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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第5 大蔵省|
  • (終戦処理費関係の分)|
  • 一般会計 歳出

工事の設計及び施行に当り処置当を得ないもの


(358)−(360) 工事の設計及び施行に当り処置当を得ないもの

(第18部終戦処理費 第1款終戦処理費 第2項終戦処理事業費)

(358)  特別調達庁大阪支局で、昭和23年10月株式会社蔵前組に請け負わせた鷹取貯油所桟橋附近海中土砂しゆんせつ工事の代金として6,484,000円を支出したものがある。
 右工事は、8月の調達要求に基き貯油所桟橋付近の海面20、300平米を干潮面下20呎又は12呎の深さにしゆんせつ(土量40,000立米)するものであつて、しゆんせつ船等に使用する油類は軍給、石炭は官給することとしたものであるが、 軍給とした油類は支給を受ける手配が適切でなかつたため、12月下旬に至つてようやく交付を受け、 又官給の石炭については当時大阪支局にはその手持がなかつたのに、部内の手違いから官給することとしたため、その入手に日時を要し、11月上旬に至り運輸省第三港湾建設部から譲り受けて支給した状況であつて、この間いずれも業者の立替えによつて10月22日に至りようやく一部着工することができたが、 このためにしゆんせつ船7隻等に対する延113日分の手待経費として1,310,265円を支払わなければならなくなつたもので、処置当を得ない。

(359)  大阪府で、昭和21年9月株式会社間組に請け負わせた連合国軍用着陸地新設工事の代金として17,301,031円(うち21年度分17,229,000円)を支出したものがある。
 本件工事は、9月から12月までの間に大阪市西区靱上通り及び中通りの戦災跡地91,732平米の建造物及び障害物を取りのけ、これを整地した上滑走路、建物その他の設備を施行したものであつて、工事費のうち切土48,452立米の運搬費2,661,399円の精算内訳を見ると

運搬方法 土量 単価 総額
トロ 立米
29,236

32.20

941,399
工事施行地区南方隣接堀川へ捨土
トラツク 13,168 100.00 1,316,800 場外を迂回し前記土捨場に延823台で運搬
土運船 6,048 66.66 403,200 指定土捨場以外に延504隻で運搬

 であつて、19,216立米は工期が短期間でトロ運搬だけによるときは土捨場への搬入が混雑するというので、トラツク又は土運船により運搬したものとして1,720,000円を計上している。 
 しかし、本件工事施行地区は東西約700米、南北平均130米の区域で、その南方に約370米にわたり境を接して土捨場があるから、トロ運搬の上捨土するには最も適当な工事区域であつて、トロ平均運搬距離約300米であり、精算書によればトロ線延長4,866米、トロ箱使用台数は100台であるから、これを十分活用すれば1日1,060立米(平均運搬距離に対する1台当り標準運搬量10立米6)の運搬ができ、従つて総土量48,452立米については、線路の移動その他を考慮して五割の余裕を見込んでも70日間程度でトロ運搬だけで処理できる計算であつて、請負人が切取及び鋤取並びに切土運搬等のために要した日数は97日(雨天13日を含む。)であり、又本件工事は照明装置を施され夜間作業もした点を考慮するときは、工事の手配をするとすれば運搬土量の約4割に当る19,216立米をトラツク又は土運船により処理する必要はなかつたものと認められる。
 今仮に、全土量をトロ運搬によつたとすれば、総額約100万円を節減することができた計算である。

(360)  兵庫県で、昭和22年11月西松建設株式会社及び永吉建設株式会社に請け負わせた神戸市灘区八幡地区連合国軍家族宿舎建設工事第5期土木工事の代金として27,736,000円(うち22年度分14,160,608円)を支出したものがある。
 本件工事は、神戸市六甲山腹に建設した連合国軍家族宿舎の敷地造成に伴う石垣工事及び道路新設工事であつて、全工区を2工区に分けて入札した結果、第1工区は西松建設が、第2工区は永吉建設が落札の上施行したものであるが、左のとおりその設計及び施行に当り処置当を得ないものがある。

(1) 本件工事のうち、西側道路新設工事は9,712,135円の多額の経費を投じて新設したものであるが、六甲登山道路に近接していて平地がないため、4,766,586円の工事費をもつて石垣を築造し、33,606立米の盛土を行い、ほとんど純盛土で施行したものであつて、勾配が急で、路面が傾斜しており、24年9月本院においてその実地を検査するに、崩れていてほとんど使用されていない状況である。
 地質の関係上常に豪雨による土砂崩れになやまされている本件工事施行地区に、このような急勾配のしかもほとんど純盛土による道路工事を施行することの不適当であることは当然予想されていたのに、本件は戦災復興院がこれを設計したものであつて、結局当初の設計当を得なかつたものである。

(2) 第2工区の切取土38,120立米、工費1,586,552円の歩掛は、当初玉石まじり硬土(玉石発生予想約7,000立米)と推定して1立米当り0.42人工と積算し、発生玉石はこれを別途工事に使用することとしたところ、施行の結果土質は普通の硬土とほとんど同一で、玉石の混入はわずかに700立米に過ぎなかつたので、玉石使用の前記別途工事部面で玉石補足の経費として約62万円を設計変更によつて増額したにかかわらず、本件切取工費については切取歩掛を変更しなかつたもので、処置当を得ない。
 今仮りに、前記の設計変更の際に切取歩掛を普通の硬土として0.3人工に変更したとすれば、約45万円を減額できたものである。