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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第4 大蔵省|
  • (終戦処理関係の分)|
  • 物件

解除物件の売渡及び管理当を得ないもの


(416)−(429) 解除物件の売渡及び管理当を得ないもの

 特別調達庁及び各特別調達局で保有する連合国軍用物資は昭和24年8月末現在約69万屯の多量に上つたが、その大部分を国内向けに売り渡すこととなり、9月以降解除された約10万2000屯をあわせて売渡を行い、25年7月までに約69万4000屯を処分した。
 右売渡に当つては、価格の積算当を得ないで低廉となつたもの、不利な契約を結んだものなどがあり、又、保管に当つては、寄託物品の容積を精査することなく業者の請求をそのまま認めているもの、寄託物品の分類適用を誤つたもの、不要の割増料を認めたもの、破損品、不良品等に対し寄託価格引下げを行わなかつたもの、亡失物件に対して保管料の支払を継続したものなどがある外、物品の出納保管が適切でないものなどがあり、本院会計実地検査の結果判明したおもな事例をあげれば次のとおりである。

(1) 売渡に当り処置当を得ないもの

(416)  横浜特別調達局で、東京工業株式会社外1名に随意契約で塗料類を3,581,096円で売り渡したが、右のうちドラムかん入りペイント346かんは売渡価格算定に当り内容品の価格だけを計上し、容器代179,834円を加算しなかつたものである。

(417)  大阪特別調達局で、冨士建設工業株式会社にドラムかん入りウオータープルーフイング(セメント防水剤)19,609かんを98,045円で随意契約により売り渡したものがある。
 右は、1かん当り5円となつているが、仙台、名古屋、京都各特別調達局で本件と同種品をほぼ同時期に競争入札に付し平均101円69から200円で売り渡しているのに比べ、多少品質程度に相異があつたとしても著しく低価に過ぎたものと認められ、いま仮に右3局のうちの最低平均価格である仙台の1かん当り101円69により売り渡したとすれば、1,895,994円高価となる計算である。

(418)  山口県で、昭和23年10月連合国軍宿舎兵舎建設工事用木材1,908石を壽工業株式会社外2名に引き渡し、売渡価格を決定しないまま12月同県からその処理が呉特別調達局に引き継がれたのに、25年8月に至るもまだその徴収の手続をとつていない。

(419)  福岡特別調達局で、光安木材株式会社に松丸太84,248石を17,172,800円で売り渡したが、引取期限前に台風に因り流失した6,780石代に相当する1,376,340円を減額している。
 右は、昭和24年4月入札に当り引取期限を11月とし6月15日附で契約書を作製、その直後丸太が流失したので不可抗力による危険負担を国に帰することとした契約条項に基きその代金相当額を減額したものであるが、特定物の売買に当つては引取前の危険を買受人の負担に帰することとするのが通例であるのに、特にこれと異なる約定をなしたのは処置当を得ない。

(2) 保管料の支払に当り処置当を得ないもの

(420)  東京外5特別調達局で、寄託物品の容積を精査することなく、業者の請求をそのまま容認したため過払となつたものが1,027,978円ある。
 右は、646,218才に相当する物品を寄託したものとして保管料を支払つていたものであるが、本院会計実地検査の際実測したところ539,898才が正当であつたので注意したところ、これに対する保管料につき昭和22年9月以降25年3月までの分を調査した結果、前記金額が過払であつたことが明らかとなつたもので、当局者はこれに対し返納の手続をとつたが、10月末現在まだ回収されていない。

(421)  東京外4特別調達局で、寄託物品のうちに多量の破損品、変質品等があり、その程度に応じ保管料を割引して支払うべきであるのにその判定が適正を欠き、寄託価格が高価に過ぎているものが多数あつたので当局者に対しその是正を促したところ、寄託価格204,969,283円を再評価して118,632,429円に改め、各局それぞれ昭和25年4月、5月又は7月以降の保管料につき減額処置をとることとし、結局月額653,696円が節減されることとなつた。

(422)  東京外3特別調達局で、物品の分類を金物製品又は木材として適用すべきものを雑品として寄託する等分類の適用を誤つたものがケーブル接続函及び合板外56品目に上り、昭和23年2月以降25年3月までの保管料のうち1,004,175円が過払となつていたので注意したところ、当局者はこれに対し返納の手続をとつたが、10月末現在まだ回収されていない。

(423)  東京、仙台両特別調達局で、ガラス、タイル等高く積み重ねて保管するに適しない貨物として割増料を加算し保管料を支払つているもののうちには、現に相当積み重ねて保管していたものがあつたので注意したところ、昭和24年4月以降割増料292,590円を返納させることとしたが、25年10月末現在まだ回収されていない。

(424)  東京特別調達局で、昭和23年12月デイーゼルエンヂン部品を都商事株式会社佐賀町倉庫に寄託し、25年2月分までの保管料5,802,117円を支出したものがある。しかして、本品を寄託するに当つては、購入価格78,436,986円をそのまま寄託価格とし、且つ、その寄託分類を機械としたものであるが、本品は不用となつた連合国軍専用のデイーゼルエンヂン部品で国内向けにはほとんど適しないものであつて、機械部品としての商品価値がないことは寄託当時において既に明らかであり、現にその一部売渡のため24年8月及び9月予定価格を算定するに当つては、大部分をスクラツプとして評価している状況であつて、これらの事情を考慮すれば寄託当初からその寄託価格を適当に査定するのが相当と認められ、ことに大部分をスクラツプとして評価した9月以降依然寄託価格の改訂も行わず、多額の保管料を支払つたのは処置当を得ない。
 いま仮に、本品売渡に際して積算した基礎価格を基準として9月以降の保管料を支払つたものとすれば、25年2月までに約212万円を節減できたものである。

(425)  仙台特別調達局で、日本通運株式会社水沢倉庫に寄託した二重煙突21,464フィートの寄託単価は1フィート当り160円とすべきであるのに誤つて320円とした外、容積を誤つて2倍に計算したため、昭和24年4月から25年2月までの保管料のうち161,065円が過払となつているので注意したところ返納させることとしたが、10月末現在まだ回収されていない。

(426)  横浜特別調達局で、株式会社横浜商会平沼倉庫に寄託したシリンダー錠外14品目は昭和22年6月亡失したものであるのに、24年11月まで引き続きその保管料として107,645円を支出していたので注意したところこれを返納させることとしたが、25年10月末現在まだ回収されていない。

(3) 物品の経理当を得ないもの

(427)  東京特別調達局で、昭和25年4月富士倉庫運輸株式会社枝川町倉庫に寄託中の銅板178枚1,004,440円を同局勤務総理府技官田代某外1名が部外者とともに不正の返出荷指図書等を行使して同倉庫から搬出したものがある。
 右は、同会社において善良な管理者の注意を怠つたことに因るものとしてその被害額を弁償することになつたが、10月末現在まだ徴収されていない。

(428)  横浜特別調達局で、昭和23年5月から7月までの間に、木製冷蔵庫外8品目3,346点、評価額668,005円を中原某外1名に売り渡すこととし代金徴収前にこれを引き渡したが、25年10月に至つてもそのままとなつている。

(429)  名古屋特別調達局で、昭和24年7月三井倉庫株式会社名古屋支店水主町倉庫に入庫された革パツキング7箱約18万円を所属不明として放置してあつたので注意したところ、これが受入の処置をとつた。