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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第8 農林省|
  • 同 歳出

機械開墾用豊機具類の購入に当り措置当を得ないもの


(314)−(315) 機械開墾用豊機具類の購入に当り措置当を得ないもの

 (第11部公共事業費 第1款公共事業費 第1項公共事業費)

(314)  農林省で支出した32,997,178円は、昭和22年6月から8月までの間に、三菱重工業株式会社外7会社から、購入した機械開墾用農機具トラクター125台、プラウ366台及びハロー246台の代金である。
 本件は、緊急開拓用として開墾事業者に貸し付ける目的で、20年度以降大農機具を大量購入する計画をたて、21年度にトラクター445台、プラウ1,549台及びハロー1,221台を購入したのに引き続き、本年度トラクター400台、プラウ800台及びハロー400台購入の計画により22年8月機械開墾に対して中止的措置がとられるまでに契約したものであるが、わが国における機械開墾は、農機具製作技術、修繕部品、整備能力等に欠けるところがあり、21年度購入の農機具及びさきに借り受けた元軍用トラクター1,188台も故障等のため使用できないものが多かつたばかりでなく、燃料事情と開墾後の営農状況等から見て、機械開墾につき再検討すべきことを従来からしばしば注意されていたのにかかわらず、依然大農機具を大量に発注し、これを継続実施することにしていたため、8月中止的措置がとられたものであるが、本年度における機械開墾予定面積は前年度と同様30,000町歩としたのであるから、前年度購入のトラクター445台及び前記元軍用トラクターに対し故障を修繕する等活用を図れば、本年度の開墾予定面積は裕に開墾できたものと認められるのに、整備、修繕、燃料確保等について周到な措置を講ずることなく、いたずらに新製品の大量購入を行つたのは、終戦後食糧の窮迫した事態を打開する意図によつて計画したものであつたとしても、その措置がいかにも放慢であつたものと認められる。
 なお、本件は主として22年6、7月頃に購入したものであるが、トラクター125台を始め、多数農機具の大部分はその後長く未使用のまま製造業者に保管させていた状況である。

(315)  北海道で支出した50,072,830円は、昭和22年6月以降道益工業株式会社外4会社から道内の国営開墾用農機具として購入したトラクター107台、プラウ243台及びハロー101台の代金である。
 本件農機具は同年度の開墾計画面積を41,000町歩とし、そのうち28,000町歩を機械開墾によることとして、トラクター255台、プラウ435台及びハロー300台の購入計画をたて、これに基いて22年6月以降契約を結び12月までに納入されたものであつて、8月機械開墾に対し中止的措置がとられたため、本道においても計画を縮少し、面積を一応18,560町歩に変更するとともに農機具も業者の製作状況等を勘案して、その購入数を計画の約半数にとどめたものであるが、右の計画面積は実情に即しない過大なもので、そのため不必要な多数の農機具を購入した結果をきたしている。すなわち各支庁において現地調査の結果、開墾可能面積として道庁に報告したものは機械開墾、人馬力開墾を合わせて25,575町歩で、計画面積の62%に過ぎない状況で、1例として上川支庁について見ると、支庁は実施可能面積を機械開墾900町歩、人馬力開墾3,600町歩、計4,500町歩としているのに対し、道庁は機械開墾5,200町歩、人馬力開墾2,690町歩計7,890町歩を割り当てており、そのうち機械開墾の実績はわずかに265町歩という状況である。又開墾用の燃料について見ても、22年度においては、需要申請量1,185竏に対して割当量は789竏で、うち機械開墾用608竏に過ぎないのであるが、当初計画された機械開墾面積28,000町歩に要する燃料を推算すると、全く抜根を要しないとしても一町歩当り約200立を要するので約5,600竏となり、以上を総合すると本件計画は実情にそわない過大なものという外はない。機械開墾についてはしばしばわが国にはこれが適合しないこと及び燃料の不足等の事由により方針の転換方を注意されていたものであり、又現地の実情は21年度に購入されたトラクター415台等も故障のため十分活用できなかつた状況であるから、まずこれを修理する等その活用を図るべきものである。
 なお、本件農機具類のうち、トラクターの全部は23年7月本院会計実地検査当時未使用のまま倉庫に格納されていた状況である。