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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第3 総理府|
  • 一般会計 歳出

会計経理のはなはだしく当を失したもの


(25) 会計経理のはなはだしく当を失したもの

第4部行政部費 第3款総理府 第9項経済査察庁
第13部行政共通費 第1款官庁営繕費 第1項新営費、第3款価格補正等特別補充費 第1項価格補正等特別補充費

 中央経済調査庁で、昭和23年8月経済調査庁の発足に際し、事情の了とすべきものがあつたとしても、支出官及び小切手等認証官の発令手続が遅延したため、各管区経済調査庁及び各地方経済調査庁では職員俸給等の支給に窮し、8月から12月までの間に県、銀行又は個人等から融資を受け、その間の経費の支払にあてたものが、東京管区経済調査庁外46庁で17,870,094円に上つているのは当を得ない。
 右の外、管区経済調査庁及び地方経済調査庁で、架空の名義で支出し、又はほしいままに借入金をして不当な経費にあて、その返済についても不実の支出をするなど経理のびん乱したものが左のとおりある。

(1) 札幌地方経済安定局で、札幌管区経済調査庁の開庁準備のため、23年5月に宿舎として札幌市白石町所在土地300坪、建物172坪4を札幌市大場某と仮契約の上1,600,000円で購入し、その購入資金等として2,600,000円(経済安定局で500,000円、経済調査庁で2,100,000円)を北海道拓殖銀行から借り入れ、うち1,350,000円を大場某に支払をしたものがある。
 右は、同局で予算がないのに分庁舎の名義で購入したもので、その後札幌管区経済調査庁で一応備品費から1,100,000円を支出して、うち1,000,000円を北海道拓殖銀行からの借入金の返済の一部に充当したが、その後始末に困り当時同庁本庁舎の新営工事を担当していた建設省札幌地方建設工事部にその資金のねん出方を依頼したところ、同部は工事請負人である株式会社田中組をして同庁に1,100,000円を融通させたので、同庁はこれを前記備品費予算に戻入した。(第590号参照)
 しかして、24年2月及び3月に分庁舎購入費等として1,953,850円の予算示達を受けたので、3月に正式に売買契約を締結し、購入代金その他として1,615,959円を支出し、これと借入金の手許残額1,250,000円及び備品費からの支出額1,100,000円の残額100,000円とをあわせ計2,965,959円のうちから250,000円を分庁舎購入代金の残額として前記大場某に支払い、1,600,000円を北海道拓殖銀行からの借入金の返済にあて、残りの1,115,959円を宿舎の修繕、借入金の利息、交際費等に費消している。

(2) 山梨地方経済調査庁で、23年10月から24年6月までの間に自動車の購入及び修繕、薪の購入等の名義で727,139円を支出したものがあるが、24年7月本院会計実地検査の際調査したところ、前記支出額のうち481,707円を交際費、報償費、会議費等に、又38,462円を銀行借入金1,460,000円の利息支 払に使用し、34,501円は現金で保管していたが、差額172,468円については、その使途が判明しなかつた状況である。
 右の銀行借入金1,460,000円は、23年9月から24年5月までの間に同庁会計係長等の名義で、山梨中央銀行及び日本勧業銀行甲府支店から借り入れ、俸給支払のため200,000円、自動車1台の購入のため550,000円、官舎の購入並びに庁舎及びその敷地の購入手付金等のため550,000円計1,300,000円を使用したもので、その後予算850,000円の示達があつたので、借入金の使用残額160,000円とをあわせ1,010,000円を返済したが、官舎購入代金相当分450,000は9月に至つても予算の示達がなく返済していない。

(3) 23年9月から24年7月までの間に、前記同様自動車の借上及び修繕等の名義で経費を支出し、これを他の経費に使用したものが、大阪管区経済調査庁で347,375円、札幌地方経済調査庁で292,400円、旭川地方経済調査庁で206,047円、函館地方経済調査庁で147,820円、兵庫地方経済調査庁で42,000円ある。