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  • 昭和22年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第11 逓信省|
  • 同 歳出

予算の使用当を得ないもの


(365)−(366) 予算の使用当を得ないもの

(款)事業支出(項)総係費(項)業務費

(365)  逓信省で、予算上認められた共済組合福祉施設補助金6,000,000円の外に、予算を差し繰り11,319,000円を各通信局に示達し、農場、製塩、漁労、製炭等の事業を施行しているものがある。
 右は、たとえ従業員に対する厚生施設であるとしても、予算に認められた以外に更に多額の予算を示達して支出したもので、しかも本件施設のうちには成績のあがらないものが多く、その2、3を例示すれば左のとおりである。

(1) 東京逓信局で、千葉県千倉に漁場を設置することとし、これに要する漁労用具として昭和22年10月、日本興拓株式会社から鯖網等を1,420,000円で購入し、魚獲物は公定価格をもつて提供させることを条件としてこれを同会社に無償で使用させ、又同会社に対し別に郵便物運搬船飛鴻丸を23年2月以降魚獲物運搬用として無償貸付したにかかわらず、提供させた魚獲物はわずかに丸干しさんま73箱及び塩鯖1,362枚に過ぎず、23年8月所期の成績をあげないのを理由として中止した。

(2) 札幌逓信局で、漁場の設置及び運営費として1,694,409円を支出し、蘭島外1箇所に漁場を開設したが、22年度においてわずかに「ほつけ」の燻製270貫等、その価額98,300円を生産したに過ぎない。

(3) 同局で、自給製塩施設として22年度までに1,165,778円(うち21年度までに385,473円)を支出して、森町外2箇所に製塩場を新設経営しているが、22年度においても塩の生産は皆無である。

(款)事業支出(項)業務費(項)建設改良費

(366)  札幌逓信局及び札幌電気通信工事局で、昭和22年度中工事用として購入した移動式箱番7個の代金として1,959,050円を支払つたものがある。
 右は、電気通信工事の工事用材料置場、工事事務室及び工員休息所等に使用される移動式仮小屋程度の箱番ではなく、1戸40坪又は24坪の固定式建物であつて、これを住宅に使用している。当局者は従業員中住宅難により転職するものが続出し、事務の運営上支障があるため、応急措置として住宅に使用しているというが、住宅難の事情は諒とするも、家屋の建築をするに当つてはこれに付し正規の予算措置を講じてなすべきものであるのに、本件はこれをしないで物品たる箱番の購入に名をかり、家屋の建築をしたものである。
 なお、他の逓信局及び電気通信工事局においても、本件と同様箱番に名をかり、固定式建物を新築し倉庫、事務室等に使用しているものがある。