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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第9 商工省|
  • 同 歳出

補助金の交付に当り措置当を得ないもの


(336)−(338) 補助金の交付に当り措置当を得ないもの

(第10部産業経済費 第10款商工業費 第6項企業転換及再建費)

(336)  商工省で、昭和23年4月、中小工業協同組合共同施設費補助として東部合成樹脂製品工業協同組合(以下東部組合という。)に対し、共同施設費5,209,300円に対する補助金2,600,000円を、又西部合成樹脂製品工業協同組合(以下西部組合という。)に対し、共同施設費2,003,000円に対する補助金1,000,000円を交付したものがある。
 右は、いずれも施設が年度内に完成することを条件としたものであるが、東部、西部両組合とも年度内に完成したと認められる施設は皆無であつて、東部組合では23年9月本院会計実地検査当時においても工場建物1,505,000円、機械類1,798,300円計3,303,300円の施設をしていたに過ぎず、西部組合では8月本院会計実地検査当時においても工場建物1,406,760円、機械類277,199円計1,683,959円の施設をしていたに過ぎず、両組合ともその施設を全然稼動させていなかつた状況である。

(第10部産業経済費 第10款商工業費 第12項物資需給調整費)

(337)  商工省で、昭和23年2月日本発送電株式会社(以下日発という。)に交付した九州地区自家用火力発電所動員費補助金45,119,000円のうち過払となつたものが3,432,000円ある。
 本件補助は、21年7月頃からの電力需給事情悪化に際し、炭鉱の所要電力を供給するため、日発に指示して明治鉱業株式会社赤池鉱業所外5箇所(以下各炭鉱という。)の自家用火力発電設備を動員させ、その発電所要経費と各炭鉱に当該電力を供給した場合の料金との差額を補償することとし、同年10月から22年9月に至る間の実績により、日発に前記45,119,000円を交付したものであつて、その補助金計算の基礎となつた各炭鉱の発電量及び所要経費実績の確認は、福岡商工局においてこれを行つたのであるが、23年8月本院会計実地検査の際調査したところ、日発請求の計算を確認すべき資料も整備していなかつたばかりでなく、所要経費実績と日発の請求金額との間にも不符合があつたので、関係会社の書類につき更に調査したところ、過誤により3,432,000円が過払となつていたことが判明したものである。しかして本件補助金は、22年9月までの実績に対して23年2月に交付したもので、その間十分の調査をすることができたものと認められるのに、漫然補助金を交付し、前記多額の過払を生ずるに至つたものである。

(338)  商工省で、電力危機突破運動費補助として、昭和23年2月及び4月経済復興会議に対し4,700,000円を交付しているが、そのうち1,566,820円は、電力危機突破運動の宣伝用映画の製作費に使用したもので、その運動実施期間が22年12月から23年3月までであつたのに、映画の製作契約を締結したのが2月末であり、又完成したのが7月で、右の危機突破運動の宣伝資料としては全く活用することができず、補助の目的を達成しなかつたものである。