ページトップ
  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第7 農林省|
  • (一般会計)|
  • 予算経理

予算の使用当を得ないもの


(480)−(483) 予算の使用当を得ないもの

  (部)公共事業費(款)公共事業費(項)一般公共事業費

 仙台外3農地事務局で直営施行している農業水利事業等で、工事を前年度中に施行し不経済をきたしたもの、計画がずさんで工事着工の見込がたたず単に準備工事のみに予算を使用したもの、又は継続施行の見込の十分でない工事などを施行したものが左のとおりある。

(480)  東京農地事務局で、龍西農業水利事業用水路工事準備用の材料等を1,993,016円で購入したものがある。
 本件水利事業は、昭和23年度から4箇年計画で総工事費86,250,000円をもつて施行予定のところ、本計画は15年度の長野県の計画設計を踏襲したため、河床の変化により取入口、水路線の変更を要するものであつたので、23年度においては事務所の新築及び材料購入等を実施したにとどまり、しかも本件工事用として購入したデイゼルシヨベル1台を他事業所に転用した状況で、本年度においても工事の計画が確立せず工事遂行の不可能なことが予想されたのに漫然事業費の認証を受けたもので、地元民の反対もあつて事業費の一部を減額し単に工事準備のため本費を支出したにとどまつたものである。

(481)  仙台農地事務局で、株式会社間組外2名に請け負わせた新安積開拓建設事業幹線水路第一ないし第四工区の工事中、昭和24年5月完成した工事量に対する請負代金として78,040,000円を支出したが、本件工事はその大部分が23年度中に施行されたもので、その施行に当つては請負人に市中銀行あて支払予定証明書を交付して融資の方途を購じたものであつて、このような方法により予算の示達がないのに工事を施行し翌年度の予算から工事費を支弁したことは予算の制をみだつたものであるばかりでなく、当初設計は開田3,000町歩の計画のもとに通水200個の断面であつたが、24年4月設計を変更して開田2,000町歩の計画の下に通水150個の断面に縮少したものである。しかし工事の大部分は既に前年度内に旧設計によつて施行したために過大施設を行つた結果となつたもので、もしこれを新設計により施行したとすれば、当局者の計算によるも3,988,050円を節減し得たものである。

(482)  岡山農地事務局で、芦田川農業水利事業費4,500,000円のうち、新営費1,500,000円をもつて当初計画の事務所及び宿舎を建設し、残りの事業費3.000,000円のうち地元民の反対により全然施行できなくなつた当初設計の附帯道路工事費1,282,000円及び測量費537,850円、雑工事費333,650円、補償費20,000円等合計2,173,500円で早急に必要と認められない計画外の仮事務所、乗用自動車、庁用器具等を購入したものがある。

(483)  熊本農地事務局で施行の立小野導水路工事(9,296米)は、昭和21年8月当初予算32,407,168円で着工し、23年度までに677,168円を使用し、わずかに508米の導水路の掘さくを実施したにとどまり、その後引き続き工事施行の見込がなかつたのに、別途施行中の野井倉工区の工事が一時中止となつたので、その遊休労務者等の転用を図る目的をもつて、予算の示達もなかつたのに24年7月工費2,200,000円をもつて星野工業株式会社と仮契約を結び、前記工事の一部として水路870米85の掘さく工事を施行したものであるが、同工事地区は白砂土質で台風の影響もあつたので8月崩壊したため、11月更に400,000円をもつて一部の復旧工事を行つたまま放置している状況である。