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  • 昭和24年度|
  • 第5章 不当事項|
  • 第2節 所管別事項|
  • 第13 建設省|
  • (一般会計)|
  • 予算経理

直轄工事費の経理が著しく不当なもの


(615)−(617)直轄工事費の経理が著しく不当なもの

  (部)公共事業費(款)公共専業費(項)一般公共事業費(項)災害関係公共事業費

(615)  関東外1地方建設局で、直轄工事費のうち架空の出面により人夫賃の名義で支払に立てるなどの方法により富士川工事事務所で3,600,000円、長崎国道工事事務所で3,540,582円、川内川工事事務所で6,022,069円計13,162,651円の資金を保有し、年末手当、借入金利息等に使用するなど予算外に経理を行つたものがあり、昭和25年9月本院会計実地検査当時それぞれ手元に保有していたものが

富士川工事事務所 154,666円
長崎国道工事事務所 176,548円
川内川工事事務所 1,060,628円

ある。
 なお、富士川工事事務所においては25年3月保有金のうち648,883円が盗難にあつている。

  (部)公共事業費(款)公共事業費(項)一般公共事業費

(616)  中部地方建設局で、直営により施行した木曾川上流改修工事の経理を見ると借入金により工事を繰上施行し、その返済に充てるため正規の予算から支出したものを更に予算外に附帯工事を施行しその結果借入金の返済に窮して、労力費の付掛を行い、又は設計土量を過大に見積る等の方法により財源のねん出を図るなど、長期にわたつて不正に関係書類を作製し、事実にそわない経理をしたばかりでなく、ひいて附帯工事費負担金を徴収していないものがある。

(1) 右は昭和23年5月から7月までの間に愛知県から8,000,000円を借り入れ、そのうち6,688,024円を使用して同県葉栗郡宮田町及び草井村地先の宮田、一宮、起の各築堤工事を繰上施行し、8月以降において前記各築堤工事費等の予算から右借入金使用相当額を支出したが、これを返済に充てることなく更に附帯工事である宮田用水頭首工事を予算外に施行し、その労力費として5,494,279円を使用した結果、借入金返済の財源として左表のとおり23年度中に2,290,749円、24年度において1,204,000円計3,494,749円を、あるいは労力費の付掛を行い、あるいは設計を過大に見積つてねん出し、これに24年度の宮田用水頭首工事費予算のうちから支出した2,000,000円と、前記借入金使用未済額2,505,720円をあわせ、24年4月から11月までの間に返済を了したものである。

年度 工事名 正当労力費 付掛し又は設計を過大に見積つた労力費 備考



23 宮田、一宮、起各築堤工事 6,203,524 535,624 惜入金によつて繰上施行しその返済に充てるため正当予算から支出する際過大に計上したもの
起護岸工事 1,080,693 1,755,124 正当労力費に付掛をしたもの
24 北方築堤工事 4,820,177 1,204,000 設計において土量43,300立米を約1割過大に見積るなどによつたもの

12,104,395 3,494,749

(2) 又、23年度において宮田用水頭首工事の労力費に使用した5,494,279円については、そのうち2,000,000円だけを24年度の附帯工事費予算から支出したにとどまり、残額3,494,279円はそのまま表面に現れない工事費として経理したため、右にする附帯工事費負担金1,386,719円を宮田用水普通水利組合から徴収できなかつたもので、要するに本件は直営工事の施行に当りその経理が著しく当を得ないものである。

  (部)公共事業費 (款)公共事業費 (項)一般公共事業費 (項)災害関係公共事業費

(617)  九州地方建設局肝属川工事事務所で、肝属川改修12工事及び災害復旧13工事を施行するに当り、経理がびん乱しているものが左のとおりある。
 昭和24年度において、前記工事のうち改修2工事及び災害復旧9工事は年度内未完成又は未着手であつたのにこれを完成したように関係書類を作製し、あるいは工事の一部を請負に付しているのに直営で施行したようにしており、他方25年2月から4月までの間に架空人夫延31,041人を付け掛けて人夫賃6,358,290円を支出し、これを別途に現金又は預金として保有し3月から6月までの間に工事費の支払代金に充てている。
 しかして、右請負工事については正式の手続も経ず工事量を確認しないで請負に付し、代金として支払つたものの当否も確認できない状態であり、又、設計書どおりの工事を施行したように書類を整理しながら他の工事を施行する等帳簿書類の整理が事実にそわず、24年度の工事費の決算額については確認することができない状況である。