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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第 5大蔵省|
  • (終戦処理費関係の分)|
  • 一般会計 歳出

電力料金の協定に当り処置当を得ないもの


(367)−(369) 電力料金の協定に当り処置当を得ないもの

(第18部終戦処理費 第1款終戦処理費 第2項終戦処理事業費)

 連合国軍諸施設に対する電力供給契約に基く料金については、契約容量による基本料金と実際使用電力量による使用料金とをあわせて支払つているが、契約容量は長期にわたる支払の基準となるものであるから、その決定に当つては、使用実績をよく調査し事実に即した支払をなすべきものである。現に500KWをこえる大口使用の場合には最大使用電力を基準として契約することを通例としているのであるが、連合国軍関係施設については一般に需要量にくらべて大きな受変電施設を設けているにかかわらず、変圧器の容量を契約容量とし使用実績をよく考慮していないものなどがあり、又その外に接収住宅などの電力料金についても計器の取付けがなく、漫然実際の消費量より著しく過大な算定基準を定めて支払つているものがある。
 その事例をあげると左のとおりである。

(367)  特別調達庁及び埼玉県で、関東配電株式会社に対し、昭和23年度中に成増外8地区の連合国軍諸施設に対する電力料金として合計115,687,103円を支出したものがある。
 右は、朝霞外3地区の分については埼玉外2県が、又成増外4地区の分については元終戦連絡中央事務局が契約し、特別調達庁に引き継いだものであるが、いずれも各受変電所における変圧器の総容量をもつて契約容量としたため、実際の最大使用電力との間に相当の差を生じ、おおむね契約容量は最大使用電力の2倍以上に達し、ことに使用量の多い成増及び代々木地区などは契約容量を最大使用電力の3.4倍以上に決定している状況である。今、従来の最大使用電力に2割の余裕を見込んだ容量によつて契約したとすれば、前記支出額は約2200万円が節減できた計算である。

(368)  特別調達庁仙台支局で、東北配電株式会社に宮城県川内外3地区の連合国軍諸施設に対する23年度分電力料金として合計39,045,952円を支出したものがある。本件の契約容量は川内3,000KW(23年5月以降、4,000KW)、原町2,500KW(同3,000KW)、多賀城1,500KW(同2,000KW)、矢本1,500KWと協定し、いずれも各地区変圧器の設備容量以内ではあるが、最大使用電力の実績は川内1,700KW、原町1,500KW、多賀城800KW、矢本500KW程度に過ぎないのに、従来の使用電力を参しやくして契約を更改しなかつたばかりでなく、矢本を除く各地区では23年度当初県から引き継いだ時よりかえつて契約容量を増加している状況である。
 今、従来の最大使用電力に2割の余裕を見込んだ容量によつて契約したとすれば、前記支出額は約540万円を節減することができた計算である。

(369)  特別調達庁仙台支局で、東北配電株式会社に東北6県及び新潟県の連合国軍接収住宅等に対する無計器供給のものについて、23年度分電力料金として合計22,214,055円を支出したものがある。
 本件無計器供給電力量の決定については、23年4月変圧器又はヒユーズの容量により受給最大電力を決定し、10月から3月までは1日に約14時間6、又4月から9月までは約9時間7(宮城県所在のものは23年5月以降年間を通じ7時間)を使用するものとして契約しているが、受給最大電力を変圧器又はヒユーズの容量により決定するのは過大に失し、又その使用時間を関東配電株式会社配電区域における同種電力の使用時間に対し、10月から3月までは80%増、4月から9月までは50%増としたのは過大に失するものと認められる。
 元来、本件のように多額の支払をする場合には、試験的に計器を取り付けるなどにより電力量算定の適正をはかるべきものと認められるので、24年2月本院会計実地検査の際注意したところ、順次計器を取り付けることとしたが、7月までにこれを取り付けたものだけの実績について見ても、平均使用電力量は無計器の場合にくらべ相当の減少となつている。