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  • 昭和23年度|
  • 第5章 不当事項|
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  • 一般会計 歳出

補助金の交付に当たり処置当を得ないもの


(591)−(598) 補助金の交付に当り処置当を得ないもの

(第10部公共事業費 第1款公共事業費 第2項事業費)

(591)  北海道で、昭和23年度中に公共団体である道に対し、20年及び21年災害に対する復旧工事費補助として、30,750,000円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが左のとおり約293万円ある。

(1) 20年災害に対する復旧工事費補助として23年12月に3,750,000円を交付しているが、右工事は22年度において既に完成していたもので、その工事費精算額に対し補助金を追加交付すべき額は約308万円であることは、本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記3,750,000円を交付したため、差額約66万円は補助超過となつている。

(2) 21年災害に対する復旧工事費補助として23年6月から24年3月までの間に27,000,000円を交付しているが、右工事は23年度に完成したもので、22年度までの工事費精算額に対する補助超過額が759,121円あること及び23年度の補助予定工事のうち1,892,524円に相当する部分が22年11月に国費支弁工事等に変更されていたため、これに対する補助相当額約151万円も当然減少することは遅くも本件補助金のうち最終回分3,000,000円を交付した当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記3,000,000円を交付したため、差額約227万円は補助超過となつている。

(592)  青森県で、昭和23年度中に公共団体である県に対し、21年災害に対する復旧工事費補助として1,500,000円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが約139万円ある。
 右21年災害に対する復旧工事費査定額は当初14,131,862円で、これに対する補助相当額は9,362,200円であつたが、右工事費のうち22年11月に後年災害に転属となつていたものが2,111,711円あつたので、22年度末における工事費査定額は12,020,151円となり、これに対する補助相当額は約796万円となつたものである。
 右のうち、22年度までに県が工事を施行したものは10,856,152円で、これに対して補助金7,862,200円が交付されていたので、23年度で本工事が全部完了したとしても追加交付すべき補助金は前記の補助相当額から既交付分を控除した約10万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで示達された1,500,000円の全額を交付したため、差額約139万円は補助超過となつている。

(593)  岩手県で、昭和24年3月及び4月に宮古市に対し、整地復旧事業費及び街路復旧事業費の補助金として11,930,000円を交付したものがある。
 右事業は、事業費総額17,895,000円で同市の整地復旧及び街路復旧を施行するものであるが、23年度内に完成したのは整地復旧のうち街路清掃等(事業費2,270,635円)だけで、事業の大部分を占める盛土工事(事業費11,477,000円)は年度末出来高9%余に過ぎず、その他の事業も年度末又は年度経過後に着手したものであるのにこれらの事情をよく調査することなく、年度末に至り又は年度を経過して補助金の全額を交付したのは処置当を得ない。

(594)  群馬県で、昭和24年2月公共団体である県に対し、21年災害に対する復旧工事費補助として2,700,000円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが約202万円ある。
 右補助は、工事費査定額14,638,883円に対し9,626,000円と算定されていたところ、工事費査定額のうち、22年11月に後年災害に転属されていたもの及び23年7月に廃工と決定されていたものが3,157,373円あつたので、これを控除した工事費査定額は11,481,509円となり、補助相当額は約754万円に減少したものであつて、これに対して22年度までに既に6,873,000円の補助金を交付していたのであるから、23年度において交付を要する補助金は約67万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記2,700,000円を交付したため、差額約202万円は補助超過となつている。

(595)  神奈川県で、昭和24年3月公共団体である県に対し、20年及び21年災害に対する復旧工事費補助として4,300,000円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが左のとおり約133万円ある。

(1) 20年災害に対する復旧工事費補助として1,500,000円を交付しているが、右補助は工事費査定額27,630,399円に対し18,185,500円と算定されていたところ、工事費査定額のうち22年12月までに後年災害に転属されていたものが4,981,243円あつたので、これを控除した工事費査定額は22,649,156円となり、補助相当額は約1490万円に減少したのであつて、これに対し22年度までに既に14,146,400円の補助金を交付していたのであるから、23年度において交付を要する補助金は約76万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記1,500,000円を交付したため、差額約73万円は補助超過となつている。

(2) 21年災害に対する復旧工事費補助として2,800,000円を交付しているが、右補助は工事費査定額6,166,849円に対し3,925,700円と算定されていたところ、工事費査定額のうち22年12月に後年災害に転属されていたものが974,725円あつたので、これを控除した工事費査定額は5,192,124円となり、補助相当額は約330万円に減少したものであつて、これに対し22年度までに既に1,100,000円の補助金を交付していたのであるから、23年度において交付を要する補助金は約220万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記2,800,000円を交付したため、差額約59万円は補助超過となつている。

(596)  富山県で、昭和23年6月から24年2月までの間に公共団体である県に対し、20年災害に対する復旧工事費補助として18,174,700円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが約1529万円ある。
 右20年災害に対する復旧工事費査定額は、当初26,926,197円であつたが、その後物価の値上りにより県は総額42,864,287円の予算で、22年度中にほとんど本件工事を完成したものである。
 しかして、これに対する補助相当額は約3438万円であるから、23年度において交付を要する補助金は右補助相当額から22年度までに交付した31,509,000円を差し引いた残額約288万円をこえないことは本件補助金交付当時既に判明すべきであつたのに、精査もしないで示達された18,174,700円の全額を交付したため、差額約1529万円は補助超過となつている。

(597)  静岡県で、昭和23年9月から24年4月までの間に公共団体である県に対し、20年災害に対する復旧工事費補助として、8,392,800円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが約83万円ある。
 右補助は、23年5月の再査定工事費30,817,922円に対する補助相当額23,290,800円のうち、22年度までに交付した14,898,000円を差し引いて交付したものであるが、県が22年度までに使用した工事費は20,793,842円であり、又23年度に本件工事を完成するため予算に計上した工事費は8,958,713円(前年度繰越額19,284円を含む。)であるから、県の工事費総額は29,752,555円を超えないもので、これに対する補助相当額は約2245万円であつて、23年度において交付を要する補助金はこれから既に交付した14,898,000円を差し引いた残額約755万円をこえないことは本件補助金交付当時既に判明すべきであつたのに、精査もしないで前記8,392,800円を交付したため、差額約83万円は補助超過となつている。

(598)  愛知県で、昭和23年度中に公共団体である県に対し、20年及び21年災害に対する復旧工事費補助として6,048,800円を交付しているが、そのうち交付当時既にその必要のなかつたものが左のとおり約242万円ある。

(1) 20年災害に対する復旧工事費補助として24年3月に948,800円を交付しているが、右補助は工事費査定額17,085,489円に対し11,126,800円と算定されていたところ、工事費査定額のうち22年7月廃工と決定されていたもの及び10月後年災害に転属されていたものが1,341,676円あつたので、これを控除した工事費査定額は15,743,813円となり、補助相当額は約1025万円に減少したものであつて、これに対し22年度までに既に10,178,000円の補助金を交付していたのであるから、23年度において交付を要する補助金は約7万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記948,100円を交付したため、差額約87万円は補助超過となつている。

(2) 21年災害に対する復旧工事費補助として、23年9月から24年3月までの間に5,100,000円を交付しているが、右補助は工事費査定額25,921,975円に対し17,098,000円と算定されていたところ、工事費査定額のうち22年11月後年災害に転属されていたものが1,154,020円あつたので、これを控除した工事費査定額は24,767,955円となり、補助相当額は約1633万円に減少したものであつて、これに対し22年度までに既に12,783,000円の補助金を交付していたのであるから、23年度において交付を要する補助金は約355万円をこえないことは本件補助金交付当時判明すべきであつたのに、精査もしないで前記5,100,000円を交付したため、差額約154万円は補助超過となつている。