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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項

概要


第1節 概要

歳入、歳出等検査の結果、ここに不当事項として掲記するものは386件でこれを所管別に示せば左のとおり

所管 歳入 歳出 その他 うち是正済の分

裁判所
3 8 24
法務庁 7 6
内閣 57 20 77 39
(うち元内務省及び建設院の分) (38) (17) (55) (20)
大蔵省 99 40 9 148 100
(うち終戦処理費関係の分) (3) (28) (1) (32) (3)
文部省 18 18


厚生省 4 36 40

労働省 5 5


農林省 5 12 2 19
商工省 2 7 9

運輸省 3 7 9 19 1
逓信省 2 16 1 19 2
出資団体 8 8


179 165 42 386 142


であつて、特に注意を要する事項の概要を示せば次のとおりである。

第1 歳入の収納未済

 一般会計において歳入の収納未済額が多額に上り、しかも連年増加を示していることは第1章に記述したとおりであるが、収納未済額533億4千3百余万円のうち主なものは、租税収入431億6千5百余万円、価格差益納付金68億1千8百余万円、特殊物件収入14億2千3百余万円であつて、国の財政の現状にかんがみ改善の要切なるものがある。
 特別会計の収納未済額は234億3千2百余万円で、専売局の77億2千8百余万円、食糧管理の73億6千6百余万円、財産税等収入金の32億1千7百余万円がその主なものであるが、一般会計及び特別会計を合計すれば、その収納未済額は767億7千5百余万円に上り、更にまだ徴収決定をしていない金額を考慮すれば、事実上の収納未済額はなお巨額に上るものと認められる。

第2 予備費の支出

 一般会計における予備費の使用状況を見ると、予算額20億円に対し、予備費使用の決定をした額は19億7千7百余万円であるが、内閣、文部省及び運輸省において、過大の予備費使用の決定を受けたり、又予備費使用決定額の大半を、大蔵大臣の承認を経ないで、他の費途に流用したものなど予備費の支出当を得ないものがある。

第3 予算の支払計画示達

 支出官に対する予算支払計画の示達が遅延し、はなはだしいのは年度経過後の4月になつて示達されたものなどがあるため好ましからざる事例が少からず生じている。すなわち地方在勤職員に対する給与を地方費等で立替支払したり、年度末に至つて工事の施行又は物品購入等の契約を締結し、年度区分をみだる結果をきたしたり、更に補助金交付につきその適期を失する等その例であるが、支払計画の示達は国庫金の状況に制約されるとはいえ、更に示達手続を促進し、予算の円滑な執行を期すべきものと認められる。

第4 経費の年度区分

 工事の施行、物品の購入に当り、事実を作為し、年度内に完成又は納入されたものとして経費を支出しているものが、裁判所、法務庁、大蔵省及び通信省等に見られる。このように会計法規に違反し、経費の年度区分をみだる結果をきたす事例は累年増加の傾向を示しているが、これは予算の示達が遅れたり、繰越手続が煩に失する等諸般の事情に因るものもあるとはいえ、このように明らかな違法の作為が年々繰り返されるのは、会計経理としてはなはだ公明を欠くものであるから、予算繰越の手続を早期簡略にする措置を行う等改善の方途を講ずべきである。

第5 公共事業費

 昭和22年度における公共事業費の予算額は147億4千6百余万円で、その全額が認証済である。
 公共事業費の使用については、経済安定本部において四半期ごとに各主務庁の事業計画を検討し、適当と認められる事業に限り認証して、これに対する資金並びに資材の割当を行うこととなつていたのであるが、認証手続が複雑に過ぎたため、予算の配賦が著しく遅延した事情にかんがみ、22年度第4・四半期から仮認証の便法を講じ、単に事業別の仮認証申請書に対して一括認証し、よつて予算配賦の遅延を防止することとした。しかし仮認証後における主務庁の処理がおそいため、予算実行の促進には大した効果がなく、依然として公共事業費支弁事業については、年度内完成を条件としながら、その不可能であることが明らかな年度末に差し迫つて予算の示達を行うような事例が多く、はなはだしいのは4月に至つて示達したものさえある。

第6 終戦処理費

 終戦処理費の昭和22年度支出額は641億2千8百余万円で4億7千4百余万円を翌年度に繰り越し、6億8千8百余万円を不用額としているが、工事の施行及び物件の調達等で予算を無視して契約した等のためその代価を22年度中に支払うことができず、翌年度に支出しなければならないものが約150億円の多額に達している。本費の経理に当つては、連年このように多額な予算超過の債務を負担し又国庫債務負担行為につき、国会の議決を経ていないのであるが、これは本費の経理上特殊の事情はあるとしてもその措置が失当である。又本費支弁の工事費等については、特別調達庁その他主務庁から大蔵省管理局に対し、支払の一件ごとに予算を要求し、その審査を経て示達を受けるため、支払の遅延する場合が多い。
 工事費等の概算払の精算遅延については、前年度検査報告にも掲記したところであるが、現在なお過渡額の返納に至らないものが相当多額に達している。
 本費の経理については、工事の施行、物件の調達に当り、その計画がよろしくないと認められるもの、過大な概算払をしたもの、又帳簿書類の整理が不完全なため過払、重複払をしたものがあり、更に不急の物品を多量に購入し、その保管に万全を欠くものがあるばかりでなく、決算額と本院に対する証明額との間に不符合を生じている状況で、一般に経理の適正を図るためには、整理の適確と迅速を期する外、改善を要するものが多くあるものと認められる。

第7 補助費

 補助費の昭和22年度支出額は一般会計及び特別会計を通じ716億3千6百余万円に上つているが、その交付等についで措置当を得ないと認められるものがある。

(1) 補助の指令を年度末に差し迫つて行い、事業実施者に対する補助金の交付も政府支払資金逼迫の事情にも因ることながら、4月に至つてこれを行うものも多く、しかもこのように補助が遅れているのに、対象事業はこれを年度内に完成すべき旨を指令しているものがある。事業実施者は補助金の交付を受けなければ事業着手が困難なものが多いのであるから、まず官庁事務手続の促進を図り、事業を年度内に完成できるよう早期に補助金を交付すべきものであり、又年度内実施不可能のものについては予算を繰り越し、翌年度において実情に即するように補助金の交付をすべきものである。

(2) 補助の金額についても名目的で、補助の実を収め難いと認められる程僅少に失するものがある。12の例をあげれば農林省において桑園登録実施施設費補助として、受領者一人当り1円の補助をしたものがあり、又県に対して繭検定員養成費補助510円、楮採苗圃設置費補助720円を交付したようなものもある。これは地方にかえつて手数をかけることにもなり、よろしく整理集中の上補助の実効を収めるよう考慮の要がある。

(3) 22年12月内務省が廃止されたが、その際災害復旧工事費補助について事業及び所要経費の実情を調査することなく、関係府県に多額の補助金を交付したため、補助超過の結果をきたしているものがある。

(4) 補助金を交付したときは、補助事業実施の状況を精査し、指令どおりの事業が実施されていない場合は、すみやかに補助金の全部又は一部を返納させる等の取扱をすべきものであるが、実際は交付後の措置が適当でないものが少くない。

第8 予算外に官舎の施設等を行つたもの

 予算の目的外に経費を使用し、又は予算を流用して職員の官舎等を新築したり、職員の厚生施設を行つたもの等があるが、これらのもののうちには事情の諒とすべきものもあるから、よろしく予算に計上してこれを実施すべきものである。

第9 特殊物件

 特殊物件は、昭和22年度までにその大部分の処分を終つたが、生活困窮者等に無償譲渡したもの、又は他官庁に無償保管転換したものを除き、売払済額は61億9千2百余万円と推算され、そのうち22年度までの徴収決定済額は42億8百余万円、収納済額は30億1千2百余万円で、収納未済額が11億9千5百余万円で(うち閉鎖機関に対する分9億8千8百余万円)の多額に上り、又右売払済額で、旧軍に納付した代金及び公共団体における取扱経費等を差し引き、なお徴収決定すべきものが16億5千1百余万円あるので、本院においても収入の促進方につき注意を促している。
 右の外、運輸省及び逓信省で処分し徴収決定をした特殊物件は、22年度までにそれぞれ3億2千余万円及び1億1百余万円であるが、その代金として一般会計に納付したものは、それぞれ8千余万円及び6千8百余万円に過ぎない。
 廃兵器は前年度検査報告に掲記したとおり、これを兵器処理委員会に一括売り払つたが、その代金の一部として22年9月までに第2封鎖預金で2千3百余万円を納付させただけて、23年2月兵器処理委員会の業務を停止し、5月に至りさきに締結した売払契約を解除して、当時までの取扱数量131万余屯のうち、同委員会の手持数量44万余屯を建設省が引き取り更にこれを商工省に引き継ぎ、産業復興公団にその処理を行わせることとなり、同委員会に対しては、精算の結果により処理費用を予算2億6000万円の範囲内で支払うことになつているが、まだその支払額は決定していない。

第10 艦艇解撤

 旧海軍艦艇の解撤作業は、23年度に着手した艦艇についてはその解撤経費を歳出に計上しているが、22年度以前に着工した分については、23年10月その作業を完了しているにかかわらず、単に解撤作業着手の認可をしただけで、何らの経理措置がとられていない。解撤作業に従事している株式会社播磨造船所その他の業者は、解撤により発生した資材を自己の船舶修理に使用したり、他に売却して解撤作業費に充当したりしている状況で、本院においては現在検査中であるが、業者の計算による解撤作業費の内容、作業により発生した諸資材の数量、処分価格等には当を得ないものが少くないと認められる。

第11 国有財産の管理

 終戦後大蔵省が引継を受けた旧軍用財産の土地、建物、機械器具等は連合軍において使用中のものを除き、逐次返還され、23年7月までにその額56億9千9百余万円に達しているが、これら財産の管理について使用料の決定が遅れ、あるいは徴収等について措置当を得ないものが少くない。
 22年度中に火災等により滅失き損した国有財産は時価損害額7億5千6百余万円に上り、又社寺国有境内地の立木竹で関係者により無断で伐採され、あるいは附近住民等により盗伐されたものが少くない。

第12 寄附による庁舎の整備

 裁判所、法務庁及び労働省で、地方の裁判所、検察庁、公共職業安定所等の庁舎につき、寄附により新営等を行い、又は寄附金で新築させた建物を受けたものがある。元来このような国の機関の庁舎は、国会の議決を経た予算の範囲内でこれを設備すべきもので、その制限を超えて寄附により設備するのは妥当な措置ではない。寄附は形式的には自発に基く場合でも、実は半強制に類するものが多く、国民に対して法規に基かない負担を課することにもなるし、又歳入及び歳出の外に経理を行う結果をきたすから、寄附を受ける場合はこれを歳入に受け入れ、所要経費を予算に計上して支出しなければならない。