192,613 186,313 183,678 184,279 180,385 182,405 191,177
2(1)周辺対策注(3) 131,891 115,308 109,312 125,006 125,188 123,395 128,126
2(2)施設の借料注(3) 119,642 121,636 125,089 124,425 127,704 125,946 127,099
2(3)リロケーション 713 174 232 554 1,472 610 2,221
2(4)その他(漁業補償等)注(3)注(4) 7,173 7,373 7,133 6,278 7,228 7,457 7,296
2(5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費 3,488 3,396 3,203 3,140 3,289 4,329 3,092
Ⅱ SACO関係経費注(5) 20,098 12,039 8,113 6,477 10,575 9,222 5,797
Ⅲ 米軍再編関係経費(地元負担軽減に資する措置)注(5) 65,789 49,918 50,219 69,867 125,093 138,910 155,723
541,407 496,157 486,979 520,026 580,934 592,274 620,531
注(1)
経費名中の「Ⅰ」「Ⅱ」「Ⅲ」の符号は図表2中の符号と対応している。なお、「1」は図表2のⅠ①の部分、「2」はⅠ②の部分に相当する。
注(2)
平成26年度予算以前の枠組みは、平成27年度予算以降の枠組みとは異なっているため、平成27年度予算以降の枠組みに組み替えて決算の計数を集計している。
注(3)
自衛隊施設に関連する経費が一部含まれており、全てが在日米軍関係経費とはなっていない。一方、別表3のⅠ2.(1)、(2)及び(4)は、在日米軍に直接関連する経費のみを示すため、自衛隊施設に関連する経費を除いており、別表3と本図表の平成23年度から28年度までの計数は異なっている。
注(4)
図表2のⅠ②「その他(漁業補償等)」には含まれている(組織)地方防衛局に係る計数は、本図表においては含まれていない。
注(5)
「決算の説明」では、「SACO関係経費」及び「米軍再編関係経費(地元負担軽減に資する措置)」の内訳は示されていない。

在日米軍関係経費について、図表2等のとおり、防衛省は、国民に分かりやすく示すことを目的として、当初予算額に基づく経費の構成を公表しているものの、支出済歳出額に基づく決算は示していない。そこで、会計検査院において、在日米軍関係経費について、防衛省から提出を受けた資料に基づき、23年度から28年度までの経費別の決算(支出済歳出額計2兆7462億余円)の内訳及び予算(歳出予算現額)との比較を示すと次のとおりとなっている(各経費の予算科目等の概要は別表2-1~別表2-4参照、支出済歳出額等は別表3-1~別表3-6参照)。

ア 在日米軍の駐留に関連する経費

図表2のとおり、「在日米軍の駐留に関連する経費」(Ⅰ)には、「在日米軍駐留経費負担」(図表2のⅠ①)、在日米軍の行為等により生ずる障害の防止等のために必要な措置を講ずる「周辺対策」、提供施設等のうち民公有地等の所有者等に支払う「施設の借料」等(以下、これらを合わせて「周辺対策、施設の借料等」という。図表2のⅠ②)がある(「在日米軍駐留経費負担」に係る各経費の予算科目等の概要は別表2-1参照)。

(ア) 在日米軍駐留経費負担(図表2のⅠ①)
a 在日米軍駐留経費負担の内訳

 「在日米軍駐留経費負担」のうち、日米地位協定第24条の規定に基づき日本国政府が自主的に負担することとしている経費には、「提供施設整備(FIP)」及び「労務費(福利費等)」があり、昭和53年度以降、それぞれ内容が追加されてきている。このほか、特別協定に基づき日本国政府が負担することとしている経費「特別協定による負担」がある。これらの概要は、次のとおりである。

(a) 提供施設整備(FIP)

 「提供施設整備(FIP)」は、提供施設等の整備に要する費用を負担するための経費であり、54年度以降、毎年度の予算に計上されている。

(b) 労務費(福利費等)

 「労務費(福利費等)」は、労務費のうち、社会保険料等の事業主負担分、福利厚生関係費、安全衛生費、管理費及び給与費を負担するための経費であり、53年度以降、毎年度の予算に計上されている。

(c) 特別協定による負担

 「特別協定による負担」には、「労務費(基本給等)」「光熱水料等」及び「訓練移転費(NLP)」がある。

i 労務費(基本給等)

 「労務費(基本給等)」は、特別協定第1条等の規定に基づき、労務費のうち基本給等、日本国政府が負担することとしている経費である。駐留軍等労働者の給与体系は、民間に準拠している国家公務員の給与体系を基礎としており、駐留軍等労働者に支払われる給与に含まれる各種手当のうち、調整手当(平成18年度からは地域手当)、夏季手当、年末手当、退職手当等の8項目は昭和62年度以降、また、基本給及びその他の36項目は平成3年度以降、毎年度の予算にそれぞれ計上されている(うち、年度末手当については、15年度に廃止されたため、28年度においては計43項目となっている。)。

なお、労務費のうち、特別協定に基づき日本国政府が負担することとしている上限額を超える分については、日米地位協定第24条第1項の規定に基づき合衆国政府の負担となる。

ii 光熱水料等

 「光熱水料等」は、特別協定第2条等の規定に基づき、在日米軍が日本国内において公用のため調達する光熱水料等のうち日本国政府が負担することとしている経費であり、3年度以降、毎年度の予算に計上されている。

iii 訓練移転費(NLP)

 「訓練移転費(NLP)」は、特別協定第3条等の規定に基づき、日本国政府が負担することとしている訓練移転費のうち、「厚木飛行場で実施していた空母艦載機による離着陸訓練(注13)の硫黄島への移転」に係るものであり、8年度以降、毎年度の予算に計上されている。

(注13)
空母艦載機による離着陸訓練  FCLP(Field Carrier Landing Practice)といい、空母に所属する航空機(空母艦載機)が空母に安全に着艦できるよう操縦士の練度を維持するために、飛行場の滑走路の一部を空母に見立てて実施する離着陸訓練。このうち夜間に実施するものを夜間離着陸訓練「NLP」(Night Landing Practice)という。

また、28年4月に日米両政府で締結された現行の特別協定(以下「第8次協定」という。)では、28年度から32年度までの5年間における「労務費(基本給等)」「光熱水料等」及び「訓練移転費(NLP)」の日本国政府による負担額について次のとおり定められている。

① 第8次協定第1条等の規定により、日本国政府は、「労務費(基本給等)」について、各会計年度において別途定めた労働者数(以下「上限労働者数」という。)を上限として、当該年度の前年度に先立つ3会計年度における各年度平均労働者数をもって算定した額を負担することとし、上限労働者数については、28年度の22,735人から32年度の23,178人まで段階的に増やしていくこと。

② 第8次協定第2条等の規定により、日本国政府は、「光熱水料等」について、各会計年度において249億0190万余円を上限として、当該年度の前年度に先立つ3会計年度における「光熱水料等」の平均に係数0.61を乗じて算定した額を負担すること。

③ 第8次協定第3条等の規定により、日本国政府は、「訓練移転費(NLP)」について、各会計年度において合衆国政府から提出される経費見積りを考慮して算定し、負担すること。

b 在日米軍駐留経費負担の決算

 「在日米軍駐留経費負担」に係る23年度から28年度までの支出済歳出額は、図表6のとおり、計1兆0913億6184万余円となっている。そして、各年度の支出済歳出額についてみると、28年度が1910億4299万余円で最大となっている。これは、「提供施設整備(FIP)」について、28年度に、前年度繰越額128億0099万余円に係る執行により支出済歳出額が214億5285万余円と増加したこと(別表3-6参照)や、「特別協定による負担」のうち第8次協定第1条等の規定に基づく日本国政府が負担する駐留軍等労働者数の増加により「労務費(基本給等)」の支出済歳出額が増加したことなどによるものである。

また、日本国政府が負担する「光熱水料等」は、前記のとおり、特別協定において上限が設定されていて、第8次協定第2条等の規定によると、各会計年度において249億0190万余円となっている。この経費を負担するための予算科目である(目)合衆国軍隊特別協定光熱水料等支出金の28年度の支出済歳出額は248億0932万余円となっており、20年度に負担の上限が設定されて以降初めてこれを下回った。この下回った額9258万余円は、同(目)で執行される「訓練移転費(NLP)」に振替(注14)が行われた。

さらに、23年度から28年度までの各年度の歳出予算現額に対する支出済歳出額の割合(以下「執行率」という。)をみると、「提供施設整備(FIP)」については、各年度の提供施設等の整備に係る工期を翌年度に延長したことによる予算の繰越し、契約価格が予定を下回ったことによる不用等が生じたことなどにより、50%から77%までの間で推移している。一方、その他の項目の執行率については、100%近くのものが多いため、「在日米軍駐留経費負担」全体では90%を超えている。

(注14)
振替  予算科目のうち同一の(目)において、他の経費(目の細分)に予算額の一部を移すこと。異なる(目)の間の流用と異なり、財政法(昭和22年法律第31号)等に基づく手続は不要である。

図表6 在日米軍駐留経費負担の決算(平成23年度~28年度)

(単位:千円)
経費の内訳注(2) 平成23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
Ⅰの1在日米軍駐留経費負担 (185,647,149) (187,267,013) (189,697,902) (189,975,828) (197,122,992) (203,118,683)
180,428,085 176,728,511 180,719,908 180,237,569 182,204,778 191,042,993 1,091,361,847
97% 94% 95% 94% 92% 94%
  (1)提供施設整備(FIP) (21,937,038) (22,722,483) (26,147,937) (26,569,141) (29,308,160) (33,301,987)
17,023,975 12,507,665 17,890,011 17,009,844 14,658,226 21,452,852 100,542,576
77% 55% 68% 64% 50% 64%
(2)労務費(福利費等) (25,310,164) (25,375,019) (25,312,964) (24,493,567) (24,996,939) (25,081,039)
25,161,746 25,219,648 24,650,955 24,411,505 24,730,760 24,854,484 149,029,100
99% 99% 97% 99% 98% 99%
特別協定による負担 (138,399,947) (139,169,511) (138,237,000) (138,913,120) (142,817,893) (144,735,657)
138,242,362 139,001,197 138,178,942 138,816,220 142,815,790 144,735,657 841,790,170
99% 99% 99% 99% 99% 100%
  (3)労務費(基本給等) (113,123,204) (113,872,706) (112,876,223) (113,534,963) (117,557,293) (119,044,647)
113,123,204 113,872,706 112,818,197 113,534,963 117,557,293 119,044,647 689,951,010
100% 100% 99% 100% 100% 100%
(4)光熱水料等 (24,901,908) (24,901,908) (24,901,908) (24,901,908) (24,901,908) (24,809,325)
24,901,908 24,901,908 24,901,908 24,901,908 24,901,908 24,809,325 149,318,865
100% 100% 100% 100% 100% 100%
(5)訓練移転費(NLP) (374,835) (394,897) (458,869) (476,249) (358,692) (881,685)
217,250 226,583 458,837 379,349 356,589 881,685 2,520,295
57% 57% 99% 79% 99% 100%
注(1)
経費の内訳中の「Ⅰ」の符号は図表2及び図表5中の符号と、「1」の符号は図表5中の符号とそれぞれ対応している。なお、「1」は図表2ではⅠ①の部分に相当する。
注(2)
上段括弧書きの金額は歳出予算現額、中段は支出済歳出額、下段は執行率である(以下、図表7から図表9までについて同じ。)。
注(3)
在日米軍の駐留に関連する事業に要した旅費、庁費等の事務費については、本図表のどの経費として支出されたものかを区分することが困難であるため、中段の支出済歳出額から除いている。このため、図表5のうち「在日米軍駐留経費負担」の支出済歳出額とは一致しない(以下、図表7から図表9までについて同じ。)。
(イ) 周辺対策、施設の借料等の状況(図表2のⅠ②)
a 周辺対策、施設の借料等の内訳

 「周辺対策、施設の借料等」の内容は、次のとおりとなっている(「周辺対策、施設の借料等」に係る各経費の予算科目等の概要は別表2-2参照)。

(a) 周辺対策

 「周辺対策」は、「防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律」(昭和49年法律第101号。以下「周辺環境整備法」という。)等に基づき、在日米軍の行為等により生ずる障害を防止し又は軽減するために必要な措置(防音工事や民生安定施設の整備等)の実施に要する経費である。

(b) 施設の借料

 「施設の借料」は、民公有地等を借り上げて合衆国政府に提供する際に、土地等の所有者等に対して賃借料を支払うなどのための経費である。

(c) リロケーション

 「リロケーション」は、提供施設等を移転して、当該提供施設等の返還を受けるために必要となる施設の整備に係る経費である。

(d) その他(漁業補償等)

 「その他(漁業補償等)」のうち「漁業補償」は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき日本国にあるアメリカ合衆国の軍隊の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律」(昭和27年法律第243号)等に基づき、在日米軍が水面を使用して行う訓練等のため、法律等により制限水域を設定し、漁業者が漁業経営上被った損失を補償するための経費である。

 「漁業補償」以外には、機構の運営費、在日米軍から返還された土地の原状回復を行うための「返還補償」、在日米軍の用に供するための土地等の買収等の経費がある。なお、これらの経費のほか、図表2においては、地方防衛局に係る一般事務処理経費である(組織)地方防衛局(項)地方防衛局の全額が「その他(漁業補償等)」に計上されている。

b 周辺対策、施設の借料等の決算

 「周辺対策」に係る支出済歳出額については、図表7のとおり、23年度は545億3959万余円であったが、28年度には688億5775万余円となっており、143億1815万余円増加している。このうち、市町村等が提供施設等の周辺に所在する教育施設や住宅の防音対策事業を実施するための経費を補助するための予算科目である(目)教育施設等騒音防止対策事業費補助金の支出済歳出額は、23年度の342億5368万余円から28年度には437億8973万余円となっており、95億3604万余円増加している。また、同(目)については、24年度から27年度までの間、100億円以上の翌年度繰越額が発生している一方で、28年度における同(目)の翌年度繰越額は28億2936万余円に減少している(別表3-1~別表3-6参照)。

 「施設の借料」の支出済歳出額については、931億0909万余円(23年度)から984億2414万余円(26年度)の間で推移しており、ほぼ一定規模の支出状況となっている。これは、所有者等から借り上げている提供施設等の民公有地の面積がその返還により若干減少している一方で、継続して借り上げている提供施設等の民公有地の賃借料の単価が上昇していることによると認められる。

また、23年度から28年度までの各年度の執行率についてみると、「施設の借料」は、年度中の所要経費を高い精度で見込めるため、96%から99%までと高い執行率になっており、独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費は、予算額を全額支出し、翌年度に残額について国庫納付金の納付を受ける仕組みとなっているため、国の支出としては毎年度100%となっている。なお、機構からの23事業年度から28事業年度までの国庫納付金の納付額は、計7億8414万余円となっており、23年度から28年度までの各年度の運営費交付金収入額に対する支出額の割合をみると、92%から98%までの間で推移している。一方、「リロケーション」は、提供施設等の移設に係る工期が延長されることがあるため、34%から72%までと年度ごとに異なっている。このほか、「周辺対策」は、防音工事における補助事業者との工事日程の調整に時間を要することなどにより、67%から90%までの間で、「その他(漁業補償等)」は、補償事案による年間の所要経費を見込むのが困難であることなどにより、64%から84%までの間でそれぞれ推移している。その結果、「周辺対策、施設の借料等」の全体では83%から93%までの間で推移している。

図表7 周辺対策、施設の借料等の決算(平成23年度~28年度)

(単位:千円)
経費の内訳 平成23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
Ⅰ の2周辺対策、施設の借料等 (173,010,934) (189,272,209) (198,077,064) (196,999,867) (190,930,465) (187,282,743)  
155,809,662 158,067,256 167,681,510 171,977,758 172,220,322 176,017,772 1,001,774,281
90% 83% 84% 87% 90% 93%
  (1)周辺対策 (69,604,929) (80,691,084) (90,494,006) (87,731,042) (83,450,301) (76,150,785)
54,539,593 54,193,292 65,109,266 64,655,679 66,490,729 68,857,752 373,846,313
78% 67% 71% 73% 79% 90%
(2)施設の借料 (94,273,395) (99,233,638) (97,396,598) (98,519,406) (96,766,607) (98,703,091)
93,109,099 96,149,737 95,371,512 98,424,140 96,439,547 97,560,993 577,055,032
98% 96% 97% 99% 99% 98%
(3)リロケーション (279,835) (537,484) (1,619,600) (2,080,013) (846,204) (3,907,158)
174,185 232,438 554,377 1,472,819 610,253 2,221,990 5,266,066
62% 43% 34% 70% 72% 56%
(4)その他(漁業補償等)注(2) (5,455,944) (5,606,140) (5,426,000) (5,379,658) (5,537,517) (5,429,255)
4,589,954 4,287,925 3,505,492 4,135,373 4,349,955 4,284,582 25,153,283
84% 76% 64% 76% 78% 78%
(5)独立行政法人駐留軍等労働者労務管理機構運営費 (3,396,829) (3,203,862) (3,140,860) (3,289,746) (4,329,836) (3,092,452)
3,396,829 3,203,862 3,140,860 3,289,746 4,329,836 3,092,452 20,453,585
100% 100% 100% 100% 100% 100%
注(1)
経費の内訳中の「Ⅰ」の符号は図表2及び図表5中の符号と、「2」及び「(1)」等の符号は図表5中の符号とそれぞれ対応している。なお、「2」は図表2ではⅠ②の部分に相当する。
注(2)
図表2のⅠのうち「その他(漁業補償等)」に計上されている(組織)地方防衛局分の経費については、在日米軍の駐留等に関連して支出されたものを特定することが困難であることから、本図表では含めていない。

イ SACO関係経費(図表2のⅡ)

(ア) SACO関係経費の内訳

 「SACO関係経費」(Ⅱ)は、前記のとおり、SACO最終報告に基づく、在沖縄駐留米軍に関する沖縄県民の負担を軽減するために実施する土地返還、訓練移転等のためのSACO事業を実施するための経費であり、平成8年度補正予算以降、毎年度の予算に計上されている。ただし、SACO事業のうち、SACO再編引継3事項については、予算上も「SACO関係経費」から「米軍再編関係経費」に引き継がれ、平成18年度補正予算以降、「米軍再編関係経費」の一部として毎年度の予算に計上されている(「SACO関係経費」に係る各経費の予算科目等の概要は別表2-3参照)。これらの概要は、次のとおりである。

a 土地返還のための事業等

 「土地返還のための事業」等は、SACO最終報告に記載された「土地返還のための事業」「訓練改善のための事業」及び「騒音軽減のための事業」に係る経費である。

このうち、「土地返還のための事業」は、普天間飛行場、北部訓練場の過半等の土地の返還を受けるために必要な代替施設等の整備(これらのうち普天間飛行場代替施設の建設等に係る事業は、平成18年度当初予算までは「SACO関係経費」に計上され、平成18年度補正予算以降は「米軍再編関係経費」に計上されている。)、「訓練改善のための事業」は、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の沖縄県外への移転及びパラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転のための移転先の施設の整備並びに「騒音軽減のための事業」は、嘉手納飛行場の騒音を軽減するために必要な海軍駐機場の移設、遮音壁の整備に関する各事業に係る経費である。

b SACO事業の円滑化を図るための事業

 「SACO事業の円滑化を図るための事業」は、SACO最終報告に記載された事業のうち、周辺環境整備法第9条の規定に基づき、SACO事業に関連する特定防衛施設が所在する特定防衛施設関連市町村(28年度は12特定防衛施設に係る23市町村)に対して特定防衛施設周辺整備調整交付金を交付するなどのための経費である。

この交付金は、交通、通信、スポーツ、レクリエーション等のための公共用の施設の整備、防災、住民の生活の安全等の生活環境の改善又は開発の円滑な実施に寄与する事業を行うための費用に充てることとなっている。なお、(項)在日米軍等駐留関連諸費の(目)特定防衛施設周辺整備調整交付金は、平成27年度予算まで、毎年度「SACO関係経費」として計上されていたが、安定した交付等が可能となるように、平成28年度予算以降は、「在日米軍の駐留に関連する経費」のうち「周辺対策」として同(目)が計上されることとなった(以下、平成9年度予算から平成28年度予算までに(目)特定防衛施設周辺整備調整交付金に計上されて支出された交付金のうち、SACO事業に係るものを「SACO交付金」という。)。さらに、29年度においては、SACO交付金の区分は廃止され、同じ根拠法に基づく特定防衛施設周辺整備調整交付金と区別されずに交付されることとなった。

c 特別協定による負担

 「特別協定による負担」は、特別協定第3条等の規定に基づき、訓練移転費として日本国政府が負担することとしている「在沖縄駐留米軍の訓練改善のための事業」のうち、SACO事業である「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の移転」及び「パラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転」を実施することに係る経費である。

この経費の負担額について、第8次協定第3条等の規定により、日本国政府は、各会計年度において合衆国政府から提出される経費見積りを考慮して算定し、負担することとされている。

(イ) SACO関係経費の決算

 「SACO関係経費」に係る支出済歳出額の23年度から28年度までの推移をみると、図表8のとおり、23年度以降、減少傾向となっている。23年度から28年度までの6か年度分の支出済歳出額の合計は大きい順に、「土地返還のための事業」185億6803万余円、「SACO事業の円滑化を図るための事業」138億4190万余円、「騒音軽減のための事業」126億4050万余円となっている。

 「土地返還のための事業」の(目)提供施設移設整備費は、28年度に「米軍再編関係経費」の「沖縄における再編のための事業」の(目)提供施設移設整備費から100億余円の振替を受けたため、歳出予算現額が大きく伸びている。一方、同年度中に北部訓練場の過半の土地が返還されたものの、当該提供施設等の附帯工事及び警備業務が同年度内に完了しなかったことなどにより、歳出予算現額の64%を29年度に繰り越している(別表3-6参照)。

 「SACO事業の円滑化を図るための事業」は、23年度から27年度までの間において24億5243万余円(27年度)から31億1916万余円(26年度)までの間で推移していたが、前記のとおり、28年度以降は、当該事業に係る経費は「在日米軍の駐留に関連する経費」のうちの「周辺対策」の一つとして整理されることとなった。

 「騒音軽減のための事業」は、26、27両年度に、嘉手納飛行場の海軍駐機場の移設工事が実施されたことにより両年度の支出済歳出額が増えている。

また、23年度から28年度までの各年度の執行率についてみると、「土地返還のための事業」は、前記のように提供施設等の移設等の工期が翌年度に延長されたことなどにより、28年度が29%になるなど年度ごとの違いが大きく、その結果、「SACO関係経費」全体では40%から87%までの間で推移している。

図表8 SACO関係経費の決算(平成23年度~28年度)

(単位:千円)
経費の内訳 平成23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
Ⅱ SACO関係経費 (14,879,445) (10,502,562) (10,989,767) (16,617,953) (10,301,205) (13,475,106)
11,898,869 7,943,250 6,309,911 10,366,825 9,033,749 5,473,600 51,026,207
79% 75% 57% 62% 87% 40%
  1.土地返還のための事業 (9,611,488) (3,518,263) (3,598,030) (4,537,809) (1,851,792) (11,415,892)
7,573,940 2,341,129 1,347,501 2,715,771 1,169,564 3,420,123 18,568,030
78% 66% 37% 59% 63% 29%
2.訓練改善のための事業 (164,008) (3,479)
148,606 148,606
90%
3.騒音軽減のための事業 (922,911) (2,534,792) (2,104,268) (7,538,623) (4,620,998) (889,164)
736,371 2,084,147 887,605 3,530,219 4,515,251 886,905 12,640,500
79% 82% 42% 46% 97% 99%
4.地位協定の運用改善 (202,789)
202,789 202,789
100%
5.SACO事業の円滑化を図るための事業 (3,438,986) (3,342,662) (3,979,639) (3,399,266) (2,638,651)
2,812,430 2,654,631 2,803,241 3,119,162 2,452,438 13,841,904
81% 79% 70% 91% 92%
6.特別協定による負担(訓練移転費(訓練改善のための事業の一つ)) (742,052) (1,106,845) (1,105,039) (1,142,255) (1,189,764) (1,166,571)
627,520 863,341 1,068,775 1,001,671 896,496 1,166,571 5,624,376
84% 78% 96% 87% 75% 100%
(注)
経費の内訳中の「Ⅱ」の符号は図表2及び図表5中の符号と対応している。

ウ 米軍再編関係経費(図表2のⅢ)

(ア) 米軍再編関係経費の内訳

 「米軍再編関係経費」(Ⅲ)には、ロードマップ、統合計画等による日米両政府における合意によるもの(後述aからfまでの6事業)、駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法(平成19年法律第67号。以下「再編特措法」という。)等によるもの(g)及び特別協定による負担(h)があり、平成18年度補正予算以降、毎年度の予算に計上されている。

また、SACO事業のうちSACO再編引継3事項に係る予算は、平成18年度補正予算以降、「SACO関係経費」から「米軍再編関係経費」の「沖縄における再編のための事業」(b)及び「空母艦載機の移駐等のための事業」(d)の2事業に係る経費に引き継がれている。

 「米軍再編関係経費」の概要は、次のとおりである(「米軍再編関係経費」に係る各経費の予算科目等の概要は別表2-4参照)。

a 在沖米海兵隊のグアムへの移転

 「在沖米海兵隊のグアムへの移転」は、ロードマップ、グアム協定等によるグアム移転事業について、21年2月のグアム協定で日本国政府が分担することとされた財政支出等の経費である。また、平成23年度予算及び平成24年度予算では、グアム移転事業に係る出融資のための経費として、(目)株式会社日本政策金融公庫出資金等が計上されている。

b 沖縄における再編のための事業

 「沖縄における再編のための事業」は、ロードマップに記載された「普天間飛行場代替施設及び嘉手納以南の土地の返還」に係る経費である。この事業には、SACO再編引継3事項のうち「普天間飛行場代替施設の設置」及び「キャンプ桑江等6施設の返還関係事項」の2事項が一部含まれている。

c 米陸軍司令部の改編に関連した事業

 「米陸軍司令部の改編に関連した事業」は、ロードマップに記載された「在日米陸軍司令部の改編並びにキャンプ座間及び相模総合補給廠における各提供施設等の移設及び土地の返還」に係る経費であり、平成28年度予算まで計上されていたものである。

d 空母艦載機の移駐等のための事業

 「空母艦載機の移駐等のための事業」は、ロードマップに記載された①空母艦載機部隊である合衆国海軍の第5空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐、②当該空母艦載機の離着陸訓練施設の整備、③普天間飛行場に配備されていた空中給油機KC-130の岩国飛行場への移駐及び④空中給油機KC-130飛行隊の訓練及び運用のために必要となる海上自衛隊鹿屋基地における施設の整備に係る各経費である。これらの事業のうち③空中給油機KC-130の岩国飛行場への移駐は、SACO再編引継3事項の1事項である。

e 緊急時使用のための事業

 「緊急時使用のための事業」は、ロードマップに記載された「普天間飛行場の能力を代替することに関連する、航空自衛隊新田原基地及び築城基地の緊急時の使用のための施設整備」に係る経費であり、平成29年度予算以降計上されることとなったものである。

f 訓練移転のための事業(現地対策本部経費)

 「訓練移転のための事業(現地対策本部経費)」は、ロードマップに記載された「嘉手納、三沢、岩国各飛行場の米軍の航空機が、自衛隊の千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原各基地での移転訓練に参加する」ことを受けて、「必要に応じて、自衛隊施設における訓練移転のためのインフラを改善する」ことに係る経費である。

g 再編関連措置の円滑化を図るための事業

 「再編関連措置の円滑化を図るための事業」は、再編特措法に基づく防衛施設(以下「再編関連特定防衛施設」という。)が所在する市町村(以下「再編関連特定周辺市町村」という。29年4月現在、19再編関連特定防衛施設に係る44市町村)に対して交付金を交付するなどのための経費である(以下、再編特措法に基づいて交付される交付金を「再編交付金」という。)。

再編交付金は、駐留軍等の再編により住民生活への影響が増加する再編関連特定周辺市町村に対して、教育、スポーツ及び文化の振興、福祉の増進及び医療の確保、交通の発達及び改善に関する事業、企業の育成及び発展並びにその経営の向上を図る事業等を行うための費用に充てることとなっている。

h 特別協定による負担

 「特別協定による負担」は、特別協定第3条等の規定に基づき、日本国政府が負担することとしている在日米軍の訓練移転のための事業で、ロードマップに記載された「嘉手納、三沢、岩国各飛行場の米軍の航空機が、自衛隊の千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原各基地での移転訓練に参加する」ことなどに係る経費である。

この経費の負担額について、第8次協定第3条等の規定により、日本国政府は、各会計年度において合衆国政府から提出される経費見積りを考慮して算定し、負担することとされている。

(イ) 米軍再編関係経費の決算

 「米軍再編関係経費」に係る支出済歳出額の23年度から28年度までの推移をみると、図表9のとおり、23年度の548億9120万余円から毎年度増加し、28年度には1550億8189万余円と、約2.8倍になっている。23年度から28年度までの6か年度分の支出済歳出額の合計は、大きい順に、「空母艦載機の移駐等のための事業」(d)3783億4053万余円、「沖縄における再編のための事業」(b)613億8876万余円、「再編関連措置の円滑化を図るための事業」(g)607億8221万余円、「在沖米海兵隊のグアムへの移転」(a)438億5558万余円等となっている。なお、「緊急時使用のための事業」(e)は平成29年度予算以降計上されているため、28年度までの支出済歳出額には含まれていない。

これらの経費のうち「空母艦載機の移駐等のための事業」(d)についてみると、23年度に岩国飛行場愛宕山地区に係る土地の取得のために(目)不動産購入費が168億9000万円と大きくなっているが、24年度以降、(目)不動産購入費の支出はない。また、(目)提供施設等整備費は、岩国飛行場における施設整備の進捗に伴い、23年度の190億6386万余円から28年度の1026億7498万余円へと5倍以上伸びている(別表3-1~別表3-6参照)。

 「沖縄における再編のための事業」(b)についてみると、普天間飛行場代替施設の建設に係る工事及びキャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事が本格化した26年度以降に(目)提供施設移設整備費が大きく増加し、いずれも100億円を超えている。同(目)について、26年度においては、予備費使用額及び補正予算額が計上されたため、歳出予算現額が314億3624万余円に増加し、これに対して、支出済歳出額は194億2480万余円、翌年度繰越額は112億8002万余円となっている(別表3-4参照)。また、28年度においては、前記のとおり、(目)提供施設移設整備費100億余円を「SACO関係経費」の「土地返還のための事業」の(目)提供施設移設整備費に振替を行っている。

 「再編関連措置の円滑化を図るための事業」(g)のうち(目)特定防衛施設周辺整備調整交付金については、再編交付金の交付対象となる再編関連特定防衛施設及び再編関連特定周辺市町村が、23年度の14施設及び39市町村から28年度の19施設及び44市町村に増加したことなどに伴って、23年度の87億3795万余円から28年度には120億1442万余円に増加している(別表3-1~別表3-6参照)。

 「在沖米海兵隊のグアムへの移転」(a)のうち(目)在沖縄米海兵隊グアム移転事業費支出金については、各年度に日米両政府により締結された交換公文に基づき支出しており、24年度に92億5830万円、26年度に187億3070万円、27年度に12億4300万円、28年度に135億7920万円と毎年度大きく増減している(別表3-2及び別表3-4~別表3-6参照)。

また、23年度から28年度までの各年度の執行率についてみると、「在沖米海兵隊のグアムへの移転」(a)は、23、24両年度の予算に計上したグアム移転資金及びグアム移転事業に係る出融資のための経費の大部分を支出することなく、多額の繰越額及び不用額として計上したことや、27、28両年度においてグアム移転資金を予算と同額支出したことなどにより、0.5%から99%までと各年度で大きな差が生じている。「沖縄における再編のための事業」(b)は、キャンプ・シュワブ等における提供施設等の整備事業の工期を翌年度に延長したことなどにより、25%から63%までの間で推移している。支出済歳出額が最も大きい「空母艦載機の移駐等のための事業」(d)は、岩国飛行場における提供施設等の整備事業の工期を翌年度に延長したことなどにより、49%から87%までの間で推移している。これらの結果、「米軍再編関係経費」全体では38%から78%までの間で推移している。

図表9 米軍再編関係経費の決算(平成23年度~28年度)

(単位:千円)
経費の内訳 平成23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
Ⅲ 米軍再編関係経費 (140,866,275) (132,172,664) (100,636,975) (158,056,076) (213,545,973) (234,318,828)
54,891,204 56,466,263 72,872,657 124,481,900 138,258,703 155,081,896 602,052,626
38% 42% 72% 78% 64% 66%
  1.在沖米海兵隊のグアムへの移転 (52,459,846) (52,923,630) (1,004,065) (19,016,934) (1,383,998) (13,722,524)
271,660 9,628,493 107,500 18,817,844 1,340,632 13,689,460 43,855,589
0.5% 18% 10% 98% 96% 99%
2.沖縄における再編のための事業 (2,473,145) (4,304,090) (7,661,692) (32,649,128) (38,233,240) (81,339,386)
1,392,698 2,630,713 3,551,977 20,625,454 12,444,083 20,743,841 61,388,768
56% 61% 46% 63% 32% 25%
3.米陸軍司令部の改編に関連した事業 (9,006,971) (7,231,769) (12,679,919) (10,827,664) (4,890,395) (34,498)
3,145,539 6,272,917 8,936,116 6,827,154 4,852,560 34,398 30,068,686
34% 86% 70% 63% 99% 99%
4.空母艦載機の移駐等のための事業 (59,170,110) (52,351,417) (65,131,329) (79,159,054) (147,917,209) (117,750,063)
35,953,860 25,954,160 48,137,427 63,395,586 102,224,512 102,674,986 378,340,534
60% 49% 73% 80% 69% 87%
5.訓練移転のための事業(現地対策本部経費) (4,653,490) (163,551)
4,489,806 163,551 4,653,357
96% 100%
6.再編関連措置の円滑化を図るための事業 (10,735,105) (11,175,990) (9,725,652) (11,543,195) (15,972,176) (15,672,984)
8,755,916 9,977,418 7,705,319 9,955,762 12,247,962 12,139,837 60,782,216
81% 89% 79% 86% 76% 77%
7.特別協定による負担(訓練移転のための事業) (2,367,608) (4,022,215) (4,434,317) (4,860,099) (5,148,953) (5,799,372)
881,723 1,839,008 4,434,317 4,860,099 5,148,953 5,799,372 22,963,473
37% 45% 100% 100% 100% 100%
(注)
経費の内訳中の「Ⅲ」の符号は図表2及び図表5中の符号と対応している。

エ 在日米軍関係経費に含まれていない提供施設等の整備に要した経費

アからウまでのほか、24年4月から29年12月末までの間において、自衛隊施設が提供施設等の敷地内等に移転することに伴って、その支障となった提供施設等を同敷地内等に移設することとなった機能補償の事業が、図表10のとおり、陸上、海上、航空各自衛隊で各1件(支出済歳出額計43億2478万余円)ある。

これら3件の移設事業のうち陸上、航空両自衛隊の分は、米軍再編の一環として行われたものではあるが、在日米軍、自衛隊双方の連携強化等に係るものであることから、防衛省のホームページ等で公表している予算関係資料では、「抑止力の維持等に資する措置」に係る経費に区分されており、これら2件の移設事業に係る経費は、「地元負担の軽減に資する措置」に係る経費に区分されるもののみを掲げることとしている「米軍再編関係経費」に含まれていない。また、海上自衛隊の分の移設事業は、防衛力整備の一環として、海上自衛隊横須賀基地の火薬庫を整備するに当たって、火薬類取締法施行規則(昭和25年通商産業省令第88号)に基づき、施工箇所に隣接する提供施設等である吾妻倉庫地区に所在する在日米軍の既設の燃料タンクとの保安距離を確保するため、(項)防衛力基盤整備費により当該燃料タンクを撤去して同地区内の別の場所に移設したものである。

これら3件の移設事業に係る経費には、いずれも提供施設等の整備に要した経費が一部含まれているが、上記の理由により各年度の「在日米軍関係経費」には含まれていない。

図表10 在日米軍関係経費に含まれていない提供施設等の整備に係る経費

(単位:千円)
自衛隊名 事業名 年度 支出済歳出額 予算科目
陸上自衛隊 中央即応集団司令部の座間移転に伴う機能補償 平成24年度 101,949 24年度~26年度
(項)施設整備費
(目)施設整備費
27年度~29年度
(項)防衛力基盤整備費
(目)施設整備費
25年度 595,241
26年度 86,692
27年度 246,726
28年度 23,338
  1,053,948
海上自衛隊 横須賀基地の火薬庫の整備に伴う在日米軍の既設のタンクの移設 28年度 299,160
29年度 12,960
  312,120
航空自衛隊 航空総隊司令部等の横田移転に伴う機能補償 24年度 149,507
25年度 721,110
26年度 565,064
27年度 750,322
28年度 223,064
29年度 549,643
  2,958,712
合計
3件
  4,324,780

オ 防衛省関係予算以外の経費等

防衛省関係予算以外の経費として、国(総務省)が、「国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律」(昭和32年法律第104号)に基づき、提供施設等の中に国有財産が所在する市町村に対して交付している国有提供施設等所在市町村助成交付金(これに係る28年度交付額は、提供施設等及び自衛隊施設の分に関する交付額を合わせて283億4000万円)や、各年度の予算に基づき、在日米軍が独自の財源により設置した施設等が所在することに伴い税財政上特別の影響を受ける市町村に対して交付している施設等所在市町村調整交付金(これに係る28年度交付額72億円)等の経費がある(図表2中のⅠ②下段の点線枠内の部分及び注3の前段)。また、国の予算として計上されるものではないが、防衛省は、合衆国政府に提供している国有財産を借地と仮定した場合の機会費用について、毎年度、提供施設等の国有財産の土地面積に同一敷地内又は周辺の民公有地の土地取引に係る賃借料の単価を乗ずるなどして試算して、その結果を「提供普通財産借上試算」として公表しており、23年度から28年度までにおける試算額は、図表11のとおり、ほぼ一定となっている(図表2中注3の後段)。

図表11 提供普通財産借上試算の試算額(平成23年度~28年度)

(単位:億円)
経費名 平成23
年度
24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
提供普通財産借上試算 1658 1656 1660 1665 1658 1657 9954
(注)
試算額は、各年度の在日米軍関係経費の公表資料における注書きから集計したものである。

(2) 提供施設等に係る土地等の状況並びに受渡し及び返還に伴う国有財産の提供や関係経費の支出の状況

ア 提供施設等に係る土地及び賃借料の状況

28年度末における全国の78提供施設等に係る土地面積は、計2億6434万余m2となっており、これらのうち、国有財産は1億1460万余m2(国有財産台帳価格計2兆0240億余円)となっている。所管別内訳については、図表12のとおり、財務省所管の土地が7110万余m2(同計1兆9990億余円)、防衛省所管の土地が129万余m2(同計214億7538万余円)等となっている。

図表12 提供施設等に係る国有財産である土地の所管別の内訳

(単位:m2、千円)
所管名 面積 国有財産台帳価格
財務省 71,100,840 (62) 1,999,088,687 (98)
厚生労働省 7,761 (0) 9,065 (0)
農林水産省 38,075,613 (33) 3,375,520 (0)
国土交通省 4,126,341 (3) 54,238 (0)
防衛省 1,292,735 (1) 21,475,385 (1)
114,603,292 (100) 2,024,002,896 (100)
注(1)
本図表は、防衛省から提出を受けた資料を基に作成したものである。
注(2)
括弧書きは、計に占める割合(%)である。

また、民公有地(土地面積計1億4973万余m2)のうち賃借料の対象となっている分は、1億4900万余m2となっている。そして、これらに賃借料の対象となっている建物、工作物や提供施設外の一部の土地を含めて、28年度に支払われた賃借料は、計966億4716万余円となっている(別表4参照)。

提供施設等に係る土地面積に関して、SACO最終報告が公表された8年度末から28年度末までの20年間における増減を示すと、図表13のとおり、8年度末には3億1399万余m2であったが、28年度末には2億6434万余m2となっていて、北部訓練場、キャンプ・ハンセン等の返還等により差引計4965万余m2が減少している。

図表13 平成8年度末及び28年度末の提供施設等に係る土地面積の増減

(面積単位:千m2
国有/民公有の別 平成8年度末時点(A) 28年度末時点
(B)
差引増△減
(B)-(A)
施設数 土地面積 施設数 土地面積 施設数
注(2)
土地面積 施設数
注(2)
土地面積 施設数
注(2)
土地面積
90 313,998 78 264,342 18 4,275 51 53,931 △12 △49,655
国有 149,995 114,603 4,097 39,489 △35,391
民公有 164,003 149,739 177 14,441 △14,264
注(1)
提供施設等には国有財産と民公有地の両方が混在しているものが多数あることから、国有、民公有別の施設数の内訳は記載していない(図表14についても同じ。)。
注(2)
「増」及び「減」の「施設数」については、当該施設に係る土地面積の一部が増加又は減少したものも計上している。このため、これらの差引は、新たに増加(皆増)した提供施設等と全部返還(皆減)された提供施設等の差引である「差引増△減」の「施設数」とは一致しない(図表14についても同じ。)。

上記の20年間に土地面積が増加した主な提供施設等についてみると、新たに増加した提供施設等は、車力通信所及び経ヶ岬通信所の2施設、100万㎡以上の土地が追加された提供施設等は岩国飛行場の1施設となっている。

一方、同期間中に土地面積が減少した主な提供施設等についてみると、全部返還された提供施設等は、由木通信所、富岡倉庫地区、上瀬谷通信施設、深谷通信所、小柴貯油施設、神奈川ミルク・プラント、背振山通信施設、対馬通信所、慶佐次通信所、ギンバル訓練場、瀬名波通信施設、楚辺通信所、読谷補助飛行場及び工兵隊事務所の14施設、また、100万㎡以上の一部の土地が返還された提供施設等は、北部訓練場、キャンプ・ハンセン、嘉手納弾薬庫地区及びキャンプ瑞慶覧の4施設となっている。

このうち、沖縄県内に所在する提供施設等に係る土地面積の増減は、図表14のとおり、SACO最終報告の合意内容に基づき「北部訓練場の過半」が28年12月に合衆国政府から返還(これに係る土地面積計4009万余㎡)されたことなどにより、8年度末の37提供施設等に係る2億3498万余㎡から、28年度末の31提供施設等に係る1億8609万余㎡(対8年度比79%)となっている。

図表14 沖縄県内における平成8年度末及び28年度末の提供施設等に係る土地面積の増減

(面積単位:千m2
国有/民公有の別 平成8年度末時点(A) 28年度末時点
(B)
差引増△減
(B)-(A)
施設数 土地面積 施設数 土地面積 施設数 土地面積 施設数 土地面積 施設数 土地面積
37 234,983 31 186,092
(79)
3 720 26 49,611 △6 △48,891
国有 78,062 42,070
(53)
720 36,711 △35,991
民公有 156,921 144,021
(91)
0 12,899 △12,899
(注)
括弧書きは、平成8年度末に対する割合(%)である。

イ 提供施設等に係る土地等の受渡し及び返還に伴う国有財産の提供や関係経費の支出の状況

前記のとおり、提供施設等の中に国有財産が所在する市町村に対しては、国有提供施設等所在市町村助成交付金が交付されている。そして、合衆国政府に提供している土地、建物及び工作物については、同交付金の交付額の算定に当たり、新たに提供されてから算定の対象になるとされており、新築した建物等であっても、当該年度の3月31日現在において提供されていない国有財産については、同交付金の算定の対象にならないこととされている。

これらの施設等の提供について検査したところ、28年度末時点で提供の合意に至っていない施設等で、工事完了後3年以上を経過しているものが、5防衛局(注15)で工事件数183件(当該工事に係る施設等の28年度末の国有財産台帳価格計92億3005万余円)見受けられた。これは、施設等の提供のための合意に係る手続について一定規模の施設等をまとめて行うことになっていることにもよるが、これらの中には、長期間を要しているものも見受けられた。このため、上記施設等の整備が完了して国有財産台帳の価格が増加しているのに、当該市町村に対する同交付金が算定されないこととなっている。

(注15)
5防衛局  東北、北関東、南関東、中国四国、沖縄各防衛局

これらについて事例を示すと次のとおりである。

<事例1> 施設等が国有提供施設等所在市町村助成交付金の算定の対象となっていなかったもの

日本国政府は、横須賀海軍施設(神奈川県横須賀市所在)において提供施設等の整備を行っており、①昭和62年9月に共同溝等の設置について、②平成3年2月に宿泊施設及び厚生施設の建設並びにガソリンスタンド及び工場の改築について、③同年7月に管理棟及び工場の建設に係る施設整備について、それぞれ日米合同委員会において工事の実施に係る合意を行っている。そして、これら①から③までの各施設等に係る工事計51件が実施され、最後の工事が、①は3年3月に、②は5年3月に、③は6年3月に、それぞれ完成している。

しかし、南関東防衛局は、28年5月においてもこれらの施設等の提供のための合意に係る手続である防衛省内部部局に対する上申を行っていなかった(当該工事に係る施設等の28年度末の国有財産台帳価格①5億8777万余円、②6億1079万余円、③2億0512万余円、計14億0370万余円)。このため、上記施設等の整備が完了して国有財産台帳の価格が増加しているのに、提供されてから算定の対象になるとされている国有提供施設等所在市町村助成交付金が算定されないこととなっていた。

なお、同防衛局は、28年6月に、現地の在日米軍の担当者との合意が得られたとして、防衛省内部部局に対する上申を行った。その後、29年11月に、日米合同委員会において、合衆国政府とこれらの施設等の提供のための合意が行われ、同年12月に、合衆国政府との協定が締結された。

一方、日米両政府において返還の合意があった提供施設等について検査したところ、図表15のとおり、関係市町村等から返還時期の延長等の要望を受けているもの(態様(ア))が見受けられた。また、このほかに、地上部分について提供施設等として本来の使用目的が失われているものなど(態様(イ))が見受けられた。

これらを合わせると、2防衛局(注16)管内で計4提供施設等に係る6区域(これらに係る土地面積計34万余m2、28年度末の国有財産台帳価格計3億1617万余円、28年度の賃借料計9182万余円)となっている。

(注16)
2防衛局  東北、沖縄両防衛局

図表15 4提供施設等に係る6区域における状況

態様 地方防衛局名 提供施設等   土地面積計
(m2
 
対象区域 国有財産 民公有地
面積(m2 平成28年度末国有財産台帳価格(千円) 賃借料の対象となっているもの 賃借料の対象となっていないもの
面積(m2 28年度賃借料(千円) 面積(m2
(ア)関係市町村等から返還時期の延長等の要望を受けているもの
  沖縄 嘉手納弾薬庫地区 一部(山城進入路等3区域) 307,616 11,299 40,570 296,316 91,381
1 1 3 307,616 11,299 40,570 296,316 91,381
(イ)提供施設等として本来の使用目的が失われているもの
  東北 三沢飛行場 一部(線路敷) 30,151 30,151 228,878
沖縄 嘉手納飛行場 一部(飛び地部分) 2,194 279 442 1,914
沖縄 泡瀬通信施設 一部(進入路) 8,006 8,006 46,730
2 3 3 40,352 38,157 275,608 279 442 1,914
2 4 6 347,968 49,457 316,179 296,596 91,823 1,914

これらについて態様別に示すと、次のとおりである。

(ア) 関係市町村等から返還時期の延長等の要望を受けているもの

8年3月に、日米合同委員会において、在日米軍の用に供するために、日本国政府が提供している嘉手納弾薬庫地区(沖縄県うるま市等に所在)に係る土地(これに係る土地面積2658万余m2)の一部返還が合意された。その後、同合意で実施することが決まっていた事項の弾薬庫の敷地内の移設が15年8月に、泡瀬ゴルフ場の同弾薬庫地区への移設が22年2月にそれぞれ完了した。

これに対してうるま市は、返還が合意された山城進入路、陸上自衛隊訓練場西側及び新ゴルフ場北側斜面の3区域(これらに係る土地面積計30万余m2。以下「山城進入路等3区域」という。)のうち山城進入路(これに係る土地面積3万余m2)を除く2区域(これらに係る土地面積計27万余m2)については、周辺道路が未整備であったり、谷間や急傾斜地であるため跡地利用計画の策定が困難であったり、賃借料収入が得られなくなるという所有者等からの要望があったりしたため、継続して合衆国政府に提供していきたいとの要請を沖縄防衛局に提出した。

このため、22年2月以降も日本国政府(防衛省)は、所有者等に賃借料(山城進入路等3区域に係る28年度賃借料9138万余円)を支払っていた。

一方、関係市町村等の要望に基づき返還期限の延長を行った後に返還されたものについて参考事例を示すと、次のとおりである。

<参考事例> 地方防衛局が在日米軍、沖縄県、関係市町村等とのそれぞれの協議を経て、提供施設等が返還されたもの

日本国政府は、在日米軍の用に供するために、キャンプ・ハンセン(沖縄県名護市等に所在)に係る土地(これに係る平成25年度末時点での土地面積計4971万余m2)を合衆国政府に提供している。このうち、名護市所在の土地168万余m2については民公有地であることから、沖縄防衛局は、当該土地の所有者である名護市等と賃貸借契約を締結している。そして、当該土地のうち161万余m2について、同市の返還要望を踏まえ、7年12月に日米合同委員会の合意により、同市が策定するとした跡地利用計画の策定時点又は10年12月末の返還期限までのいずれか早い時期に返還されることが決定していた。

しかし、その後、同市から、当該土地は山林の急傾斜地であるため返還後の跡地利用計画の策定が困難であること、また、返還されることにより賃借料収入が得られなくなることを理由として、返還期限を延長するよう要望が数次にわたって行われたため、11年、16年及び22年の日米合同委員会での合意を経て、返還期限を延長する返還実施計画が策定(11年は返還実施計画の案の作成)された。

この間、同防衛局では、返還対象地における支障の除去の徹底、住民等への速やかな情報の提供等について、沖縄県、名護市等との間で協議を重ねるなどしてきた。そして、同防衛局が25年9月の日米合同委員会での合意を踏まえて、26年3月に策定した新たな返還実施計画に基づき、当該土地のうち、54万余m2(25年度賃借料4974万余円)が同年6月に、残りの107万余m2(28年度賃借料1億0334万余円)についても、29年6月に変更された返還実施計画に基づき、同月に、それぞれ返還された。

(イ) 提供施設等として本来の使用目的が失われているもの

提供施設等のうち線路敷、進入路、飛び地等の各区域において、当初は、在日米軍による使用の必要性があったとして提供していたものの、現在は、市町村道や民間住宅の敷地になっているなどしていて、本来の使用目的が失われていると認められる区域が、図表15の態様(イ)のとおり、3提供施設等に係る3区域(これらに係る土地面積計4万余m2(うち、2提供施設等に係る2区域の28年度末の国有財産台帳価格計2億7560万余円、1提供施設等に係る1区域の28年度の賃借料44万余円))において見受けられた。これらに係る事例を示すと次のとおりである。

<事例2> 提供施設等として本来の使用目的が失われているもの(国有財産)

日本国政府は、在日米軍の用に供するために、三沢飛行場(青森県三沢市等に所在)に係る土地を提供しており、この中には、三沢飛行場のフェンスの外にあり、在日米軍が燃料等の輸送のために旧日本国有鉄道の貨物線からの引込線として使用していた線路敷(これに係る土地面積計3万余m2。平成28年度末の国有財産台帳価格2億2887万余円)が含まれている。

しかし、現地を確認したところ、当該線路敷の現況は引込線の線路の一部が撤去されて寸断されているなど、本来の使用目的が失われていると認められた。

<事例3> 提供施設等として本来の使用目的が失われているもの(民公有地)

日本国政府は、在日米軍の用に供するために、嘉手納飛行場(沖縄県中頭郡嘉手納町等に所在)に係る土地を提供しており、この中には、嘉手納飛行場のフェンスの外にある飛び地(これに係る土地面積計2,194m2。平成28年度の賃借料計44万余円)が含まれている。当該飛び地は在日米軍の排水路敷として提供している。

しかし、現地を確認したところ、当該飛び地の地上部分は、道路及び宅地として嘉手納町、企業及び個人によって使用されているなど、本来の使用目的が失われていると認められた。

(3) 在日米軍駐留経費負担の支払

 「在日米軍駐留経費負担」の大半を占める労務費に関して、その対象となる駐留軍等労働者数やその支払状況について検査したところ、次のとおりとなっていた。

ア 提供施設等別の駐留軍等労働者数等の推移

駐留軍等労働者数の14年度以降の推移についてみると、図表16のとおり、14年度の24,974人に対して22年度の25,859人をピークに増加傾向にあったが、その後は25,200人(26年度)から25,545人(23年度)までの間で推移している。地方防衛局ごとにみると、沖縄防衛局管内では、22年度の9,147人をピークに減少傾向となっている。一方、岩国飛行場を所管する中国四国防衛局管内では、岩国飛行場で新滑走路の運用が開始された22年度以降増加しており、28年度には前年度から100人以上の増加となっている(別表5参照)。

図表16 駐留軍等労働者数の推移(平成14年度~28年度)

(単位:人)
地方防衛局名
注(2)
平成
14年度
15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度 26年度 27年度 28年度
東北防衛局 1,244 1,261 1,299 1,302 1,283 1,301 1,345 1,379 1,387 1,354 1,322 1,317 1,300 1,298 1,324
北関東防衛局 2,769 2,767 2,774 2,756 2,699 2,717 2,723 2,745 2,771 2,727 2,698 2,677 2,642 2,659 2,649
南関東防衛局 9,212 9,189 9,065 9,104 9,199 9,112 9,179 9,316 9,323 9,174 9,148 9,137 9,113 9,129 9,192
近畿中部防衛局 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6 7 7
中国四国防衛局 1,603 1,584 1,571 1,573 1,563 1,563 1,577 1,585 1,565 1,588 1,591 1,602 1,614 1,650 1,791
九州防衛局 1,468 1,500 1,519 1,593 1,617 1,639 1,661 1,652 1,666 1,664 1,672 1,672 1,681 1,719 1,719
沖縄防衛局 8,678 8,813 8,813 8,928 8,987 8,928 9,014 9,135 9,147 9,038 8,942 8,868 8,844 8,857 8,825
24,974 25,114 25,041 25,256 25,348 25,260 25,499 25,812 25,859 25,545 25,373 25,273 25,200 25,319 25,507
注(1)
各年度末の労働者数である。
注(2)
北海道防衛局管内には、在日米軍が配置されていないため、駐留軍等労働者の雇用がない。

28年度の駐留軍等労働者による労務の提供先について、提供施設等別にみると、在日米軍のうち、陸軍で勤務する従業員が多いのはキャンプ座間(28年度末1,494人)、空軍で勤務する従業員が多いのは三沢(同1,056人)、横田(同1,791人)、嘉手納(同2,108人)各飛行場、海軍で勤務する従業員が多いのは横須賀(同5,164人)、佐世保(同913人)両海軍施設及び厚木飛行場(同965人)、海兵隊で勤務する従業員が多いのは岩国飛行場(同1,331人)及びキャンプ瑞慶覧(同1,620人)となっている(別表6参照)。

イ 労務費の支払の状況

駐留軍等労働者に対する28年度の労務費の支払額は、「在日米軍駐留経費負担」のうち日米地位協定に基づく「労務費(福利費等)」及び特別協定に基づく「労務費(基本給等)」を合わせて計1220億0961万余円となっている。

労務費の支払の手続については、機構各支部が、所管する提供施設等から、駐留軍等労働者に係る従業員の出勤、休暇、超過勤務時間等の勤務実績を当該月の翌月に収集して、各従業員に支給する基本給、諸手当等を計算して取りまとめ、当該資料の送付を受けた地方防衛局が、勤務実績の内容を確認して、給与等を各従業員へ支払うこととなっている。労務費の支払について検査したところ、駐留軍等労働者に支給される「労務費(基本給等)」のうち夏季手当及び年末手当の計算において、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。

駐留軍等労働者の勤務条件については、労務提供契約に基本給のほか夏季手当、年末手当等の各種手当の支給区分が定められている。このうち、夏季手当については、毎年6月1日時点で在籍する駐留軍等労働者が受給対象者とされ、その支給額は、6月1日の直前の180日以上の期間在籍した駐留軍等労働者の場合、給与月額の207.5%(28年度)に相当する額とするなど、在籍期間に応じて段階的に定められている。年末手当については、毎年12月1日時点で在籍する駐留軍等労働者が受給対象者とされ、支給額が給与月額の222.5%(28年度)に相当する額とされている以外は夏季手当と同様となっている。

上記の夏季手当及び年末手当における在籍期間の計算(以下「期間計算」という。)についてみたところ、労務提供契約に無届による欠勤等の無給休暇期間を除算する規定は定められていたものの、制裁措置として科される出勤停止期間を除算する規定は定められておらず、勤務実績を収集し手当を計算する機構各支部において、期間計算に当たり出勤停止期間を除算するか否かについての取扱いが区々となっていた。そして、本制度を所管する防衛省内部部局は、27年11月に、機構に対して、制裁による出勤停止期間を期間計算において除算しないこととするよう事務連絡を発していた。

しかし、駐留軍等労働者の勤務条件は、国家公務員及び民間企業の従業員における給与等を考慮して定めることとなっており、国家公務員の期末手当及び勤勉手当の算定については、人事院規則9-40(期末手当及び勤勉手当)(昭和38年人事院規則9-40)に基づき停職期間を除算することとなっていることから、期間計算に当たっては出勤停止期間を除算する必要があったと認められる。

そして、23年度から28年度までの6年間に、制裁措置として出勤停止処分が科された駐留軍等労働者延べ79人分に支給された夏季手当及び年末手当の支給額について、在籍期間から出勤停止期間を除算して期間計算すると、計941万余円が過大になっていた。

これについて、日本国政府(防衛省)は、会計検査院の検査を踏まえて、29年12月に、合衆国政府(在日米軍)との間で、出勤停止期間を除算するよう労務提供契約を改正する処置を講じた。

(4) SACO関係経費及び米軍再編関係経費に関する事業の実施

ア SACO関係経費に関する事業の実施

平成8年度補正予算以降に措置された「SACO関係経費」に係る主な事業の実績をみると、「土地返還のための事業」では、瀬名波通信施設、楚辺通信所、読谷補助飛行場及びギンバル訓練場の返還のための施設の移設事業、北部訓練場の過半の返還のためのヘリコプター着陸帯の移設事業並びにキャンプ瑞慶覧等の住宅統合事業がそれぞれ実施されてきた。「訓練改善のための事業」では、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の沖縄県外への移転、パラシュート降下訓練の伊江島補助飛行場への移転がそれぞれ進められてきた。また、「騒音軽減のための事業」では、29年3月に嘉手納飛行場内の在日米軍(海軍)が使用する航空機に係る駐機場の移設事業が完了した。そして、「SACO事業の円滑化を図るための事業」により、提供施設等の移設先や訓練の移転先となる特定防衛施設関連市町村等(沖縄県外も含む。)に対して、防音工事を実施したり、SACO交付金を交付したりしている。

SACO交付金は、周辺環境整備法第9条の規定に基づく特定防衛施設周辺整備調整交付金のうち特別交付分として交付されているものであり、SACO最終報告に盛り込まれた「沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練を沖縄県外へ移転すること」などの措置を的確かつ迅速に実施するために、9年度から28年度までの間に、当該訓練の実施を受け入れた特定防衛施設関連市町村に対して交付されている。

SACO交付金は、その交付が開始された9年度から28年度までに、SACO事業に関連する12特定防衛施設が所在する23市町村に対して、計506億3779万余円が支出されている。訓練の移転先等となる特定防衛施設ごとにみると、9年度から28年度までの支出済歳出額の合計は大きい順に、矢臼別演習場が所在する3町に対する計71億8830万円、東富士演習場が所在する3市町に対する計69億1620万円、北富士演習場が所在する3市村に対する計65億9720万円、王城寺原演習場が所在する3町村に対する計62億7889万余円、日出生台演習場が所在する3市町に対する計59億8815万余円等となっている(別表7参照)。

なお、29年12月末現在、SACO事業のうち「SACO関係経費」の対象となる事業は、パラシュート降下訓練、沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練に係る訓練移転費等となっている。

本件事業に関して、会計検査院は、補助事業の目的を達していなかった事態について、平成28年度決算検査報告に「特定防衛施設周辺整備調整交付金で整備したIP告知システムによる一斉放送が実施できておらず、補助の目的を達していなかったもの」を掲記している。

イ 米軍再編関係経費に関する事業の実施

 「米軍再編関係経費」のうち23年度から28年度までの支出済歳出額の合計の大きい「空母艦載機の移駐等のための事業」((1)ウ(ア)のd)「沖縄における再編のための事業」(同b)「再編関連措置の円滑化を図るための事業」(同g)「在沖米海兵隊のグアムへの移転」(同a)等の実施状況についてみたところ、次のとおりとなっている。

(ア) 空母艦載機の移駐等のための事業

 「空母艦載機の移駐等のための事業」に伴う合衆国海軍第5空母航空団の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐は、18年5月にロードマップによる合意を経て公表された。ロードマップには、移駐に必要な施設を整備すること、訓練空域の調整等を実施することなどが計画されている。これまでに、空母艦載機のための駐機場、整備格納庫、第5空母航空団等の庁舎及び祖生通信所の通信施設をそれぞれ整備するとともに、移駐に伴う軍人、軍属及びそれらの家族の住宅の建設のために岩国飛行場の近傍の愛宕山地区の不動産を23年度に168億9000万円で購入して、住宅、学校施設等をそれぞれ整備してきている。そして、29年8月に空母艦載機の移駐が開始され、30年3月に移駐が完了した。

この事業に要した経費の18年度から28年度までの間の支出済歳出額は、図表17のとおり、計3981億9298万余円となっている。

図表17 空母艦載機の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐等に関連する経費

(単位:千円)
年度 歳出予算現額 支出済歳出額 主な事業実績(括弧内は当該年度に完成した施設)
平成18年度 5,625 5,625 岩国飛行場:設計
19年度 1,983,191 618,304 岩国飛行場:設計、工事
20年度 5,970,213 4,270,138 岩国飛行場:設計、工事
21年度 10,252,774 6,747,024 岩国飛行場:設計、工事(誘導路)
22年度 34,526,337 8,825,414 岩国飛行場:設計、工事(駐機場、下士官宿舎等)
23年度 59,170,110 35,953,860 岩国飛行場:設計、工事(格納庫、下士官宿舎等)
愛宕山地区:不動産購入費
24年度 52,301,678 25,954,160 岩国飛行場:設計、工事(駐機場等)
愛宕山地区:設計
25年度 64,908,445 48,137,427 岩国飛行場:設計、工事(洗機場等)
愛宕山地区:設計、工事
26年度 78,938,404 63,395,586 岩国飛行場:設計、工事(家族住宅等)
愛宕山地区:設計、工事
祖生通信所:設計
27年度 147,802,047 102,121,938 岩国飛行場:工事(格納庫、庁舎、家族住宅等)
愛宕山地区:設計、工事(造成等)
祖生通信所:工事(通信施設)
28年度 116,773,123 102,163,506 岩国飛行場:工事(格納庫、学校等)
愛宕山地区:工事(消防・憲兵隊事務所等)
祖生通信所:工事(通信施設)
398,192,987

このうち、国(防衛省)が在日米軍の使用に供することを見込んで23年度に購入した土地について検査したところ、国有財産台帳への記録等について、次のような事態が見受けられた。

中国四国防衛局は、合衆国海軍第5空母航空団に所属する空母艦載機部隊の厚木飛行場から岩国飛行場への移駐に伴う軍人、軍属及びそれらの家族の住宅、運動施設等の建設のために、24年3月に山口県住宅供給公社から岩国飛行場愛宕山地区の土地計11筆(これに係る土地面積計75万余m2。以下「愛宕山用地」という。)を168億9000万円で購入し、購入価格から法面排水等の工作物の価格(4億4042万余円)を除いた額164億4957万余円を土地の価格として国有財産台帳に記録し、毎年度の価格改定を経て、27年度末の国有財産台帳価格を154億7746万余円としていた。

国有財産台帳等取扱要領(平成13年財理第1859号)、防衛省所管国有財産取扱規則(平成18年防衛庁訓令第118号)等(以下、これらを合わせて「国有財産関係要領等」という。)によれば、庁舎、宿舎等を新営するため、新たにその敷地を造成(盛土及び切土の場合を含む。)した場合には、当該工事費を土地の国有財産台帳価格に加算することとされている。

しかし、愛宕山用地において、同防衛局が26年3月から27年5月まで実施した敷地造成のための整地工事及び盛土工事に係る工事費計6億1956万余円について、国有財産関係要領等に基づき、工事完了後に国有財産台帳価格に加算すべきであったのに、同防衛局では加算しておらず、平成27年度国有財産増減及び現在額報告書の価格にも反映していなかった。

これについて、同防衛局は、会計検査院の検査を踏まえて、28年度末までに、報告漏れとなっていた上記の工事費を当該土地の価格に加算するなどして国有財産台帳価格の修正を行った。

(イ) 沖縄における再編のための事業

 「沖縄における再編のための事業」は、ロードマップに記載された「普天間飛行場代替施設の建設及び嘉手納以南の土地の返還」のための事業であり、現在は、25年4月に公表された統合計画に基づき進められている。これまでにキャンプ瑞慶覧における西普天間住宅地区(50万余m2、27年3月返還)等の土地の返還が実施されている。このうち、普天間飛行場代替施設の建設、移転先の整備等の事業は、8年度から検討が開始され、SACO最終報告に盛り込まれた後、11年12月に普天間飛行場代替施設を沖縄県名護市に所在するキャンプ・シュワブ区域に設置することが閣議決定され、18年5月に、ロードマップに引き継がれたものである。

そして、国(防衛省)は、26年7月に普天間飛行場の移設先であるキャンプ・シュワブ区域における既存施設の解体工事に着手した。しかし、27年8月に開始された国と沖縄県との間の約1か月間の集中協議の後、同年10月に普天間飛行場代替施設の建設に係る公有水面の埋立承認が沖縄県知事により取り消されたため、同年11月に国(国土交通大臣)が代執行訴訟を提起し、また、沖縄県も訴訟を提起した。そして、28年3月に双方による和解が成立し、和解条項に従い、国(防衛省)は埋立工事を中止した。その後、国地方係争処理委員会による審査、福岡高等裁判所那覇支部による審理等を経て、同年12月に、最高裁判所は、沖縄県知事による公有水面埋立承認取消処分は違法であるとの判断を示した。当該判断に基づく判決を受け、沖縄県は公有水面埋立承認取消処分を取り消し、国(防衛省)は埋立工事を再開している。

普天間飛行場代替施設の建設に係る工事、キャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事及び各種の業務等に関連する事業に要した18年度から28年度までの間の支出済歳出額は、図表18のとおり、計763億2290万余円となっている。

図表18 普天間飛行場代替施設の建設に係る工事、キャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事及び各種の業務等に関連する経費

(単位:千円)
年度 歳出予算現額 支出済歳出額 主な事業実績(括弧内は当該年度に完成した施設)
平成18年度 1,006,830 845,077 環境影響評価、調査、設計、漁業補償
19年度 1,338,230 860,732 環境影響評価、調査、設計
20年度 5,264,021 4,495,354 環境影響評価、調査、設計、工事
21年度 9,866,111 7,960,536 環境影響評価、調査、設計、工事(隊舎、管理棟、工場、倉庫、立体駐車場等)
22年度 7,205,420 6,498,678 環境影響評価、基本検討、工事(隊舎、管理棟)
23年度 2,182,663 1,392,698 環境影響評価、設計、工事、敷地造成工事
24年度 4,304,090 2,630,713 環境影響評価、設計、敷地造成工事
25年度 7,412,258 3,395,874 環境影響評価、設計、工事(訓練施設)
26年度 32,279,026 20,307,595 環境影響評価、調査、設計、建物解体工事、護岸工事、工事(ビジターセンター等)、漁業補償
27年度 34,933,477 10,434,710 環境影響評価、調査、設計、仮設工事、護岸工事
28年度 71,317,525 17,500,937 環境影響評価、設計、仮設工事、護岸工事、漁業補償
76,322,908

沖縄防衛局は、キャンプ・シュワブ区域の埋立工事を含む普天間飛行場代替施設の建設に係る工事、キャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事及び各種の業務等に関連する契約を業者との間で締結しているが、これらの中には、沖縄県との協議のため工事等の契約締結後に一時中止した建設工事が27件(29年12月末現在の契約額計735億1406万余円)見受けられた(別表8参照)。

このうちキャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事6件は、図表19のとおり、前記の約1か月間の沖縄県との集中協議等の際に工事を一時中止したものであり、その後、準備ができたものから再開され、29年3月に完了していた。そして、工事の一時中止に伴い、上記の工事契約に基づき「受注者の責めに帰すことができない事象により工事の施工を中止させた場合の増加費用」として、受注者が設置した仮設の現場事務所等の賃借料等に対する支払が同年12月末までに計2137万余円(契約に基づく支払総額に占める割合0.6%)発生していた。

図表19 キャンプ・シュワブ再編成に基づく施設の建設に係る工事において一時中止した工事に発生した支払増加額の状況

(単位:千円)
工事件名 契約年月日 工事中止
年月日
工事再開
年月日
完成年月日 契約に基づく受注者への支払総額(a) 左のうち契約条項に基づく支払増加額(b) 支払増加額の割合
(b/a)
1 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設建築工事(1工区) 平成25.2.27 27.8.10 27.11.30 29.3.29 1,228,452 7,817 0.6%
2 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設建築工事(2工区) 25.2.27 27.8.10 28.2.15 29.3.29 1,006,662 6,527 0.6%
3 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設機械工事(1工区) 25.1.22 27.8.10 28.2.15 29.3.28 277,087 1,587 0.5%
4 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設機械工事(2工区) 25.1.22 27.8.10 28.2.15 29.3.28 203,556 1,683 0.8%
5 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設電気その他工事(1工区) 25.1.30 27.8.10 28.2.22 29.3.31 206,503 1,861 0.9%
6 シュワブ(H24)隊舎(0514)新設電気その他工事(2工区) 25.1.30 27.8.10 28.2.22 29.3.31 203,857 1,892 0.9%
3,126,118 21,370 0.6%

また、残りの普天間飛行場代替施設の建設に係る工事21件は、現在においても再開されていないものや完成に至っていないものなどがあることから、今後、同様の費用が発生し、これに係る支払が必要となることが見込まれる。

本件事業に関して、会計検査院は、平成28年度決算検査報告に「海上警備業務契約の予定価格の積算に当たり、業務内容を十分精査した上で、同種の業務に係る他の機関を含めた取引の実例価格又は官公庁の定める労務単価によることができるものについてはこれらを採用するなどして、労務費の算定を適切なものとするよう改善させたもの」を掲記している。

(ウ) 再編関連措置の円滑化を図るための事業

 「再編関連措置の円滑化を図るための事業」のうち支出済歳出額の大部分を占める再編交付金により実施した事業の状況についてみると、次のとおりとなっていた。

再編交付金は、その交付が開始された19年度から28年度までに、19再編関連特定防衛施設が所在する44市町村に対して、計837億4535万余円が支出されている。再編関連特定防衛施設ごとにみると、19年度から28年度までの10か年度分の支出済歳出額の合計は、大きい順に、岩国飛行場に係る4市町に対するもの計199億5407万余円、横須賀海軍施設に係る神奈川県横須賀市に対するもの計77億5650万余円、新田原飛行場に係る4市町に対するもの計59億8598万円、築城飛行場に係る3市町に対するもの計59億1296万余円、横田飛行場に係る6市町に対するもの計58億3998万余円等となっている(別表9参照)。

本件事業に関して、会計検査院は、平成28年度決算検査報告に「魚礁の設計及び施工が適切でなかったもの」を設計及び施工が適切でなかったため工事の目的を達していなかった事態として掲記している。

(エ) 在沖米海兵隊のグアムへの移転
a グアム移転事業の実施

 「在沖米海兵隊のグアムへの移転」は、グアム移転事業に必要な経費として、平成21年度予算に(目)在沖縄米海兵隊グアム移転事業費支出金346億0800万円を計上するなど、21年度から29年度までの間に計1559億3390万円を予算に計上した。その執行状況をみると、21年度から29年度(29年12月末まで)までの間の支出済歳出額は計1501億5040万円となっている。

また、21年2月に日米両政府が署名したグアム協定により、21年度以降、合衆国政府から提出を受けているグアム移転資金取引報告をみると、21年度から29年度(同)までの間に、各年度に日米両政府が締結した交換公文に基づき日本国政府から合衆国政府へ支払われたグアム移転資金の移転済額は、計15億0146万米ドル(合衆国の2008会計年度米ドルで13億4495万米ドル)であり、同期間におけるグアム移転資金を使用した合衆国政府によるグアム島内での米軍施設等の建設に係る契約済額は、計4億0162万米ドルとなっている(別表10参照)。

b 駐留軍再編促進金融業務の実施

グアム移転事業の実施に当たり、防衛省は、再編特措法(平成29年改正前の旧法)第16条等の規定に基づき、民間活力を導入して出資、融資等により措置することとした駐留軍再編促進金融業務を実施するために、平成23年度当初予算に(目)株式会社日本政策金融公庫出資金として369億7950万円を計上したが、その全額を翌年度に繰り越した。

また、同様に、防衛省は、24年4月に同業務を承継した株式会社国際協力銀行に対して、平成24年度当初予算に(目)株式会社国際協力銀行出資金として67億1490万円(以下、(目)株式会社日本政策金融公庫出資金と(目)株式会社国際協力銀行出資金とを合わせて「グアム移転出資金」という。)を計上した。

その後、24年4月の日米安全保障協議委員会において、グアムに移転する米海兵隊員の人数及び構成の見直しが行われた結果、インフラ及び家族住宅の所要減少が見込まれ、事業規模からみて出融資の必要がないと結論付けられた。そして、24年9月30日に株式会社国際協力銀行も同業務を終了した。

その結果、防衛省は、23、24両年度の当初予算に計上した計436億9440万円を使用することなく、平成23年度予算から繰り越された(目)株式会社日本政策金融公庫出資金の全額369億7950万円を平成24年度決算において不用額として計上したり、平成24年度補正予算(25年2月成立)において(目)株式会社国際協力銀行出資金の全額67億1490万円を減額したりしていた。

(オ) 米軍再編関係経費により実施したその他の事業

 「米軍再編関係経費」については、(ア)から(エ)までのほか、「米陸軍司令部の改編に関連した事業」において、在日米陸軍司令部の改編に伴う支援施設の設置、在日米軍に係る家族住宅の相模原住宅地区への移設、キャンプ座間及び相模総合補給廠の一部土地の返還等の事業が実施された(20年度から28年度までの間の支出済歳出額は、計314億3812万余円)。

また、「訓練移転のための事業」において、ロードマップの「嘉手納、三沢、岩国各飛行場の米軍の航空機による自衛隊の千歳、三沢、百里、小松、築城、新田原各基地での移転訓練に参加すること」を実施するために、日本国政府は、航空自衛隊の各基地で必要となる施設の整備を行うとともに、23年度からは嘉手納飛行場の航空機による訓練をグアムに移転して実施する際に必要になる在日米軍の航空機の飛行、在日米軍基地から訓練移転先となる自衛隊基地間の要員等の輸送等に要する経費を負担している(23年度から28年度までの支出済歳出額は、計229億6347万余円)。